彩葉のバイト先の店長は前作主人公感漂う藤丸立香です(旧題:パン屋のぐだ子とバイトの彩葉)   作:生徒会副長

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【前書き】
●せっかくの三連休
●書き溜めがあるせいでモチベ低下してるけど週2回更新をするほどではない。
●暗い話であまり引っ張りすぎるのも如何なものかと思う。
●たまには違う曜日・時間帯に更新して新規読者を獲得したい。

以上の事情を鑑みて、
10月9日(金)
10月12日(月)
10月18日(日)
に更新をします。

高評価や感想、よろしくお願いしますね!



㉛悲しい音楽会と楽しい音楽会

 

 

 斎藤一の姿をして、気配遮断スキルを使って奇襲してきたシャドウ・アサシン。

 それを返り討ちにした後、私達はかぐやちゃんの記憶を見ることになった。

 時は1941年、地下の酒場でのこと──。

 

『皆様、本日はお集まり頂きありがとうございます』

 

 爽やかな蒼いドレスを着た美女が、ホールの中央からそう挨拶をする。すると席に座っている紳士と淑女達が拍手を送った。そんな酒場の隅には、ウミウシの姿をしたかぐやちゃんがいる。

 

『さて。昨今は皆様もご存知のとおり、日本は中国相手だけでは飽き足らず、とうとう亜米利加(アメリカ)とも戦争を始めてしまいました。街を歩けば子供まで軍歌を歌っていて、やれ“贅沢は敵だ”とか、“戦争バンザイ”だとか、ほとほと嫌気が差すような音ばかり耳に入ってきますね。けれど今日だけは、そんなことは忘れてしまいましょう。どの国で生まれただの育っただの関係なく、皆が音楽を楽しんで笑顔になる。そんな平和な未来を、夢に見ようじゃないですか』

 

 酒場に集まった紳士と淑女達は、それぞれ異なる疲れや痛みを背負っているように見えた。しかしそれでも、彼らは彼らなりに、笑顔を作っていた。

 平和な未来を夢見て──。

 

『それでは、一曲目──“あゝそれなのに”』

 

 アコーディオンの音が伸びゆき、バイオリンが主旋律として美しい存在感を示す。

 

『どこで何しているかしら♪ なにか悲しい日暮れどき♪ 思うは貴方のことばかり♪』

『あゝそれなのに それなのに♪ ねえおこるのは♪ おこるのは♪ あたりまえでしょう──♪』

 

 会社へ働きに出かけた夫の帰りを待つ、可愛らしいご夫人の歌のようだ。

 彩葉ちゃんの帰りを待つかぐやちゃん。

 或いは、ジークフリートの帰りを待つクリームヒルト。

 そんな姿を想像しながら聴くと、中々微笑ましい。

 ……などと思っていたときだった。

 

 『バコォ!!』と、ドアが蹴破られる音と、慌ただしい靴の音。それらによって、素敵な音楽会は遮られた。

 

『特高警察だ! ここで売国の徒と共産主義者が密会を行っていると通報があった! 全員動くな!』

 

 ああ、知っている……。いくつかの特異点や異聞帯で経験がある……。

 銃口を向けられたら、勝手に身体が動いてしまう人というのは居るものなのだ。

 

『動くなと言っているだろうが!』

 

 そう怒鳴った警官が短気だったのか、はたまた射撃の腕が悪かったのかは分からないが。

 放たれた凶弾は、逃げようと駆け出したある紳士の心臓を貫いた。

 

『きゃぁぁぁぁーーーっっ!!』

 

 そこからはもう、恐慌状態である。

 我先にと逃げ出すご婦人や老紳士、彼らを捕縛する為に暴力を振るう警官。椅子や瓶で抵抗する若い男性と、それを射殺する警官……。

 

『あぁ……あぁぁぁ……』

 

 ウミウシの姿をしたかぐやちゃんは、それを見ていることしか出来ない。

 その地獄絵図が収まったかと思えば画面が切り替わって、瓦礫の街が映し出された。

 ちょうど、この特異点とよく似ている。

 幽霊のように半透明で、絶望に染まった目をしたかぐやちゃんは独り、瓦礫の街で立ち尽くしていた。

 

『……この一瞬を……最高の……パーティーに……。ぱーてぃー……に……』

 

 これは……歌だ。とてもぎこちないけれど。

 かぐやちゃんの卒業ライブの、最後の曲。

 彩葉ちゃんが完成させて、月にいるかぐやちゃんに届けた曲。

 しかし……。

 

『……てきせいご……。敵性語じゃん! あはっ、あははははっ!』

 

 彼女は……壊れていた。壊れた目で、壊れた笑顔で、声を上げた。

 実際に壊れた後、何とか立ち直ってヤチヨになったのか。はたまた、彩葉ちゃんの脳内でのみシミュレーションされたIFなのかは、分からない。

 しかし壊れた彼女は、機械のように正しく歌い始めた。

 

『地上ハルカニ 南ダ北ダ 攻ムルモ守ルモ 縦横無尽 戦闘爆撃 第一線ニ 降魔ノツバサヨ 電波ト奮エ 東亜ノ空ヲ 制ルワレラ』

 

『コノ国ゾ 醜(シコ)ハラフ 皇軍(スメライクサ) 義ニヨリテ 剣(ツルギ)トル 皇御国(スメラミコク)』

 

『アア吾等 今ゾ往カン カヘリミハセジ 日ノ御旗 ヒラメクトコロ 玉(タマ)ト砕ケン』

 

 そんな……。そんな……。

 この歌は……この歌詞は……。

 戦争の為の歌じゃないか。人殺しの為の歌じゃないか。

 

『アハハ……。そっかぁ……。そっかぁ……! かぐやや彩葉が間違ってたんだね! 音楽は楽しいものでも自由なものでもない。人を正しく導くモノなんだ!』

 

 違う! 違う! そんなはずはない!

 

『じゃあもっと歌うね! 日ノ本を導く歌を! 正しい歌を! そうして全ての人が、月人のように、決められた役割を、正しく完璧に出来るようになれば……!』

 

 色彩のない、黒く染まった眼を見開きながら、彼女は天に向かって問い掛けた。

 いや……或いは……。

 

『……もう誰も間違えない、傷つかない、孤独にならない世界が……日本が……できるよね……?』

 

 悪性情報によって変質してしまった彼女による、人理に対する──宣戦布告だったのかもしれない……。

 

 


 

 

 映像を見終わった後、立ち尽くしていた私とマシュ。

 その耳に、爽やかな音色が入ってくる……。

 ダビデの竪琴だ。

 

「そろそろ休憩を挟まないかい? 人間よく働いた後は、しっかり休むべきなのさ」

「うむ、ワシも賛成じゃな。シャドウ・アサシンを倒したんじゃから奇襲の心配もそこまでせんでいいじゃろうし、4騎目を倒して残りは3騎じゃ」

「……そうだね。二人の言うとおりだ」

 

 昔取った杵柄と甘く見ていた。私も結構疲れてるし……マシュもかなりキツそうだ。

 精神的にけっこうキツイのは……今まで見た記憶が全部、もう終わったこと──ってあたりかな。もう覆しようがない過去。カルデアの経験で言えば、サーヴァントの記憶を夢で見たときに近いけど……ここまでキツイ記憶(かこ)は珍しい。

 瓦礫を退かしてスペースを作り、皆で輪になって材木に座る。思ったよりドサッと音を立てて、腰を落とすことになってしまった。

 皆が座ると、私の肩に乗っているFUSHIが言った。

 

「皆、ここまでお疲れ様。皆がシャドウ・サーヴァントを4騎倒してくれたから、僕の権限も少しだけ戻ってきた。魔力回復の手伝いをさせてほしい」

 

 何をするのか尋ねるより早く、FUSHIの目がライトのように光る。ライトに照らされた地面から『生成』されたのは──。

 

「おおっ! オムライスではないか!」

 

 ノッブがそう言ってテンションを上げるのも無理はない! 円形の机の上に並んでいるのは──ふわふわ玉子のオムライス! 野菜と牛スジがゴロゴロ入ったカレーライス! トロットロのカルボナーラ! デカいチャーシューが乗った醤油ラーメンに……シロップがたっぷりかかったパンケーキ!

 

「オムライスはワシのじゃ!」

 

 真っ先に手を出したのはノッブ。まぁ誰も異論はない。

 そしてサリエリの目線が、明らかにパンケーキの方を向いている……!

 

「パンケーキはサリエリが食べたら?」

「……いいのかね?」

「じゃあ私、醤油ラーメンもーらいっ」

 

 マスターである私に遠慮していたのだろうか。私が醤油ラーメンを取ると、サリエリは「……では、パンケーキを……」と言って、おずおずと皿を取る。

 

「ダビデ王! 差し支えなければ、カルボナーラは私が頂いても構いませんでしょうか!」

「ああ、もちろん僕はカレーで構わないとも! 好きなのかい? カルボナーラ」

「は、はい! ちょっとした思い出のある料理ですので!」

 

 そうだよね。ゴルドルフ所長が作るトロットロのカルボナーラ、マシュも大好きだったもんね。

 私もあのカルボナーラは大好きだけど、まぁ醤油ラーメンにも良い思い出があるから……。

 

『一(はじめ)ちゃん……。これはいわゆる悪い子ってヤツ……罪の味では……?』

『そりゃ大げさでしょ、食いたいもんは食えるうちに食っときゃいいのよ』

 

 バレンタインのお返しに、夜食のラーメンに誘ってくれた一(はじめ)ちゃん。

 『どうしようもなくなったら、カルデアから連れ出して一緒に逃げてやる』とまで言ってくれた一(はじめ)ちゃん。

 

(……今の私を見たら……なんて言うかな……)

 

 特異点(こんなこと)に首突っ込まずに、さっさとパン屋に帰れって、怒るかな。

 さっき倒したシャドウ・アサシンに斎藤一の心なんて宿ってるはずはないんだけど……一(はじめ)ちゃんの差し金って可能性は、無いのかな。『いっそここで斬って、楽にしてやる』……みたいな……。

 

(──ってぇ、そんな訳無いか!)

 

 あの一(はじめ)ちゃんのことだ。ヘラヘラした笑顔でここに現れて、また私に力を貸してくれるかもしれない。

 或いはもう彩葉ちゃんやヤチヨの傍にいて、邪馬台国のときや御陵衛士のときのように、私や土方さんにとってベストなタイミングで元の鞘に収まる算段をつけているのかもしれない。

 その方がいい。うん。その方が、一(はじめ)ちゃんらしいや。

 

(ところで……)

 

 私が手に取った醤油ラーメン……。

 湯気は見た目だけで熱さを感じないし……スープの香りもしないんだよね……。

 まさか……?

 

「では早速、頂くとするかのう!」

 

 ニッコニコでオムライスを口に運ぶノッブ……だが。

 

「うんっ? おぁっ!? 味がせんのじゃが!? なんじゃコレェ! ワシは霞でも食ったんか!?」

 

 あー……やっぱりね……。

 私も醤油ラーメンを啜ってみる……が……。

 

「……うん。まぁ……」

 

 麺じゃなくて空気を啜ったような虚無感。

 卓上調味料を全部倒したり『殺すぞ〜〜!!』と怒鳴ったりする元気すら湧いてこない。

 

「ツクヨミの技術力じゃ、味や匂いや温度がある料理は生成できないんだ。食べれば魔力が回復するようには作れたけど……期待させてごめん」

 

 FUSHIが今更、申し訳なさそうに言う。

 まぁ私達が期待しすぎて、言い出し辛かったのかな。

 

「……魔力は回復するのだろう? ならば、サーヴァントという兵器が駆動する上では何の問題もない魔力資源である。魔力資源……であるとも……」

「サリエリ? そんな残念そうな顔で言っても説得力ないよ?」

 

 するとサリエリは怒り故か恥ずかしさ故か、慟哭外装を纏ってしまった。

 

「我は死だ。我は闇だ。人のごとく扱う必要はない、マスター。魔力という薪、燎原(りょうげん)の火から生まれし刃さえあれば、殺すべきものを殺してみせるとも」

「サリエリさんの意見は極論としても……とりあえず食べて……魔力を回復しましょう……。これも、酒寄さんとかぐやさんを助ける為です……」

 

 マシュがそう言うと、各々が渋々といった様子で“虚無”を、口に運んでいく。

 如何せん“虚無”なので、『美味い』はおろか『不味い』という感想すら出ない。

 

(私達が、この特異点を修復しても……)

 

 かぐやちゃんは電子の歌姫、月見ヤチヨのままだ。

 抱き締めてあげることも出来ないし、パンケーキやさつまいも黒蜜デニッシュを食べさせてあげることもできない。

 なんとかならないのかな──と、私が思っていたとき。

 

「先ほど見た、軍歌の記憶に関してだが」

 

 いつの間にか慟哭外装を脱いでいたサリエリが、そう切り出した。

 

「私も宮廷音楽家として、多くの行進曲などを作曲した。軍歌や行進曲は、恐怖に打ち克ち、勇気を奮い立たせ、規律ある軍隊を組織する上で、必要だし意味があるものだ。軍歌が悪──という訳ではない」

「……うん。それは……分かるよ。特撮ヒーロー番組とか、ロボットアニメとかの主題歌のモチーフや楽器の由来が軍歌って、テレビかなんかで聞いたこともあるし……」

 

 アマデウスの『あの曲』も、私からすれば軍歌みたいなもんだし。勇気を奮い立たせてくれるという意味で。

 私がそんなことを思いながら、食べ手の技術が試される一杯を完食したときだった。

 

「立香。両の手を出せ」

 

 既ににオムライスを食べ終えていたノッブが、巾着袋を手にそう話しかけてきた。

 言われるがまま、手で器を形作る。

 私の手にノッブが恵んでくれた、小さく硬い感触は──。

 

「……金平糖?」

「ほれ。マシュにダビデ、サリエリも。一人2粒ずつな」

 

 金平糖を二粒ずつ、ノッブは皆に配り回ってみせた。

 

「うっはっは! 織田信長といえば金平糖じゃよなぁ! まーワシが金平糖で戦うサーヴァントではない以上、ちょびっとしか出せないんじゃけど、是非もないよネ!」

 

 さっそく一粒を口に放り込む。『もしこれも霞みたいな虚無だったら』という不安は、コリコリと金平糖を口の中で転がしている内になくなった。

 

「ん……! 美味しい(おいひい)!」

 

 人が人を喜ばせる為に作った、確かな甘さ! 甘くなった唾液を嚥下することに、生きている幸せを感じる……!

 顔をほころばせながら、2粒目も味わう。味わい尽くす。うん、やっぱり美味しい。今の私がサーヴァント的なナニカなのか電脳空間を彷徨う意識体なのかよく分からないけれど、この美味しさは本物だって、はっきり言える。

 そんな私の肩を、ちょんちょんとノッブが突いた。

 

「もう一粒、ワシの分をくれてやるわ」

「えっ? でも一人2粒ずつって……」

「なんじゃ? 美味くなかったか?」

「いや、めちゃくちゃ美味しかったけど……」

「なら喰え。遠慮はいらん。お前が総大将なんじゃし……ワシはまぁ、欲しいと思えば真っ先に手に入るからの」

 

 ノッブとは長い付き合いなので、遠慮が過ぎれば不興を買うことになるのは分かる。

 

「じゃあ……有り難く受け取るね」

 

 3粒目は、先程までより更にじっくりと味わうことにしよう。

 すると私の隣で──。

 

「……マシュ。君ももう一粒食べたまえ」

「えっ? サリエリさん?」 い、いえ! 受け取れません! サリエリさんも甘いものはお好きなはず──」

「本来サーヴァントなど、魔力供給さえあれば食事など不要な存在だ。それに、君には大きな貸しがあるからな」

 

 マシュとサリエリがそんなやり取りをしている。

 大きな貸し? それってイヴァン雷帝との戦いのこと?

 いや……もしかして……。

 

(……キリエのこと?)

 

 疑似東京における私の後輩──真白キリエ。

 巌窟王の手で生み出され、巌窟王の手で惨殺されてしまったあの子。

 もしかしてサリエリはまだ……キリエを守れなかったことを気にして……?

 

「……ありがたく頂戴します。サリエリさん」

 

 彼から金平糖を受け取るマシュの姿が……キリエとダブって見えた。

 巌窟王……来てくれたらいいのにな……。

 廃棄孔と悪性情報の専門家といえば、巌窟王こそカルデア随一のはずだし……。

 私が巌窟王に思いを馳せている一方で、ダビデは「うーむ」と唸っていた。

 

「この流れで僕だけ金平糖を二粒食べるのは、何か違う気がしてならない……!」

「いや別にいいんじゃない?」

 

 私はそう言ったけれど、ダビデは納得がいかないようだ。

 

「FUSHI、君は食べないのかい?」

 

 ダビデから問いかけられたFUSHIは、小さな身体で首を振った。

 

「僕は元々、小さな携帯ゲームのプログラムだ。食事を味わう機能は備わっていない」

「ふぅむ……。なら、これはまだ見ぬアビシャグ、月見ヤチヨの分ということで、君に預けようじゃないか!」

 

 ダビデがFUSHIの頭に置いた金平糖が、FUSHIの体内に吸収──いや、収納された、と見ればいいか。

 

「あ、ありがとう! ダビデ!」

「いやいや、構わないとも。……さて。出発するのは、もう少し楽しい休憩をしてからにしないかい? 自慢の竪琴を聴かせてあげようじゃないか。戦闘中に切る手札としてではなく、純粋な娯楽としてね」

 

 ダビデが竪琴を取り出すと、各々が音楽の愉しさに思いを口にする。

 

「……そういうことなら、私もピアノ曲を1つ披露しよう」

「じゃあワシは敦盛で!」

「私とマシュも一曲歌っちゃおうかな〜」

「はい。マシュ・キリエライト、手元に法螺貝しか無いので、歌声でどうにかします!」

「この家老、法螺貝好き過ぎじゃろ……」

 

 そこから始まったのは、小さな小さな音楽会だ。

 ダビデの竪琴が、春の小川を思わせる穏やかな調べを奏でる。

 続いてサリエリが、秋に舞い落ちる紅葉を思わせるような、寂しげながらも美しく胸に残るピアノの一曲を弾いた。

 ノッブの敦盛にも、サリエリはピアノで伴奏をしてくれた。サリエリ先生が音程を知っていたらしかった。

 そして、私とマシュが歌う曲として選んだのは──。

 

「大切なメロディーは流れてるよ──♪」

「あなたのハートに──♪」

 

 月見ヤチヨのデビュー曲で、彩葉ちゃんが一番好きな曲──『Remember』。

 歌いながら思った。もしかしてこれは、全てを知っていたかぐやちゃんが、彩葉ちゃんの為に歌った曲なのではないだろうか……。

 

 さらに2回目は、FUSHIの能力で楽譜を把握したダビデとサリエリが伴奏をして、ノッブと私とマシュの3人で歌った。

 

『あなたの世界は──そこでは終わらない──♪』

『眩しい日々が──どこかで待ってるから──♪』

 

 なんとも平和で、楽しいひとときだった。

 かぐやちゃんの記憶に出ていた、名前も知らない歌姫の言葉を思い出す。

 

『どの国で生まれただの育っただの関係なく、皆が音楽を楽しんで笑顔になる。そんな平和な未来を、夢に見ようじゃないですか』

 

 今まさに、第六天魔王とイスラエルの王、ローマ宮廷楽長と日本のパン屋さんが、仲良く音楽を楽しんで笑顔になっている。

 この光景は……ちょっとぐらいは……。

 八千年を過ごしたかぐやちゃんへの慰めや、あの名前も知らない歌姫への弔いに、なり得るだろうか……。

 

 





【あとがき】
軍歌の時代とメズマライザー | 生徒会副長 #pixiv https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=27625824
こちらの作品でも軍歌とかぐや(ヤチヨ)の関係については考察した(一筆したためた)経験があります。

もちろんかぐやがこんなえげつない歌詞の軍歌を喜んで歌って戦争を肯定するはずはない……のですが、
「もし歌ってしまったら」
「もし戦争を肯定してしまったら」
というIFのかぐや、IFのヤチヨがこの特異点では演算されてしまっている……というイメージです。

https://bunbun.boo.jp/okera/w_shouka/shouka_sub3.htm
軍歌はこのサイトから探して採用しています。

今回採用した昭和歌謡

あゝそれなのに
燃ゆる大空
大日本の歌

ここまでお読み頂きありがとうございました。
高評価や感想お待ちしております。
次回更新は10月12日(月)です。


使用楽曲コード:00000272,04628942,08700524,N01701828

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