龍の奇妙な如く   作:肘神さま

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スタンド名:エイルストーム
スタンド外見:欧州風のデザインの小型の盾。
能力:盾の表側から風を吹かせる。突風や風の刃で攻撃したり風によって盾に物を吸い寄せることが出来る。

パワー:B
スピード:E
射程距離:C
持続力:B
精密動作性:D
成長性:B


龍の再会

ある一室…大きな一面鏡の前で目つきが鋭いスキンヘッドの男が若い女性に頭を丁寧に剃ってもらっている。

 

その後ろには『スターダスト』を襲ったヤクザ達が正座をしていた。

 

その奥で、他のヤクザ達とは違い、ソファーに腰掛ける男がいた。

 

嶋野「それで…そいつはほんまに桐生やったんか?」

 

この男は嶋野組組長『嶋野太』。

 

「へ、へぇ!間違いありまへん!」

 

嶋野「そうか、桐生のやつ…帰ってきよったか…フフフ…フハハハハ…!うっ…!」

 

「あ、ああ…!」

 

笑いすぎて頭が少し動いてしまい、少し切れて血が流れる。

 

嶋野「……フフフ…なぁ?桐生は強かったか?」

 

嶋野が血の部分を触れながら話を続ける

 

「ええ…そりゃあ…もう…」

 

嶋野「そうかそうか、ご苦労やったな…おい、こっち来いや」

 

「へぇ…」

 

嶋野に言われるがまま近づくヤクザ。手を出せと手招きし、ヤクザが手を出すと急に掴むと…

 

 

 

ビシャアアアア…!!

 

「がああああああっ!!!!?」

 

 

 

剃刀でヤクザの指を切った。

 

嶋野「今日はご機嫌やからな、これで勘弁したるわ」

 

「ああ…あああ…!!」

 

他のヤクザ達も全員急な出来事に恐怖して動けずにいた。

 

これが嶋野、失敗は許さない男だ。

 

「相変わらず、手荒ことで…」

 

ずっと座っていた男の前にドカッと腰掛け、タバコを吸う嶋野。

 

嶋野「すまんな遅うなって…それで、今日はなんや?」

 

「実は嶋野さんに、これを売ってもらおうと思いまして…」

 

ガチャ…

 

男は足元に置いてあったアタッシュケースを開けて嶋野に見せた。それは果実、マンゴーのような見た目の果物だ。

 

嶋野「なんやマンゴーの差し入れか?」

 

「この果実は『マンゴ・ジェリー』と言いまして、味はもちろんですが食した者は一時的に活力を与える効果があるんです。まぁ、謂わばドーピングですね」

 

嶋野「ほう…」

 

果実の話に興味を持った嶋野。

 

「しかしこの果実には強力な依存性があり、一口食べれば誰でも欲しくなる…食品加工すれば多少抑えられますが、依存性は強力。更にドーピングの陽性反応もない。まさに天然の薬といったところです」

 

嶋野「中々、悪どいやないか…で、分け前は?」

 

「商品の加工及び生産は我々の方で行うのでそちらは売り場と金の回収をお願いします。私達が6、嶋野さんが4でどうでしょうか?」

 

嶋野「足元見よって、こっちが7、そっちが3やろ?」

 

「ハハハハハ…大阪人はやはり、お笑いがお上手ですね…?」

 

2人とも睨み合う中、自分のスタンドを出す。

 

嶋野の背後に全身に有刺鉄線が巻き付いたグロテスクな見た目で、右腕が異様に発達した鋭利な鉤爪の人型、男の背後には爬虫類の様な鱗に覆われた人型が現れた。

 

嶋野「…フフフ…フハハハハハ!まぁええわ!今日はご機嫌やからな、こっちが3でええわ」

 

「ありがとうございます。商品と書類などは後ほどお送り致します。ではこれで失礼します…」

 

スタンドを消し、扉の前まで行くと帰り際に男は呟いた。

 

「目白組長は、いつでもお待ちしております」

 

バタン…

 

嶋野「…ふん、ヤクザ気取り共が」

 

 

 

 

2005年。12月6日。

 

東城会本部…

 

ここは関東最大の極道組織である巨大な屋敷『東城会』の本丸。

 

黒いスーツ姿の人達が大勢出入りしている。

 

屋敷の前には『東城会三代目会長 世良勝儀 式場』と書かれた巨大な看板が立てかけられている。

 

その前に立つサングラスを掛けたマスクの男。変装した桐生だ。

 

「本日はお忙しい所、誠にありがとうございます。こちらにお名前をご記入下さい」

 

桐生「ああ…」

 

俺は受付に言われ、受付票に名前を書いた。

 

「鈴木さん、ですね…ありがとうございます。間も無く葬儀が始まりますので、会場内でお待ち下さい」

 

名前は『鈴木一郎』。無論偽名。本部ですら組員全員を覚えているわけでもない。

 

桐生(変装でなんとかここまで来れた…)

 

「おい待て」

 

入ろうとした瞬間、1人のスキンヘッドの髭が生えたヤクザが声を掛けてきた。

 

桐生「…何か?」

 

「アンタ、どこの組だ?」

 

桐生「昔、堂島組にいました」

 

「ほう、堂島組か…あそこは10年前、親殺しが出て無くなっちまったんだけどよぉ…知ってるか?」

 

桐生「…ええ」

 

「じゃあ堂島組長の葬式にも来てたのか?」

 

桐生「いえ、諸事情で行けませんでした」

 

「そうかい…おれよぉ、堂島組にいたんだがあんたの顔…見覚えあるんだよな…悪いけどサングラスとマスクとってくれる?」

 

ヤクザは桐生にマスクを取るように指示する。ここで取らなければ怪しまれる。

 

すると桐生は何の躊躇いも無しにサングラスとマスクを取った。

 

桐生「これでいいですか?」

 

取るとその顔は桐生ではなかった。鼻はデカく唇は分厚い。目は垂れ目で右目には黒子がある。それを見たヤクザは困惑した。どうやら違ったようだ。

 

「(き、桐生じゃねぇのかよ…!)あ、ああ…どうやら人違いみてぇだ…すまねぇな…」

 

ヤクザは分が悪くそそくさと離れた。

 

桐生(ふぅ…うまくいったな)

 

桐生は『ドラゴアッシュ』の能力で唇と鼻のおもちゃを作った。本物そっくりだが時間が経つにつれ接着部分が剥がれてくるようになっている。

 

桐生(少し急いだ方がいいな)

 

シンジから言われた道筋はこうだ。

 

弔問客に紛れて正面から行き、入ったら突き当たりまで真っ直ぐ進む。そこを右に曲がった先の裏口にシンジが待っている。

 

しかし裏口に行くには喪章が必要だ。どこかで手に入れることができれば良いのだがそう簡単に手に入れることはできない。でも今の桐生なら問題はない。

 

桐生(あれが喪章か…)

 

ポケットに手を入れ何かを取り出した。それは喪章だ。

 

桐生(これで問題ないだろう)

 

喪章をつけ、裏口へ続く道に佇むヤクザに近づく。

 

桐生「お疲れ様です」

 

「おう、葬儀関係者か。そろそろ葬儀が始まるから準備してくれ」

 

無事通ることに成功した。

 

 

 

裏口の門を通るとそこには田中がいた。

 

田中「兄貴!」

 

桐生「すまない、遅れた」

 

サングラスとマスク、そして顔についた変装用のおもちゃを取ると本来に桐生の顔に戻った。

 

田中「いえ、時間にはまだ余裕があります。案内しますので着いて来てください」

 

田中が扉を開けて本部へと足を踏み入れ、それに続き桐生も本部内へと入る。

 

案内する間、シンジが話始めた。

 

田中「葬式って言っても皆腹の中じゃ何考えてるか…何せ東城会の三代目が死んだんです。跡目が誰になるのかだの、殺したのは誰かだの…何奴も此奴も腹の探り合いですよ…」

 

桐生「そうだろうな…他の連中は『俺達のように』なっている奴はいるのか?」

 

田中「いえ、そんな奴は今のところ…ただ噂ですが組長が不思議な力を使ったというのを小耳に挟んだことがあります」

 

桐生「何?…まさか、錦も…!」

 

田中「ええ、恐らく…着きました」

 

田中が1つの部屋の前で立ち止まった。

 

田中「兄貴はここで待っていてください。今、風間のおやっさんを呼んできます」

 

桐生「あぁ、頼んだ」

 

そう言うとシンジは桐生と離れ風間を呼びに行った。

 

ガチャ…

 

扉を開け部屋に入ると、そこに人が座っていた。

 

桐生「!?」

 

その人物は桐生のよく知る人物だ。昔から、ずっと一緒にいた…

 

 

桐生「錦…!!」

 

錦山「桐生…」

 

 

桐生の幼馴染で、東城会直系錦山組組長『錦山彰』。

 

10年という時が経ったが錦山は変わらない姿でいた。いや多少変わっており、髪型をオールバックにしたこと。そこだけは変えている。

 

桐生「錦…なんでお前がここに…!?」

 

錦山「桐生…」

 

桐生が戸惑う中、錦山が近づいて…

 

 

バキッ!!

 

 

思いっきり殴った。

 

桐生「ぐっ…!?」

 

錦山「桐生!テメェどれだけ俺を困らせれば気が済むんだ!!なんでテメェはいつもそうやって俺を困らせるんだ…!!」

 

胸ぐらを掴み吠える。

 

錦山「優子の件もそうだ…テメェが犠牲になればいいと思ってるのかッ!?テメェは本当に馬鹿だッ!!なんでも自分で解決しようとしてッ!!死にかけて…人の気持ち考えたことねぇのか!!?」

 

今まで溜め込んでいたものを吐き捨てるように桐生にぶつける。

 

錦山「お前は…頼むから、俺を頼ってくれよ…お前が死ぬの…見たくねぇんだよ俺はッ…!」

 

全て出し切って膝から崩れ落ちたが胸ぐらを掴む手は離さないでいた。それはまるで親友をどこにも行かせないかのように力強く離さない。

 

錦山「だから、本当に…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錦山はずっと桐生のことを心配していた。あの時何もできなかった自分は…ただ見ているだけだった。それから1ヶ月が過ぎた頃に、優子の病気が治ると言われた。大きな財団がなぜ優子を助けてくれるのか不思議だった。

 

後から桐生が財団の条件をのんだことで優子が助かったと知り、自分の中に後悔と怒り、嬉しさ、悲しさ、自分に対して、親友に対して、色んな感情が込み上げてくる。

 

あいつを見返してやる、自分を認めさせてやる、会って話したい、会って怒りたい、そんな思いを胸にこの10年間を過ごし、組を持ち上げていった。

 

反発する者はいたが自分の力とアイデアで組の金を集め、その実力と人望により組は大きくなった。

 

どうだ桐生。俺はお前がいなくてもここまで大きく偉くなれたぞ!これが俺の力だ!誰が何と言おうと俺はお前を超えた!

 

そう言ってやるつもりで組長として仕事を果たしたが、違うと心がそう言っている。

 

本当に言いたいことは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

錦山「無事でいてくれて…ありがとう…!」

 

桐生「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

友としての『感謝』だ。




スタンド名:タウエレト
スタンド外見:エジプト神話のタウエレト神ほぼそのもののデザイン。
能力:本体が勝ち得たものを倍増させる。ギャンブルで勝った金の金額を増やしたり、ゲームでいう経験値的なものを倍増し、スポーツや技能の習熟度をアップさせる。

パワー:A
スピード:C
射程距離:E
持続力:A
精密動作性:D
成長性:A
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