俺の双子の弟は緑谷出久 ~大魔道士ポップと憑依する竜の騎士~   作:篠原えれの

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3巻
USJ事件編


 

「水難事故、土砂災害、火事……etc。あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です。その名も…」

 

U ウソの

S 災害や

J 事故ルーム!!

 

「なるほどそういう略し方」

「スペースヒーロー「13号」だ!災害救助でめざましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」

 ポップが感心している横で出久が興奮気味に話す。

「わーーー私好きなの13号!」

 お茶子が13号のファンだと笑顔を見せて。

 相澤先生がオールマイトが来ていないことに怪訝な顔をする。

「13号、オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが」

「先輩それが……通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで、仮眠室で休んでいます」

 その会話をこっそり聞いていたポップはショックを受ける。

「(あれ、朝おれオールマイトに回復呪文使ったばっかりなのに!?)」

「不合理の極みだなオイ。仕方ない、始めるか」

 

 13号先生の説明が終わったその時、空間が突如開いて、無数の敵が飛び出してきた。

 

「一かたまりになって、動くな」

「え?」

「13号、生徒を護れ」

 相澤先生の指示が飛ぶ。

「何だアリャ!また入試ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」

「動くな、あれは敵だ!!!」

 相澤先生が叫ぶ。

 黒い霧を纏った男がぼやく。

「13号に……イレイザーヘッドですか……先日頂いた、教師側のカリキュラムではオールマイトがここにいるはずなのですが……」

「やはり先日のはクソ共の仕業だったか」

 相澤先生の表情が一瞬で険しくなった。

 無数の手が体中にしがみついている男が、呪詛のように低くつぶやいた。

 

「どこだよ……せっかくこんなに大衆引つれてきたのにさ……オールマイト……平和の象徴……いないなんて、子供を殺せば来るのかな?」

 

 それは、途方もない悪意だった。

 平和の象徴「オールマイト」を殺すことだけに集まったヴィラン達の集団。

 ポップはすぐその意図に気づき、出久の肩を強く掴んだ。

 

「やばいぞ、出久。敵の狙いはオールマイトだ」

 出久が青ざめた顔で聞き返した。

「そんなこと、ありえるの?」

 ポップは声を低くして、素早く言った。

「大方オールマイトを倒して、世界を壊そうとしてるんだろ。オールマイトが来ると逆に駄目なような気がするな。相澤先生!敵の狙いはオールマイトだ!こいつら、オールマイトを殺しに来たんだ。おれらは、そのついでだ」

 

 ◆

 

 相澤先生が捕縛布を高速で振り回しながら叫んだ。

 「13号! 生徒を優先して守れ!俺が時間を稼ぐ!」

 13号は即座に両手を広げ、自分の個性「ブラックホール」を発動させた。

 「ブラックホール!!」

 右手から強力な吸引力が発生し、近くにいた複数のヴィランを吸い込もうとした。

 その瞬間、ワープゲートの男が不気味に笑いながら空間を操った。

 「面白い……あなたの能力を、逆に利用してあげましょう」

 黒いゲートが瞬時に13号のブラックホールのすぐ横に開き、吸引力のベクトルを逆転させた。

 「なっ……!?」

 13号のブラックホールが自らを飲み込むように暴走し、強烈な吸引力の渦が13号本体を巻き込んだ。

 「うわあああっ!!」

 13号の体が黒いゲートの中に引きずり込まれ、重症を追う。

 「13号先生!!」

 生徒たちから悲鳴が上がる。

 

 

その瞬間、ワープゲートの男が不気味に笑いながら大規模なゲートを展開した。

 「では……皆さん、散ってください」

 黒いワープゲートが一気に広がり、1-Aの生徒たちを次々と別の場所へ飛ばし始めた。

 「きゃあっ!」

 「うわっ! 体が……!」

 お茶子がゲートの吸引力に飲み込まれかける。

 飯田はエンジンを全開にし、素早く動こうとするが、黒霧が追いついてくる。

 相澤先生が叫んだ。

 「全員、動くな! 散らばるな!」

 しかし、男の勢いは止まらない。

 その時、出久の瞳の奥に明るい光が宿った。

 声のトーンが少し変わる——ダイが憑依した状態だ。

 出久の体が軽く動き、右手を突き出した。

 『みんな、おれの後ろに下がれ!』

 出久の右手の甲に、青い色のドラゴンの紋章が輝き始めた。

 ダイは紋章の力を解放し、強力な竜闘気を展開した。

 「ドラゴニックオーラ!!」

 青白く輝く闘気が爆発的に広がり、ワープゲートを押し返すバリアのような壁を形成した。

 ゲートの吸引力に飲み込まれかけた生徒たちが、ようやくその場に留まることができた。

 お茶子が驚いた声で言った。

 「出久くん……!?」

 出久の体(ダイが操っている)は闘気を維持しながら、ポップに声をかけた。

 『ポップ、今のうちにみんなを後ろに下がらせて!このゲート、結構厄介だ……!』

 ポップは即座に反応し、叫んだ。

 「みんな、出久の後ろに下がれ!俺が回復を回す!ベホイミ範囲拡大!」

 淡い緑の光が1-Aの生徒たちを包み、軽傷を癒していく。

 相澤先生は捕縛布を振り回しながら、ポップに言った。

 「ポップ、よくやった!13号、ブラックホールで敵を吸い込め!今がチャンスだ!」

 13号は再びブラックホールを展開し、ワープゲートの男の隙を突いて複数のヴィランを吸い込んだ。

 しかし、死柄木は地面に手を這わせながら、ゆっくりと笑っていた。

 「へへ……へへへ……面白いじゃないか……あのガキ……何か特別な力を持ってるな……」

 黒霧のヴィランが不気味に言った。

 「これは……予想外の力ですね。しかし、まだまだ遊びは始まったばかりですよ?」

 戦闘はさらに激しさを増し、USJ全体がヴィランの悪意と生徒たちの必死の抵抗で埋め尽くされていた。

 

 

 ワープゲートの男が不気味に笑いながら、最大級のゲートを展開した。

 空間が激しく歪み、巨大な影がゲートの中からゆっくりと姿を現す。

 その巨体は、筋肉が異様に発達し、脳が露出した、言葉を失うほどの化け物だった。

 バケモノが無表情のまま、USJの地面に重く着地した。

 その衝撃だけで地面が大きく凹み、周囲の空気が震える。

 ダイ(出久の体)は青い色のドラゴンの紋章を輝かせたまま、バケモノを正面から見据えた。

 『……これは……かなり厄介な相手だな……』

 相澤先生が即座に叫んだ。

 「みんな、下がれ! あれは俺たちでは太刀打ちできない!」

 ダイは青い竜闘気を全身に纏い、浮遊で高速に移動しながらバケモノに接近した。

 『みんな、援護ありがとう!おれが正面からいくよ!』

 ダイは黒鞭を複数展開し、バケモノの巨体に連続で叩きつけた。

 

 ドンッ! ドンッ! ドンッ!

 

 しかし、バケモノはほとんど怯まず、逆に巨大な拳を振り下ろしてきた。

 ダイは青いドラゴンの紋章を輝かせ、竜闘気のバリアで防御しながら叫んだ。

 

 「ドラゴニックオーラ!!」

 

 青白い闘気が爆発的に広がり、バケモノの拳を押し返す。

 それでもバケモノは無表情のまま耐え続けていた。

 ダイは歯を食いしばり、両腕に全力を集中させた。

 

 「ドルオーラ!!」

 

 両腕から青白い竜の闘気が爆発的に放出され、巨大なエネルギーの奔流となってバケモノに直撃した。

 ズガァァァァン!!凄まじい衝撃波が広がり、バケモノの胸から腹にかけてが一瞬で抉り取られた。

 しかし——抉れた傷口から肉が異常な速さで盛り上がり、超再生が始まった。

 ダイの目が見開かれた。

 

 『……まだ再生するのか……!』

 

 バケモノの傷がみるみる塞がり、抉れた部分が元に戻っていく。

 ダイの両腕はドルオーラの反動で既にボロボロになっていた。

 皮膚が裂け、肉が焼け、血が滴り落ちている。痛みが脳を突き刺す。

 その時、ポップが全力で駆け寄ってきた。

 

 「ダイ! 両腕がヤバいぞ!今、治す!!」

 

 ポップは両手を重ね、出久の両腕に向かって全力で呪文を唱えた。

 

 「ベホマ!!」

 

 強力な回復の光が爆発的に広がり、出久の両腕を包み込んだ。

 裂けた皮膚が急速に再生し、焼けた肉が元に戻り、露わになっていた骨が覆われていく。

 ベホマの光は凄まじく、出久の両腕は数秒でほぼ完治した。

 ダイは出久の顔で、苦しげに息を吐きながら言った。

 

 『……ありがとう、ポップ。少しだけ時間を稼いでくれた……』

 

 しかし、バケモノは既に傷をほぼ完全に再生し、再び無表情で拳を振り上げようとしていた。

 ポップは歯を食いしばりながら、前へ出た。

 

 「もう我慢の限界だ……あんな化け物、俺がぶっ飛ばしてやる!」

 

 ポップは両手を大きく広げ、強力な呪文を唱え始めた。

 

 「メドローア!!」

 

 ポップの両手から、赤と青の二色の光が螺旋状に絡み合いながら放出された。

 メドローア——氷系呪文と炎系呪文を融合させた、極めて強力な一撃。

 二色の光が一直線にバケモノに向かって突き進む。

 バケモノは無表情のまま巨大な腕を振り上げて防御しようとしたが、メドローアはそれを容易く貫通した。

 ズガァァァァン!!メドローアの光がバケモノの胸を直撃し、肉体を内側から焼き払いながら抉り取った。

 バケモノの超再生が即座に始まるが、メドローアの効果はそれを上回っていた。

 傷口が再生しようとするたびに、光がさらに深く侵食し、再生を許さない。

 ポップは息を荒げながら叫んだ。

 

 「まだだ……!これで終わりじゃねえ!」

 

 メドローアの光がさらに強くなり、バケモノの胸から頭部にかけてを一気に焼き尽くした。

 ついに、バケモノの脳がむき出しになり、超再生が追いつかなくなった。

 ダイは浮遊でバケモノの頭上まで移動し、青いドラゴンの紋章を最大まで輝かせた。

 

 『ポップ、ナイス!今度こそ……決めるよ!』

 

 ダイはドラゴニックオーラを最大出力で展開し、青い闘気を纏わせてバケモノの脳に拳を叩き込んだ。

 ズドンッ!!激しい光が爆発し、バケモノの脳が完全に粉砕された。

 巨体が一瞬硬直し——そのまま、巨大な音を立てて崩れ落ち、消滅した。

 ポップは膝をつき、息を荒げながら言った。

 

 「はあ……はあ……メドローア……久々に全力で打ったぜ……」

 

 死柄木は手を地面に這わせたまま、目を見開いて叫んだ。

 

 「は……? なんだよそれ……!赤と青の光が……脳無を一瞬で……!ゲームのルールが……おかしいだろ……!」

 

 ワープゲートの男も、いつものゆったりとした態度が崩れ、声に動揺が混じった。

 

 「……これは……何ですか?氷と炎を融合させたような力……?予想の範疇を超えています……」

 

 死柄木は興奮と苛立ちが混じった声で笑った。

 

 「へへ……へへへ……!面白ェ……面白すぎるぞ……!オールマイトじゃねえのに……あんな化け物みたいな力を持ってる奴らがいるなんて……!このゲーム……もっと面白くなってきたじゃねえか……!」

 

 ワープゲートの男は静かに後退しながら、冷静さを装いつつも動揺を隠せなかった。

 

 「……撤退しましょう。これ以上ここに留まっても……勝算はありません」

 

 ワープゲートの男が静かに後退しかけたところで、死柄木が地面に這わせていた手を強く握りしめた。

 

 「待てよ……撤退だと?ふざけんな……!脳無をやられたまま、逃げるなんて……ゲームオーバーじゃねえかよ!」

 

 死柄木の声が怒りと興奮で震えていた。

 ワープゲートの男が少し驚いたように振り返る。

 

 「……死柄木?」

 死柄木はニヤニヤと笑いながら立ち上がり、指をバキバキと鳴らした。

 

 「脳無の敵討ちだ……!あの青い光のガキと、回復の便利屋……二人ともボロボロじゃねえか。今ならいける……!

 殺してやる……全部壊してやる……!」

 

「ゲームリスタートだ……!脳無の分まで、てめえらをバラバラにしてやるよ!!」

 

 死柄木がむかってくる。

 ワープゲートの男も本気で空間を操り、ダイとポップの周囲に複数の小型ゲートを開いて奇襲を仕掛けてきた。

 ダイ(出久の体)は両腕を少し震わせながら、青いドラゴンの紋章を再び輝かせた。

 

 『……まだ来るのか……正直、かなりキツイけど……逃がすわけにはいかないな』

 

 ポップも息を荒げ、額に大量の汗を浮かべながら立った。

 

 「はあ……はあ……メドローア打った直後で魔力もヤバいけど……ここで引くわけにはいかねえよな……」

 

 二人は背中を合わせるように立ち、疲労困憊しながらも構えた。

 ダイは黒鞭を何本か展開し、浮遊で軽く浮かび上がった。

 

 『ポップ、回復は無理に使わなくていい。おれが前衛をやるから……お前は補助と防御に回ってくれ』

 

 ポップは苦笑しながら答えた。

 

 「ああ……わかった。お前も無理すんなよ……両腕、まだ痛むだろ」

 

 死柄木が突進してくる。

 ワープゲートの男もゲートを巧みに操り、ダイとポップの死角から攻撃を仕掛けてきた。

 疲労で動きが鈍くなったダイは、黒鞭でなんとか防ぎながら反撃するが、息が上がっている。

 ポップもベホイミを最小限で使いながら、ルカニで敵の防御を弱めようとするが、魔力の消耗が激しく、顔色が悪い。

 それでも二人は必死に耐え、連携して反撃を試みた。

 ダイは青い竜闘気を絞り出しながら、低く言った。

 

 『……まだいける。出久くんの体も、俺も……ここで倒れるわけにはいかない!』

 

 ポップは歯を食いしばりながら、弟の背中を守るように立った。

 

 「絶対に……ここで負けねえ……!」

 

 その時、二人が戦ってる間に外に助けを求めていた飯田天哉がたくさんの仲間を連れて戻ってきた。

 

「1ーA クラス委員長飯田天哉!!ただいま戻りました!!」

「私が来たから、もう大丈夫!!」

 

 オールマイトも、そこに居た。

 

「さすがにゲームオーバーか?いや、本命が来たんだ、コンティニューか?ぐっ」

 

 スナイプに狙い撃ちにされ、死柄木はワープゲートに逃げるしかなくなる。

 

「この距離で捕獲可能な個性はーーー」

 

 ワープゲートごと引っ張られそうになり、驚く死柄木。

 

「これは……」

「僕だ……!!」

 

 13号が、重症ながらも必死にブラックホールを発動させていた。

 

「今回は失敗だったけど……今度は殺すぞ、平和の象徴オールマイト。それから、脳無を倒したガキ共」

 

 死柄木はこの世全てを恨むような表情を向けながら、撤退した。

 

「助かった……」

 救援が入り、ヴィラン達が撤退したのを見て力尽きて倒れる出久。ダイの憑依は完全に解けていた。疲労困憊だった。

「おつかれさん、おれも流石に疲れたわ」

 

 二人揃って意識を失って倒れた。

 

「無茶しすぎだ」

 相澤先生が駆け寄ってくる。相澤先生はポップの治療もあり無傷だが、ずっとヴィランの個性を無効化したり生徒を避難させていた。生徒の安全をとれたのも、今回は完全にこの二人のおかげだろう。相澤先生と13号先生だけでは到底守りきれなかった。

「はやく治療しなければ」

 オールマイトが駆け寄る。

「ポップ君の力は長い付き合いですので分かりますが、出久君の力は、超パワーで片付けるには無理がありますね。それは追々確かめるとして、まずは生徒達の安否が必要ですね。」

 根津校長が話す。

「そうですね」

 

 そうして、この日は終わりを迎えた。

 




戦闘描写難しすぎ ずっとAI君と睨みっ子してました。
これじゃないあーだじゃない…気付けばドルオーラとメドローアを解禁。オールマイトの出番が消えましたがかっこいいのでいいじゃないか 
色々修正しました 特に最後の脳無討伐のとこ
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