俺の双子の弟は緑谷出久 ~大魔道士ポップと憑依する竜の騎士~ 作:篠原えれの
麗日お茶子には、6歳年上の姉がいる。
名前は麗日マァム(24歳)。
マァムは親から麗日建設を継ぎ、現場監督として毎日忙しく働いている。
個性は回復系で、「マホイミ」まで使えるため、公安から嘱託ヒーローとしても登録されている。
現場では怪我をした職人をその場で治療し、緊急時には公安の要請で駆り出される「隠れた回復ヒーロー」だ。
お茶子とは正反対の姉妹だった。
麗日姉妹ある夜、麗日家のリビング。
お茶子が雄英の制服のまま帰宅すると、マァムがソファに座ってコーヒーを飲んでいた。
作業着の上にカーディガンを羽織った姿で、少し疲れた顔をしている。
「おかえり、お茶子。……顔が疲れてるわよ。USJのことがまだ尾を引いているの?」
マァムは優しい声でそう言いながら、妹の鞄を受け取った。
お茶子はソファにどさっと座り、姉の隣に寄りかかった。
「うん……ちょっとね。あのバケモノみたいな敵が出てきて、出久くんやポップくんがすごく頑張ってたのに、私はほとんど何もできなくて……」
マァムは妹の髪を優しく撫でながら、穏やかに言った。
「ふふっ、そんなことないわよ。お茶子はまだ1年生なのよ。無理に前に出なくていいんだから。生きて帰ってきたことが、何よりの成果だと思うわ。」
お茶子は少し唇を尖らせて言った。
「お姉ちゃんはいいよね……個性が回復系で、公安の嘱託ヒーローとして現場に出てるんでしょ?私なんか、無重力状態にすることしかできなくて、ただ浮かせるだけみたいで……」
マァムは妹の肩を抱き寄せ、優しく、でも少し意味深な声で言った。
「比べなくていいのよ。私は回復が専門だから、後ろでみんなを支えるのが仕事。……それに、ポップくんもいたんでしょう?緑谷ポップ君。あの推薦で入った、呪文が使える子。同じ職場の人だし、少しは知ってるわよ。」
お茶子がびっくりして顔を上げた。
「え? お姉ちゃん、ポップくんのこと知ってるの!?」
マァムは小さく微笑んだまま、わざと大きな声にはせずに答えた。
「まあ……少しね。公安の嘱託で仕事をしていると、いろんな情報が入ってくるのよ。あと昔なじみだってのもあるけど、特に『複数の呪文を使える中学生ヒーロー』なんて、目立つ存在だもの。……でも、大きな声では言わないでおくわ。お茶子があの子のことをどう思っているのか、まだよくわからないから。」
お茶子は顔を赤くして慌てた。
「ち、違うよ! ただのクラスメイトだよ!」
マァムはくすくすと笑いながら、妹の頭を優しく撫でた。
「ふふっ、そういう反応が一番怪しいのよ。……まあいいわ。お茶子が無事でよかった。
ポップ君も、今回は本当によく頑張ったみたいね。」
お茶子は姉の胸に顔を埋めながら、小さな声で言った。
「……お姉ちゃん、なんか知ってるよね?ポップ君のこと……」
マァムは優しく微笑んだまま、声を低くして答えた。
「ただ……お茶子がこれから雄英で頑張るなら、緑谷兄弟のことは、ちゃんと自分の目で確かめなさい。お姉ちゃんは、ただ見守っているだけだから。」
お茶子は少し照れくさそうに、でも嬉しそうに姉に寄りかかった。
「……うん。ありがとう、お姉ちゃん。」
マァムは妹の背中を優しく叩きながら、心の中で静かに思った。
(ポップと一緒で働くことがあればって思うんだけど……ヒュンケルだってそう。中々会えないし、悔しいわね)
マァムは妹の背中を優しく叩きながら、心の中で静かに思った。
お茶子は姉の胸に顔を埋めたまま、ぽつりと聞いた。
「……お姉ちゃん、最近ヒュンケルさんとは会ってる?」
マァムは一瞬、手を止めてから、柔らかい声で答えた。
「ええ、たまにね。同じ現場で仕事が重なることがあるの。あの人、無個性なのに闘気だけで突っ走るから、
怪我の連絡が来るたびに回復系の個性で治してあげてるわ。……本当に、無茶な人よね。」
お茶子は少し目を輝かせて顔を上げた。
「へえ……お姉ちゃん、ヒュンケルさんのこと気にしてるんだ?」
マァムは妹の額を軽く小突いて、照れくさそうに笑った。
「気にしてるっていうより……心配してるだけよ。お茶子も同じよ。ヒーローになるって決めたなら、ちゃんと自分の体を大事にしなさい。お姉ちゃんみたいに、後ろから支えるだけじゃなくて、お茶子は無重力で人を守れるんだから。」
お茶子は少し真剣な顔になって、姉の胸に寄りかかった。
「……うん。今日、出久くんやポップくんがすごく頑張ってるのを見て、私ももっと強くなりたいって思ったの。
お姉ちゃんみたいに、誰かを支えられるようになりたい。」
マァムは優しく微笑んで、妹の髪をゆっくりと撫でた。
公安嘱託任務 深夜の共同作戦深夜2時。
都心部で発生した大規模ヴィランによる人質立てこもり事件。
公安から緊急の嘱託要請が来て、
緑谷ポップ、闘剣士ヒュンケル、そして麗日マァムの3人が同じ現場に集められた。
臨時指揮所テント内。公安の担当者が説明をしていた。
「回復担当として麗日マァムさんに来てもらっています。マァムさんは回復系の個性に長けていて、現場での即時治療が可能です。」
テントの入り口が開き、作業着姿のマァムが入ってきた。
マァムはヘルメットを軽く上げて、落ち着いた声で挨拶した。
「遅れてすみません。麗日マァムです。今日はよろしくお願いします。」
その瞬間——ポップの目が大きく見開かれ、息を飲んだ。
「……マァム……!?」
ポップは声を震わせて一歩前に出た。
「マァム!?昔一緒に旅してた……マァム!?お前……なんでここにいるんだよ!?」
マァムはポップの顔を見て、驚いたように目を細めた後、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。
「ポップ……久しぶりね。元気そうで何よりだわ。」
ポップは完全に動揺して、声が大きくなった。
「元気そうで何よりじゃねえよ!マァム……お前、なんで公安の嘱託ヒーローやってるんだよ!?おれ、全然知らなかったぞ!お前、建設会社継いでるって話も聞いてないし……!なんで何も言ってくれなかったんだ!?」
ヒュンケルは黒いコートを羽織ったまま、静かに腕を組んでいた。
「……騒がしいな。」
マァムはくすっと小さく笑いながら、ポップの肩に軽く手を置いた。
「大きな声を出さないで、ポップ。今は仕事中よ。……昔一緒に旅してたことは、確かに本当だけど、ここではただの『同じ職場の人』として接するわ。詳しい話は、任務が終わってからゆっくりしましょう?」
ポップはまだ動揺が収まらず、ヒュンケルの方を振り返って文句を言った。
「おい、ヒュンケル!お前、マァムのことを知ってたんだろ!?なんで何も教えてくれなかったんだよ! 『同じ職場の人』って言ってたの、マァムのことだったのか!?」
ヒュンケルは淡々と答えた。
「……お前が聞かなかったからだ。それに、マァムが回復担当として来ることは、オレも今日正式に知らされた。」
マァムは二人のやり取りを見て、優しく微笑んだ。
「ふふっ、ポップったら相変わらずね。ヒュンケルも悪くないわよ。……それより、今は人質のことを優先しましょう。私の回復系の個性が必要になったら、すぐに呼んでね。」
ポップは頭を抱えながら、なんとか気合いを入れ直した。
「……わかったよ、マァム。
……マジでびっくりしたけど……よろしくな。」
マァムは小さく頷き、作業用の手袋をはめながら静かに言った。
「ええ、よろしくね、ポップ。」
こうして、予想外の再会を挟みながら三人の共同任務が始まった。
廃ビルの3階に立てこもったヴィラン集団が、人質を盾に抵抗を続けていた。
ヒュンケルは黒いコートを翻し、闘気を右腕に集中させながら短く言った。
「俺が正面から突入する。ポップ、援護を頼む。」
ポップは頷きながら、両手を構えた。
「わかった!マァムは後方で回復待機で!」
マァムはヘルメットを少し上げて、落ち着いた声で答えた。
「ええ、わかったわ。怪我したらすぐに言いなさい。私の回復系の個性で、すぐに治してあげるから。」
ヴィランたちが窓から一斉に攻撃を仕掛けてきた。ポップは即座に両手を突き出した。
「イオラ!!」
青白い爆発の光が広がり、正面から迫ってきた敵をまとめて吹き飛ばす。
続けて、「メラミ!!」炎の柱が上がり、数体のヴィランを焼き払う。
さらに、「ヒャダルコ!!」冷気の渦が巻き起こり、敵の足元を凍りつかせて動きを封じた。
ヒュンケルは闘気を剣のように纏った右腕で、正面から敵を切り裂いていく。
「オレが道を開ける!ポップ、後ろを頼む!」
ポップは息を荒げながらも、笑みを浮かべた。
「了解!イオラ追加!」
青白い爆発がヒュンケルの闘気と重なり、敵の群れを大きく吹き飛ばす。
マァムは少し離れた位置から、いつでも回復できる態勢を整えながら静かに声をかけた。
「ポップ、無理はしないでね。魔力が消耗してきたら、すぐに言いなさい。」
ポップは汗を拭いながら答えた。
「まだ大丈夫だ、マァム!……でも、ありがとな。」
戦闘は激しさを増し、ポップはイオ系・メラ系・ヒャド系の攻撃呪文を駆使しながら、ヒュンケルと連携してヴィランたちを圧倒していった。
マァムは後方から優しい視線を二人に向け、必要なタイミングで回復系の個性を発動する準備をしていた。
ポップは心の中で強く思った。
(マァムがいる……ヒュンケルもいる……絶対に、ここで負けるわけにはいかない!)
戦闘は激しさを増し、ポップはイオ系・メラ系・ヒャド系の攻撃呪文を駆使しながら、ヒュンケルと連携してヴィランたちを圧倒していった。やがて、ヴィランたちの抵抗が徐々に弱まっていく。
最後のヴィランがヒュンケルの闘気の一撃で倒れた瞬間、現場に静けさが訪れた。
人質たちは無事救出され、警察が到着して現場の処理を始めた。
ポップは息を荒げながら、膝に手を置いて立ち上がった。
「はあ……はあ……終わった……か」
マァムがすぐに近づいてきて、ポップの肩に手を置いた。
「よく頑張ったわ、ポップ。少し疲れたでしょ? 回復系の個性で軽く整えてあげるね。」
マァムは優しく回復系の個性を発動し、ポップの消耗した体力を少しずつ回復させた。
ヒュンケルは黒いコートを直しながら、淡々と二人に言った。
「……任務完了だ。お前たち、よくやった。」
ポップはマァムを見て、照れくさそうに笑った。
「マァム……お前がいるって知らなかったから、びっくりしたけど……今日は本当に助かったよ。ありがとう。」
マァムは柔らかく微笑んで、ポップの頭を軽く撫でた。
「ふふっ、こちらこそ。ポップが頑張ってくれたおかげで、人質を無事に救出できたわ。……また同じ現場で会うことがあったら、その時はもっとゆっくり話しましょうね。」
ポップは少し顔を赤らめながら、頷いた。
「……ああ。今度はちゃんと驚かないようにするよ。」
ヒュンケルは二人のやり取りを静かに見ながら、短く言った。
「……お前ら、任務中はちゃんと集中しろ。」
マァムはくすっと笑って、ヒュンケルにも声をかけた。
「ヒュンケルもお疲れ様。また怪我したら、すぐに呼んでね。」
三人は夜の現場で軽く言葉を交わし、任務を終えた。ポップは心の中で思った。
(マァムが同じ職場の人だったなんて……うん?麗日?もしかしてお茶子と姉妹だったりするのかな)
マァムは遠くからポップの背中を見つめながら、優しく微笑んだ。
(ポップ……これからも、気をつけてね。お姉ちゃんとして、お茶子のことも、ちゃんと見守ってるから。)
こうして、予想外の再会を伴った深夜の任務は、無事に終了した。
AI君マジすごい