俺の双子の弟は緑谷出久 ~大魔道士ポップと憑依する竜の騎士~   作:篠原えれの

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入試までの長い道のり

 

 2日後

 朝六時。

 

 力を貰うっていうのは、決して生易しいもんじゃなかった。

 

 『懐かしい、おれも大岩ロープにくくり付けて走り回ったな~』

 ダイが冷蔵庫を動かしてる僕を見て懐かしいと話しかけてくる。

 こっちは必死だ。オールマイトがいるのについ話しかけてしまう。

「そりゃ大岩と比べるとマシかもしれないけど……うごかないよぉ」

 オールマイトが冷蔵庫の上から話しかけてくる。

 

 「ヘイヘイヘイヘイなんて座り心地の良い冷蔵庫だよ!ピクリとでも動けばちょっとは楽だったんだけどなーーーー」

 「そりゃだって……オールマイト、274kgあるんでしょ……」

 「いーや痩せちゃって255kg。この姿だと」

 「ていうか僕何で海浜公園でゴミ引っ張ってるんですか……?」

 「それはアレさ!君、器じゃないもの」

 『出久君には申し訳ないけど、言わんとすること、わかるな~』

 「え?!仰ってることが前と真逆!!!(ダイお兄ちゃんもひどいよ!!)」

 

 ダイとオールマイトのWパンチでショックで泣いちゃう出久だがきちんと説明をうける。

 

 「身体だよ身体」

 『そうそう。出久くんにおれのドラゴンの騎士の力を貸してあげようとしてもきっと同じ障害が起きちゃうね』

 「……?」

 「「ワン・フォー・オール」は言わば何人もの極まりし身体能力が一つに収束されたもの!!生半可な身体では受け取りきれず四肢がもげ爆散してしまうんだ!!!!」

 「四肢が!!」

 『おれのも超パワー系だから、鍛えないときっと身体が持たないよ』

 

 ダイも続けて話す。説明に納得する出久。

 

 「そういうこと。じゃあ……つまり、身体をつくりあげるトレーニングの為に……ゴミ掃除?」

 「YES!!だがそれだけじゃない!昨日ネットで調べたらこの海浜公園、一部の沿岸は何年もこの様のようだね」

 「?ええ、何か海流的なアレで漂着物が多くて、そこにつけ込んで不法投棄もまかり通ってて……」

 「最近のヒーローは派手さばかり追い求めるけどね、ヒーローってのは本来奉仕活動!地味だと何だと言われても!そこはブレちゃあいかんのさ。この区画一帯の水平線を蘇らせる!!それが君のヒーローへの第一歩だ!!」

 「第一歩……!これを掃除…!?全部……!?」

 「緑谷少年は雄英志望だろ?」

 「はい!?はい!!雄英はオールマイトの出身校ですから……それにポップ兄ちゃんだって推薦で行くって。行くなら、絶っっ対雄英だって思ってます!」

 「行動派オタクめ!!前にも言ったが、無個性でも成り立つような仕事じゃない。悲しいかな、現実はそんなものだ」

 「ましてや雄英はヒーロー科最難関!つまり……」

 「入試当日まで残り10ヶ月で……身体を完成させなきゃ……!」

 「そこでこいつ!!私考案!!「目指せ合格アメリカン・ドリームプラン」!!!「課題」をより確実にクリアする為のトレーニングプランだ!生活全てをこれに従ってもらう!!」

 「寝る時間まで……!」

 「ぶっちゃけ超ハードこれ。ついてこれるかな!?」

 「~~~~~そりゃもう……!他の人より何倍も頑張らないと僕は駄目なんだ……!!」

 

 こうして、地獄の10ヶ月は幕を開けた。

 

 「(先生の時と同じぐらいキツくねーか。下手したらそれ以上……)出久、なんでもいいけどこれ以上無理するとオーバーワークだぞ」

 ポップ、思わず止めに入る。

 「いいよね、兄ちゃんはもう推薦決まってるもんね。僕は人一倍がんばらないといけないんだ」

 「そりゃそうかもしれねーけど、がんばりすぎだぞ最近のお前」

 

 ブツブツ具合いが増した出久を見て思わずギョッとするポップ。

 授業中もブツブツ言いながら計画を立ててるもので、こりゃやべえなと見守ってると先生からも注意が入った。

「緑谷弟オイ。敵と遭遇して頭壊れたのか?そんなんじゃ雄英なんて口にするのもおこがましいぞー」

 ノイローゼ?もう?

 こえー

 クラスからクスクスと笑い声が漏れる。

出久はびくっと肩を震わせて顔を上げたが、すぐにまたノートに視線を落とした。

 

 「……すみません」

 小さな声で謝る出久を見て、俺は机の下で拳を握った。

 こればっかりはポップも止められない。どうするか、と悩ませていた。

 

 「出久。お前、最近マジでヤバいぞ。

 睡眠時間4時間切ってるだろ? 飯もろくに食ってねえし、

 昨日また冷蔵庫の上にオールマイトが乗っかってたって……本気かよ」

 

 出久は膝の上で拳を握りしめながら、弱々しく笑った。

 

 「うん……でも、兄ちゃんはもう推薦で決まってるからいいよね。僕は……人一倍頑張らないと、絶対に雄英に受からない。オールマイトの力を受け取るためにも、身体を作らないと……」

 

 「わかってるよ。お前が本気なのは。でもな、力を受け取る前に体壊したら意味ねえだろ。ダイも言ってただろ? 『身体が持たない』って」

 

 出久の目が少し揺れた。

 

 「……ダイ兄ちゃんも、今日『出久くん、ちょっとペース落とした方がいいかも』って言ってた。でも、僕……怖いんだ。ポップ兄ちゃんみたいに呪文が使える個性があったら、もっと楽なのに……無個性のままじゃ、努力だけじゃ追いつけないって、オールマイトにも言われたし……」

 

 俺はため息をついて、出久の頭を軽く小突いた。

 

 「バカ野郎。お前は俺の弟だぞ。推薦が決まった俺が、わざわざお前を止めにきてんだ。頑張るのはいいけど、壊れるほど頑張るんじゃねえ。……オールマイトのトレーニングに、俺も少し混ぜろよ。回復呪文でフォローしてやるから」

 

 出久が驚いた顔で俺を見上げた。

 

 「え……いいの?兄ちゃん、公安の仕事もあるのに……」

 「仕事は仕事でやる。でも、弟がぶっ壊れそうになってんのを黙って見てるほど、おれは冷てえ兄貴じゃねえよ。それに……ダイの奴が出久にばっかり構ってるのも、なんかムカつくしな」

 

 出久がくすっと小さく笑った。

 

 「ポップ兄ちゃん、ダイ兄ちゃんに嫉妬してる?」

 「……うるせえ」

 

 その夜。海浜公園。

 

 出久が必死にタイヤを引っ張っている。

 俺は少し離れたところで、ベホイミを準備しながら見守っていた。

 

 「ポップ君も来てくれたのか。助かるよ」

 

 オールマイトが笑う。

 

 「まあ、弟が死にそうになってるからな。……おい出久、無理すんな。今日はここまでだ」

 出久が息を切らしながら振り返った。

 

 「だ、だめ……あと少し……」

 「あと少しで倒れるぞ。俺が回復してやっても、根本的な疲労は残る。明日も学校だろ?」

 

 ダイの声が、出久の頭の中に響いているのがなんとなくわかった。

 

 『出久くん、ポップの言う通りだよ。おれも昔、ポップに無理させすぎて怒られたことあるし……』

 

 出久がようやくタイヤを置いて、膝に手をついた。

 

 「……ごめん、兄ちゃん。僕、頑張りすぎてる……よね」

 

 おれは出久の肩に手を置いて、軽く回復の光を流した。

 

 「わかればいい。お前は一人じゃねえんだぞ。俺も、オールマイトも、ダイも……みんな見てる。だから、少しずつでいい。雄英に入ってから、本気出せばいいんだ」

 

 出久が汗だくの顔で、でも少しだけ明るく笑った。

 「うん……ありがとう、ポップ兄ちゃん」

 

 オールマイトが満足そうに頷いた。

 「ふむ。ポップがいるのは心強いな。では、プランを少し調整しよう。緑谷出久少年……君は一人じゃない。覚えておきたまえ」

 

 その帰り道。出久が俺の横を歩きながら、ぽつりと言った。

 

 「ポップ兄ちゃん……ダイ兄ちゃんが『ポップは昔から、仲間が無理してるの見るとすぐ怒るんだ』って笑ってたよ」

 「……あいつ、余計なこと言いやがって」

 

 おれは苦笑しながら、出久の頭をくしゃくしゃと撫でた。

 地獄の10ヶ月は始まったばかりだけど、少なくとも、俺は出久を一人で走らせたりはしない。

 ダイ……お前も、出久の夢の中でちゃんと見張ってろよ。

 現実では、俺が守るから。

 

 

 入試当日、朝6時。

 海浜公園の指定区画は、文字通りピカピカだった。

 10ヶ月前は漂着ゴミと不法投棄の山だった場所が、まるで別世界のように綺麗に整備されている。

 波打ち際までチリ一つなく、朝陽が海面に反射してキラキラと輝いている。

 

 「おいおい……指定した区画以外まで……マジかよ!チリ一つなくなってやがる!!マジかよ!!ギリッギリで仕上げやがった!完成以上に!!」

 

 おれは呆れながら、息を切らして立っている出久の背中を眺めていた。

 出久は汗だくで、でも満面の笑顔だった。

 肩が少し震えている。限界ギリギリまで追い込んだのが丸わかりだ。

 

 

 「オーマイ…オーマイ…グッネス!おつかれ!!」

 

 オールマイト(筋肉姿)が両手を広げて大げさに喜んでいる。

 

 「オールマイト……!僕、出来た……出来ました!!」

 「ああ、驚かされた!エンターテイナーめ!十代って素晴らしい!!」

 出久が誇らしげに手を差し伸べると、オールマイトはスマホを取り出して10ヶ月前の写真を見せた。

 「ほら、見ろよ!!」

  画面に映っているのは、ガリガリで頼りない、昔の出久。

 「これは…」

 「10か月前の君さ」

  出久の目が、じわっと潤んだ。

 「よく頑張ったよ、ほんっとうに!!」

 「ようやく入口の蜃気楼がうっすら見えてきた程度だが、確かに器は成した!!」

  出久は照れくさそうに頭を掻きながら、でも少しだけ自信なさげに呟いた。

 「……なんかズルだな、僕は…」

 「ズルじゃねえよ。お前はちゃんと10ヶ月間、地獄みたいなトレーニングをこなした。おれが見てたんだから間違いねえ」

  オールマイトも頷いた。

 「そうだとも!緑谷出久少年。君は努力でここまで来た。これから私が託す力は、その努力の上に成り立つものだ。……とはいえ、まだ本番はこれからだがな!」

 

 おれは出久の肩を軽く叩きながら、ベホイミをそっと流した。

 軽い疲労回復と筋肉の修復。

 入試前にこれ以上酷使されたら本末転倒だ。

 

 「ほら、今日は雄英入試だ。朝飯食って、ちゃんと休め。おれはもう合格してっけど」

 

 出久がおれを見て、にっこり笑った。

 

 「オールマイトやポップ兄ちゃんにここまでして貰えて、恵まれすぎてる……」

 「その泣き虫治さないとな!さあ授与式だ緑谷出久!」

 「ようやくだな」

 「…はい…!」

 「これは受け売りだが、最初から運良く授かったものと、認められ譲渡されたものではその本質が違う!肝に銘じておきな。これは君自身が勝ち取った力だ」

 

 それで、渡されたのはオールマイトの髪だった。

 

 「食え」

 「へぁ!?」

 「ダジャレ言うてる場合かよ。そりゃ確かにおれもびっくりだけどさあ!?」

 『おれもびっくりだよポップ……』

 ダイにもびっくりされてるとはつゆ知らず。

 「別にDNAを取り込められるならなんでも良いんだけどさ!さア時間ないって!」

 「思ってたのと違いすぎる……!!」

 

 そして入試まであと三時間!!




ほぼAI作成です あとは原作の流れ通り 
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