私、ヴィランを目指します!   作:Sano / セイノ

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USJは燃えているか2

――――――――13号side――――――――

 

――飛ばされた生徒たちを、助けに行かなきゃいけないのに!

眼前に立ちふさがる相手は嘲笑いながらも、こちらの焦りを見透かすようにそれを許さない。衣服から露出している部分の悉くを黒いモヤが覆ったヴィラン、その表情はようとして知れない。だが煽るように語るのは、僕の失着を狙っているからだ。

「あなたがぐずぐずとしている間にも、将来有望な生徒たちが殺されているかも知れませんよ。ああ、痛ましいことですね」

 

 

その纏う黒煙ごと敵を吸い込もうと目論んで、相手に向けた僕の個性による吸引。

それが突如出現した漆黒の揺らぎの中から、自身に放たれたのは先ほどのことだ。お蔭でスペースコスチュームの一部を失ったが、分かったこともある。

眼前のヴィランはこちらの攻撃さえもワープさせてしまえるのだ。手数が限られている僕には、相性の良くない相手だった。

 

 

だからこそ手が出せず、膠着状態を作られてしまっているのだ。

僕をここに縫い留めることが出来る敵がいるのだ。流石に教員二人で、USJ中のヴィラン全員を制圧できるとは思えなかった。

 

 

現に施設内の警報が機能しない今、唯一の活路はどうにかして外部から応援を呼ぶことだ。

 

 

ギリッと僕は奥歯を噛み締める。

そう、時間は僕たちに味方しない。こうして睨み合っている間にも、生徒たちには危機が訪れているかも知れないという焦りだけが募っていく。

早く――早く、現状を打開しないと!

 

――――――――13号sideここまで――――――――

 

 

 

――視界が開けた。

私がワープゲートから放り出されたのは、中央の広場で戦う相澤先生の真上である。

そして私の横で驚愕に目を開いているのはトガちゃんだ。二人して先生の傍らに降り立ち、侵入者らに向き合った。

 

 

やっぱり黒霧のワープゲートを通ると、これまでに張り巡らせていた幻糸(見えないくらい細い糸)は全て切断されてしまっている。っていうか、マジか……武器として持ち込んでいた人形もどっかいったんだけど……

 

 

切られた幻糸を即座に周囲に張り直しながら、入り口付近を一瞥する。そこでは黒霧と13号先生の二人のみが対峙していた。

原作では入口付近にいたままになっていた何人かのクラスメイトたち、どうやら今回は全員どこかに飛ばされたらしい。つまりは飯田君が隙をついて脱出して、助けを求めるという手は使えない。

教員が動けない中、生徒たちだけが殺意を滲ませた暴徒の直中の放り込まれたというわけである。

 

 

 

――――――――相澤消太side――――――――

 

舌打ちしながら、俺は八木とトガを背に庇う。

ただでさえ多勢に無勢の中、生徒を守るのは至難の業だ……だが、やるしかない!

 

 

ゴーグル越しに宿した決意で敵に睥睨する。

個性を抹消されて殴りかかろうとしたヴィラン達の突然足が止まり、その隙をついて俺は蹴り飛ばした。

「な、なんだ⁉」「おい、どうなってんだ⁉」

纏わりつく銀色の糸に困惑の声を上げるヴィランたち。これは八木イトの個性によるものだ……アイツめ。はたして、八木は駆けだそうとするトガを制しながら、こちらに不敵な笑みを向けた。

 

 

なるほど、俺の支援に徹すると言いたいわけだ。

自身の身を危険にさらす蛮勇に、言いたいことは山ほどある。だが今は正直助かった、八木の拘束を逃れた奴だけを相手取ればよいのである。

 

 

「やれやれ、やっぱチンピラの寄せ集めはダメだな」

そう呟いて肩を竦めたのは、総身を手で飾る不気味な男だ。顔を覆う指の間から覗く、猛禽めいた双眸が嘲るように細まった。

 

 

「ただの生徒にしてやられてるようじゃなぁ。しょうがない、俺がやるか。ちゃんと守ってやれよ、イレイザー・ヘッド。そうじゃないと、そいつらは壊されちまうぜ」

聞き捨てならない台詞に頭に血が上りそうになる。ダメだ、落ち着け……こいつは八木の拘束を突破し得る難敵だ、そもそもこの男の個性は何だ? しかもどうやらこの男は俺のことを知っているらしい……ということは個性も把握されているのだろう。

 

 

ふぅ、と息を深く吐いた。

やることは決まっているのだ。まなじりを決して、俺は走りだす。

 

 

抹消の視線を浴びながらも、男は捕縛布を予期していたかのように躱す。

そして布が作った死角から放った俺の回し蹴りすらも、片手で受け止めて〝おまえじゃなきゃ、これでお終いだったぜ〟とニヤリと笑った。

旋転しながら飛び退った俺の背中を冷汗が伝う……マズイな、格闘戦だと分が悪い。

 

 

こちらの分析を肯定するように、そのヴィランは肉弾戦に持ち込まんと地を蹴った。

一方の俺は、近づけさせまいと捕縛布を布槍術の槍さながらに操る。その槍ぶすまの中で、不気味な男は懐へ踏み込む機会を伺いながら回避の一手で立ち回る。布に巻かれたら体勢を崩されると分かっているのである……全く、やりづらい相手だ。

 

 

だが突如として、ヴィランの硬く筋張った指が捕縛布を掴む。

忽ち生地にヒビが走り、半ばまで粉々に砕け散った得物に俺は目を瞠った。抹消が無くなる瞬きの僅かな隙をつかれたのである。

「タイミングが読まれているぜ、イレイザー・ヘッド」

 

――――――――相澤消太sideここまで――――――――

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