私、ヴィランを目指します!   作:Sano / セイノ

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USJは燃えているか4

――――――――爆豪勝己side――――――――

 

13号先生と睨み合っている、黒いモヤモヤのヴィラン。アイツが移動や輸送を受け持つ敵の中核だ。

まずは後衛を倒すのが闘いの基本、狙うは奇襲だ!

 

 

疾走する俺の両手でパチパチと火花が爆ぜる。

高速で横からの体当たりを狙った俺は黒い煙に巻かれ、気づけばワープによって標的を通過させられていた……クソがッ、触れられねぇ!!

 

 

次いで突っ込んでいく切島の前にも黒いモヤが瞬く間に結ばれ、アイツの姿が覆われる。それと同時に、俺の正面から切島が勢いそのまま殴りかかってきたのであった。

「悪い!」

それを躱して、俺は〝はッ、当たるかッ!〟と鼻を鳴らす。

 

 

「良かった……君たちが無事で」

俺らと追い付いてきた麗日に、13号先生は欠けたヘルメットの隙間から笑みを覗かせた。どうやら、先生の方も相手にしてやられたらしい。

「はッ、あんな雑魚どもに俺らが負けるわけがねぇ!」

自信たっぷりに吼える俺に、切島と麗日も頷いた。

 

 

称賛するかのように手を叩く音が響く。

その出どころは、未だ余裕を崩さない黒いモヤ野郎だ。

「素晴らしい! 生徒とはいえ流石はヒーローの卵たちです。有象無象をけしかけたところで、脅かすことすらできませんでしたか。なら――」

 

 

「――私が手ずから殺すしかありません」

黒煙越しにこちらを睥睨する深紅の眼光が細まった。

ヴィランが殺意を滲ませながら両手を広げると、肌を走る悪寒に俺は思わず身構えてしまう。

 

 

果たして左右の虚空に結ばれた黒いモヤ、そこから唐突に無人の自動車が現れる。

それが俺らに向かって突っ込んできたのである。

〝なッ!?〟と驚愕に目を見開いてしまう。

鉄の塊が持つ質量は、当たれば怪我だけで済むはずがない。

 

 

だが、高速で迫っていた車体は俺らの元に届かなかった。

眼の前で動きを止めた自動車は、急速に引きのばされながら塵と化してゆく。先生が俺らを守ろうと、二台の車をそれぞれ左右の手で吸引しているのだ。

 

 

――だがその時を狙い澄ましたかのように、先生の上に生じたワープゲートから自販機がいくつも落とされたのである。

 

 

そうだ、先生は今吸引中でまともに避けられないのだ。

俺らが何とかするしかねぇ、でも俺と切島の位置は遠い……クソッ、どうする。

逡巡する俺の代わりに飛び出したのは、先生の近くにいた麗日だ。

 

 

「おりゃあぁぁぁぁああ!!」

麗日は柳眉を逆立てて、先生へ衝突直前の自販機に間一髪タッチした。すると落下していたものが、ふわりと浮き上がる。彼女の手によって、次々と触れられた自販機は思い思いの方向に飛んでいく。

 

 

でかした! 丸顔!

奇しくもそれは攻防を兼ねた一手となる。俺は宙を流れる自販機を死角にして、ヴィランの隙だらけの背に狙いを定めた。

「死ねやぁぁぁぁあああああ!!」

 

 

だが、黒いモヤ野郎は一瞥すらせずに、〝ふふ〟と小さく笑いを漏らす。

それすらも戦巧者の誘いだったのだ。またも黒煙に巻かれて俺は移動させられちまう……クソがッ! 

その怒りを映すように爆破寸前の拳が盛大に火花を散らしている。

 

 

そして、それが切島を前に振り下ろされていた……やべぇ、このままじゃデカい爆破攻撃が当たっちまう。

だがアイツが見せたのは信頼の笑み、その目が全力で来いって告げているのである。

はは、かませってか……なら、行くぜぇぇえ!!

 

 

小火を散らしながら、拳がはしる。

閃光と共に耳を弄する爆発が巻き起こった。

 

 

「おバカですね。お友達を攻撃するなんて」

「……バカはてめぇだ!!」

「ッ⁉」

硬化した切島の体を足場に反転し爆発で急加速した俺が、鼻で嗤う奴の眼前に迫っていたのである。その予想外の反撃が、黒煙の守りを穿った。

 

 

はッ、俺らを甘く見たつけを払わせてやったわけだ。

驚愕に体を硬直させたモヤ野郎の胸倉を掴んで、俺は強引に引き倒した。そして煙に覆われた顔に、〝動くんじゃねえ。動くと爆破してぶっ殺す!〟と手をかざす。

「おいおい、お前がヴィランみてぇなヤツだな」

はれゆく爆煙の中から、切島が煤だらけの顔を覗かせて苦笑する。

 

 

その時、轟音を上げて天井の一部が崩壊した。

そして覗いた空へと紅炎が勢いよく立ち上がる。

デクと轟か……やるじゃねぇか。これは外部に向かって打ち上げた知らせだ。なら、もうすぐ先生たち駆けつけてくるに違いない。

 

――――――――爆豪勝己sideここまで――――――――

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