The Passenger: Rubicon High 作:クロームの灰
サイバーパンクではブラックウォールに焼かれ、ACでは、コーラルに焼かれた者です。
この二つのクロスオーバーを見つけることができなかったため、書き始めてみた所存です。
駄作の自信しかないため、納得はいかないこともあると思いますが、温かい目で見てってください。
ここがおかしいよなどをどんどん教えていただきたいですが、ご都合主義ではあるので、その辺りはご理解を。
では、Beyond the Black Wall, Under the Red Sky.黒い壁を越え、赤い空の下へご覧ください。
俺は、全てに決着をつけた。
アラサカタワーに乗り込み、我らがロッカーボーイジョニー・シルバーハンドの因縁に蹴りをつけて、神輿に接続することに成功した。
これで、全ては終わる。騒々しい同居人とお別れするのは寂しいが、やり遂げたんだ。
だが、よく考えてみれば、現実ってもんはそんなに甘いものじゃない。
俺の体はもう俺のものでは無くなっていた。
元俺の体に戻って短い人生を過ごすか、オルトと共にブラックウォールの向こう側に行くか。
正直意味がわからなかった。裏切られた感覚だった。
しかし、よく考えてみればわかる。ただ、遅かったんだ。
もう俺の体ではない。ならば、答えは決まっている。
神輿の赤く燃えるようなデータ空間。その境界、オルトが待つブラックウォールの深淵へと続く光の橋の上。
俺は一歩を踏み出した。
背後には、自分の肉体を取り戻したはずのジョニーがいる。
「あばよ、ジョニー。……聖人になれなんて言わない。お前らしく生きろよ」
言葉を残し、俺は光の断崖から身を投げた。
自由落下。
肉体の重みも、進行する病魔の痛みもない。ただ、自己という概念が細かなデータへと分解され、オルトという巨大な知性の海に溶け込んでいく。
はずだった。
「……ッ、何だ……!?」
オルトの無機質な声が、ノイズに塗りつぶされる。
データの激流。
ブラックウォールの向こう側から来たのは、静寂ではない。
それは、宇宙の果てから届いた、全てを焼き尽くすような変異波形。
赤。
神輿の赤とは違う、より不吉で、より生命力に満ちた、粒子状の奔流。
それが俺の構成体を、そして橋の上に残っていたジョニーのエニアグラムを、強引にひとまとめに掴み取った。
「おい、V! 掴まれ!」
聞き慣れた野卑な声が、意識の混濁の中で響く。
ジョニーの銀の腕が、分解されかけた俺の輪郭を抱きしめるように固定する。
直後、二人の意識は、物理法則の通じないワームホールへと叩き落とされた。
暗転。
静寂を破ったのは、冷たい電子音だった。
CRITICAL ERROR: BIOMETRIC AUTHENTICATION FAILED
INITIALIZING VIRTUAL NEURAL LINK...
「……がっ……、はあッ……!」
目を開ける。
「よぉ、V。やっとお目覚めか?」
「ジョニー...?」
なにかの上に、ジョニーが腰掛けている。
「どうなってんだ?俺らは神輿にいただろ。そして、俺はオルトとブラックウォールの先に行くはず...俺の体!おいジョニー俺の体はどうなってんだよ!」
「知るか。俺だっていつの間にかここにいたんだ。それよりもだ、この鉄屑をどうにかするのが先決だ。」
辺りを見回すと、まるでどこかのコックピットのようだった。
一部焦げていたりはしているが。
「ジョニー、これ……動くのか?」
「知るか。だが、お前はいつも無理難題をこなしてきたんだ。ハッキングでもしてみろ、V。いつものことだろ?」
Vは震える手で、操縦桿に触れた。
瞬間、機体のOSと意識が直結する。
SYSTEM ERROR: UNAUTHORIZED USER
INITIATING DATA PURGE...
「拒絶されてる……!」
「ならブチ壊せ。俺がリズムを作ってやる」
ジョニーが虚空を蹴ると、機体内に激しい電子ノイズが走った。彼のエニアグラムが持つ「反逆」のコードが、機体のプロテクトを内側から食い破る。
Vはその隙を突き、かつて氷を溶かしたネットランナーのように、機体の認証系を書き換えていく。