この小説は、アニメ沿いに進めていこうと思っております。また、作者はアニメ勢でにわかのため、設定などに変なところがあるかもしれません。
それでも大丈夫だという方は、どうぞご覧ください。
ここは、魔導の央都にあるリガーデン魔法学院……その学院の修練場に、木剣同士が激しくぶつかり合う音が響いていた。そこにいたのは、塔の頂を目指す2人の少年だった……。
「はあああっ!」
「まだまだだよ、ウィル!」
一人は黒髪の少年、ウィル・セルフォルト。もう一人は、白銀の髪をポニーテールに束ねた少年――――レイ・セルフォルト。二人は孤児院から共に育った幼馴染だった。
「くっ!」
「足運びが甘い」
「なっ!?」
レイが木剣を軽く払うと、ウィルの体勢が崩れる。次の瞬間、レイの剣先がウィルの喉元へ突きつけられた。
「……そこまで、だね」
ウィルは悔しそうに息を吐いた。
「また負けた……」
「けど惜しかったよ?」
「お世辞でも嬉しいよ」
「世辞じゃないんだけど……それに、ウィルの力や観察眼は凄いよ」
レイはそう言いながら苦笑した。昔から変わらない……ウィルは努力家で、誰よりも諦めが悪い。だからこそ、レイはそんな幼馴染を心から尊敬していた。
「レイは凄いよね……魔法も使えて剣も使えるんだから」
ウィルの言葉に、レイは少しだけ表情を曇らせる。
「そんなことないよ……僕は僕、ウィルはウィルでしょ?」
ウィルは何も言わない。だが、レイには分かる……学院での扱い、周囲からの嘲笑、魔法が使えないという現実……その全てを、ウィルは一人で抱えている。だからこそ、レイは彼の隣に立つと決めていた……その時だった――――
「見ろよ」
「あいつまた剣振ってるぞ」
「魔法も使えないくせにな」
遠くから他の生徒たちの騒ぎ声が聞こえてくる。その言葉を聞いたレイの瞳が細くなり、周囲の空気がわずかに冷えた。それを感じとったのか、生徒たちはすぐさまこの場から去っていく。しかし……
「気にしなくてもいいよ」
「……」
「レイ、僕は大丈夫だから」
その言葉に、レイは静かに怒りを飲み込んだ。
「……分かったよ」
そんな光景を、遠くの塔から1人の少女が窓辺から見ていた。その少女こそ、ウィルとレイの幼馴染にして至高の五杖の1人――――氷姫の杖、エルファリア・アイヴィス・セルフォルト。
「ウィル、レイ……」
彼女の視線の先には、学院で奮闘している2人の幼馴染がいた。その姿を見て……
「2人とも……ずっと、待ってるよ」
◇
「では……そうだな、前に来てやってもらおう。ウィル……ウィル・セルフォルト……ウィル・セルフォルト!」
「は、はい!なんでしょう、エドワルド先生……」
「前に来てやってみろと言っている」
「……分かりました」
「……」
ある日の授業中、この学院の教師であるエドワルドが魔法の使えないウィルを敢えて指名し、実技をやらせようとしてきたのだ。
「……」
「どうした?ただの実技だ。触媒をもって炎を操ればいい」
それからウィルは、手に持った杖を振るい……
「炎よ……生まれよ!」
炎を生み出そうとしたが、一向に出る様子はない……。
「……フッ――――」
『アハハハハハハ!』
「っ……」
「ウィル……」
「……」
ウィルはその場で立ち尽くし、それはを見ていたコレットは心配そうにウィルの名前を呟き、レイはウィルはを笑う生徒たちを見て、不愉快な様子で眉をひそめる。
「静粛に!……我が校の生徒でありながら、初歩の魔法さえ使えないとは……流石『ラーナー』、筆記だけの優等生と言われるだけはある。全く持って度し難い……」
すると……
「炎よ、従え」
一人の生徒が触媒を狙い撃ち、炎を生み出したのだ。
「……勝手な行動は慎め、シオン・アルスター」
「すみません、エドワルド先生。ウィルは調子が悪そうでしたので、僕が代わりに手伝ってあげようかと」
「ふん……だがまぁ丁度いい。諸君らも今見た通りだ――――」
そう言ったエドワルドは魔法陣を浮かび上がらせると、黒い雷をシオンが炎をつけた触媒に落とした。触媒に雷が落ちると、そこには大きな黒い氷のようなものが生み出されていた。
「この世は、魔法絶対至上主義!権威とは魔法であり、力とは魔力であり、英雄とは魔導士である!そしてこの魔法学院では、魔法の才能こそ尊ばれる……知識はあっても魔法が一切使えない無能者など、賢者が生まれるこの場所に相応しくない。不相応な夢に縋り付く愚者は、早々に学院を去ることをお勧めする」
そうして、エドワルドの授業が終わり……
「はぁ……」
「今日も無様を晒したな、落ちこぼれ?」
ため息をついていたウィルのところに、シオンたち3人がやってきたのだ。
「またダンジョンに行ったそうだな?雑魚の魔物で単位稼ぎだなんて、恥ずかしくないのか?」
そこに……
「やめなさい貴方たち!」
「やぁ、コレット!本物の優等生の君が、こんな落第生を庇うなんて――――」
「ウィルは貴方よりも優しくて、誰よりも努力家だわ!私の友人を侮辱しないで!!」
「なっ……!?」
コレットがウィルを庇いにやってきたのだ。そう言われたことに、驚いていたシオンだったが……
「……ハハハ……ハハハハハハ!」
「……?」
「優しさや努力だけじゃ、偉大な魔導士にはなれないさ……ましてや、至高の五杖になんて夢のまた夢だ」
そう言いながらウィルのことを笑ったシオンだったが……
「何してるの、シオン?」
『!』
そこに、優しくも冷たい声が響いた。
「「レイ……!」」
「っ……レイ……!」
レイは笑みを浮かべていたが、その目は全く笑っておらず、辺りの空気が一気に冷えたように周りにいた生徒たちは感じていた。そんなレイを見たシオンは……
「……これ以上無能者などに構っていては時間の無駄だ。エドワルド先生の言う通り、早くこの学院から出ていくんだな」
そう言い残すと、足早にこの場から去っていった。
「べーっ、だ!」
『ナーッ!』
そんなシオンたちに、コレットとウィルの使い魔であるキキはあっかんべーをしていた。それから、レイも加えた3人で学院内の廊下を歩いていく。
「ウィル、いつも言ってると思うけど、気にするだけ無駄だからね」
「レイの言う通りよ?それに、エドワルド先生もどうかしてるわ、あんな風に笑い者にするだなんて……」
「いいんだよレイ、コレット……僕が魔法を使えない無能のは事実だし」
「……」
「ウィル……」
レイとコレットが心配そうにウィルの方を見る。
「それに、コレットみたいな可愛い子に心配してもらえるなら、ラッキーかなって」
「へ……?い、いきなり何!?大人しい顔して、急にそんなこと言うんだから!一体何が目的なの!?おだてたって何も出ないんだから――――いやそれよりも、そういうことを誰彼構わず言ってるんじゃないでしょうね!?」
「ご、ごめん……女の子は褒めろって、小さい頃に教わったから……でも、客観的に見てもコレットは可愛いから、本当のことを言ったまでで――――」
「分かったから!もういいからぁ!!」
「うわっ!?」
「はぁ……」
『ナー……』
そのやり取りを見て、レイとキキは揃って溜息をついた。すると……
「……どうしたの?」
「いや……ただ、綺麗だなって」
「……」
「……えぇ、そうね」
ウィルは天高くそびえ立つ白亜の塔を見上げていた。そんなウィルに続いて、レイとコレットも塔の方を見た。
「至高の五杖は、今日も空を支えているのね……ねぇ、今日も氷姫の杖は、私達を見ているのかな?」
「見てるよ、てっぺんの窓辺で……こっちを見てる」
「そうだね……きっと、そうしてるよ」
コレットの言葉に、ウィルは塔の方に手を伸ばしながら答え、レイも続けてそう言うのだった。
◇
「この……馬鹿者!!」
「うわぁ!?」
授業が終わった後、ウィルは教師のワークナーの部屋で叱られていた。その理由はというと……
「わ、ワークナー先生、落ち着いてください!」
「また無断でダンジョンに行ったな?しかも単独で7層だと?本当にいつか命を失うぞ?」
「す、すみませんワークナー先生!!」
どうやら無許可でダンジョンに行ったらしいのだ。
「レイが合流してくれたから良かったものの、もしあのままだったら……」
「でも……あの……これで単位は――――」
「じ---っ」
「ひぃ!?」
そんなウィルのことをじっと見つめていたワークナーだったが……
「はぁ……イヴィルガードの撃破を確認。ウィル・セルフォルトに単位2を与える」
「よしっ!」
『ナッ!』
ため息をつきながらも、ウィルに単位を与えたのだ。無事に単位を獲得できたことに、ウィルはキキとグータッチをしながら喜んでいた。すると……
「……まだ、至高の五杖になることを諦めていないのか?」
「!……ダメ、ですか?」
ワークナーが椅子に座りながら、そんなことを訊いてきた。
「そもそも、まず塔に入るには上院に進学しなければならない。そのためには筆記、実技、実習の3つの膨大な単位が必要だ。魔法が使えないお前は、どうあっても実技の単位を習得できない」
この学院で獲得可能な単位は最大で12000あり、塔に行くためには最低7200の単位が必要となる。そのため、ウィルは獲得できない実技分の単位をダンジョン内のモンスターを倒すことで稼いでいるのだ。
「ウィル……散々言っているが、筆記と実習の単位だけで上院に進学することは事実上不可能なんだ。ましてや、魔法が使えない者には――――」
「それでも、僕は……」
「……そもそもお前は、至高の五杖どころか卒業まで危ういんだぞ!今回のテストで単位を落としたのはもう知っている。今週中に単位4を獲得する必要があるからな?」
「えっ!?今週中って、あと2日!?」
それを聞いたウィルは、必死にノートで単位4以上のモンスターを探していたが……
「その、なんだ……これは独り言だが、6層にバスカビルが出現したという情報がある。何処かのラーナーも、まだ討伐していなかったな?」
「ありがとうございます!ワークナー先生!」
ウィルは情報をくれたワークナーに、喜びのあまり抱き付いていた。
「馬鹿者!引っ付くな暑苦しい!」
「……」
その会話が、誰かに聞かれているとも知らずに...…。
◇
「っ!」
ウィルがワークナーのところにいる頃、レイは修練場に行き魔法と剣の鍛練をしていた。そんなレイの周りには、何本もの剣が浮かんでいた……レイの使う魔法は、この世界にあるどの属性魔法にも当てはまらない、魔力で剣を作り出し操る魔法――――『剣創魔法』というものだ。
入学当初はこの魔法を異端視されたことで、同級生や上級生に虐めの対象にされかけたが、実力で黙らせたことで何も言われなくなったという……すると……
「相変わらず見事なものだな」
「リアーナ?」
そこに、レイの同級生で単位獲得数1位のリアーナ・オーウェンザウスがやってきていたのだ。リアーナは雷属性を得意とする魔導士であり、今までの単位を全て獲得していることから『
「リアーナも修練に?」
「!い、いや、私はたまたま近くを通りがかっただけだ……が、時間はある。少し付き合おう」
リアーナは少し焦ったような表情を見せたが……
「いいの?」
「あぁ、騎士に二言はない」
すぐさまいつもの表情へと戻り、レイの前へと立った。それから2人は模擬戦をすることにしたらしく、距離を取って互いに杖を構える。その光景は近くの生徒たちに見られており……
「!ねぇ、あれって……」
「完璧才女と
「もしかして勝負するのかな?」
「これは見ものだぞ!」
最終的に修練場には多くの生徒たちが集まった。そして……
「
(レイに時間を与えてはダメだ……一気に距離を詰める……!)
リアーナは得意の雷属性魔法で距離を詰め、速攻で勝負を決めようとしたが……
「……
レイは空中に何十もの魔法陣を浮かべると、そこから矢のように剣を撃ち出そうとしてきたのだ。
「っ!?」
(前に見た時よりもさらに多く――――)
「行け」
レイの合図で、剣はリアーナに向かって次々と飛んで行く。リアーナもそのスピードを活かして飛んでくる剣を次々と避けていき、隙を見つけてレイに急接近する……が、
「っ!」
レイはまるでリアーナの動きを予測していたように、いつの間にか右手に持っていた剣の柄で雷を纏ったリアーナの杖を逸らしたのだ……リアーナは騎士の家系の生まれであり、白兵戦魔法のスペシャリストである……が、レイは魔法で生み出した剣での接近戦も得意としており、魔導士でありながら近接戦闘にも重きを置いているのだ。
ちなみにレイは剣の実力も高く、技や体捌きなどの面はウィルよりもレイの方が優れている。
「くっ……!」
(やはりそう来るか……!)
攻撃を逸らされたリアーナは、一度距離を取るために後ろへと下がろうとしたが……
「っ!?」
リアーナの背後には既に何本もの剣が突き刺さっており、剣の壁によって動きを制限されてしまっていた。その隙にレイは、勝負を決めようとしたが……
「
「!」
リアーナは上へと飛び上がり、レイの攻撃を回避して床に着地した。
「やるな……」
「そっちも、相変わらず速いね……でも――――」
そう言ってレイは、先ほどよりも多くの魔法陣を浮かび上がらせ、両手には魔法で作った剣をそれぞれ持ち……
「
「!?」
剣を発射すると同時に、リアーナに向かって駆け出していく。リアーナは、再び降り注ぐ剣を避けていく……が、剣の方だけに意識が集中してしまったのか……
「勝負あり、だね」
「!……そうだな」
レイがリアーナの首元に剣先を向けたことで、勝負は決したのだった……。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回はアニメ1話の前半部分と、レイが魔法を使っている場面を書いていきました。次回は、アニメ1話の後半部分からやっていきます。
それでは、次回もどうぞよろしくお願いいたします。