それでは、どうぞご覧ください。
複数の小隊による奇襲を迎撃し、見事にこれを全て倒したレイたち第7小隊は、トップのままスタジアムへと走っていた。途中で鉢合わせた小隊からの妨害も受けたものの、それも傷1つ受けずに退けていた。そして……
「見えたよ、スタジアム!」
「よし、このまま……!」
レイたちはスタジアムが目と鼻の先にまで見えるところまで来ることができていた……が、
「
「っ!剣界!」
突然後ろから、風魔法による奇襲を受けてしまう。その攻撃は、レイの剣界によって防ぐことで他の2人やレイ自身が傷を負うことはなかった。そこに……
「この魔法って……!」
「リアーナ」
「あぁ、この威力はおそらく――――」
「やぁ、3人とも」
レイたちの前に、イグノールが率いる第12小隊が現れたのだ。
「イグノール……」
「ユリウスじゃないが、君たちに土をつけにきた」
『おおっと!ここで優勝候補の第7小隊と第12小隊が対峙した!!頼んだぞ第12小隊!俺の全財産はこの勝負にかかっていると言っても過言ではない!!』
実況のマイクも興奮する中……
「早速だが、手加減無しで行かせてもらう――――」
イグノールは短杖をレイたちに向けると……
「
自身の後ろに無数の魔法陣を展開し、風の下位魔法を連続して放ってきたのだ。
「
その魔法は、ロゼが創り出した土の壁によって防がれ……
「リアーナ!」
「分かっている!」
前衛である2人は反射的に左右に分かれ、魔法が飛び交う中で駆け出していく。
「血統雷伝:騎士甲冑・雷装――――雷導!」
リアーナは自身とレイに雷のエンチャントを施し、2人で雨のように降り注ぐ無数の風魔法を掻い潜り……
「剣雨!」
「雷迅の剣尖!」
「
「「ぐっ……!?」」
剣雨で生み出した剣を2人は1本ずつ持ち、文字通り雷のような速さでイグノールの後ろにいた2人を瞬時に気絶させたのだ。2人はイグノールも仕留めるつもりでいたようだが、そこは学院ナンバー2……すぐさま風の障壁を生み出し、その攻撃をギリギリのところで防いだ。
「防いだか……」
「ギリギリ……だったけどね。流石、私が認めた2人だ――――けど、負けるつもりは微塵もない……!」
そう言うと、イグノールはある詠唱を始めた……。
「千の風よ、光の衣を織り成せ。真実は虚像の彼方に消え、虚構の嵐が境界を融かす。我が誇りにかけ愚者よ、永久に惑え――――
『!』
すると、あたりは霧に包まれ、互いの距離が数十センチ程度まで近づかないと視認できないほどの視界となってしまっていた。これはエルフにしか許されない幻想魔法の中でも上位のものであり、霧によって視界や聴覚などを狂わせる魔法だ……が、イグノールのこの魔法は未完成であり、効果としては視界を遮るのみとなってしまっていた。さらに……
「研ぎ澄まされし翠の刃、万物を断つ一条と成れ――――
「っ!?」
霧で視界が遮られる中、どこからともなく強力な嵐の刃が放たれたのだ。その風の刃はリアーナとロゼのいるところへ届こうとしたが、レイはまるでそれを見えているかのように迎撃して落とした。だが、イグノールのその魔法は休む間もなく放たれ、反撃の隙を与えてくれないほどだった。
『い、イグノール選手!2つの魔法を組み合わせ、レイ選手たちを追い詰めていく!!』
『視界を奪い、どこから奇襲されるかという警戒心を上げることで精神を、そして間髪入れずに攻撃を続けることで体力を奪う――――消耗戦に持ち込んだな』
「これ、どうするの……?」
「私たちを消耗させるつもりか……!」
エドワルドの解説通り、イグノールはレイたちを消耗させてその力を削き、3人が限界に達したところで仕留める作戦のようだ。すると……
「なら、こっちは一撃で仕留めるだけだよ」
レイはそう言って1本の細剣を創り出すと、その1本に魔力を集中し始めた。
「リアーナ、さっきの魔法をお願い」
「雷導のことか……分かったが、どうやってイグノールを……?」
「悪いけど、説明してる暇はない。それとロゼは前だけを空けた壁を」
「オッケー、了解したよ!」
そうしてロゼは指示通りの形に壁を創り出し……
「行くぞ――――雷導」
リアーナはレイ1人だけに雷を纏わせた。そして、無数の魔法が続けて放たれる中、レイは意識を集中させ……
「
レイは雷を纏った剣を、まるで矢のように一直線に放った。それは、イグノールに向かって吸い込まれるように飛んで行き……
「っ!?西風の――――」
(ま、間に合わな――――)
イグノールは咄嗟に反応して防御魔法を展開しようとしたが、レイが放った魔法の速度がそれを上回り……
「ぐあっ!?」
文字通り一撃で、レイはイグノールを仕留めた。
『う、嘘だぁあああああああああああああ!?れ、レイ選手、イグノール選手の魔法をものともせず、この対決を制したぞ!?』
マイクは自身の全財産を賭けた戦いがレイの勝ちに終わったことにショックを受けながらも、何とかして実況を続けていた。
「凄いね!今の何?」
「遠距離用の魔法だよ、本来の用途とは違う使い方だったけど……それと2人もありがとう、助かったよ」
「いや、礼を言われるだけのことではない。それよりも先を急ごう」
「そうそう!早くしないと王冠取られちゃうよ?」
そして……
「よし……リアーナ、また頼んだよ」
「あぁ……血統雷伝:騎士甲冑・雷装――――雷導!」
リアーナの魔法で雷が全員にエンチャントされるのを見たレイは、先頭を切ってスタジアムへと急ぐのだった。
◇
スタジアムでは、今か今かとトップの小隊が来るのを待っていた。そこに……
『数々の障害を乗り越え、先頭の小隊がスタジアムへと入場します!さぁ、最初に入場してきたのは――――
ユリウス・レインバーグ選手率いる第9小隊です!』
「ふっ……」
レイたちの第7小隊やウィルの第6小隊を追い越し、ユリウス率いる第9小隊がトップでスタジアムに入ったのだ。それから、悠々と王冠を取りに行くユリウスだったが……
『さぁ、阻む者は誰も――――ん?あ、あれは……!?』
スタジアムの壁を飛び越えて、その背後にウィルが姿を現したのだ。さらに、どこからか雷鳴が響いたかと思えば……
「っ!」
「間に合ったか……!」
「ギリギリだけどね……!」
『そ、そして雷鳴と共に、第7小隊も入場してきたぞ!?こ、これからどうなってしまうんだ!!?』
レイたち第7小隊も、ウィルに続いて猛スピードでスタジアムに入場してきたのだ。
「勝負だ、ユリウス……!」
自身の前に現れたウィルとレイたちを見て……
「ははっ……!!」
ユリウスは不敵な笑みを浮かべるのだった。
読んでくださり、ありがとうございます!
今回は、イグノールのオリジナル魔法を出してみました。次回で魔導大祭編は最後となります。
それでは、次回の話もよろしくお願いいたします。