【カオ転三次】おっさん転生者がなんとか生き抜く話 作:Vp6121
早朝
独身寮自室
夢野龍の朝は早い。
集団戦闘講習レポートの見直しを行うためだ。翌朝見直すと、粗がよく分かる。
自分の身体を見ると、今日はロールが左手から左肩経由で胸まで巻き付いていた。
シルエットは腹部分に巻き付いていた。
オーロラは右足から下腹部に巻き付いていた。
やっぱりローテーションである。平和だ。
「おーい。シルエット、オーロラ、ロール。朝だぞー」
「「「むにゃむにゃ。月曜は存在しないのデス〜」」」
何気に新しいんだが、おめーらどこで覚えたんだ?
それ以前に今日は月曜日ではないのだが。
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朝食後
部屋のテーブルに向かい、端末上でレポートを読み込みつつ赤を入れる。これをやっていると前世で資料作りが…パワポで情報マシマシポンチ絵作成…うっ頭が…
その脇で、ウチのシキガミたちが3人で顔を突き合わせて打ち合わせしていたり、猫団子ならぬシキガミ団子状態になっていた。
おめーらフリーダム過ぎるぞwww
そんな中、無事にレポートを作成し、寮にある共有プリンタで出力するよう手筈を整える。
「よーし、シルエット、オーロラ、ロール。レポート出力したら、一緒に戦闘講習後レポート提出と講評を聞きに行くぞ」
「Co。のびるのに忙しい。行かなきゃだめ?」
ベッドでうつ伏せになって伸びていたロールが、ダメ人間丸出し質問してきて草。
「行かなきゃダメ。みんなが当事者だからな」
「はーい」
そうしてシキガミ全員を引き連れて、事務局に向かった。
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事務局談話スペース
今日もいつも通り事務局は忙しい。
一部がお疲れのようだが、これは昨日私たちが戦闘講習中にドロップしたフォルマを400個ほど提出したからであろうか。アレの査定は大変っぽいようだから。
そんな中、今日も私が書いた『集団戦闘講習後レポート』と、坂上教官の『集団戦闘講習結果報告』の事務局への提出と確認がある為、ウチのシキガミ全員を連れて事務局に10分前に到着し、談話スペースに向かうと……
「夢野さん、お疲れ様です」
今日は坂上ニキが先にいた。
「お疲れ様です、坂上教官」
「「「お疲れ様です。坂上教官」」」
挨拶を交わして着席する。
「坂上教官。昨日はさすがに疲れましたよ」
「そうでしょうね。アレだけの密度の集団戦闘はなかなかありませんからね。夢野さんは体調や装備を相当気をつけないといけません。そうでなければ死にますから」
「現状では物理耐性があるので、ダメージ半減だから助かってますが、それでも被弾数が増えると危ないのが困りますね」
そんな雑談にしては血なまぐさい話をしていたら、事務員の音無小鳥さんがやってきた。今回も担当らしい。
「おはようございます。坂上ニキ、夢野さん」
そう言って音無さんも座席についた。
「それでは集団戦闘講習の報告をお願いします」
私は単独戦闘講習の時と同じく、レポートを2通、音無さんと坂上教官に提出した。
同じく坂上教官が戦闘講習結果報告書を2通、音無さんと私に提出した。
3人はそれぞれ提出されたものを読み込む。
坂上教官の集団戦闘講習結果報告書(SABCDの5段階評価。Dは不可)には各種所見と一緒にこうあった。
戦闘連携:A
継戦能力:A
侵攻特性:C
迎撃特性:A
装備構築:S
総合判断:A
素早く私のレポートと坂上教官の結果報告書を読み終わった音無さんが顔を上げた。
「坂上さん。事務局として確認しますが、夢野さんパーティーは迎撃向け?」
「はい。夢野さんの『広域強制挑発』で悪魔が殺到するので、迎撃だけで手一杯です。その為に侵攻するリソースが残されていません。
無理に侵攻すると、進む事で会敵する分の悪魔と、『広域強制挑発』で引き寄せられた悪魔の両方を相手にしなければならず、対応能力を超えます。よって侵攻には向かず、迎撃向けです」
音無さんが『あー』な表情をして納得した。
「次ですが本田さん。装備構築がSですがこれは?」
「私から見て装備が非常に充実し、事前に指差し確認を行う事で抜けを潰しています。
更に継戦能力にも関係しますが、休憩時の飲食物も充実しています。休憩時の飲食物が充実している方が、士気低下を防ぐ事ができ、継戦能力向上にも寄与しています」
「坂上さん。そんなに飲食物が充実してます?」
「はい。音無さん。他のパーティーでは水分すら持たない。水のみ。水と飴のみ。といった方々がよく見られます。
それに対して、お湯を準備してインスタント紅茶スティックシュガー付きに、市販品ですがクッキーに、フルーツ飴と、浅層で行動する基準は満たしたものを準備していました」
「ああ、確かに浅層なら十分ですね。
坂上さん。けっこう見落としがちなのですが、異界での戦闘という強度のストレス環境下では、心身が大きく削られます。そのストレスを解消できるかは、継戦能力に大きな影響を及ぼすんですよね。ただし修羅勢になると戦闘がストレス解消になりますが」
何気に修羅勢についておっそろしい情報が飛び込んできた。修羅勢はそうだから修羅勢とも言えそうだ。むしろそうでない修羅勢は修羅勢ではないレベルかも。
それについて疑問が出てきたな……
「坂上教官。質問が」
「何でしょう、夢野さん」
「私の持ち込み飲食物が浅層基準でOKとの事ですが、噂に聞く修羅勢はどれぐらいの物を持ち込むのでしょうか?」
「はい。人によってよりけりですが、異界の深層に住んでいるレベルで入りっぱなしなのが珍しくありません。
その為、安全に休憩できる設備を持ち込むか、スキル等で安全地帯を設定します。*1
また、飲食物をスキル・権能・アイテムでの生成できるか、現地調達ができる事が前提条件です*2」
「坂上教官。それは普通人外と言いませんか?」
「修羅勢はどこに出しても人外認定される人外揃いです」
坂上ニキにそう断言される修羅勢……おそろしい子っ!(ガラスの仮面感)
「さて、夢野さん。次に移ってよろしいでしょうか?」
「あっはい。どうぞ音無さん」
「ありがとうございます。それでは次に夢野さんのレポートですが、今回も現実に即したもののように見えますが、これは?」
「はい。音無さん。こちらの認識と一致しています。感情を排したレポートで、反省部分もよく書けています。また、今後の改善点も良いと判断します」
「ならば夢野さんは期待できますね」
音無さんはそう言うと手に持って読んでいたレポートを降ろした。
「それでは私、音無小鳥による事務局判断で、夢野さんの集団戦闘には問題が無い事を承認します。と言ってもあくまでも承認だけですので、油断して崩れる事の無いように注意しての行動をお願いします」
「はい。ありがとうございます。音無さん。その上で提案があります」
「何でしょうか、夢野さん」
「私が異界戦闘に入ると悪魔を引き寄せます。その引き寄せ中の悪魔を横殴りすると、一時的にヘイトが私から外れますが、すぐに私の方にヘイトが再び向きます。よって安全に横殴りができるので、初心者のレベル上げに丁度良いですので、私たちがいる時だけ積極的に横殴り推奨を提案します」
音無さんが驚いた表情を見せ、一瞬だけ坂上ニキの方を見た。
そりゃそうだ。普通は横殴りは揉める元なのに、横殴り推奨だからな。
「夢野さん。安全な横殴りができるその論拠は?」
「はい。技術部の調査依頼で検証を行いました。レポートは技術部にあるので、そちらの確認をお願いします」
「わかりました。それでは確認後にその旨を周知します。ただし、夢野さんも当日どれぐらい潜るかを事務局に連絡して下さいね」
「承知しました」
事務局と教官のお墨付きが出た。良かった。
「それではこれで集団戦闘講習報告を終了します。お疲れ様でした」