【カオ転三次】おっさん転生者がなんとか生き抜く話 作:Vp6121
午後
独身寮
シキガミたちを引き連れて独身寮に戻ってきたら、玄関で掃除をしていた寮母を務める高級シキガミの鳳翔さん*1に出くわした。
「お疲れ様です。鳳翔さん」
「お帰りなさい。夢野さん。あらあら可愛いらしい子たちを連れてきていますね」
「今日、技術部から引き取ってきた、下級シキガミです。同居人が増えると申請していたヤツです」
鳳翔さんが、『ああ、あの話ね』な表情をした。
「それじゃあかわいい新人さんに自己紹介してあげなくちゃね。この独身寮の寮母をしている、『渡 鳳翔』です。よろしくお願いしますね。私は高級シキガミですので、シキガミからの相談も受け付けているので、気軽に声をかけて下さいね」
あ、鳳翔さんが苗字も名乗った。そういやウチのシキガミたちの自己紹介に名前オンリーは不味いな。なら許可を出しとこう。
「えーとみんな、『夢野』を名乗っていいぞ」
そうウチのシキガミたちに向かって言った。
そうしたら、鳳翔さん、シルエット、オーロラ、ロールが全員、一瞬だが固まった。はて?
だがすぐに再起動して、ウチのシキガミたちが挨拶した。
「わたしは、ゆめのシルエットです」
「わたしは、ゆめのオーロラです」
「わたしは、ゆめのロールです」
一拍置いた。
「「「ほうしょうさん、よろしくおねがいします」」」
「はい。良くできました」
鳳翔さんは独身寮のトップでアイドル。あいさつができて良かった。
「夢野さん、この子たちは動くようになってどれぐらい経っていますか?」
「今朝、『目覚めの儀式』『インプリンティングの儀式』『名付けの儀式』3つをキッチリ終わらせて起こしましたので、まだ1日経ってませんが」
「今朝から…しかも3種の儀式全部ですか…」
鳳翔さんが考え込んだ。
「夢野さん…この子たち、一応確認しますが、下級シキガミですよね?」
「はい。見ての通り一反木綿型下級シキガミですよ?ただ、製造時に私の肉体1人分をそれぞれに使ったカリカリチューン版ですが」
鳳翔さんがちょっと目を丸くした。
まぁ、下級シキガミにそこまでやる人はいなかったと、技術部本田さんも言っていたから驚くのも無理はない。
「夢野さん…この子たちと、起動してから今まで何をされました?」
「え?起動したらネタ発言連発したので、技術部の本田さんと一般常識教育を昼過ぎまでやって、食堂でジャンニキ特製ガイアカレーを食べて、事務局で手続きして、売店で専用生活用具と専用武装買ってから帰ってきました」
「食事や買い物はみんな一緒ですか?」
「鳳翔さん。みんな一緒ですよ?」
「この子たちは何て呼んでますか?」
「普通にシルエット、オーロラ、ロールですよ。事前に資料として渡されたシキガミ契約概論の抜粋に、『シキガミは極力名前で呼んであげよう』ってあったので、事情が無い限りシルエット、オーロラ、ロールって呼んでますよ?」
鳳翔さんはまた少し考え込んだ。
シキガミ契約概論やしおりの通りにやったんだが?
「夢野さん。シキガミの先達として、この子たち、シルエットちゃん、オーロラちゃん、ロールちゃんをお借りして、シキガミとして教育を施したいのですが、よろしいでしょうか?今すぐではなく、明日あたりで」
「私はOKですが、ちょっと待って下さいね」
私はシルエット、オーロラ、ロールの方を向いた。
「シルエット、オーロラ、ロール。聞いての通り、鳳翔さんが教育してくれるそうだがどうする?」
「「「おねがいします。ほうしょうせんせい!」」」
「だ、そうです」
「…元気な子たちですね…それでは夢野さん、後で時間候補をお知らせしますので」
「はい。よろしいお願いします。それじゃあこれから荷物を降ろしたりするので」
「あっそうでしたか。引き留めてしまい申し訳ありません」
「いえいえ鳳翔さんから教育をしてもらえるという望外の望みが適ったのでこちらの方が申し訳ないですよ。さて、それでは失礼します」
「「「ほうしょうせんせい、ありがとうございました」」」
そう挨拶して、鳳翔さんと分かれて独身寮に入った。
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独身寮内
夢野自室
「よーし、シルエット、オーロラ、ロール。ここが私たちの部屋で、ここに寝泊まりする。まずは荷物を降ろして整理したら、寮内を案内するぞ」
「「「はーい」」」
元気で素直でよろしい。
さて、それでは荷物を降ろしたら、シキガミみんな用の荷物入れを組み立てる。これは前世100円均一ショップで売っていた、300円ぐらいするボール紙製蓋付き箱そっくりな代物だ。組み立てると、高さはベッドの下のスペースにぴったりで、幅と奥行きは必要十分なものを選んだ。
組み立て終わった箱を見たウチのシキガミたちがキラキラした目でまた見ていた。
「シルエット、オーロラ、ロール。今からそれぞれの箱に物を入れるから、今日買ってきたタオルなどを出してくれ。名前を書いてからしまうからな」
そう3人に向かって言ってから、出されたタオルなどに油性ペンで名前を書く。
夢野シルエット。
夢野オーロラ。
夢野ロール。
「シルエット、オーロラ、ロール。こっちで名前を書き終わったから、各自で箱に入れてくれ。ただし、取り出しやすいようにね。どうしまうかみんなで相談するのも良いぞ。あと、お風呂に使うタオル以外のグッズは、買っておいたこっちのプラスチック製箱*2に入れてくれ」
それを聞いて、シキガミたちが顔を突き合わせて相談を開始。ああでもないこうでもないと色々試して、配置が決まった。
「よし。シルエット、オーロラ、ロール。その箱は各自専用アイテムだ。同時に各自が自分で管理するものだ。無くしたり壊さないように気をつけてくれ。もし無くしたり壊れたら、私にすぐ言ってくれ。次の物を手配する。ただしわざと壊したり無くしたらダメだぞ。わかった?」
「「「はいっ!」」」
「いい返事だ。次は独身寮内の案内をするからな」
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独身寮内案内*3は、ある程度ダイジェストでお送りします…
「ここは食堂。朝は6:00-8:00まで。夜は18:00-20:00までで、先ほどお会いした鳳翔さんと、彼女の旦那さんである渡さんが作ったごはんが食べられる。味は期待してイイぞ」
「ここは談話室。座席があるからここで外の人と話したりしている」
「ここは多目的ルーム。ホワイトボードがあるから打ち合わせにも使える。クッションがあるからここでゆっくりするのもアリ」
「ここはゲームルーム。ここでカードゲームをやるが、それ以外に雀卓があるから麻雀もできる。ただしいわゆる『倍プッシュだ』『御無礼』『あンた 背中が煤けてるぜ』というセリフが自然に飛び交う本物の雀鬼しかいない。だから正直、打つべきではない(3敗
恐ろしい事に、地獄湯支部だと初手天和連発とか、リーチ一発・ドラ16(18翻)当たり前とかの超人外がいて、まだここはヌルいらしい」*4
「ここはお風呂。ただし人間用時間とシキガミ用時間に分かれているから注意。え?分かれている理由?独身寮にいる中級シキガミ以上は、美少女型美女型が多い。それが主人と一緒に風呂に入るのは風紀が乱れるので禁止になったから」
「外だが、ここは多目的広場。運動や軽い訓練に使う。ここでは派手な魔法やスキルは使用不可。もし使って壊したら、そいつが責任持って復旧作業をするルール」
そして外にある、半分吹き晒しなシャワー室が3つ並んだ所に来た。
「ここは野外シャワー室。本来は、泥だらけ、血まみれ、霊的物質汚染、化学物質汚染といった、寮にすぐ入れない汚れをここで洗い流す、ANSI規格のセーフティシャワー設備*5だったんだが…」
言い淀んだ私をシキガミたちが不思議そうに見た。
「独身寮って、良く言えば豪傑。悪く言えばガサツなのが多くて、風呂に入るのが面倒だから、ここで身体を洗う人が何人もいる。
で、『自分がこれで十分だから、シキガミもここで洗えばいい』と女性型シキガミを除いたシキガミをここで洗う人もいる。
特に下級シキガミはここで適当に洗う、通称『業務洗浄』がほとんどだ。
別に下級シキガミは文句を言わないからいいんだが…私は、シルエット、オーロラ、ロールをここで『業務洗浄』するのは、セーフティシャワー対象の時を除いて、絶対に嫌だ」
それを聞いたシルエット、オーロラ、ロールが顔を見合わせた後、代表らしくシルエットが手を挙げた。
「マスター。さっきのおふろでマスターはわたしたちしきがみがおふろにはいれるじかんがおそめといった。おふろのじかんいがいはどうするの?」
「私は仲間になった、私が死ぬまで一緒だろう、シルエット、オーロラ、ロールみんなは、できる限り幸せであって欲しいと考えて、そうなるよう決めて、そう行動している。
だからみんなには止むを得ない時を除いてあの寒いシャワー*6を使わせたくない。業務洗浄何て以ての外だ。だが汚れたままでいさせるのも幸せではない。
だから、シキガミ用風呂時間帯ではない時間には、一旦部屋で専用タオルとお湯を使って、私が丁寧に清拭する……嫌なら言ってくれ」
またシルエット、オーロラ、ロールが顔を見合わせた。
「マスター。シルエットはそれでいい」
「マスター。オーロラはふいてもらいたい」
「マスター。ロールはむしろうぇるかむです」
「ロールがネタ過ぎるが…ありがとう…」