【カオ転三次】おっさん転生者がなんとか生き抜く話   作:Vp6121

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第9話:報告会と単独実戦

戦闘講習の2日後午前中

事務局談話スペース

 

 今日も事務局は忙しい。

 相談しに来る転生者を捌き

 提出された書類を捌き

 到着したデータを捌き

 アホ行為をしたアホを叱り飛ばす

 今日も事務局は平常運転である。

 

 そんな中、今日は私が書いた『戦闘講習後レポート』と、坂上教官の『戦闘講習結果報告』の両方を事務局への提出と確認がある為、事務局に10分前に到着し談話スペースで待っている。

 

「夢野さん、お疲れ様です」

 

 5分前に坂上教官が書類を持ってやってきた。

 

「5分前の更にその前には到着ですか。良い事です」

「お疲れ様です、坂上教官。5分前行動は、前世ビジネスマン時代によくやっていたので」

「それでも今世に引っ張られて、前世でできていた事ができなくなった転生者がいますから。もっとも、前世今世両方あるいはどちらかがニートで時間内行動が習慣づけられていない人もいますがね」

 

 エリートニートがいて草。

 だけどいわゆる、金融などで稼いでニートやってる「ネオニート」もいそうだ。

 

 そう雑談をしていたら、事務員の音無小鳥さん(転生者。年齢にじゅう…ZAP!ZAP!ZAP!)がやってきた。今日の担当らしい。

 

「おはようございます。坂上ニキ、夢野さん」

 

 そう言って音無さんも座席についた。

 

「それでは戦闘講習の報告をお願いします」

 

 私はレポートを2通、音無さんと坂上教官に提出した。

 同じく坂上教官が戦闘講習結果報告書を2通、音無さんと私に提出した。

 

 3人はそれぞれ提出されたものを読み込む。

 

 坂上教官の戦闘講習結果報告書(SABCDの5段階評価。Dは不可)には各種所見と一緒にこうあった。

 

 戦闘技術:B

 戦闘判断:A

 戦闘スキル:事情により判断不能

 撤退判断:B

 装備構築:S

 総合判断:A

 

 素早く私のレポートと坂上教官の結果報告書を読み終わった音無さんが顔を上げた。

 

「坂上さん。事務局として確認しますが、夢野さんは単独戦闘可という事でよろしいですね?」

「はい。少なくとも異界初心者区域なら全く問題ありません。丸1日いても休憩を挟めば大丈夫でしょう。各種判断はBの普通ですが、その普通が難しい中で普通のBを出した事は評価すべきかと。最初は少し怪しかったのですが、8時間以上の戦闘による経験で錬磨されたので、現在は問題ありません」

「坂上ニキの戦闘講習は厳しいですが、これを乗り越えた人は安定しているので、事務局としてはありがたいです」

 

 やっぱりあの戦闘講習ってキツかったんだ……そりゃ8時間以上あったからなぁ……

 

「次に夢野さんのレポートですが、これは現実に即したもののように見えますが、これは?」

「はい。音無さん。こちらの認識と一致しています。感情を排したレポートで、反省部分もよく書けています」

「レポート慣れしてないと感情過多な人や、過剰な修飾を入れて中味カラッポなフォーク准将ライクなレポート*1出す人多いんですよねぇ」

 

 音無さんはレポート系を読む方で苦労している模様。

 

「それでは私、音無小鳥による事務局判断で、夢野さんの単独戦闘には問題が無い事を承認します。と言っても個人が勝手に戦う事が多いので、これは別に必須ではありません。ですが教官の教育を受けた事により死亡及びトラブル確率が有意に低下しています。夢野さん。自信を持って、だが驕らずに戦って下さいね」

 

 事務局と教官のお墨付きが出た。良かった。

 

「それではこれで戦闘講習報告を終了します。お疲れ様でした」

 

□□□□□□□□□□

 

午前中

売店

 

 ガイア連合本部にある売店。

 パッと見は普通…にしては取り扱い商品が『ちょっと』広すぎるように見えるだけの売店であると中の人は主張する。

 普通の野菜に見えて、実は異界産野菜。

 普通のレトルトカレーと思ったら、食べれば3日で末期ガンが完治する『ガイアカレー』

 普通のバニーガールスーツに見えて、実は超強力霊的防具。

 

 ……ふつうの、ていぎが、みだれる……

 

 まぁそんな売店である。

 その売店に単独異界突入の為、物資調達に来た。

 

 まずは軟膏方式の傷薬と、飲む即効性治療薬だが追加効果がガチャな『マッスルドリンコ』数個を選択。

 

 簡易的なエネルギー補給で駄菓子のラムネを選択。なお、これは普通のラムネ。

 

 頑丈な容量800ミリリットルの断熱水筒を選択。緊急時には打撃武器に使えるとの事だが、それは過剰品質では?

 

 おつとめ品のカゴを見たら、『火魔法アギを封じ込めたアギストーン。ただし威力アギ未満』があった。製造系俺たちが作ったが検品で威力低すぎで弾かれた代物。それでも火属性攻撃ができる。2袋選択。

 これは属性魔法が使えない私にとっては貴重なアイテム。低威力でも2個叩き込めばアギ1回分にはなる。切り札……にしては頼り無いが、異界初心者な場所ならアリだ。

 

 一旦、雑貨系の会計を済ませるが、その時に買った水筒に霊水を詰められるサービスがあったので利用する。ごくわずかだがHPMPが回復できる。これはありがたい。

 

 次は売店の武装部門。

 基本はレンタルで借りたものと同じか同等品を選択、ヘルメット・革製首防具・部分プロテクター・ポリカーボネート製盾・ブーツ・メイス大小2本を購入。

 

 最後はレンタルシキガミ部。

 ここはシキガミレンタルをやっている。

 ここで下級シキガミを狙う。ただし一反木綿タイプがあれば、犬猫鳥の動物タイプや、一見シキガミに見えない普通の道具っぽいタイプもある。それらが機能別に分かれている。

 

 私は探知機能があればいいので、探知機能のみ一反木綿タイプ下級シキガミのレンタルを選択。

 このタイプ、購入だと1体1万円と1番安い。ただこれもガイア連合外だと『超高性能最先端霊的装備』になるとの事。さすがはガイア連合驚異の技術力。なお、レンタルだとお安い。長期だと更に更にお安い。

 ソロで異界に潜って稼がなくてはいけない私が恐れるのは、奇襲を食らって一気に追い込まれて死ぬ事だ。なら奇襲予防ができる道具があればいい。それらの道具の中で1番コスパが良いのがこいつだった。

 

 すべて購入後、物資は背負式バッグに詰め、黒いツナギの上に装備を身につける。

 フィッティングテストを行い、問題が無い事を確認する。

 最後は探知機能シキガミ。半径20メートル内悪魔を遮蔽物ガン無視で探知できる。実際にテストしたら壁向こうの悪魔を探知して報告してきた。

 ちょっと凄すぎるだろう、常識的に考えて……

 まぁその代わり数はわかるが、悪魔の強さや種類はわからない。あくまでもこれはスキル「エネミーサーチ」だからな。詳細データ確認はスキル「アナライズ」の領分だからしょうがない。

 戦うにしろ逃げるにしろ、このシキガミからの情報が重要なので、悪魔探知と報告を行い、悪魔の攻撃からは逃げ回れと指示した。

 

 最後は指差し確認して抜けが無いか確認した。これを怠って大規模インシデントを起こしたヤツを前世で見たから、これは怠れない。

 

 確認終了後、異界入口に向か……う前に事務局にまた戻った。

 

□□□□□□□□□□

 

昼近く

事務局

 

 すぐに窓口に向かおうとしたら、書類を持って外から戻ってきた音無小鳥さんと出くわした。

 

「あら、夢野さん。どうされました?装備を見る限り、異界の初心者エリアに向かわれると見ますが」

「あーはい。正解です。音無さん。ですがその前に確認したい事が2件ありまして」

「あーそれじゃあ窓口まで来てください。ちょうど2番が空いていますので」

 

 そうやって2番窓口に案内された。

 

「それでは改めて夢野さん。どういったご相談でしょうか?」

「1つ目は午後から異界の初心者用エリアに入り、夕方まで単独戦闘をしようかと。最低限の探知用シキガミはレンタルしています」

 

 そう言って後ろにいるシキガミを指差した。

 

「それでですね、私の『広域強制挑発』で悪魔が引き寄せられるので、他の初心者さんのご迷惑になるかもしれないので、一声かけておこうかと。あと、挑発中悪魔には横殴りしても少しタゲを取られるだけで、安心して経験値稼ぎができます。横殴り歓迎で」

「話を通して頂きありがとうございます。ちょっと待って下さいね」

 

 音無さんが少し席を外して聞きに行き、すぐに戻ってきた。

 

「夢野さん。初心者講習組はいません。自主訓練組はいるでしょうが、これぐらいは自力対応できないと話にならないので気にしないで下さい」

「それは良かった。で、次なんですが、初心者用エリア近辺の地図をコピーさせてもらえますか?ウッカリ迷って強いエリアに紛れ込んだら目も当てられないので」

「あーそれなら配布用がここに…」

 

 音無さんが窓口のファイルケースからA4サイズの紙を1枚を出してきた。

 

「これになります」

「ありがとうございました。これで午後から入れます」

「それじゃ夢野さん。良い狩りを」

「良い狩りを」

 

 そう音無さんから安全を願う言葉をもらい、事務局を後にした。

 

□□□□□□□□□□

 

昼過ぎ

異界入口前

 

 異界突入から30分後

 

 坂上教官、戦闘講習で私を『強め初心者用エリア』に放り込んだんじゃないかこれ。

 

 事務局でもらった初心者用エリアの、弱い所と書いてあった場所で無双した感想である。

 そんな事を思いながら、悪魔を倒した後のメイスを降ろした。

 

 この「弱い」とされた所、本当に悪魔が弱い。

 ガキとかコダマとか、弱い悪魔なのは変わらないが、半分ノンアクティブと言うか、挑発環境下でも戦闘の意思が弱い。それに魔法やスキルを使ってこない。加えて奇襲もしてこない。

 なら探知機能シキガミがヒマ…という事は無く、藪の向こうのように見えない所から接近してくる悪魔を教えてくれるので十分働いている。

 私の戦闘講習の時は、どの悪魔もこっちに敵意剥き出し。ピクシーなんかは魔法を撃ってきた。

 まぁ、ヌルい環境で悪魔を侮るような事が無いように、厳しめの所で講習をしてくれたのだから感謝だ。

 

 そう思いながら決めていた30分が経ったので一旦撤退した。

 

 その後、強め初心者エリアで、接近警報をシキガミがガンガン報告する中、休憩を挟みながらいっぱい戦闘した。

 6時間。

 

 ちょっと飛ばしすぎたかな?

 

 

*1
田中芳樹「銀河英雄伝説」内でフォーク准将が主張した帝国侵攻作戦は中身が薄いものであった事から

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