カードで運命を切り開け!バトル・ディスティニー・チェンジャー! 作:葉分
キーンコーンカーンコーン
授業終わりのチャイムが鳴る。俺は欠伸をしながら体を伸ばし、頭を掻く。今日の授業はカモ授業、後ろの席で寝てようが、スマホいじってようが、何も言われることはねえ。気ままに昼寝をかますのに最高の時間割だ。
「よお寝坊助さん、今日もセンコーがあんさんのこと言っとったで。「
「センコーのことなんて気にする必要なんかねえだろ……それよりも速水、俺の分のノートはちゃんと書いたんだろうな。」
「当たり前や。ちゃんとやっといたで。ほいっ。」
隣にいる緑髪の妙に信用ならない糸目の関西弁野郎は、
「行くぞ!『ブルー・シー・サーペント』を生贄召喚だ!」
「甘いよ!
「マジかよ!伏せそれかよ。だが、効かないねえ!
「何っ!!」
「伏せはこれで消えた。キャラクターはなし。『ブルー・シー・サーペント』の攻撃力は2400、お前の
「ぎゃー!負けたー!」
クラスの何人かがそんなやり取りをしながらカードゲームで遊んでいる。「ホビーアライアンス」が発売した最近流行りのカードゲーム「バトル・ディスティニー・チャレンジャー」通称:
「なーに遊牙。BDCに興味あるなら教えてあげよっか?」
そう話しかけてきたのは、茶髪でポニーテールの幼馴染、
「うるせー、あっち行ってろ。俺みたいなのに関わってもいい噂なんかたちゃしねえぞ。」
「そうやで、ワイみたいなイケメンでちょい悪なやつと絡んだ方がたのし……ぐぶへぇっ!なんて強烈な腹パン……遊牙はんえげつないわあ……うっ」
「な?」
「はいはいわかったわよ。ちゃんとご飯食べなさいよ。コレ、置いとくから。」
呆れたような不貞腐れたような顔してドンっと机の上に弁当箱を置いて、詩杏は教室から出て行った。
「あーあ、怒らせてもうたな遊牙はん。ええんか?詩杏はん、BDC結構強いらしいやん。教えてもらうにはええ相手何かとちゃうか?」
「お前みたいなやつと関わらせるよりかマシだ」
「酷い言い草やなおい!でもよお、羨ましいでホンマ。クラスのマドンナちゃんの詩杏はんと幼馴染だなんてなあ。なあ、胸とか揉んだことあるんか?」
「あるわけねえだろ!テメエ二発目ぶち込んでやろうか!あぁん!?」
だが、今のは流石にあれだったな……今度あいつにBDC教えてもらおう。それで仲直りは……まあ、何もしないよりかマシか。
その後、一日中話を聞いてもらえず、これ以上機嫌を損ねられてもあれだったので、俺は今度教えてもらうためにも帰りにカードショップに立ち寄ってみることにした。相も変わらずすごい人の数だ。遠目から見ていたから中の状況とか詳しくは知らなかったが、人が多いせいか匂いがキツイ。とっととカードを買って退散したい。
「な……何かお探しでしょうか……?」
そうしていると女性定員が声をかけてきた。しかも震え声だ。なんでそうよそよそしいのか……あー、そっか。俺の服装が原因だこれ。下はボンタン、上は赤いシャツの上から短ランを前開けで着て、髪は水色に染めてボサボサの短髪で襟足を纏めて垂らしている。この格好だと威圧感が出てるんだろう。話しかけちゃいけないような感じの。
「えーっと、びーでぃーしー?っての始めたいんですけど……ぱっく?ってありますか?」
確か、デッキって40枚だっけ……パックって大体5枚入りだよな?ってことは8パックか?切り悪いし10でいいか
「現在新弾の第三弾:
「それ10ください。」
「あ、はい。レジの方にどうぞ。あ、良ければケースとルールブックどぞ」
「うっす……あざっす」
会計を済ませてすぐ横の空いているプレイスペースに座ってパックを開封する。
1パック目「ハワイヤン・スライム」「大鷲の戦士」「
スライムの絵柄が中々に可愛いマスコット的な可愛さで、見た目は青い半透明のプリンのような山型で皿の上に乗ってるイラスト。大鷲の戦士は、鳥頭の侍が二本の刀でポーズを決めている。
デザインがいちいち面白いな。見てて飽きない。まあ、最初のパック出し飽きないもないか。
2パック目「朝光の剣士モーニン」「ストーン・ゴレーム」「夜光の剣士ナイト」「ハリケーン」「ティータイム」
3パック目「濃力者イエモン」「ハワイヤン・スライム」「引換券」「雷鳴の剣」「
4パック目「
5パック目「ハワイヤン・スライム」「昼光の剣士ヌーン」「シールド・マンモス」「
6パック目「引換券」「レスキュー・コール」「プチドラン」「
7パック目「死者蘇生術」「未来への希望フューチャー・ドロー」「忘我の斧」「ジャンボ・スライム・パフェ」「ストロベリー・スライム」
8パック目「博打の戦士ダイス・クラッシャー」「ストロベリー・スライム」「理想の魔術師リソーサラー」「アクア・メイジ」「フレーバーチェンジ」
9パック目「ストロベリー・スライム」「
被りこそ多いが、まあイラストがいいから許す。スライムシリーズのカードはモンスターって感じじゃなくて、どちらかと言えばグルメのような見た目なのは、
そして、最後のパックを開封して中身を確認すると奇妙なカード達が出てきた。
「は?」
10パック目「???」「???」「???」「???」「???」
カードの名前も、効果も、イラストも書かれていない。ブランクカードの5枚入り。
「あれ?エラーカードか?まあ、カードは揃ってるし……面倒だし適当に混ぜるか。」
俺はそのままその5枚のカードを混ぜてデッキを組み、そして次にルールブックを手に取り中を読み進めるが……
「情報量が多すぎるぞ……属性相性による攻撃力の上昇はまだしも、精神値……あ、メンタルって読むのか!ゆうせんけん……にチェーン?逆にここまでルールが整備されてるとなると、プレイヤー間の問題は起きないのか?いや、整備されてるからこそ起きないのか……前もって知っといてカッコつけようとか思ってたが、本格的にあいつの助力が欲しくなってきたな……」
正直、習うより慣れよって感じの量だ。今日は一旦家に帰るか。そう思い腰を上げて席を立とうとすると、肩を押さえつけられ立てない。そして、頭の上には見知った重さの圧力がかかる。
「お前、何でここにいんだよ。詩杏。」
「何でって、遊牙がカードショップに立ち寄ってるって連絡受ければ、行くに決まってんじゃん。」
「どっから情報が洩れてんだよ。」
「遊牙が会計してくれた子。私の友達。ここでバイトしてるの。」
「まあ、なんとも顔が広いこった。」
「で?遊牙、すごく難しそーにルールブックを呼んでましたけど?デュエルしないの?」
「お見通しってわけかよ……おしえてください」
「声が小さくて聞こえなーい。」
「俺にDBC教えてください!」
「はい!言質取ったー!それに初めてなら、専用機器でやった方が盛り上がるからバトルスペースに移動しましょ?」
「へいへい。」
遊牙が謎のブランクカードを入手したのを影から見ている者が1人いた。
「忌まわしき気配を感じると思い来てみれば、あのブランクカードからか。まさか向こうの世界から追手が来るとは思っていなかった……おそらく、まだ意思が宿っていない目標座標的な役割しかもっておらぬはず。今のうちに回収せねば……」
そう男が考えていると、カードの1枚がその男の前に現れる。
『ここは私があの女を操り、カードを奪取してみせましょう。』
「
『仰せのままに。』
そして、男は紫色の炎のようなオーラを発する羽と共に目の前のカードを詩杏の方へと投げると、カードは詩杏のデッキケースの中へと透けて消え、羽は詩杏の背中に刺さるとスッとその姿を消した。