カードで運命を切り開け!バトル・ディスティニー・チェンジャー! 作:葉分
俺と詩杏はバトルスペースに移動し、専用機器の前に立つ。専用機器の名前はバトルコートと言うらしい。バトルコートは、バドミントンコートくらいの広さで、台と台の間に大きな空間がある。そしてお互いが向かい合うように台の前に立ち、目の前のモニター付きの台の上にカードを広げてバトルを行うようだった。
台の上には右下にデッキを置く場所とその上に墓地と深淵が続き。キャラクターを置くための場所であるバトルゾーンが5つ。
「なあ、あれやっぱり全国ベスト10の清田詩杏だよな?何であんな不良みたいな見た目のやつとバトルしてるんだ?」
「彼氏とかじゃねえの?」
「彼氏……あるのか?いやいや、もしかしたら実力者かもしれないぜ?」
「あんな見た目でか?」
「おいそこ代われ!詩杏ちゃんはおいどんが戦うんだ!ハァハァ」
ガヤがうるさいので睨みを利かせ舌打ち。よし、黙った。
「デッキって書いてあるとこにデッキを置いて!」
「そんくらいわかるっての。」
お互いにデッキを置き終わると、バトルフィールドが起動し、光が灯る。そして俺と詩杏が立つ台がある程度辺りを見渡せる程度に上昇する。
『両者のデッキセットを確認しました。これよりバトルを開始します。初期手札となるカードをデッキの上から5枚引き、先攻後攻を決めてください。』
「先攻後攻はどうするんだ?ジャンケンでもするのか?」
「お手本を見せる形で私が先攻を貰うでいい?」
「それでいいぜ。」
「掛け声はバトル・スタートね。せーので行くわよ。せーの!」
「「バトル・スタート!」」
その宣言と共に目の前のモニターに自分と対戦相手の情報が出て来た。
[勝藤遊牙
手札:5枚
清田詩杏
手札:5枚]
「まずは、スタートステップ。デッキからカードを引いて、
「キャラクターの召喚とか
「その通り。ちゃんとルールブック読めてるじゃん。」
「煽ってんのか?」
「煽ってないわよ。感心しただけ……それじゃあキャラクターの召喚を行うわ。各プレイヤーは、それぞれ自分のターンに1度、通常召喚を行うことができる。この通常召喚できる権利を召喚権とも言うわ。キャラクターはレベルが4以下ならそのまま召喚できる。それ以上のレベルのキャラクターを出すなら、それ相応の生贄が必要になるわ。」
「つまり、レベルが高いモンスターほど召喚する難易度が高くなるのか。」
「その認識でいいわ。それじゃあ、私はレベル3のノーマルキャラクター、『フレイム・タイガー』を攻撃形態で召喚するわ!」
詩杏がカードをバトルゾーンに置くと、台と台の間の空間にカードが現れるとそのカードの中のイラストに描かれたキャラクターが姿を現した。その名前の通りに燃えあがる毛並みを持つ虎、フレイム・タイガーだ。
[フレイム・タイガー
ノーマルキャラクター
レベル3/
『グガァァァァ!!!』
フレイム・タイガーは召喚と共に雄たけびを上げ、店内にその雄たけびが木霊し、俺の体に響いて来る。まるで、実際に目の前にいるかのような迫力だ。
「これがBDCの醍醐味の一つ。カードに書かれたキャラクターが立体映像となって目の前に現れる。すごい迫力でしょ?」
「迫力十分って感じだ。雄たけびが体に響く感じもまるでリアルだ。」
「キャラクターは共通して名前、レベル、
「そこのフレイム・タイガーはノーマルキャラクターってことは効果を持たないのか。」
「その通り、それにキャラクターには形態があって、縦向きの攻撃形態、横向きの守備形態の2つの形態があるの。キャラクターを通常召喚する場合はさっき言ったいずれかの状態でバトルゾーンに出す必要があるから注意ね。それに原則、攻撃形態じゃないと攻撃できないから。そこも注意ね。」
「覚えることが多くないか」
「楽しくゲームをするには、なんだって初めにルールを覚えるところから!私は
[清田詩杏
「
「
「俺のターン、まずは……スタートステップ、だよな?ドロー!」
「そうね。ちゃんと覚えてるじゃない」
デッキの上からカードを引き、手札に加える。モニターの形態が一瞬だけ更新され、自分の手札が6枚になったことが示される。
[勝藤遊牙
手札:5→6枚
清田詩杏
手札:4枚]
「で、スタンバイフェイズ……は特にやることなし。次にメインフェイズ。」
「合ってるわ。じゃあ見せてみなさい、遊牙の最初の一手。」
と軽く顎で促される。
なんか、ちょっとだけ圧が強くないか?さっきまでの軽い調子とは違う、妙な期待みたいなものを感じる。
「えっと……まずはキャラクター、だな」
俺は自分の手札を見下ろす。レベル4以下ならそのまま出せる……だったな。そしてこれだけは理解している。キャラクターの
「俺はレベル3キャラクター、『アクア・メイジ』を召喚!攻撃形態!」
俺がカードをバトルゾーンに置いた瞬間、足元のバトルコートが淡く光り、水の粒子が空間に集まっていく。やがてそれは人の形を取り、氷の杖と青いローブを纏った魔術師。アクア・メイジが静かに姿を現した。
『……!』
[アクア・メイジ
ノーマルキャラクター
レベル3/
「そのままアタックフェイズ!アクア・メイジでフレイム・タイガーに攻撃!」
アクア・メイジが呪文のようなものを唱えると氷の杖の先に水の球体が現れると、それをフレイム・タイガーへとぶつける。しかし、その攻撃はフレイム・タイガーの炎の体毛の前に蒸発し、フレイム・タイガーの戦闘意欲を逆撫でし、フレイム・タイガーは激昂しながらアクア・メイジへと襲い掛かる。
「へえ、水属性をぶつけてきたのね。属性相性を意識した?それとも偶然?」
詩杏がわずかに口角を上げる。
「さあな。ただ、火には水ってのはわかりやすい。だから、属性相性だけは理解できた。水は火に強い。属性相性が良い相手に攻撃する時、キャラクターのパワーは500アップする!」
[アクア・メイジ
パワー:1400+500=1900
VS
フレイム・タイガー
パワー:1500]
「これでパワーは上回った!確か、攻撃形態同士の戦闘はパワーの数値が高い方が勝って、その差の数値がダメージとしてプレイヤーに発生するとか書いてあった!つまり、詩杏が受けるダメージは1900と1500のパワーの差400ポイントのダメージだ!行けえ!アクア・メイジ!スプラッシュ・マジック!」
アクア・メイジは、襲い掛かるフレイム・タイガーの攻撃を寸分のところで避けたかと思うと、手のひら魔法陣を出現させ、その魔法陣から溢れ出る大量の水をその至近距離からフレイム・タイガーに浴びせ水蒸気爆発が起き、深い水蒸気が霧のようにコートに舞う。
[清田詩杏
「確かに属性相性上不利なバトルだった。だけど、属性相性だけが駆け引きじゃないわ。」
霧の中から淡い光が漏れたかと思うと、その中から現れたのはフレイム・タイガーだった。
「んなっ!?フレイム・タイガーが戦闘破壊されていない!?たしかにダメージは通ったはずだ!」
「フレイム・タイガーに攻撃が当たる寸前に、この
フレイム・タイガーの後ろで伏せられていたカードが表側になっていた。
「
フレイム・タイガーが俺の方へと走り、空中へと舞ったかと思うとその両前脚で引っ搔いて来る。もちろん、実際にダメージがあるわけじゃないが、迫力が凄すぎて思わず身構えてしまった。
[勝藤遊牙
俺の
「っ!」
なんだ、今の衝撃は?古傷でも傷んだか?
「突っ走るのも遊牙らしいと言えば遊牙らしいけど、少しは警戒した方がいいわよ。それに召喚からすぐにアタックフェイズに移ってけど、さっきのメインフェイズで伏せカードを除去できる手段が手札にあったかもしれないわよ?」
そう言われて手札を確認してみると、『ハリケーン』というノーマル
「あ、そっか。さっき発動すればよかったのか!」
「そういうこと。BDCは知ってるかどうかでかなりプレイングに差が出るの。攻めるのが早いのはいいけど、伏せカードや発動タイミングを見落とすと、今みたいに足元をすくわれて簡単にひっくり返されるわ。」
「アタックフェイズを終了して、メインフェイズ2に移行。カードを2枚伏せてターンエンドだ。くそっ……初戦にしては手痛い洗礼だな。」
「でも、楽しいでしょ?この駆け引き」
「ん、まあ。そうだな、楽しい。」
「そう、ならここからもっと面白くなるはずよ。」
そう言いながら、詩杏は自分の手札を扇のように広げて仰ぐ。
「私のターン、スタートフェイズに入ったことで
[勝藤遊牙
手札:3枚
清田詩杏
手札:4→5枚]
「
「
「そう休憩は大事。
「へえー。」
「スタンバイフェイズは、特になし。このままメインフェイズに入るわ。クイック
[清田詩杏
現れたのは、間抜け面のダチョウだった。ダチョウは落ち着きがなくその場で走り回っているが、物凄い速さで目を回してふらついている。
[ソニック・ダチョウ
ノーマルキャラクター
レベル3/
「さあ、これで舞台は整ったわ!私はフレイム・タイガー1体を生贄としてリリース!レベル6の効果キャラクター、『火炎獣バーニング・ライオ』を生贄召喚!」