カードで運命を切り開け!バトル・ディスティニー・チェンジャー! 作:葉分
手札:3枚
バトルゾーン:『アクア・メイジ』
タクティクスゾーン:『???』『???』
清田詩杏
手札:3枚
バトルゾーン:『火炎獣バーニング・ライオ』『ソニック・ダチョウ』
タクティクスゾーン:なし]
フレイム・タイガーの姿が赤い粒子となって崩れ、空間に吸い込まれていく。その残滓が、今度は一点に集束し灼熱の渦となって炸裂した。
『グオオオオオオオオオ!!!』
炎を纏った巨大な獅子が、爆炎の中から姿を現す。たてがみは溶岩のように揺らめき、その双眸は獲物を見据える獣のそれだ。ただの映像のはずなのに、頬を撫でる空気が明らかに熱を帯びていた。
[火炎獣バーニング・ライオ
効果キャラクター
レベル6/
「これが生贄召喚……!」
「そう。レベル5~6は1体。7~9は2体。10~12は3体の生贄が必要になるわ。さらに私はイクイップ
バーニング・ライオの前脚に黄色く発光するかぎづめのようなものが装備された。
[清田詩杏
火炎獣バーニング・ライオ
パワー:2300+400=2700]
「パワー2700のキャラクター!?」
「このカードを装備したビースト族キャラクターは、パワーが300上昇する。そして、相手キャラクターを破壊した時にカード1枚ドローできるわ。私は、バーニング・ライオでアクア・メイジを攻撃!」
「属性相性が不利なキャラクターに攻撃するつもりか!?」
[火炎獣バーニング・ライオ
パワー:2700-500=2200
VS
アクア・メイジ
パワー:1400]
「確かに、BDCには属性相性が不利なキャラクターに攻撃すると、その戦闘中にパワーが500下がるルールがある。それでも強化したバーニング・ライオの方がパワーよ!」
バーニング・ライオは低く身を沈めると、次の瞬間には爆ぜるように前へ跳んだ。たてがみが燃え上がり、前脚の装備された爪が灼けた金属みたいに赤熱する。空気がひしゃげるような圧と共に、炎の獅子はアクア・メイジへ一直線に肉薄した。
「その身体を蒸発させてやるわ!バーニング・ストライク・クロー!」
アクア・メイジはとっさに杖を構え、前方に水の膜を張る。透明な壁のように揺れるそれは、炎を受け止めるはずだった。だが、バーニング・ライオの前脚がその障壁を叩いた瞬間、膜は一気に白い蒸気へと変わった。
熱と水がぶつかり、視界が真っ白に染まる。
『グオォォォガァァァ!!!!!!』
蒸気の向こうで、バーニング・ライオの咆哮が轟く。次の瞬間、灼熱の爪が水の膜を裂いてアクア・メイジの胸元へ叩き込まれた。青いローブが弾け、魔術師の身体が衝撃で後方へ弾き飛ばされ、鈍い衝撃音と共に俺の台へと叩きつけられる。
「アクア・メイジっ!」
叩きつけられた衝撃が、遅れて自分の体に返ってくる。胸の奥を鈍く殴られたような感覚が体に走る。息が一瞬だけ詰まり、肺が空気を求めて痙攣する。思わず一歩よろけ、台に手をつくと指先にじんわりとした痺れが残り、さっきまでの映像の迫力とは明らかに質の違う感覚に思考が一瞬だけ遅れる。
「……っ!」
[勝藤遊牙
今、本当にダメージがあったような……いや、映像に合わせて身体が反応しただけか。臨場感が凄いな。
「どうしたの?」
「いや……今の、ちょっと痛かったっていうか……」
「そりゃあれだけ派手にやられればそう感じるでしょ、没入感が売りなんだから」
軽く流されるその言葉に、一度は「そういうものか」と納得しかけるが、胸の奥に残る感覚が消えず、違和感だけが引っかかる。詩杏は軽く肩をすくめながらも一瞬だけ俺の胸元に視線を落とし、その目がほんのわずかに細められた気がしたがすぐにいつもの調子に戻り、バーニング・ライオのたてがみを撫でるような仕草で次の行動へと移った。
「ストライク・クローの効果でカードをドロー。そして、バーニング・ライオの効果を発動!このカードがキャラクターを破壊した場合、追加で500ポイントのダメージを与えるわ。」
その宣言と同時に、バーニング・ライオのたてがみが一層激しく燃え上がり、さっきの一撃とは別種の熱が空間を満たし始める。
「な、まだ来るのかよ……!」
「キング・バーン!」
次の瞬間、ライオの口元に集まった炎が圧縮されて弾け、灼熱の塊となって一直線にこちらへと撃ち出されると、そのまま俺の胸元へと直撃し、さっきとは違う焼けるような熱が皮膚の奥にまで食い込む感覚が走り、思わず息を飲んだ。
「……っつ!?」
[勝藤遊牙
今度ははっきりとわかった、さっきのはただの衝撃だったが、これは違う、熱い、明らかに熱いと感じる、しかも一瞬じゃない、じわじわと残る。それに何よりの証拠は、当たった個所の服の表面が微かに焦げ付いている。
「続けて、ソニック・ダチョウで遊牙にダイレクトアタック!」
詩杏が高らかに宣言すると、ソニック・ダチョウが軽やかに地面を蹴って一気に加速し、風を裂く音だけを残して俺へ迫ってくる。今ならこいつを使える!
「
次のターンに繋げるためには、場にキャラクターに残しておきたい。そうなると……コイツの効果なら!
「『ハワイヤン・スライム』を守備形態で特殊召喚!」
『ハワスラ!』
[ハワイヤン・スライム
効果キャラクター
レベル3/
「アタックフェイズに、攻撃キャラクターと攻撃目標キャラクターを宣言後、カード効果などによって攻撃目標がいなくなったり、新たなキャラクターが出現した場合、ターンプレイヤーは、攻撃目標を新たに選び直す事ができる「巻き戻し」が発生する。私は、ソニック・ダチョウでハワイヤン・スライムを攻撃!」
[ソニック・ダチョウ
パワー:1600
VS
ハワイヤン・スライム
ガード:400]
ソニック・ダチョウが残像ができるような速さで蹴りを入れようとした瞬間、ハワイヤン・スライムはぶよんと体を歪ませて衝撃を受け流そうとするが、そんな抵抗がゼリーのような体でできるはずもなく、そのまま押し潰されるように弾け飛んだ。
『ハワスラァァァ!?』
「守備形態キャラクターを戦闘で破壊しても、戦闘でダメージは発生しない。うまく躱したわね。それに下級スライムキャラクターの共通効果は破壊されても後続となる同名キャラクターを呼ぶ効果だったかしら。」
「効果把握してんのかよ。ハワイヤン・スライムが戦闘破壊された時、同名キャラクターを手札かデッキから特殊召喚できる。デッキから2体目のハワイヤン・スライムを守備形態で特殊召喚!」
1体目のハワイヤン・スライムの皿の上に穴が開くと、そこから2体目のハワイヤン・スライムが皿の上に着地する。
『ハワスララ!』
「アタックフェイズを終了、カードを2枚伏せてターンエンドよ。」
「俺のターン!」
[勝藤遊牙
手札:2→3枚
清田詩杏
手札:1枚]
引いたカードは、『ジャンボ・スライム・パフェ』か。コイツはレベル5の中級キャラクター。生贄は揃ってるが、このカードの効果を十分に生かすには、まだ時間がかかる。かと言って、あのライオン野郎を突破しない限り、毎ターン守備形態でキャラクターを召喚しても破壊と同時にダメージを受けちまう。コイツに賭けるしかない!
「スタンバイフェイズは、やることなしで飛ばしてメインフェイズに移行する。俺はノーマル
[勝藤遊牙
タクティクスゾーンに発動したハリケーンが、ハワイヤン・スライムの横を通過し、バーニング・ライオの取り囲む。そして、ストライク・クローを吹き飛ばした。
「これで、バーニング・ライオのパワーは元に戻った。」
[火炎獣バーニング・ライオ
パワー:2700-400=2300]
「さらにロング
[勝藤遊牙
「このカードを発動してから2回目の自分のメインフェイズにデッキから2枚ドローすることができる。そして、カードを1枚伏せてターンエンド!」
「随分と弱腰ね。守ってばっかじゃ状況は変わないわよ。私のターン!」
[勝藤遊牙
手札:1枚
清田詩杏
手札:1→2枚]
「そろそろ、本気で攻めに行くわ。私は、ソニック・ダチョウを生贄としてリリース!『ツイン・ガーゴイル』を攻撃形態で生贄召喚!」
[ツイン・ガーゴイル
ノーマルキャラクター
レベル6/
ソニック・ダチョウが石化したかと思うと、ソニック・ダチョウの体が崩壊しそこから這い出るように二つの頭を持った羽根つきの悪魔が飛び出してきた。
「ツイン・ガーゴイルは効果こそ持たないけど、上級キャラクターに匹敵するステータスを持つ。本当だったら頭数を増やして殴り切るつもりだったけど、生憎手札に下級キャラクターはいないし、上からゴリ押すわ!アタックフェイズ!バーニング・ライオでハワイヤン・スライムに攻撃!」
[火炎獣バーニング・ライオ
パワー:2700-500=2200
VS
ハワイヤン・スライム
ガード:400]
『ハワッ!?』
バーニング・ライオが舌なめずりをしながらハワイヤン・スライムに近づくと、そのままガブッと齧り付き美味しく頂いた。
「バーニング・ライオの効果!相手キャラクターを破壊した時、相手に500のダメージを与える!キング・バーン!」
「こっちもハワイヤン・スライムの効果!戦闘で破壊された時、同名キャラクターをデッキから特殊召喚する!」
『ハワスラララ!!』
再び、皿の上に3体目のハワイヤン・スライムが着地する。そしてその真上をゲップでもするかのように放たれたバーニング・ライオの火球が俺へと直撃する。
[勝藤遊牙
「……っつ!」
やっぱり、ダメージが実体化してる。それも回数を重ねるごとにハッキリとしてきてやがる。詩杏はそのことに気付いているのか?
「これで3体目、手札・デッキのハワイヤン・スライムの在庫は切れたわね。ツイン・ガーゴイルでハワイヤン・スライムを攻撃!ダーク・ツイン・バイト!」
双頭の石像が羽ばたきながら空中から急降下し、二つの顎が同時に噛み砕こうとする瞬間
「そうはいかない!クイック
[勝藤遊牙
「このカードは、自分フィールドに存在するレベル4以下のグルメ族キャラクター1体を対象に発動できる。対象となったキャラクターを破壊し、破壊したキャラクターとは別の
『ハワイーヤッ!』
空中に広がった穴にハワイヤン・スライムが自ら弾けて吸い込まれるように飛び込むと、そこからイチゴのように赤い色をしたストロベリー・スライムがハワイヤン・スライムの皿の上へと着地し、甘い匂いを思わせる赤い粒子を散らしながら、ぴょこんと弾んだ。
『イチーゴッ!イチゴッ!?』
[ツイン・ガーゴイル
パワー:2500+500
VS
ストロベリー・スライム
ガード:400]
ストロベリーなのにイチゴって鳴き声を発したその直後に、バクバクとストロベリー・スライムはツイン・ガーゴイルに食われた。
「ストロベリー・スライムもハワイヤン・スライムと同じ効果を持つ。来い!ストロベリー・スライム!」
『イッチゴ!』
「守ってばかりだと勝つこともできないわよ。私はこれでターンエンド。」
「お前は、本当に詩杏なのか?」
「何を言ってるの?私は、清田詩杏よ?それにさっきから遊牙変よ?」
詩杏は首を傾げるが、その表情はあくまで自然で、けれどほんの僅かに観察するような視線が混ざっているのを俺は見逃さなかった。
「おかしいぞこれ。こんな服が焼けるようなリアルさ。普通に考えておかしいぞ。」
「リアルなのが売りって言ったでしょ?それとも、衝撃とかで酔っちゃった?」
「はぐらかしてるのか、詩杏。」
「何をはぐらかす必要があるの?私は昔からゲームには本気なの。知ってるでしょ?」
「ああ、そうだった。お前は昔からゲームに本気だった。レースでは一位を独走され、格闘ゲームじゃコンボでハメ技を決められてボコされ、オセロや将棋なんかは簡単に詰み状況にして来やがった。」
「それと今の状況が何をそう私じゃないと決めつける要因になるのかしら?」
「でも、お前は楽しそうだった。純粋にゲームを楽しんでるからこその強さがあった。隣で遊んでた俺が一番よく知ってる……!今のお前は目すら笑ってねえ!初心者相手だからだとか関係無しに、お前は純粋にBDCを!遊び楽しんでねえ!」