カードで運命を切り開け!バトル・ディスティニー・チェンジャー! 作:葉分
手札:1枚
バトルゾーン:『ストロベリー・スライム』
タクティクスゾーン:『???』
清田詩杏?
手札:1枚
バトルゾーン:『火炎獣バーニング・ライオ』『ツイン・ガーゴイル』
タクティクスゾーン:『???』『???』]
「フッフハハハ!!良き観察眼を持っているな人間。」
詩杏の口元が不気味に歪んだ瞬間、その声には重なるように低く濁った男の声が響き、バトルコートの光がわずかに揺らぐと同時に詩杏の全身を薄紫の羽のようなオーラが包み込み、やがてその瞳が血のように赤く発光してこちらを射抜いた。
「テメエは誰だ!詩杏に何をしやがった!」
「そう熱くなるな人間。いや、勝藤遊牙。」
名を呼ばれた瞬間、背筋に氷を流し込まれたような悪寒が走り、目の前の詩杏だったものがゆっくりと首を傾げると、その動きに合わせて紫のオーラがまるで首のない騎士のような形となり詩杏に覆いかぶさる。
「私の名は
「
一瞬くだらない冗談だと切り捨てようとした思考は、次の瞬間には目の前の存在から溢れ出す圧倒的なに威圧感に塗り潰され、呼吸をするだけで肺の奥に黒い霧を吸い込んでいるような感覚に襲われながら、これは人間じゃないと本能が警鐘を鳴らす。
「私は貴様のデッキに用があるのだ。」
「俺デッキに……?」
「そうだ。貴様のデッキに眠る5枚のブランクカード。それを回収しに来たのだ。」
あの10パック目に出たカードを狙ってるのか?と頭の中で嫌な予感が膨らむが、それと同時に、なぜそれを知っているのかという疑問がまとわりついて離れない。いや、だとしても何でコイツはそのカードを狙うんだ?
「それを回収してどうするつもりだ。」
「無論処分する。あのカードは、この世界にあってはならぬカードだ。今すぐサレンダーしろ。そうしてカードを渡せば、この小娘の命は助けてやろう。」
「もし、降参しなかったらどうする。」
あえて一歩も引かずに問い返すと、紫のオーラがわずかに揺らぎ、その奥で赤い瞳が細められたように見えた。
「無論力づくだ。貴様も気付いている通り、このバトルで発生するダメージの現実のものとなる。
「そうか、ならバトルは続行する。サレンダーはしない!」
「なぜだ?なぜサレンダーしない?サレンダーをすれば、貴様の命もこの小娘の命を助けることができるのだぞ?」
「このバトルで
胸の奥に溜まっていた怒りが一気に噴き出し、恐怖を押し潰すように全身を巡る。
「そうか、ならばこれよりこの場は決闘の場となる。ギャラリーなど不要!この場には決闘する者だけが残ればいい。リバースカードオープン!
次の瞬間、バーニング・ライオの体内で炎が異常な密度で収束し始め、心臓の鼓動のように脈打ったかと思うと臨界を迎えて爆ぜ、衝撃波と共に灼熱の爆炎がコート全体を飲み込み、俺だけじゃなく、観客席にまで熱風と破片が叩きつけられる。
[勝藤遊牙
「ぐっぁぁぁぁぁぁ!!!」
熱く、痛く、息苦しい。その三つの感覚が同時に襲いかかり、全身の神経を無理やり引き裂かれるような苦痛が走る。
「やばいぞこれ!?」
「逃げるぞ!!!」
悲鳴と怒号が入り混じる中で天井の照明が弾け飛び、店内のガラスが連鎖的に砕け散り、逃げ惑う人々が出口へ殺到して将棋倒し寸前の混乱が起こり、スタッフの制止もかき消されるほどのパニックが広がり、やがて誰もが命の危険を感じて我先にと店外へと逃げ出していく。
「はぁ、はぁ、ぐっ……!テメエ、何しやがる!」
俺はなんとか飛びそうな意識を繋ぎ止めながら顔を上げ、俺は野郎を睨みつける。
「場を整えてやったまでのことだ。フレイミング・バーストの効果は、自分フィールドの
「場を整えるだと、関係ないやつまで巻き込んでんじゃねえ!俺のターン!」
[勝藤遊牙
手札:1→2枚
手札:1枚]
呼吸が荒い、それでも手は止められない、ここで止まれば終わると直感が叫んでいるのがわかる。
「俺はストロベリー・スライムを生贄としてリリース!『ジャンボ・スライム・パフェ』を生贄召喚!」
ストロベリー・スライムを真上に巨大な影が現れると、ストロベリー・スライムを押しつぶすようにパフェの容器に入れられた巨大な無色透明のスライムがどろりと姿を現した。
『ジャンボー!』
[ジャンボ・スライム・パフェ
効果キャラクター
レベル6/
「コイツは自分の墓地の「スライム」キャラクターの数×300ポイントパワーとガードを上げる効果を持つ。俺の墓地にはハワイヤン3体とストロベリー2体の合計5体のスライムがいる。よって1500、ステータスが上昇する!」
[ジャンボ・スライム・パフェ
パワー:1300+1500=2800
ガード:700+1500=2200]
無色透明だった体が3つのハワイヤンブルーと2つストロベリーレッドの水玉模様に染まり、その巨体をさらに膨張させる。
『ジャンーボ!!!!!』
「これで、パワーがフレイム・タイガーを上回った!行け!ジャンボ・スライム・パフェ!フレイム・タイガーを押しつぶせ!」
[ジャンボ・スライム・パフェ
パワー:2800+500=3300
VS
フレイム・タイガー
パワー:1600]
ジャンボ・スライム・パフェが弾み宙を舞い、フレイム・タイガーを押しつぶす。フレイム・タイガーはその重圧に耐えきれず、その火を散らした。そして、
[
これで、少しはダメージを与えることはできた。だが、
「俺は、カード伏せ。これでターンエンド。」
それに加えて、アイツの場には伏せカードが1枚。さっきのジャンボ・スライム・パフェの攻撃に対して発動しなかったから、迎撃用のカードではないことは確か。
「どうした。顔が強張んでいるぞ?」
「うるせえ!とっととカードを引きやがれ!」
「死に急ぎたいのなら、すぐに楽にしてやる。私のターン!ドロー!」
[勝藤遊牙
手札:0枚
手札:1→2枚]
「フッフハハハ!来たか!」
笑ってやがる。アイツ、何のカードを引きやがったんだ?
「リバースカードオープン!
「まさか、ツイン・ガーゴイルを自ら手放すのか!?」
「そして、リリースしたキャラクターのレベルの合計と同じになるようにデッキからネクロ族とウォリアー族のキャラクターを特殊召喚できる。来い、『闇の番兵』!『ネクロ・グール』!」
ツイン・ガーゴイルが悲鳴を上げながらその身を崩すと六つの星へと別れる。そして、その星を触媒にするように、黒い鎧を着た男と腐食した皮膚を持つグールが姿を現した。
[ネクロ・グール
効果キャラクター
レベル3/
[闇の番兵
ノーマルキャラクター
レベル3/
「この効果で特殊召喚したキャラクターは生贄召喚のためにリリースすることはできず、効果も無効化される。」
「強力なキャラクターをわざわざリリースして壁を増やしたってのか……?それに効果は無効化され、生贄召喚のためのリリースにも使えないんじゃ、本当にただの壁として出したのか??」
「どうやら、貴様は知らんらしいな。生贄召喚以外の召喚法を。」
「何っ!?生贄召喚以外にも召喚法があるのか!?」
「見せてやろう、我が姿を!私は、闇の番兵とネクロ・グールを重ね、このカードに進化させる!」
闇の番兵とネクロ・グールの頭上に1枚のカードが現れると、2体のキャラクターを取り込むように黒い腕で拘束してカードの中へと引きづり込む。
「首を失い、なお彷徨う呪われし騎士よ!彼の下に生贄は揃い、この地に斬首の恐怖を満たせ!進化召喚!現れよ『
そしてその後、カードから1体のキャラクターが姿を現す。それは漆黒の鎧と大剣を身に付け、首のない黒馬に乗った首無しの騎士。目の前の詩杏に覆い被さったオーラの正体だった。
[
進化・効果キャラクター
レベル7/
「これが、テメエの正体……!」
「だから言っただろう。私は
『ス……スララ……』
[ジャンボ・スライム・パフェ
パワー:2800-800=2000]
「これでジャンボ・スライム・パフェのパワーは2000。そして、属性相性込みで私のパワーは3100まで上昇し、その差は1100ポイント。貴様の残り
「言ってろ。」
「死を前にして碌な言葉も出ないらしいな。アタックフェイズ!ジャンボ・スライム・パフェに攻撃!ジェノサイド・ネッカー!」
ジャンボ・スライム・パフェの首に当たる位置を
「さあ、これで終わり……キャラクターか盤面から消えぬだと!?」
爆発による煙幕が消えた時、俺の場にリサイクルマークが描かれた巨大な壺が横たわる。
「残念だったな。首無し野郎。俺はこのキープ
「何だと……!?」
「コイツは、相手キャラクターによって発生した戦闘ダメージを受ける時、自分の墓地のカードを任意の枚数デッキに戻し、こうしてデッキ戻ったカードの枚数1枚につき200ポイント、自分が受ける戦闘ダメージを減らすことができる。俺はその効果で、墓地のスライム5体とフレーバーチェンジ、合計6枚をデッキに戻して戦闘ダメージを0にしたのさ。」
「貴様、本当に初心者か!?」
「言ったろ、前から詩杏にゲームにボコられたこと。俺はただ負け続けた訳じゃない。アイツに勝ちたいって思って何度も再戦してんだ。ゲームの腕前なら、アイツには負けるがそこらの族に負けるほど弱くねえ。例え、初めて遊ぶゲームだってな。」
「だが、まあいい。私の攻撃はまだ続く。」
攻撃を終えたはずの
「何を言ってやがる!?キャラクターは1ターンに1度しか攻撃宣言を行えないはずじゃ!?」
「この私、
「おいおい、まだ1枚だけ残ってるぜ。俺の場にカードが1枚!」
「最初のターンから伏せていたカードか。ふっ、ハッタリだな!この状況を最初から予測でもしていない限り、そんなことはありえない!」
「首が無いから能無しってわけじゃないんだろうが、少しは学習しろ。」
「まさか……」
「その通りだマヌケ!カウンター
「本当だったら直接攻撃とかのタイミングで使ったが、二回攻撃まで予想外だったぜ、
「くっ……おのれぇ……ターンエンド!」