カードで運命を切り開け!バトル・ディスティニー・チェンジャー! 作:葉分
手札:0枚
手札:1枚]
「
「何を言っている!貴様の手札はスタートフェイズのドローで1枚、フィールドにはキープ
「忘れたのか、俺が発動した未来への希望を!俺のターン!」
言葉を叩きつけた瞬間、まるで応えるかのようにデッキが淡い光を放ち始め、その輝きは次第に強さを増していき、まるで中に何かが脈動しているかのように脈打ちながら俺の視界を照らす。俺はその光に導かれるようにデッキの上からカードを1枚ドローする。
[勝藤遊牙
手札:0→1枚
手札:1枚]
「スタンバイフェイズにリサイクルポッドの第二の効果を発動!墓地のカード5枚を選択してデッキに戻してシャッフル。その後にリサイクルポッドを破壊して、2枚ドロー!そして、未来への希望フューチャー・ドローの効果でさらに2枚のカードをドローする!」
言葉と同時にフィールドのリサイクルポッドが鈍い音を立ててひび割れ、内部に溜め込まれていた光が一気に溢れ出すと、それは俺のデッキへと吸い込まれるように戻っていき、次の瞬間にはデッキが再び強く輝いて新たな可能性を吐き出すようにカードを差し出してくる。
「その忌まわしき輝きを放つそのカード……!まさか、この局面で引き当てたとでも言うのか勇者のカードを!?」
「俺はこのキャラクターを召喚する!来い!『勇者フィリオ』!」
直感からその名前を叫び、ブランクカードを1枚、バトルゾーンに置く。そうするとコートの上に裂けめのようなものが現れると、そこから一人が着地する。
「勇者フィリオ、ここに見参!」
凛々しい顔立ちの金髪のシュートヘア、青と黄色の布にチェストプレートなどの銀色の鎧が混じった服、背中には赤いマント、手にはおそらく鉄製の剣と盾を持った。誰しもがその見た目を見て勇者と想起する勇者らしい勇者が俺の前に現れた。
「お前が……勇者……」
「すまない、遅くなってしまったね。カトウユウガ君。君の勇姿、確かに見せてもらったよ。ここからは僕が力を貸そう。」
「勇者フィリオ……まさか本当に追って来るとは!だが、何だそのちんけなステータスは、フッハハハ!」
[勇者フィリオ
ノーマルキャラクター
レベル4/
「レベル4にしては低いステータスに加え、効果を持たず、属性相性が存在しない
「笑っていられるのも今の内だ!魔凰軍配下、
「お、おう!イクイップ
[勝藤遊牙
カードを叩きつけるように発動すると、光の粒子が収束してフィリオの手に新たな剣が現れ、その刃から放たれる輝きが空気を震わせる。
「勇者の剣はメインフェイズ1に勇者のパワーを300ポイントアップさせる!」
ブレイブ・ブレイドの光がさらに輝きを放つ。
[勇者フィリオ
パワー:1500+300=1800]
「さらにノーマル
[勝藤遊牙
[勇者フィリオ
パワー:1800+1000=2800
ガード:1400+1000=2400]
「さらに、クイック
[勝藤遊牙
[勇者フィリオ
ガード:2400÷2=1200
パワー:2800+1200=4000]
「パワー4000だと!?」
「アタックフェイズ!勇者フィリオで
「まだだ!手札の『
勝利を確信したはずのその声が途中で途切れ、次の瞬間には奴の身体が見えない力に縛られたかのように硬直するのを、俺は確かに目の前で見た。
「遊牙!こいつは、私が抑え込んでる!今のうちに!」
その声は確かに詩杏のもので、紫のオーラの内側から絞り出されるように響き、その一瞬だけ赤く染まっていた瞳の奥に、見慣れた光が戻っているのが見えた。
「詩杏!」
「小娘……なぜ!動ける!魔凰様の呪縛は万全なはず!いや、もしや貴様、最初から抵抗していたな!」
「遊牙早く!」
その一言で迷いは完全に消え去り、俺は残された一撃にすべてを込める。
「勇者フィリオで
フィリオが一歩踏み込み、床を砕くほどの踏み込みと同時に加速し、その軌道に沿って空気が裂け、剣に集まった光が一直線に収束していく。
「「ブレイブ・スラッシュ!」」
振り抜かれた一撃は迷いなく
[
勝敗が決したことで立体映像が消え、バトルコートの電源が消える。
「馬鹿な……この私が……勇者ごときに……」
崩れ落ちていく闇の中で、かすれるような声が響き、その輪郭は徐々に霧散していきながらも、最後にこちらへと向けられた気配だけが強く残る。
「次こそは……かなら……ず……」
その言葉を最後に消滅するように
「詩杏……!」
「うっ……遊牙……!」
ふらつく足で台から降りて駆け寄ると、フィリオが詩杏を支えるように抱えているのが見え、その光景に一瞬だけ現実感が揺らぐ。
「お前……なんで消えてないんだ!?」
「今はここを離れるのが先だ、この建物、もう限界だ。」
言われて初めて周囲を見渡すと、天井の一部が崩れ落ち、あちこちから火の手が上がり、焦げた匂いと煙が視界を覆い始めているのがわかる。
「わ、わかった!」
俺は歯を食いしばりながら立ち上がり、フィリオと共に詩杏を支えながら出口へと向かって走り出し、崩れかけた床や落ちてくる破片を避けながら必死に足を動かし続けると、背後で柱が崩れ落ちる轟音が響き、その振動が背中を押すように伝わってきて思わず振り返りそうになるが、今は立ち止まるわけにはいかないと自分に言い聞かせながら前だけを見て走り続ける。
ようやく外へ飛び出した瞬間、冷たい夜風が火照った身体を叩き、肺に流れ込んだ空気がやけに鮮明に感じられ、その場で膝をつきそうになるのを堪えながら振り返ると、さっきまでいた店は黒煙を上げながら炎に包まれており、さっきまでの戦いが現実だったことを否応なく突きつけてくる。
「……終わった、のか?……マジで何だったんだ……はぁはぁ……」
思わず漏れたその言葉に、隣でフィリオがわずかに首を振る。
「いや、始まったんだ、ユウガ君。今のはほんの序章に過ぎない。」
その言葉の意味を考える余裕もなく、俺はただ詩杏の無事を確かめるようにその顔を見つめ、かすかに上下する胸の動きに安堵しながらも、胸の奥に残った不安が消えないことを自覚する。
俺はもう後戻りできないところまで来てしまったのかもしれない。