おっさんキヴォトスに行く   作:無い頭のおっさん

10 / 47
さて、本格的におっさんの企業を動かしていくか

契約内容の一部改定


おっさん大企業と契約する

アビドス生徒会とのお茶会から遡って二か月程前

 

 

ローブを脱ぎ、スーツに身を包んだおっさんは現在賞金稼ぎとは別の収入源を得るための業務契約をする為にとある大企業の元に訪れていた

 

 

「祈願屋の七篠アンラです。本日は宜しくお願いします」

そう言うとおっさんは懐から名刺を取り出して差し出した

 

「カイザーローンの商業取引窓口を担ってるフシカツです。」

相手のロボットは自分の名刺をおっさんの名刺の上に来るように差し出してきた

そう、上に来るように、わざと

 

その後互いが名刺を受け取り商談が始まった

 

「いやーこんな新興企業との商取引に応じてくださり、ありがとうございます」

 

「いえいえ、同じアビドスで開業している同志ですから、今後とも良くしていきたいですしね」

 

少しの雑談を挟んだ後、おっさんはプレゼンを開始する

 

「この度御社に訪問させて頂いた用件は御社保有のアビドス地区についてなのですが、

現状のまま維持される場合の非効率とリスクについては既にご認識かと思います。

倒壊寸前の建造物、放置資産、管理不在いずれもコストが掛かりうる要因であり、

同時に各方面からの調査や介入の口実にもなり得ます。

弊社ではこれらを一括で処理し、管理・整理・再開発までを包括的に引き受ける用意があります。

御社側の追加負担は最小限で、現状の問題のみを切り離す形になります。

ご判断としてはシンプルかと思います。

現状維持でコストを払い続けるか、弊社に任せて整理するか。

契約条件については御社に不利にならない形でご提示いたしますので、一度ご確認いただければ、判断は難しくないかと。」

 

「提案自体は理解しました。

ただし、我々としては当該地区に大きなコストを割く意図はなく、

御社が主導するのであれば、費用負担は極力そちらで持ってもらう形になると思います。

その上で利益が見込めるのであれば、社内での確認は必要になりますが、

検討の余地はあるでしょう。」

 

「承知しております。御社としても不要なコストは避けたいというご判断は当然かと、

その点につきましては、初期費用および運用コストの大部分は弊社側で負担する想定でおります。

ただしその前提として、現場の管理および運用については、

一定の裁量を弊社にお任せいただく必要がございまして、中途半端な権限のままでは、

かえってコスト増やリスク増大に繋がりかねません。

その方が御社にとっても、結果として負担を減らす形になるかと思います。」

 

「具体的には、どの範囲までの管理を想定していますか?」

 

「現時点では、安全管理および立入管理、既存構造物の処理に関わる範囲を想定しております。

加えて、作業効率の観点から最低限の設備設置と、それに伴う運用判断についても一任いただければと考えております。

いずれも現場単位で完結する範囲ですので、御社の経営判断に影響するものではございません」

 

「随分と広いですね。

そこまでの裁量を外部に委ねる理由としては弱いと思います。

リスクはこちらが負う形になるが、その点はどう考えていますか?」

 

「ご懸念はもっともかと存じます。

ただ、現場単位の判断を逐一御社へ上げる形にした場合、対応の遅延によってかえってコストの増加に繋がる可能性が高くなります。

そのため、責任の所在を明確にする意味でも一定の裁量を弊社側に集約した方が合理的かと判断しております。

なお、その範囲における運用リスクにつきましては、基本的に弊社側で負担する想定です」

 

「・・・リスクをそちらで持つ、と。

では仮に想定外の損失が発生した場合はどうするご予定で?」

 

「規模にもよりますが、原則として弊社側で対応いたします。

ただし、継続的な対応が必要となる場合には、一時的な立替や調整のため、別途ご相談させていただく可能性はございます。

もっとも、そのような事態にならないよう設計する前提ですが」

 

おっさんは何でもないことのように付け加えた。

 

 

 

「また、御社側の懸念点については事前に整理した上で、契約内容にも反映させていただくつもりです。

不確定要素を極力排した形でご提示いたしますので、社内でのご判断にも支障は出にくいかと」

 

ロボットはわずかに間を置いた。

 

「……なるほど。そこまで整理されているのであれば、判断材料としては十分かもしれません。

本件については一度社内で共有させていただきます。

条件面の精査は必要になりますが、現時点では検討の余地はあると考えています」

 

おっさんは小さく頷いた

 

「ありがとうございます。

では、具体的な契約条件および初期計画について、資料をお持ちしておりますので」

 

そう言っておっさんは鞄から書類を取り出す。

 

「ご確認いただき、不明点があればその場で調整も可能です。

基本的には管理委託および開発協力を軸に、一部費用については一時的な立替処理を前提とした構成になっております」

 

 

おっさんが差し出した資料に、ロボットは視線を落とす

 

数枚めくり、要点だけを拾うように確認していく

 

「……管理委託契約および開発協力契約、ですか」

 

「はい。現場の整理と並行して、段階的に再開発を進める想定です」

 

ロボットはさらにページを進める

 

紙面には簡潔に条項が並んでいた

 

『第2条(対象範囲)

本契約の対象は、カイザーコーポレーションが現に保有するアビドス地区内の不動産資産および付随設備一式とする』

 

ロボットの指が一瞬だけ止まるが、すぐに次の行へと移る

 

「費用については……初期段階は御社側で負担、ですか」

 

「ええ。その分、運用面での裁量をいただく形になります」

 

ページがめくられる

 

『第5条(管理権限)

対象範囲における日常的な管理、保全、解体、再整備およびそれに付随する判断は、原則として受託者に一任されるものとする』

 

「……一任、ですか」

 

「現場単位での迅速な対応を前提としておりますので」

 

さらに視線が滑る

 

『第7条(費用および立替)

受託者は、業務遂行上必要と判断した費用について、一時的にこれを立替負担することができる

当該費用は、別途定める条件に基づき精算されるものとする』

 

「立替処理……」

 

「想定外の対応に備えたものです。通常は大きく動くものではありません」

 

『第9条(担保)

前条に基づく未精算債務が1ヶ月間継続した場合、委託者は対象資産の一部について担保設定を行うことに同意する』

 

ロボットは数秒、無言で資料を見つめた

 

「……なるほど」

 

小さくそう呟き、ページを閉じ息を吐くように呟く

 

「……ここまで整理されていれば、社内での判断材料としては十分かもしれません」

 

「ありがとうございます。御社のご確認を経た上で、必要に応じて調整も可能です」

 

おっさんは軽く微笑むように頷いた

 

「条件面の精査は必要ですが、現時点では検討の余地はあると考えています」

 

ロボットは資料を閉じ、机の上に丁寧に置いた

 

「それでは……一度、社内で共有させていただきます」

 

言葉の端に少しだけ慎重さが混ざる。

中間管理職として、上層部への説明責任を意識しているのだろう。

 

おっさんは静かに頷き、余計な圧力をかけずに立ち上がる

 

 

 

「承知しました。何かご質問や不明点があれば、いつでもご連絡ください」

 

ロボットは視線をおっさんに戻し、少し間を置いてから言った

 

「……では、今後の進捗については追って報告をお願いします」

 

「かしこまりました。それでは失礼いたします」

 

おっさんは軽く会釈し、静かに部屋を後にした

扉が閉まると同時に、資料の中の条項や数字が、今後の展開を密かに支配することになる

 

 

カイザーローンから出てきたおっさんは、ふと微笑むと、底知れぬ悪意が顔の端々に滲んでいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カイザーローンとの契約から一か月後、おっさんは再びカイザーローンの窓口を訪れていた

 

 

 

 

鞄から一通の厚手の封筒を取り出し、机の上に置く

 

「祈願屋の七篠アンラです。本日は初期費用の精算について、書類をお持ちいたしました」

 

契約時担当していたロボットは軽く視線を落とす

 

「……初期費用、ですか」

 

「はい。契約時に合意いただいた通り、アビドス地区の整理・管理・再開発のために必要な初期投資分の請求となります」

 

おっさんは封筒を押さえつつ淡々と言う。

 

 

 

封筒を開くと、中には明細が並んでいた

人件費、設備費、解体費、保険、予備費……

 

「合計は5億円となります。段階的な管理および準備の費用として、御社側で精算をお願いできればと思います」

 

ロボットは書類を一瞥して頷いた

 

「……社内で確認の上、対応させていただきます」

 

「ありがとうございます。必要であれば、細部についての説明もその場で可能です」

 

おっさんは封筒を軽く指で押さえ、書類の整理をしながら付け加えた

 

「この請求は契約上の初期段階分です。

今後は運用状況に応じて段階的に精算していく形になります」

 

ロボットは書類を受け取り、社内確認用に持ち帰る準備を始めた

 

 

 

 

 

おっさんは静かに頷き、次の予定へ向けて立ち上がった

 

 




土地契約とか業務契約とか結構学んだよ・・・このお話為だけに・・・
後営業時のやり取りを参考にしたからちょっと文章が他の話と比べて違うかもしれない・・・
今後微修正入れる可能性有



まぁとりあえず前回アビドス生徒会とお茶会していたアンラが何処から収入を得ているか、これで判りましたね。
ちなみにカイザーから吸った資金とアビドスに入金した資金が乖離しているのは、
そもそも今回のカイザーとの事業はアビドスとの契約によって行っている事業ではなく、おっさんの会社が独自でやっている事業なんです。
なのでアビドスとの契約で依頼されている事業は別個にあります。
ここで詳細を言うと初期にアビドスにお金を渡した時の資産を使ってお金を転がしてます。
ですがぶっちゃけ1億ちょっと程度の資金で毎月数千万クラスは稼げません。
そこでこの事業が出てきます。
この事業で自社の毎月の利益をちょっと調節してその分の20%をアビドスからの依頼された事業の利益に上乗せする形でごちゃ混ぜにして振り込んでいます。
まぁなので、アビドス側は入金された総合の金額は判るのですがその金額の中身が判ってませんし、お金を転がすなんて事した事も無い学生だと「へーこんなに稼げるんだ凄いなー」くらいにしか思ってません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。