おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
なんで閑話だけでトータル6万字以上書いてんだ・・・?w
【アラバリゾート・臨時オペレーションルーム】
戦闘が終わった
正確には――一旦、終わった
それが一番正しい表現だった
私はイオリ、チナツと共に、なんとか浜辺での騒ぎを収拾し、
臨時オペレーションルームへと戻ってきていた
「とりあえず片付いたけれど・・・」
イオリが疲れ切った声で呟く
「スケバンの方もヘルメット団の方も、どうやらまだ、ただの先発隊みたいだね。」
「"あの数で先発隊・・・?"」
思わず聞き返す
「はい。」
チナツが頷いた
「先ほどのは、ただの前哨戦のようです。」
「4時間後の本格的な全面戦争では、アレとは比べ物にならない数が集まるみたいでして・・・」
「"・・・・・・"」
私は思わず黙り込む
あれで前哨戦、次はあれ以上の数・・・
ヒナの休暇は一体、どこへ向かっているんだろう
「本格的に衝突した時に少しでも戦況を有利にするために、」
「地雷とか罠をしかけようとしてたんだと思う。」
イオリが説明する
「それで、お互い同じ事を考えて、鉢合わせ・・・って所かな。」
「全く、やはり平和にはすみませんでしたね・・・」
チナツが深いため息を吐いた
「っていうかアコちゃん!」
イオリが突然、ここにはいないアコへ向けて文句を言い始める
「全然話が違うじゃん!」
「閑静な場所って言ってたのに!」
「今居ない行政官に文句を言っても仕方ありません。」
チナツが淡々と返す
「ここも一応ゲヘナの自治区ですし、とにかく対処せざるをえないでしょう。」
「ただ、かなり規模が大きくなりそうですし・・・」
少し考え
「これは流石に委員長に報告した方が良いのでは・・・?」
「"うーん・・・"」
私は頭を抱えた
「"それだと、せっかくのヒナの休暇が・・・"」
「まぁ、それはそうだけどさ・・・」
イオリも渋々頷く
「あの規模が前哨戦だとすると、普通にマズい。」
「アコちゃんも手間取ってるみたいだし・・・」
「"でもでも。"」
私は何とか別の理由を探す
そして
「"せっかくイオリが、水着まで着てくれたのに!!"」
「今はそれは関係ないだろ!?」
イオリが顔を真っ赤にする
その時だった
「こうなっては仕方ありません。」
チナツが通信機へ手を伸ばす
「では委員長に連絡を――」
『待ってください!!!』
「「「"!?"」」」
突然、オペレーションルームに置かれていた通信機のホログラムが起動した
そこに映し出されたのは――
「アコちゃん!?」
『よりにもよって最悪のタイミングで万魔殿の横やりが入りましたが・・・!』
アコだった
『ここで諦める私ではありません。』
『こうして委員長を海までお連れすることが出来たのに、』
『たかがこれしきの障害でチャンスを逃してなるものですか!!』
「"・・・・・・"」
私は思わず苦笑する
やっぱりアコはアコだった
『アラバ海岸に集まっているスケバンとヘルメット団については、』
『情報部に調査をしてもらいました。』
『既にまとめてありますので、関連資料をデータで送ります。』
「行政官、いつも以上に仕事が速いですね・・・」
チナツが感心する
『まずはスケバンの方ですが。』
アコの後ろに資料が展開される
『自称スケバン集団【破茶滅茶】と名乗るグループでして、』
『そこの海岸区域には最近になってやってきたようです。』
『どうやら1ヶ月ほど前に別の海岸地区で色々とあった結果、』
『勢力争いに敗北してしまい、そこへ流れ着いたという経緯のようですね。』
次々と資料が切り替わる
『そしてもう片方は、【びしょびしょヘルメット団】。』
『以前からずっとホテル近くのスラム街に拠点を構えていた、海辺の問題児集団です。』
『既にどちらも、勢力の規模と装備レベル、数などは全て把握済みです。』
アコが一度、言葉を止める
『その上で、結論から申し上げましょう。』
「"・・・・・・"」
何故だろうか、アコの顔がやたら真剣だった
私は思わず、生唾を飲み込む
そして
『作戦は続行。』
『委員長には報告せず、私達だけで解決します!』
「それ、本当に大丈夫か・・・?」
イオリが不安そうに呟く
「多分、相当無茶すれば・・・のお話だと思いますが・・・」
チナツも小声で付け加える
『スケジュール通りに働いてくだされば、』
『ヒナ委員長が外に出るのは4時間後の歩行訓練から』
『そして全面戦争が予定されているのもまた4時間後』
『そこに焦点を合わせて準備するのではなく――』
アコの目が鋭くなる
『その前にスケバン集団【破茶滅茶】並びに【びしょびしょヘルメット団】を撃破します!』
「つまり、全面戦争が始まる前に各個撃破してしまおう、と」
チナツが確認する
『その通りです!』
「まぁ、確かにその方がまだ勝率はあると思うけど・・・」
イオリが腕を組む
「私達だけで本当に大丈夫?」
『大丈夫?』
アコが言葉を繰り返す
そして
『大丈夫ではありません。』
一拍
『大丈夫にするのです!』
「・・・・・・」
『そうしないと、キヴォトスが滅ぶんですよ!?』
「だから大げさだって・・・」
イオリが呆れる
「まぁ、頑張ってみるけどさ。」
『では、イオリはスケバンの方をお願いしますね』
『チナツはスラム街のヘルメット団の方を』
『それぞれ、ホテルで待機中の風紀委員達を2つに分けて対応してください。』
『そしてその間、先生は委員長のお相手を』
「"うん、了解。"」
『つまり、私達の目指す事には変わりありません!』
アコが力強く言い切る
『まず今は委員長を部屋から出さない様に!』
『その為にも、絶対にこの騒動を気づかせてはなりません。』
『勘付いてしまったら、委員長はまたきっと働かれてしまうはずです!』
そして
『さあ、出動です!!』
『すべてはヒナ委員長の夏休みの為に!!』
「分かった分かった・・・」
イオリが疲れたように返す
「ふぅ・・・行きましょうか・・・」
チナツもため息を吐きながら立ち上がる
二人が部屋を出て行こうとする
私はそんな二人の背中を見ながら
「"どっちも無理しないでね・・・"」
「分かってるって。」
「善処します。」
「"じゃあ、私はヒナの所に戻るね。"」
『はい、お願いします!』
私はそのままオペレーションルームを後にした
【アラバリゾート・ヒナの客室】
扉をゆっくり開ける
「"ただいまぁ・・・"」
「ああ、先生おかえり。」
ベッドに座っていたヒナが顔を上げる
「随分慌てて出て行ったけど、体調は大丈夫?」
「"・・・・・・"」
そう言えば、私はお腹が痛いと言って出てきたんだった
「"そ、そう言えばそうだったね・・・"」
「?」
ヒナが不思議そうに首を傾げる
「それにしても、また外が騒がしくなってきたけれど・・・」
「戦術訓練、そんなにたくさん銃火器を使ってるの?」
「"た、多分、やる気満々なんだと・・・思うよ?"」
私はヒナから目を逸らす
「そう。」
ヒナは特に疑う様子もない
「それは良い事ね。」
そう言って、窓の外を見る
「おかげでこうやって、久しぶりに休めてはいるけど・・・」
「それでもやっぱり、こうして窓の外を眺めるだけだなんて・・・」
そしてヒナが私を見る
少しだけ笑って
「まぁ、今は先生が居るから良いのだけど・・・」
「本当に久しぶりに海に来たのに、何だかずっと部屋にいるのも変な感じ。」
「"ヒナはあんまり、海に来たことは無いの?"」
「そうね・・・」
ヒナは少し考える
「まぁ、避けてたわけではないのだけど」
「ただ、普段の委員会の仕事が忙しくて・・・」
「こういうリゾート地みたいな所にはずっと縁が無かった。」
「訓練とか、現場視察とかで来たことはあるけれど、」
「あくまで仕事の一環で・・・」
窓の外へ視線を向ける
「こうやって海をじっくり眺めるのも・・・」
「うん。思えば、初めてのことかもしれない。」
「"・・・・・・"」
私は何とも言えない気持ちになった
高校生なのに私と同じくらい仕事に追われてない・・・?
いや、下手したら私より酷いのでは
「その、先生・・・」
「"ん?どうしたの?"」
ヒナが少しだけ遠慮がちに尋ねる
「先生は・・・海、好き?」
「"うーん・・・好きだよ?"」
まあ・・・人に水着姿を見られるのは結構苦手だけど
あと、今は銃創もあるし・・・ね・・・
「・・・そう。」
ヒナが小さく頷く
「だったら、うん・・・」
そして
「・・・ね、先生。」
「アコには悪いけど、内緒で」
ヒナが私の近くまで歩いてくる
「・・・ちょっとだけ抜け出して、2人で海に行かない?」
「"え、海に・・・?"」
その瞬間アコの言葉が脳裏に蘇った
――委員長を部屋から出さない様に
――絶対にこの騒動を気づかせてはなりません
――すべては、ヒナ委員長の夏休みの為に!
「"・・・・・・"」
私は少しだけ考える
("うーん・・・アコはああ言ってたけど")
("目的はヒナがゆっくりする事だからね・・・")
そして
("よし!")
「・・・先生?」
ヒナが不思議そうに私を見る
「"ヒナ、ちょっとだけ待っててくれる?"」
「え、あ、うん。」
私は部屋を出てスマホを取り出す
電話を掛ける
『もしもし、先生?何かあった?』
『こっちは今スケバンの相手で――』
「"戦闘中にごめんね、イオリ。"」
「"今ヒナと話していてね、ヒナが海に行きたいらしいんだよ。"」
『はぁ?』
「"だから、ちょっとホテルの近くのビーチに行こうと思う。"」
『ええ!?ちょっ、それじゃ――』
少し間があって
『ああもう!取り敢えず分かった!』
『こっちは何とかするから!任せて!』
「"ありがとう。"」
通話が切れる
私はすぐに客室の扉を開いた
「"よし!海にいこう!ヒナ!"」
その瞬間ヒナの表情がぱっと明るくなる
「うんっ!」
その笑顔を見て、私は少しだけ安心した
ホテルを出て、2人でビーチへ向かう
ビーチでは太陽に照らされた海が、きらきらと輝いていた
そして砂浜へ足を踏み入れたヒナが
「わぁ・・・」
小さな声を漏らし、
目を輝かせながら、ゆっくり海へ向かって歩いていく
「この砂浜の感触、不思議な感じ・・・」
一歩
また一歩
ヒナが後ろを振り返る
そこには砂浜に残された、小さな足跡
「あ、足跡が・・・」
少し嬉しそうだった
やがて波打ち際まで辿り着く
足元へ波が寄せてくる
「波が押し寄せて来て、引いて・・・」
ヒナが波を見つめる
「ふふっ」
「当たり前の事なのに、なんだか不思議な気分。」
楽しそうだった
私はその横顔を見ながら思う
("あのヒナが笑ってる・・・")
("海に来てよかった・・・")
ヒナはしばらく海を眺める
「変な感じ・・・」
「海に来るだけでも、本当に久しぶりなのに」
「それがまさかこうして、先生と一緒だなんて・・・」
そして
「その、先生――」
『ピピピッ!』
「・・・ん?」
懐に入れていた通信機が鳴った
私は思わず顔をしかめる
「"ごめん、ちょっと待ってて!"」
ヒナから少し離れ、通信機を確認する
『こちら行政官の天雨アコです!全員応答してください!』
「"え?"」
直後、別の通信が割り込む
『この状況で何!?』
イオリの悲鳴に近い声
『こっちは今スケバンの対応で必死なんだけど!?』
『状況が変わりました!』
アコの声も焦っている
『チナツからの報告で、予定より早くヘルメット団が海辺へと移動しているようです!』
『すみません!』
チナツの声が続く
『何とか食い止めようとしたのですが・・・』
『思ったより進撃のスピードが速く、立て直す前に防衛線が突破されました・・・!』
『あの状況では仕方ありません!』
アコが叫ぶ
『ああもう、重戦車なんて一体どこから・・・!?』
『止むをえません、計画を少し変更します!』
『イオリはそのままスケバン集団が進軍してしまわないように、食い止めて下さい!』
『もし余裕があればチナツの方に兵力を!』
『ヘルメット団の方には、風紀委員会の残存兵力を全て向かわせます!』
『一旦ヘルメット団側の対応を最優先で!』
「"・・・・・・"」
私は通信機を握りしめる
そして
『それから先生!』
「"は、はいっ!?"」
思わず背筋が伸びた
『海に出てるのは聞きました!』
『しかしその辺りは直ぐ危険地帯になります!』
『委員長が巻き込まれない様に、早くホテルに戻ってください!!』
「"・・・・・・"」
あれだけ海を喜んでいたのにもう帰らないといけないのか
どうにかならないかなぁ・・・
私は重い足取りでヒナの元へ戻る
「先生、どうしたの・・・?」
ヒナが私の表情を見る
「"ほ、ホテルから急に連絡があってね!"」
「"一旦戻ろっか!"」
私はヒナの手を掴んだ
「え、ちょ、ちょっとまって先生!」
ヒナが驚く
「まだ私の話は終わってな――」
「"ごめん!急ごう!"」
私はそのままヒナの手を引いてホテルへ走った
客室へ戻り、ヒナとボードゲームをしていると
『先生!』
通信機
『海岸が今大混乱でマズい!助けに来て!』
「"ご、ごめんヒナ!ちょっと急用で!"」
私は飛び出し、しばらくして戻る
「"ただいま・・・"」
「おかえり。」
少し談笑
「"そうだ、ヒナ。レストランでアイスクリームでも――"」
『先生、チナツです』
「"・・・・・・"」
『現在スラム街近郊で、ヘルメット団と苛烈な戦闘中なのですが・・・』
『重戦車の数が思ったよりも多く、このままではジリ貧でして・・・』
『突破口が見つからないので、助けに来ていただけませんか・・・!?』
私は立ち上がった
「"ユーレカァァァ!!"」
「・・・?」
ヒナがぽかんとする
そして私は走り出した
戻る、走るまた戻る
そして
『先生!イオリの方もチナツの方も戦線の状態が怪しいので、指揮をお願いできますか!』
『あっ、委員長にはご内密に!』
「"分かった!"」
走る
海岸へ
『なんであいつら海から飛び出てくるんだ!?』
イオリの悲鳴
『妖怪かなんかかっ!?先生、どうにかして!』
「"今行く!"」
走る
今度はスラム街
『ヘルメット団、戦車に引き続き、ドロイド軍団とヘリを出してきました!』
『一体どうすれば・・・!』
「"今行くよ!"」
走る
戻る
走る
戻る
走る
戻る
――そんなことを
約二時間繰り返した・・・
【アラバリゾート・臨時オペレーションルーム】
ようやく、一旦の戦闘が終わった
「ふぅ・・・ふぅ・・・」
イオリは椅子に身体を投げ出していた
「はぁ・・・・・・」
チナツも椅子にもたれかかっている
私も限界だった
椅子に身体を投げ出し、天井を見上げると
ホログラムのアコが、私達を見て心配そうな顔をする
『皆さん、生きてますか・・・?』
「"ギリギリ・・・"」
声すらまともに出ない
「もう身体も水着もボロボロだけど・・・」
イオリが答える
「まぁ、何とか・・・」
「はぁ・・・ここまでの勢いとは、予想外でしたね・・・」
チナツも疲れ切った声を出す
アコが頷いた
『ですが、これで――』
イオリが少しだけ身体を起こす
「うん。」
チナツも頷く
「・・・そうですね。」
アコが監視情報を確認する
そして
『スケバン集団【破茶滅茶】並びに【びしょびしょヘルメット団】、』
『どちらも完全な退却を確認しました。』
『インターネット上でも、全面戦争は中断という話が広まっているようです。』
『無事に作戦終了です。』
『お疲れ様でした。』
「「「"・・・・・・"」」」
その言葉を聞いた瞬間
「よっしゃあああああ!!」
イオリが立ち上がった
「あぁもう、ようやく終わったー!!!」
「本当に・・・」
チナツもほっとしたように笑う
「せっかくビーチまで来たのに大変でしたね。」
その時
「風紀委員会の皆様!」
オペレーションルームへ、ホテルの支配人が入ってきた
「ありがとうございます!」
「本当にありがとうございます・・・!」
深々と頭を下げる
「これで当ホテルはもちろん、周辺のお店の方々も戻ってこられるはずです!」
「お礼と言っては何ですが――」
支配人は分厚い束のチケットを取り出し
「当ホテルの露天風呂の利用チケットがあるので、皆様全員分をプレゼントさせて頂きます!」
「どうかご利用ください・・・!」
『いえいえ、私達はやるべきことをやっただけですから。』
アコが答える
『一応そちらのチケットは頂くとして・・・』
「"一応なんだ"」
私は思わず呟く
『改めまして、風紀委員会一同、お疲れ様でした!』
『次の予定である歩行訓練まで残り約1時間』
『ゆっくり休息を取っておいてください。』
「"はぁ・・・"」
私は深く息を吐いた
「"ようやくヒナと一緒に、海辺のお散歩が出来そうだね・・・"」
『そうですね。』
アコも頷く
『先生もお疲れの所申し訳ないのですが、委員長の元へ行って頂いて――』
『こんにちは、アコ行政官』
『万魔殿です』
「「「"・・・・・・"」」」
アコのホログラムの背後の扉が開いていた
そこから万魔殿の制服を着た生徒が入ってくる
『海の方に居る皆さんは、しっかり訓練を行っておりますでしょうか?』
『まさかとは思いますが、全然別の事をされたり等はしていませんよね?』
『な、なぜ今・・・!』
ホログラムに映ってるアコの顔が引きつる
『えっとですね、今私達は正にその訓練で忙しいので――』
『おや・・・?』
万魔殿の生徒がホログラムを覗き込む
『後ろにいらっしゃるイオリさん、どうして水着を――』
『指が滑りましたっ!!!』
ブツッ
通信が切れ、ホログラムも消えた
「"・・・・・・"」
しばし沈黙が部屋を包む
チナツが口を開く
「こんな時に万魔殿とは・・・」
「全く、危なかったですね、イオリ」
「何その私のせいみたいな言い方!?」
「まぁ、それにしても」
チナツがため息を吐く
「相変わらず邪魔ばかりしてきますね・・・」
「いつもの事だし」
イオリが肩を竦める
「アコちゃんなら大丈夫でしょ」
「"じゃあ、私は取り敢えずヒナの部屋に戻るね"」
「はい。よろしくお願いしますね、先生。」
「でも」
イオリがふと思いついたように言う
「もうあいつらは退散したんだし、そんな気にする事無いんじゃないか?」
「さっきは無理矢理中断させちゃったし」
「委員長をまた海まで連れて行ってあげたら?」
「もう流石に何も起きないでしょ・・・」
「・・・・・・」
チナツがゆっくりイオリを見る
「イオリ・・・」
「ん?」
「朝も言いましたが、」
「【フラグ】って知ってますか・・・?」
私は深いため息を吐いた
「"はぁ・・・多分これ・・・"」
嫌な予感がする
その瞬間
――ドォォォン!!!
浜辺の方向から
爆発音が鳴り響いた
「"あぁー・・・やっぱり。"」
「・・・・・・・・・」
イオリが口をつぐむ
チナツが口を押えたイオリを見て
「今更口をつぐんでも遅いですよ、イオリ。」
そしてチナツは気持ちを切り替える
「はぁ・・・それで、今度は何ですか!?」
その直後
「し、失礼します!」
風紀委員がオペレーションルームへ駆け込んできた
「しゅ、襲撃です・・・!」
「相手は――」
一拍
「美食研究会です!!」
「「「"・・・・・・"」」」
「"なんでぇ!?"」
私は思わず叫んだ
浜辺にいたのは
焼きトウモロコシを両手に持ち
その後ろには、移動式の屋台のようなものまで用意した
美食研究会の四人
「び、美食研究会!?」
イオリが叫ぶ
「なんでお前達がここに・・・!」
「今度は何をやらかすつもりだ!?」
「あら。」
ハルナが優雅に微笑む
「失礼ですわね。」
「私達は何も、事件を起こしに来たわけではありませんわ?」
「そうよ!」
ジュンコも声を張る
「私達はただ焼きトウモロコシを売りに来ただけ!」
「・・・?」
イオリが完全に理解不能という顔をし、
チナツも困惑する
「トウモロコシ・・・?」
「海辺やお祭りなどで食べる焼きトウモロコシは、なぜあんなに美味しいのでしょうか・・・?」
ハルナが真剣な顔で語り始める
「その理由、気になりませんか?」
「同じトウモロコシのはずなのに」
「海辺だと言うだけで、お祭りだと言うだけで、あんなにも味が違うだなんて・・・」
「ただ考えるだけでは仕方ありません。」
「これを解明する方法はただ一つ。」
ハルナが焼きトウモロコシを見る
「そう。試してみればいいのです。」
「つまり、実際に作ってみましょうと」
そして屋台を指差す
「ちょうどここで、私達以外のサンプルもかなり確保できそうでしたし」
「そういう事です☆」
アカリが笑う
「今日ここで全面戦争があるとインターネットで話題でしたし、」
「海でお祭り騒ぎだなんて丁度いいなと思いまして~」
「スケバン集団にヘルメット団!」
ジュンコも続く
「それに結構規模の大きい抗争らしいし!」
「見物人もたくさん来るって言ってたし!」
「ここで焼きトウモロコシなんて売ったら大繁盛間違いなし!」
「うんうん!」
イズミが頷く
「まぁ、もし売れ残っても私が全部食べるよ!」
「何言ってんの、売り切るわよ!!」
「運ぶの大変だったんだから!」
そこでハルナが周囲を見渡す
「・・・と思っていたのですが」
「どうしてここまで閑散としているのでしょうか?」
「いや、お前達の事情とか知ったこっちゃないし・・・」
イオリがシッシッと手を振る
「とりあえずお祭り騒ぎは中止になったから」
「ほら帰った帰った!」
「ふふっ・・・」
ハルナが笑う
その笑みは明らかに不穏だった
「あらあら、つれないですね☆」
アカリが楽しそうに言う
ハルナが銃を取り出す
「私達は美食研究会・・・」
「美食の追求において、如何なる障害があろうとも、背を向けるなんてことは致しません。」
「そうだ!そうだ!」
「トウモロコシを食べさせろー!!」
イズミが叫ぶ
「・・・あぁもう!」
「ようやく問題が片付いたと思ったら、また面倒な問題児が・・・!!」
イオリが頭を抱え、そして銃を構えた
「風紀委員会、行くぞ!!」
「はいっ!」
浜辺で待機していた風紀委員会30名全員が一斉に応答する
チナツも渋々ながら通信機を手に取る
「はぁ・・・戦闘、開始します」
「撃てぇっ!」
イオリの怒号が砂浜を貫いた
直後
――ダダダダダダダッ!!
30人の風紀委員が一斉にアサルトライフルを構える
銃口から火花が連続して瞬き、無数の弾丸が砂浜を削りながら前方へ飛んでいく
「前進!」
「弾幕を切らすな!」
「右側、押し込め!」
怒号と銃声が重なり
砂煙が舞い上がり、視界が一瞬白く染まった
対する美食研究会は――
「まぁ。」
ハルナだけが、少し離れた位置から冷静にその戦場を見下ろし
スコープで狙いを付ける
風紀委員の一人が、仲間の後ろから顔を出す
その瞬間
「そこですわ。」
――ダァンッ!!
乾いた銃声が響き
風紀委員の頬を弾丸がかすめる
「っ!」
咄嗟に身を伏せた瞬間
2発目が、頭があった場所を掠めていった
「後方から狙撃!」
「分かってる!」
イオリが叫び
そして――走った
砂浜を蹴り飛ばし、一気に前へ出る
風紀委員の中でも突出した速度で
味方の射線を縫いながら、まるで弾丸そのもののように戦場を駆け抜けていく
「そこだ!」
――バァンッ!!
一発
ハルナへ向けて放たれた弾丸
「・・・!」
ハルナが即座に身体を翻し
弾丸が髪を掠め、背後の砂へ突き刺さった
「まあ。」
ハルナの口元に笑みが浮かぶ
「随分速いですわね。」
「だったら――!」
イオリがさらに踏み込む
しかし
「うりゃああああっ!!」
横から轟音が響いた
「っ!」
――ダダダダダダダダダッ!!
イズミのデイリーカトラリーが火を噴く
大量の弾丸が横薙ぎに飛び、砂浜へ次々と着弾する
ババババッ!!
砂が弾け、風紀委員達が咄嗟に身を伏せた
「くっ!」
「前に出させるな!」
「弾幕維持!」
「撃ち返せ!」
再び銃声が重なり、
風紀委員達が隊列を崩さず応戦する
一人が撃ち
一人が身を伏せ
一人が横へ移動し
その隙間を別の一人が埋め、
統率された30人が、1つの壁のように美食研究会の前へ立ちはだかっていた
しかし――
「いきますよ~☆」
アカリが前へ出てくる
その手にはボトムレス、
そして、その下部には――
グレネードランチャー
「っ、グレネードがくるぞ!」
「伏せろ!」
――ポンッ!!
一瞬遅れて
ドゴォォンッ!!
砂浜が大きく吹き飛んだ
衝撃波が周囲を叩き、巻き上げられた砂が雨のように降り注ぐ
「うわっ!?」
「前列、下がるな!」
「負傷者!」
一瞬だけ前線に隙間が生まれた
そして
「今だぁっ!!」
ジュンコが爆煙を突っ切り、
ダイナーズアウトローを両手にそのまま突っ込んでくる
「近い!」
「囲ませるな!」
「右から来ます!」
「左も!」
ジュンコが二丁を乱射する
――ダダダダダッ!!
近距離からの弾幕に
風紀委員達が慌てて後退する
一歩
さらに一歩
前線が押される
その瞬間だった
「"落ち着いて!"」
私は通信機を握り締めた
「"ジュンコを前に出させすぎないで!"」
「"イズミの射線に入らないように、二列目は右へ!"」
「"一列目はそのまま! 間隔を空けないで!"」
「"チナツ、中央の負傷者をお願い!"」
「了解です!」
チナツが即座に動いた
最後尾から前線へ駆け込み、倒れた風紀委員の元へ滑り込む
「大丈夫です!」
「まだ戦えます!」
「ですが、無理はしないでください!」
手早く治療し、止血
状態を確認
そして
「治療完了!」
「前線へ戻ってください!」
「はい!」
風紀委員が立ち上がり
再び銃を構える
「行きます!」
前線へ戻る
一人欠け、それを一人が埋める
また一人が撃たれる
そこへ別の一人が入る
戦線が、途切れない
その間にも
「ハルナ!」
イオリが走っていた
「・・・・・・!」
ハルナがスコープを覗き、狙いを定める
引き金へ指を掛け――
「そこですわ!」
――ダァンッ!!
しかし
「っ!?」
いない
イオリは既に横へ移動していた
砂煙を蹴り上げながら、一気に距離を詰めてくる
「速っ・・・!」
ハルナが僅かに目を見開く
「そこだァ!」
――ダァンッ!!
ハルナが身を翻す
弾丸が背後の木箱を撃ち抜いた
「ふふ・・・」
ハルナが小さく笑う
そして、戦場全体を見渡した
「なるほど。」
風紀委員30人
そして、その中央にいる先生
指揮を執りながら、前線の崩れそうな場所を次々と補強している
「先生がいらっしゃる以上、こちらの思うようにはいきませんわね。」
私は通信機を握ったまま、戦場を見つめる
ハルナ達は4人
こちらは30人
単純な人数差だけなら、圧倒的にこちらが有利
けれど美食研究会の四人は、1人1人が強い
ハルナは後方から正確にこちらを狙い
イズミは圧倒的な火力で前線を抑え
アカリは爆発物で隊列を崩し
ジュンコは、その隙間へ飛び込んでくる
まともに受ければ
30人でも簡単には押し切れない
だからこそ
「"そのまま押し込んで!"」
「"絶対に戦線を崩させないで!"」
「"一人ずつ相手をする必要はない! 全員で押して!"」
「はいっ!」
風紀委員達が一斉に前進する
――ダダダダダダダッ!!
三十挺の銃が一斉に火を噴いた
一発一発ではなく面で押す
弾幕が重なり、砂浜を覆い尽くす
イズミがマシンガンを撃ちながら叫ぶ
「これ数が多すぎない!?」
「それを今言う!?」
ジュンコが叫び返す
「だって多いんだもん!」
「今さら!?」
アカリが苦笑しながらグレネードを装填する
「でも、これはちょっと厳しいですね~☆」
カチッ
「それなら――」
「させない!」
イオリが走る
「そこっ!」
――バァンッ!!
アカリへ弾丸が突き刺さる
「ぐっ!?」
アカリが慌てて横へ飛ぶ
そのままアカリが居たところに向かって
イオリが放った次弾が通り過ぎる
その瞬間
「今だ!」
「押せぇっ!」
風紀委員達が一斉に前へ出た
「うおおおおっ!」
銃声、怒号、砂煙
そして――
――ドゴォォンッ!!
アカリのグレネードが炸裂した
「きゃっ!?」
爆風に煽られ、ジュンコとイズミが同時に後退する
「ハルナ!」
「ええ。」
ハルナが二人を見て
そしてゆっくりと息を吐いた
「ふふふっ・・・」
その声音には、戦いそのものを楽しんでいるような余裕すらあった
「やはり先生がいらっしゃる以上、厳しいですわね。」
少しの沈黙後
ハルナは銃を下ろした
「・・・では!」
「一時撤退という事で・・・!」
「え?」
ジュンコが目を丸くする
「ちょ、ハルナ!?」
「撤退ですわ!」
「逃げるよー!」
イズミが走る
「ちっ、逃がすか・・・!」
イオリが追おうとするが
「いえ、待ってくださいイオリ。」
チナツが止める
「ここで追いかけて事態を大きくしてしまうと、それこそ委員長が気付きかねません。」
「・・・・・・」
イオリが足を止める
「・・・それもそうか。」
私は海岸に残された芯だけになった焼きトウモロコシを見る
「"・・・・・・"」
そして
「"・・・美食研究会が作る焼きトウモロコシ・・・美味しそう・・・"」
「・・・・・・」
イオリがこちらを見て、ため息をついた
「はぁ・・・」
「美食研究会の奴らを捕まえ損ねたのは残念だけど、仕方ないな。」
その時、ホログラムが起動した
『皆さん、お待たせしました・・・』
アコだった
『あら?』
『何だか疲れた顔をしていますが、どうかしましたか?』
「"あー・・・"」
私は先ほどの出来事を説明した
美食研究会
焼きトウモロコシ
戦闘、撤退
一通り話し終える
『なるほど、美食研究会が・・・』
アコが少し考える
『トウモロコシだか何だか知りませんが、とにかく』
『改めて、もう直ぐ委員長も参加される歩行訓練の時間です。』
『各位、もう少しだけ頑張りましょう!』
『委員長の穏やかな夏休みの為に!』
「はいは、もうそれは分かったから・・・」
イオリが完全に疲れた顔で答える
「何回聞いたと思ってるんだよ・・・」
チナツも苦笑する
「では、戻りましょうか。」
イオリとチナツと途中で別れ
私はヒナの客室へ向かった
「"お待たせ、ヒナ。"」
「おかえり、先生。」
「"そろそろ歩行訓練の時間みたいだから、オペレーションルームに行こうか。"」
「うん。」
ヒナが頷くと2人で部屋を出る
歩行訓練――という名前の
ビーチのお散歩
既に太陽はかなり低い
水平線へ沈みかけた太陽が、海を赤く染めている
ヒナは私の隣で真剣な顔、けれど
どこか楽しそうに波打ち際を歩いている
「・・・・・・」
その後ろには
イオリ
チナツ
そして風紀委員会の30名
ただ
「うっ・・・」
「・・・・・・」
「足が・・・」
「腰が・・・」
「ふくらはぎが・・・」
「死ぬ・・・」
一日中
戦闘、戦闘また戦闘
そして約二時間に及ぶ、私との戦場フルマラソン
その結果、歩いているだけなのに
「ぐっ・・・」
「いたたた・・・」
「筋肉痛が・・・」
「・・・・・・」
ちょっとした阿鼻叫喚だった
イオリが顔を引きつらせながら歩く
「なんで歩くだけでこんなに痛いんだ・・・」
チナツも苦笑する
「普段の訓練とは違う筋肉を酷使したのでしょうね・・・」
「訓練より戦闘の方が多かったけどな・・・」
私はその会話を聞きながら、隣を歩くヒナを見る
「・・・・・・。」
ヒナは楽しそうだった
海を見ながらゆっくり歩いている
その姿を見て、
今日一日このために頑張ってきたんだなと少しだけ思えた
歩行訓練が終わり、
イオリとチナツそして、風紀委員会の皆は、
それぞれの客室へ戻っていった
そして
残ったのは私とヒナ
「"ねぇ、ヒナ。"」
「なに?」
「"このホテル、レストランがあるらしいんだけど。"」
「"一緒に夜ご飯でもどう?"」
ヒナの表情が明るくなる
「うん。行きたい。」
【アラバリゾート・レストラン】
中へ入った瞬間
少し落とされた照明の暖かな光が店内を包んでいた
大きな窓の向こうには、暗くなった海が月明かりに照らされてきらめいていた
そして並んでいる料理
分厚い肉料理に
香草を使ったグリル
海鮮のロースト
海老や、蟹、貝等
丸ごと焼かれた魚
色とりどりの前菜
美味しそう匂いがするスープ
焼きたての黒いパン
そしてデザート
「"わぁ・・・"」
ヒナも目を輝かせる
「結構、豪華ね。」
「"うん。そうだね。"」
私はレストランの中を見渡す
そして
「"スンスン・・・"」
鼻をひくひくさせる
「"・・・?"」
もう一度
「"スンスン・・・"」
「・・・・・・」
横にいるヒナがこちらを見る
「"アンラさんの匂いがする・・・"」
「・・・・・・」
ヒナの顔がなんとも言えない表情になった
「"い、いや、違くてね!"」
「"なんか、アンラさんが居る気がしたんだよね。"」
ヒナが少しだけ真面目な顔になる
「アンラさんって。」
「あのアビドスのアンラさん?」
「"うん。"」
私は頷く
「"もしかして、このレストランに居るのかな・・・?"」
二人で辺りを見渡す
・・・・・・いない
少なくともそれらしい人物は見当たらない
「まぁ・・・」
ヒナが言う
「とりあえず席に座りましょう?」
「"そうだね。"」
奥の方に空いている席を見つける
二人でそこへ向かう
そして
席に座った瞬間
「・・・・・・」
「"・・・・・・"」
まただ
なんか
「"・・・アンラさんの匂いが、さっきより強くなったような・・・"」
「・・・・・・」
ヒナがじーっと私を見る
「先生。」
「"はい。"」
「もしかして、匂いフェチなの?」
「"ち、違うよ!?"」
「確か前にも」
ヒナが少し引き気味に続ける
「私の頭を嗅いで。」
「お日様がどうとか言ってたけど・・・」
「"あれは違うって!"」
「"いや、違わないけど!そういう意味じゃなくて!"」
自分でも何を言っているのか分からなくなってきた
目が泳ぐ
泳ぐ
ものすごく泳ぐ
ヒナはため息を吐いた
「はぁ・・・先生。」
「"はい。"」
「ちょっと変」
「"・・・・・・"」
反論できなかった
なので
「"と、とりあえず!"」
私は立ち上がった
「"ビュッフェだから、何か取ってこよう!"」
「・・・そうね。」
ヒナも立ち上がった
二人で料理を取る
私は肉料理に
魚、海鮮
そしてスープ
後なにか良く分からないけど黒いパン
ヒナは色々な料理を少しずつ取り
2人で席へ戻る
「いただきます。」
「"いただきます。"」
一口
「・・・・・・」
美味しい
普通に美味しい
「"これ、美味しいね。"」
「うん。」
ヒナも嬉しそうに頷く
「こっちも美味しい。」
「"本当?"」
「先生も食べてみる?」
「"うん。"」
そんな風に一つずつ料理を交換しながら
今日あったことを・・・正確には
今日あったことの、言っていい部分だけを
ヒナと話していく
戦闘の話はしない
銃声の話もしない
スケバンの話もしない
ヘルメット団の話もしない
ましてや美食研究会の話なんて絶対にしない
ただ海のこと、
料理のこと、
学校のこと、
そんな何でもない話を
ヒナは楽しそうに笑っていた
「先生。」
「"ん?"」
「今日は」
少しだけ間を置いて
「ありがとう。」
「"・・・・・・"」
「海にも行けたし。」
「こうして夕食も食べられた。」
「それに」
ヒナが窓の外を見る
「今日は、ちゃんと休めた気がする。」
「"・・・そっか。"」
私は小さく笑う
「"それなら良かった。"」
そして
最後は二人でデザートを取りに行く
色とりどりのケーキ
フルーツ
アイスクリーム
小さな焼き菓子
ヒナがアイスを選ぶ
「これにしようかな。」
「"じゃあ私はこっち。"」
2人で席へ戻り、夜の海を眺めながら
ゆっくりと甘いデザートを食べる
窓の外では月明かりだけが静かに海を照らしている
今日一日の騒ぎがまるで嘘だったかのように
静かな時間だった
「・・・・・・。」
「"・・・・・・。"」
私はヒナと並んで
ただ静かにデザートを食べていた
――少なくとも
今、この瞬間だけは
ヒナの夏休みは
ちゃんと
夏休みだった
うぉぉぉ!!
最近執筆していると猫がキーボードの上に載って来て執筆が中断される作者です!
とりま本文解説!
まず、ハルナ達は先生達に撃退されたのち、
屋台セットを持ってアンラ達が海岸を散歩していた時に見つけた路地のような所で、
隠れてお店を出してました。
そして、
アンラとユメちゃんがレストランで飯食ってる時に
先生とヒナちゃんがレストランにきたお話が今回のレストランですね。
先生が店内を見渡していたのも、
ヒナが何かを探すように周囲を見ていたと
アンラ視点で描写したのは、
先生がアンラの匂いを文字通り嗅ぎつけたからですね。
ちなみにアンラとユメちゃんが使った【我、陽炎ノ様ニ消エ行ク者】は光学迷彩系の魔術なので、
実際匂い等の痕跡は残ります。
それでも、入り口から、
ビュッフェで食べ物が一杯置かれている状況で、
ピンポイントでアンラの匂いを探知犬よろしく嗅ぎ取った先生はちょっと人外。
そして、先生とヒナちゃんが何やら真面目な顔で話していると言っていた会話内容は。
今回ヒナちゃんが先生にドン引きしながら言っていた匂いフェチのお話でした。
全然真面目でもなくただ先生が変態なだけですね。