おっさんキヴォトスに行く   作:無い頭のおっさん

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Ua, magi ca io dombici da io
(翻訳にぶちこんで、そのままラテン語で発音聞いてみて。)


カルバノグの兎編 1章
おっさん軟禁される


【先生視点】

 

【シャーレ・部室】

 

「・・・では、これをお願いします。」

 

私から渡された依頼書を受け取り、アンラさんは軽く目を通した

 

「また外回りか?」

 

「"はい。"」

 

「今度は何や。」

 

「"商店街に荷物を届けてほしいそうです。"」

 

「・・・・・・」

 

「"どうしました?"」

 

「いや。」

 

アンラさんは小さくため息を吐き

 

「おっさん、いつからシャーレ専属の便利屋になったんやろなぁ・・・」

 

「"アンラさんが助けてくれるって言ってくれましたからね!"」

 

「はぁ・・・契約は早計やったか・・・」

 

「"ふふ、では、お願いしますね?"」

 

「へいへい。」

 

私が用意したシャーレの意匠が入った私の制服と細部が色違いの白いコート

そして、アンラさんの腕には大きく

 

【シャーレ臨時職員】

 

と書かれた腕章がついている

 

「"・・・・・・"」

 

改めて見ると、我ながらやっぱり酷い

 

「ほな、行ってくるわ。」

 

「"はい。気を付けて。"」

 

アンラさんが執務室から出ていく

 

扉が閉まり、その直後

私は椅子へ座り、静かに息を吐いた。

 

「・・・・・・さて。」

 

机の上に積まれた書類へ手を伸ばす

これでしばらくは、平和な事務作業に集中できる

そう思った、その時だった

 

スマートフォンが震えた

 

画面を見る

 

【ユメ】

 

「・・・・・・」

 

私は一瞬だけ固まった

 

(とうとうバレたか・・・)

(しかし、無視するわけにもいかない)

 

通話を取る

 

「"はい、もしもし?"」

 

『先生。』

 

「"はい。"」

 

『・・・・・・説明してください。』

 

「何をですか?」

 

『何をじゃありません。』

 

『アンラさんです。』

 

「"・・・・・・"」

 

『モモッターに、写真まで出回っていますよ。』

 

先生は目を逸らした

 

『「シャーレに新しい職員が来たらしい」』

 

『「白いコート着た背の高い人がいる」』

 

『「ずっと外で仕事してる」』

 

『「猫を探していた」』

 

『「道路掃除してた」』

 

『「荷物を運んでた」』

 

『・・・あれ、全部アンラさんですよね?』

 

「"そうですね。"」

 

『どうしてですか?』

 

「"アンラさんにお願いしたシャーレへの協力要請です"」

 

『そういうことを聞いているんじゃありません。』

 

「"公共性の高い依頼ですので。"」

 

『先生。』

 

ユメの声が低くなる

 

『それ、職権乱用じゃないかなー!?』

 

「"そんなことないよー?"」

 

『ありますよね!?』

 

「"ありませーん。"」

 

『あります!!』

 

「"ありません。"」

 

『どうしてアンラさんが、先生の制服の色違いみたいな服を着て、』

『シャーレ臨時職員の腕章まで付けて、キヴォトス中を走り回ってるんですか!!』

 

「"必要だからでーす"」

 

『何に!?』

 

「"業務に。"」

 

『・・・・・・』

 

『先生。』

 

「"はい。"」

 

『もしかして。』

『まだ、ホテルの件を根に持ってます?』

 

「"・・・・・・"」

 

『先生?』

 

「"・・・・・・"」

 

『先生?』

 

「"・・・業務です。"」

 

『絶対嘘でしょう!?』

 

「"本当に業務ですよー"」

 

『じゃあ、どうしてアンラさんだけなんですか!?』

 

「"アンラさんが一番適正だからかなー。"」

 

『そういう問題じゃないでしょう!!』

 

私は小さく笑い

 

「"大丈夫ですよー"」

 

『何がですか?』

 

「"もう外回りの依頼も、ほとんど終わったから"」

 

『ほとんど?』

 

「"はい。"」

 

『じゃあ、今日で終わりなんですね?』

 

「"・・・・・・"」

 

私は机の横を見る

そこには山積みの書類、

そしてその一番上には

 

【アンラさんへの事務作業協力依頼】

 

「"・・・ええ。"」

 

『今、なんか間がありませんでした?』

 

「"気のせいでーす。"」

 

『先生。』

 

「はい。」

 

『アンラさん出来る限り早く返してくださいね?』

 

「"善処しまーす。"」

 

『本当ですか?』

 

「"もちろんです。"」

 

『・・・ならいいですけど。』

 

私は思わず口角が上がる

 

そして、その瞬間

廊下から足音が聞こえてきた

 

「"・・・・・・"」

 

帰って来た

 

「先生ー」

 

アンラさんの声が響いた瞬間

私は即座に受話器へ顔を近づける

 

「"――あー!!"」

 

『え?』

 

「"新シイ仕事ガ、ハイッテキタカラ、デンワ、キリマスネー!!"」

 

『えっ!? ちょ、先生――』

 

「"それでは失礼しまーす!!"」

 

ブツッ

 

通話終了

 

「"ふぅ・・・"」

 

私は何事もなかったかのようにスマートフォン耳から離した

 

その直後扉が開く

 

「ただいまー。」

 

アンラさんが戻ってきた

 

「"お疲れ様です。"」

 

「おぅ。」

 

アンラさんは腕章を外しながら、ふと私を見る

私の手にはスマートフォンが握られていた

 

「なんや?」

 

「"はい?"」

 

「電話か?」

 

「"ああ。"」

 

私はにっこりと笑い誤魔化す

 

「"なんでもないですよ。"」

 

「そうか?」

 

「"はい。"」

 

「・・・・・・」

 

アンラさんは少しだけ怪訝そうな顔をした

 

「まぁええか。」

 

そして、そのまま椅子へ腰を下ろし

私に尋ねてきた

 

「で?」

 

「"はい?"」

 

「次は何や?」

 

私は笑顔のまま、机の上へ手を伸ばし

 

「"実はですね。"」

「"もう外回りの依頼はありません。"」

 

「お。」

 

アンラさんの顔が少し明るくなる

 

「やっと終わりか。」

 

「"はい。"」

 

「ほな、おっさん帰――」

 

「"――なので。"」

 

私は一冊のファイルを取り出した

 

「"今度は私の書類を手伝ってください。"」

 

「・・・・・・」

 

空いてる机の上に

 

ドサッ

 

そんな重い音と共に分厚い書類の束を置く

 

「・・・・・・」

 

アンラさんはそれを見つめて

 

「・・・・・・先生。」

 

「"はい。"」

 

「おっさん、今日帰れる?」

 

「"もちろんです。"」

 

「いつ?」

 

「"全部終わったらです。"」

 

「・・・・・・」

 

アンラさんはゆっくり天井を見上げた

 

「これ、最初から帰す気ないやつやろ。」

 

「"何のことでしょう?"」

 

私はにこにこしながらアンラさんを見つめる

 

「"さあ、始めましょうか。"」

 

「・・・はいはい。」

 

アンラさんは諦めたように書類を手に取り

それからしばらく紙を捲る音だけが、静かな執務室に響いていた

 

私も黙々と書類を処理する

アンラさんも意外なほど真面目に作業している

 

その光景だけを見れば

実に平和な、シャーレの日常だった

 

――その時

 

prrr・・・

 

シャーレの部室の内線電話が鳴った

 

「"・・・・・・"」

 

私が顔を上げ、

アンラさんも手を止めた

 

「また依頼か?」

 

「"どうでしょう。"」

 

私は立ち上がり、

机の横に置かれた内線電話を手に取った

 

 

 

 

 

【七篠アンラ視点】

 

先生が取った電話口から声が漏れ聞こえてくる

 

『ご無沙汰しております、先生。』

 

「"あっリンちゃん。"」

 

『・・・誰がリンちゃんですか。』

 

(相変わらず堅いなぁ。)

 

『そういうのはもっとですね・・・いえ、そんな事はさておき。』

『少々お話したい事があり、ご連絡させて頂きました。』

『シャーレに来られてから、それなりに時間が経ちましたね。』

『ご報告は頂いていますので、様々な事があった事も存じております。』

『あちこちでご活躍されたようで。お陰様でこちらとしても、色々と助かりました。』

 

『それはさておき、幾つかお願いしたい事・・・と言いますか。』

 

「"お願い?"」

 

『はい。具体的にはシャーレの報告書に関する事と、今後の連邦生徒会の新たな・・・』

 

『・・・いえ、やはり直接お話する事にしましょうか。』

『今日の午後、予定は空いてますか?』

 

「"え、午後・・・?"」

 

先生がこっちを見てくる

 

その目

 

なんとなく嫌な予感がする

いや、絶対に嫌な予感がする

 

だが、今はそれよりも重要な事がある

 

おっさんはすぐさまスマホを取り出し、先生へモモトークを送った

 

【おっさん帰るからええぞ!!】

 

先生が画面を見る

 

「"・・・・・・"」

 

何故かほんの少しだけ

先生の顔が不機嫌そうになった

 

(なんでや。)

(用事で先生居らんなら、別に帰ってもええやろ。)

 

そんな事を考えていると

 

『お茶くらいは用意しますので、よろしければお越しください。』

『お待ちしておりますので。』

 

電話が切れた

 

「"・・・・・・"」

 

先生はおっさんが送ったメッセージを見つめたまま、何やら考えている

そして机の上に置かれていたシッテムの箱が、淡く光る

 

「お。」

 

思わず目を向ける

 

(おーアホアロナ今日も元気に光っとんなぁ。)

 

(そろそろシッテムの箱の解析も終わるころやし、)

(1人食っちゃ寝生活に行きやがってお前覚悟しろよ。)

(最低でも、先生が戦闘してる間、お前にも死ぬ思いしてもらうからな・・・)

 

ジッとシッテムの箱を睨んでいたら

シッテムの箱が不規則にバイブレーションしていた

 

「"・・・?"」

「"アロナどうかした?"」

 

「"あ、そう?"」

 

先生が1人シッテムの箱に話しかけている

恐らく、アロナと話してるのだろうが、その声はおっさんには聞こえない

 

(傍から見てるとちょっと危ない奴やな)

 

「"それにしてもリンちゃんの用事なんだろうね。"」

「"うーん・・・怒られるかも? まぁでもリンちゃんに怒られるのはご褒美だからね!"」

 

「・・・・・・。」

 

(何言うとんの、この人。)

 

そんな事を考えていると

 

先生が立ち上がり、

急ぎ足で出口まで向かいながらこちらへ振り返った

 

「"じゃー!私はちょっとリンちゃんの所に行ってくるので、"」

「"アンラさんはこの書類の処理お願いしますね!"」

 

「いや、おっさん帰――」

 

バタン

 

そんな音共に、シャーレの部室の扉が閉まる

 

「・・・・・・」

 

おっさんが机を見る

書類を見る

もう一度、扉を見る

 

(逃げた。)

 

完全に逃げた

 

「・・・はぁ。」

 

仕方なく椅子へ座り直し机に向き直る

 

「まぁ、ええか。」

「リンのとこ行くんやったら、おっさんはここで書類片付けといたるわ。」

 

そう言って再びペンを握り山積みになった書類に向き直る

 

 

 

 

 

それから

二時間ほど経った頃

 

「・・・・・・」

 

1枚、また1枚と書類を処理していく

そしてようやっと終わりが見えてきた

 

「はぁ・・・これ終わったら帰ろ。」

 

prrr・・・

 

その瞬間おっさんのスマホが鳴った

 

「・・・・・・」

 

嫌な予感しかしないが、とりあえず画面を見ると

先生の二文字が浮かんでいた

 

「はぁ・・・」

 

取り敢えず出る

 

『"アンラさん!緊急でちょっと助けて欲しいです!"』

 

「今度はなんやー?」

 

『"SRT・・・"』

 

「さーて、ほんならおっさんそろそろアビドスに引っ込むかなー!」

 

『"うっ!アーお腹の銃創が痛いなぁー!"』

『"どっかの誰かが上空から見てるだけだったお陰で一生の傷が出来ちゃったなぁーー!!!!"』

 

「コイツ・・・味占めよってからに・・・」

 

もうこれで何回目や事あるごとにジョーカー切りよってからに

そりゃ、最初こそ罪悪感もあった

実際に撃たれ、一生の傷を持ち出されたら無視しにくい

せやけどこう何度も使われると

 

「もう何回使っとんねん、それ。」

 

『"でも痛いです!!"』

 

「絶対嘘やろ。」

 

『"そんな事ないです!!"』

 

分かっている

こいつは絶対に、このカードが効くと分かって使っている

 

そして腹立つ事に

 

「・・・しゃーないな。」

 

『!』

 

先生の声が明らかに明るくなった

 

「ほんで、場所は?」

「やっぱり子うさぎ公園か?」

 

『"やっぱり知ってたんですね。そうです。"』

 

「ほな現地集合でええか。」

 

『"はい。私もすぐに向かいます。"』

 

「おー。」

 

通話が切れ、おっさんは天井を見上げた

 

「・・・帰れると思ったんやけどなぁ。」

 

机の上にはまだ処理し終わっていない書類が残っている

 

「まぁええわ。」

 

椅子から立ち上がり

 

「子うさぎ公園行って、さっさと終わらせて帰ろ。」

 

そう呟いて、おっさんは執務室を後にした

 

 

 

【子うさぎ公園・公園前】

 

「・・・・・・」

 

公園へ向かう道を歩く

さっきまでシャーレで書類仕事をしていたせいか、

外の空気が妙に新鮮に感じる

 

やっぱフィールドワークはええわ

書類の山もあらへんし、前に居るだけで正気度が減りそうな事務机もあらへん

 

後は――

 

「はよアビドスに帰えりたいなぁ・・・」

 

小さく呟くと

隣を歩く先生が苦笑した

 

「"帰れるように頑張りましょう。"」

 

「それ、帰れへん様にしとる奴が言う台詞やないしな?」

 

「"私はそんな酷い事してませんよ~"」

 

「はぁ・・・」

 

そんな他愛もない話をしながら

おっさん達は子うさぎ公園の前へと到着した

 

その時だった

 

―――ドォンッ!!

 

「「"・・・・・・"」」

 

公園の奥から、盛大な爆発音が響き渡った

 

直後

 

「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「きゃああああああっ!!」

 

「誰か止め――」

 

人影が飛んでいた

 

1、2、3人――

 

いや、もっといる

ヴァルキューレの生徒達がまるで木の葉か何かのように

「ぴゅーん」と空中を舞いながらこちらへ向かって吹っ飛んでくる

 

一人が空中でくるくる回り

その後ろを別の生徒が追い越し

さらにその後ろから、盾を抱えた生徒が飛んでくる

 

「うわあああああああっ!!」

 

「止まらないぃぃぃぃっ!!」

 

そして、ドサドサと

公園の外周へ次々と落下していく

 

「「"・・・・・・"」」

 

おっさんと先生はしばらく無言でその光景を眺めていた

やがておっさんは

 

「派手にやっとんなぁ・・・」

 

ぽつり

 

先生も同じ方向を見ながら

 

「"はい・・・。かなり派手にやってますね・・・"」

 

「公共の公園やぞ、ここ。」

 

「"公園ですね・・・"」

 

「なんで爆発しとんねん」

 

「"多分モエかな・・・?"」

 

また1人、ヴァルキューレの生徒が飛んだ

 

「きゃああああああっ!!」

 

「「"・・・・・・"」」

 

おっさんは先生を見る

先生もおっさんを見る

 

2人とも同じ事を考えているような気がした

 

――何やっとるんや、あいつ等(ラビット小隊)

 

「・・・まぁ。」

 

おっさんは肩を竦める

 

「とりあえず、カンナのとこ行こか。」

 

「"そうですね。"」

 

公園の入口付近に人だかりが出来ていた

そこには数人のヴァルキューレと共にカンナ、

そして、その周りにクロノスの連中まで居た

 

「やっぱクロノスも居るか・・・」

 

「"いますねぇ・・・"」

 

公園の手前

そこにいるカンナの方へ

おっさんと先生は、そのまま歩いていった

 

 

 

 

 

カンナが無線を握りしめ、

額には青筋を浮かべながら指揮を執っていた

 

「アルファ分隊、応答しろ!」

「アルファ分隊、聞こえているか!?」

 

無線へ怒鳴りながら、周囲を見渡す

その顔には、明らかな焦燥が浮かんでいた

 

そして、そのすぐ後ろでは――

 

「ご覧いただけていますでしょうか?」

「公安局、防戦一方です!!」

 

クロノス報道部のシノンがマイクを片手に、

まるで実況でもするかのように声を張り上げている

 

その隣ではマイがカメラを構えていた

 

「警備局に続き、公安局までやられてしまいそうです!」

「もうヴァルキューレで動ける部隊と言えば、生活安全局位でしょうか・・・!?」

 

 

「デモを行っているのはSRT特殊学園の生徒との事でしたが、」

「それでも圧倒的なまでにおされてしまってます。」

 

シノンはカメラへ向かって、さらに声を張る

 

「果たしてこの後、どうなっていくのでしょうか・・・!」

「そうですね、何かヴァルキューレ側に秘策はあるのでしょうか!?」

 

マイも続ける

 

「・・・・・・」

 

カンナの眉間にさっきよりも一本、また一本と青筋が増えていく

 

そして、ついに

 

「――――ああもう、うるさい!!!」

「誰の許可で撮影してる! さっさとカメラを止めろ!!」

 

堪忍袋の緒が切れた

カンナが振り返り、クロノス報道部の2人を怒鳴りつける

 

だがマイは全く動じず

むしろカメラをカンナへ向けた

 

「おっと、マズいですね!」

「カメラを取られる前に距離を取るとしましょうか!」

 

「ちょっ――!」

 

言うが早いか

シノンとマイは、さっとその場から離れていく

 

カンナは拳を握り締め

 

「くそっ、クロノスか・・・相変わらずうるさい・・・!」

 

吐き捨てるように呟く。

 

しかし。

 

すぐに表情を引き締める。

 

「とはいえ、確かにもう人員が・・・」

 

周囲を見渡す。

 

倒れている生徒。

 

負傷して動けない生徒。

 

遠くでは未だに銃声と爆発音。

 

「生活安全局のバカ2人は使えないし・・・」

 

 

そんなカンナに先生が声をかける

 

「"何だか凄い状況だね・・・"」

 

カンナがこちらに振り返り見てくる

 

「・・・なんだ貴様は。」

 

カンナは眉をひそめる

 

「見て分からないのか、戦闘中だ。」

「部外者はさっさと出ていけ。」

 

そう言って先生を追い返そうと近づいてくる

 

「ほら、ここは危険だ。さっさと――ん?」

 

が、先生の後ろにいたおっさんと目が合った

その瞬間カンナの動きが止まる

 

「その・・・ローブ・・・」

「まさか・・・」

 

顔からすっと血の気が引いていく

おっさんはそんなカンナを見て

 

「おー久しぶりやなーカンナ。」

 

にっこり笑った

 

「大きなったなぁ・・・」

 

「・・・・・・」

 

「昔はちびっ子だったのに・・・」

 

「・・・・・・」

 

「二年でそないデカなって・・・」

 

「・・・・・・」

 

「人相は相変わらずやけど。」

「元気そうやなぁ、カンナ。」

 

カンナは頬が引きつりながらなんとか言葉を絞り出す

 

「・・・はい・・・お久しぶりです。」

 

「おう。」

 

おっさんは満足そうに頷いた

その様子を見ていた先生が、少し不思議そうに尋ねる

 

「"カンナと知り合いなんですか?"」

 

「ん?」

 

おっさんがカンナを見る

 

「まぁ、二年前にちょいと賞金稼ぎをしとってな。」

「その絡みで知り合ったんや。」

 

「・・・・・・」

 

カンナはその説明を聞いて何とも言えない表情を浮かべている

 

カンナは一度深く息を吐き、そして

ようやく指揮官としての顔を取り戻したのか

 

「いくら貴方でも、無関係な市民を近づける訳にはいきません!」

「ここは危険です。」

「早く離れてください!」

 

再びアンラと先生を追い出そうとする

その時、

 

「"あ、そうだ。"」

 

先生が懐へ手を入れた

 

「"これ、リンちゃんから。"」

 

「・・・・・・?」

 

取り出されたのは一通の封書

それを先生がカンナへ手渡した

 

「・・・これは?」

 

カンナが受け取り、表を見る

そして差出人を確認した瞬間

 

「これは・・・行政官の紹介状・・・?」

 

カンナの眉が動いた

封を開け内容へ目を通していく

数秒読んだのち

 

そして

 

「・・・防衛室の代わりに・・・シャーレだと!?」

 

顔を上げ、先生、そして次にアンラを見る

 

「ま、まさか貴方が・・・」

 

カンナの目が見開かれる

 

「あのシャーレの先生に!?」

 

「いやちゃうちゃう。」

 

おっさんが即座に否定し

 

「偶々シャーレに手伝いに来てたら、先生に無理やり連れて来られただけや。」

 

そして先生の方を指差す

 

「先生はこっち。」

 

「"私がシャーレの先生だよ。"」

 

先生がにこっと笑いながら自己紹介をする

先生の自己紹介を聞いたカンナがすっと姿勢を正す

 

「こ、これは大変失礼いたしました。」

 

先ほどまでとは打って変わった態度でカンナも自己紹介を返す

 

「改めまして。」

「今回の作戦において、現場の責任者を担当しています。」

「ヴァルキューレ警察学校、公安局長。」

「カンナです。」

 

先生も頷く

 

「"うん、初めまして。よろしくね、カンナ。"」

 

そして。

 

すぐに本題へ入る。

 

「"それで、早速なんだけど状況はどんな感じ?"」

 

「"さっき生徒が爆発して吹っ飛んでいくのは見たんだけど・・・"」

 

「・・・・・・」

 

カンナは先ほどの光景を思い出すように目を細めた

 

「そうですね・・・見ての通りと言いますか・・・」

 

遠くから

また爆発音が響く

 

「兵力はほとんど残っておらず、士気も底をついています。」

「当初は数で制圧するつもりでしたが、SRTの火力は出鱈目で・・・」

 

「もう残りの人員も――」

 

その瞬間

 

「お待たせしました、生活安全局のキリノです!」

「もう今直ぐ出動してもいいですか!?」

 

「・・・・・・」

 

妙に元気な声が響いた

 

振り返るとそこには

元気よく敬礼するキリノ

 

そして

 

その後ろを、気だるそうについてくるフブキが居た

 

「・・・もう終わってるっぽくない?」

「これ、もはや私達の出番じゃないでしょ。」

 

カンナはゆっくりと額へ手を当てた

 

「・・・・・・この生活安全局だけです。」

 

その言葉にはもはや疲労しか込められていなかった

するとキリノが先生へ気付く

 

「あ、先生!」

「奇遇ですね、ヴァルキューレの支援に来てくださったのですか?」

「先生の指揮さえあれば、もう作戦は成功したも同然ですね!」

 

カンナが何か言うより先に

キリノは拳を握る

 

「ああ、このまま放って置く訳にはいきません!」

「早速出動しましょう!」

 

「待て、勝手に動くな!」

 

カンナが即座に怒鳴った

 

「お前らが出て行って何になる?!」

「警備局も公安局も、ほとんどやられたんだぞ。」

「お前達が相手になると思っているのか?!」

 

「ですが――!」

 

キリノが食い下がろうとする

 

その後ろでおっさんは先生へ顔を寄せ

 

「先生。」

 

「"はい?"」

 

「・・・あの二人ともうあっとったんか?」

 

先生が苦笑する

 

「"ははは・・・山海経の時にちょっとね・・・"」

 

「なるほどなぁ。」

 

そんな小声のやり取りをしている間にも

カンナの説教は続いている

 

「そもそも、ろくな装備だって持ってないだろうに・・・何を根拠に勝てると?」

 

「で、ですが、市民の方々も怖がっていますし・・・」

 

キリノは拳を握りながら答える

 

「このまま見ているだけ、と言う訳には・・・」

 

「・・・・・・」

 

カンナはしばらくキリノを見つめ

やがて大きくため息を吐く

 

「・・・意欲は買おう。」

「しかし気合だけではどうにもならない。」

「他の方法を見つけるまで、とにかくここで待機していろ。」

 

「は、はい・・・」

 

キリノがしょんぼりと肩を落とし

その隣でフブキが小さく息を吐いた

 

「ラッキー。」

「ま、言ってる事はその通りだしね。」

 

その様子を見ていた先生が、カンナへ声を掛けた

 

「"ここを占拠してる生徒達について、情報を聞いても良い?"」

 

カンナは一度、公園の方へ視線を向け、

それから、落ち着いた声で答えた

 

「SRT特殊学園所属の1年生チーム、RABBIT小隊です。」

 

「・・・・・・」

 

やっぱりと、おっさんは内心で盛大にため息を吐いた

 

(やっぱあいつ等だよなぁ・・・)

 

まぁこの展開を知っとる身としては、驚きも何もない

 

むしろ

 

(やっぱデモやっとるんか・・・)

 

というなんとも言えん既視感の方が強かった

カンナは続ける

 

「本来ならSRTの閉校に伴って、」

「ヴァルキューレの警備局に転校する予定だったのですが・・・」

「何があったのか、急にこうして公園を占拠。」

「閉校を取り消せとデモを始めた、という経緯です。」

 

「うーん、そっかー・・・」

 

先生が苦笑いを浮かべる

その顔を横から見ておっさんは確信した

 

(あー・・・どの周回でもやっぱあいつ等ここでデモするの、恒例行事なんやな・・・)

 

先生が「ああ、またこの流れか」みたいな顔しとる・・・

 

 

「見ても良い範囲で、他に詳細な情報とかってある?」

 

先生が念のため、といった様子で尋ねる

 

「連邦生徒会から提出された資料なら・・・」

 

カンナが少し考え、そして

 

「ああ。顔ならコレを見た方が速いかもしれません。」

「不本意ですが、クロノスの中継ドローンが中に入ったようなので。」

 

そう言ってカンナが自身のスマートフォンをこちらへ向けた

 

画面には公園内の映像が流れていた

どうやら中継ドローンが撮影したライブ映像らしい

 

「・・・・・・」

 

その画面を覗き込み、映っていたのは

テント、そしてその前に座っている少女

 

ドローンへ向けて

ものすごくガンを飛ばしている

 

『・・・あん?』

 

サキだった

 

『おい、何見てるんだ。』

『MANPADSでも食らいたいのか?』

 

「・・・・・・」

 

おっさんは無言で画面を見つめた

開始数秒でもう嫌な予感しかしない

 

サキの横からモエが楽しそうに声をかけていた

 

『くひひ・・・まぁ、そこまで神経質になるなって。』

『どうせもう戦況は覆らない。』

『今更取られたって、何の問題もないでしょ。』

『どうせなら、連邦生徒会の愚かさについて喧伝でもしてあげたらいいじゃん。』

 

そしてカメラへ向かって

 

『って訳で・・・連邦生徒会、見てる~?』

『お前らの考えが間違いだったって、そろそろ分かったんじゃないか?』

 

「・・・・・・」

 

元気やなぁ

いや、元気というより

 

『私達はここに居る限り、SRT特殊学園は終わらない!』

 

サキが力強く言い放つ

その後ろからミヤコが静かに歩いてくる

 

『サキ、モエ。余計な挑発は慎んでください。』

『私達に必要なのは、戦闘を通じて交渉に有利な立場を手に入れる事。』

『それ以外の何かを今行う必要はありません。』

 

『つまんないなぁ・・・ミヤコはいっつも真面目なんだから。』

 

モエが頬を膨らませる

 

「・・・・・・」

 

うん、やっぱりこいつら・・・

画面を見ながら、おっさんはなんとなく確信した

 

その時サキがドローンを睨みつける

 

『・・・ドローンの駆動音、耳障りだな。』

『そろそろ消し飛ばすとしよう。』

 

そういうとサキが少し考え、

 

『弾薬も結構余ってるし・・・テストも兼ねて、何発かババっと撃ってみるか?』

 

「・・・・・・」

 

サキのその発言を受けてモエは目を輝かせた

 

『サキ~何か面白そうな事考えてるじゃん?』

『やっちゃう? ド派手にやっちゃう?』

『どうせなら弾薬全部使って、打ち上げ花火みたいにしない?』

『いやぁ、綺麗だろうなぁ・・・はぁ、はぁ・・・』

 

「・・・・・・」

 

途中から完全に別のスイッチ入っとった

 

サキも少し考え込み

 

『それは良いんだけど・・・何か忘れてるような気が・・・』

 

その瞬間、画面の端でホログラムが起動した

 

『も、もしかしてそれ、私の事・・・?』

『爆撃、私のいる所は巻き込まないでね・・・?』

 

ミユだった

 

『あ・・・』

 

モエが本気で忘れてた顔をした

サキも少し焦ってる

 

「わ、分かってる!』

「忘れたわけじゃないから、心配するな!』

 

『そ、そっか・・・。』

 

ミユが少しだけ安心したように息を吐く

 

そして

 

『ところで私、もう帰っても良いかな・・・?』

『相手も居なくなったし・・・』

『何だかこの辺り・・・湿っぽいし、虫も多いし・・・』

『何だかその、ひとりじゃ怖くって・・・』

 

サキが眉を寄せる

 

『ミユ。』

『SRTのエリートが、たかが虫のせいで泣き語をと言うな。』

『いつまでもそんな事言うなら、今からでもヴァルキューレに行けばいいだろ。』

『不快な事も少ない毎日で、安穏と交通整理でもしてればいい。』

 

『そ、それは、その・・・』

 

ミユが言い淀み

サキはそのままドローンへ視線を戻した

 

『・・・それよりミユ、ドローンは見えてるな?』

『高度が測定出来たら教えてくれ、今すぐに撃墜する。』

 

『りょ、了解・・・少し待ってて・・・』

 

するとミヤコが割って入ってきた

 

『サキ、待ってください。』

『不要な射撃は推奨しません。』

『今は補給も期待できない状況なので、周囲を警戒しつつ・・・』

 

『うるさい!』

 

サキがミヤコを遮る様に怒鳴る

 

『どうしてお前が私に命令する!?』

 

『ま、もともと全員同じ1年生だしねぇ・・・』

 

モエが続け

 

『連邦生徒会長も居ないし、柵も無くなった事だし、』

『確かにもう命令を聞く必要もないかなぁ。』

 

『で、ですが・・・』

 

ミヤコが言い淀む

その直後

 

『・・・サキ、座標を確認したよ。』

 

ミユの声がホログラムから響く

 

『高度900m、距離2500m、方位0-3-0。』

 

『よし。』

 

サキが双眼鏡を構え

 

『ターゲットロック』

 

そして

 

『モエ、発射は任せた。』

 

『いやぁ、こういう瞬間は興奮するねぇ・・・』

 

モエがニヤニヤと笑いながら

 

『さ~て・・・ファイヤー!!』

 

次の瞬間、公園から

複数のミサイルが飛び出した

 

ドゴォーーン

 

ドローンが吹き飛んだのだろう、配信映像が途切れる

 

「・・・・・・」

 

カンナが無言でスマートフォンを下ろし

そして大きなため息をついた

 

「ヴァルキューレの物じゃないとは分かっているだろうに、それでも攻撃するか・・・」

 

頭を抱える

 

「雑な奴らだな・・・どうしてあんな奴らが、SRTに入学出来たんだ?」

 

先生が苦笑する

 

「"元気な子達だね・・・"」

 

カンナとアンラが即答した

 

「ご冗談をバカの間違いでしょう。」

 

「いや、アレ元気やなくてアホなだけやろ。」

 

ほぼ同時だった

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

カンナとおっさんの目が合う

 

数秒見つめ合い、

同時に大きなため息を吐いた

 

先生だけが苦笑していた

 

カンナが咳払いをして話を戻す

 

「まぁ、単なるバカならまだしも、やたらと力を持ったバカです。」

「会話もしにくく、厄介なことこの上ない。」

 

「DU地区っていつからゲヘナに侵略されたんやっけ?」

 

「・・・・・・」

 

カンナがこちらを見る

 

「いっその事ゲヘナの風紀委員長に支援要請を出した方が・・・」

 

そこまで言ってカンナが黙った

 

「・・・・・・」

 

この沈黙は嫌な予感がする

それも、ものすごく

 

そしてカンナの視線が

ゆっくり、おっさんへ向いた

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

やめろ

 

その目はやめろ

 

「・・・・・・先生」

「おっさん、シャーレ戻ってええか?」

「今のカンナの目、めっちゃ嫌な予感するんやけど。」

 

その瞬間カンナがにやりと笑った

 

「丁度ここに。」

「ゲヘナの風紀委員長と同格の人物がいましたね。」

 

「・・・・・・」

 

おっさんの切実な帰宅計画が開始する事無く終了する

 

カンナは続ける

 

「先生は確か、防衛室の代わりに手伝いとしてここに来た。」

「で、よろしいのですよね?」

 

「"え?"」

 

先生が少し戸惑う

 

「"う、うん?そうだよ。"」

 

「・・・・・・」

 

その後ろでおっさんは

ゆっくりゆっくりと後退する

 

1歩、2歩と

 

「・・・・・・」

 

バレるな、バレるなよ

 

今ならまだ――

 

「そして。」

 

カンナの声

 

「そこの今逃げようとしている人物は。」

「先生の手伝いでココに来ていると言う事でよろしいので?」

 

「・・・・・・」

 

――終わった

 

先生がこちらを見てにっこり笑った

 

そしておっさんのローブを、がしっと掴んだ

 

「"そうだね。"」

 

「・・・なぁ先生。」

 

「"なんですか?"」

 

「離してくれへん?」

 

「"嫌です。"」

 

「・・・・・・」

 

最初から有ったのかは知らないが

唯一見えていた逃げ道が消滅した

 

「"それじゃー"」

 

先生がカンナへ向き直る

 

「"ちょっと生活安全局の2人も借りて良い?"」

 

「はい!」

 

キリノが元気よく答え

 

「・・・はいっ!?」

 

自分で返事してから驚いていた

 

フブキが青ざめる

 

「じょ、冗談でしょ・・・?」

「相手はあのSRTだよ?」

 

カンナも2人を見る

 

「・・・すみませんが先生。」

「彼女たちは基本的に戦闘員ではなく、平和ボケした生活安全局の所属です。」

「警備局でも公安局でも太刀打ち出来なかったんです。」

「例えアンラさんが居たとしても、戦闘で役に立つとは・・・」

 

「"ふふん"」

 

先生が不敵な笑みを浮かべる

 

「"まぁ任せてみてよ。"」

 

「・・・・・・」

 

カンナはしばらく先生を見て、

やがて大きなため息をつく

 

「そうですか・・・」

「まぁ責任はシャーレが負うと言う事ですし、無理には止めはしません。」

 

そして無線機を手に取った

 

「まだ戦闘可能な者たちに告ぐ!!」

「これよりシャーレの先生の指示に従い、生活安全局の生徒をサポートせよ!!」

 

「人相怖いのに中身ツンデレだよな・・・」

 

おっさんがぼそっと呟いた

 

その瞬間カンナの顔がおっさんの方に向く

 

「・・・・・・」

 

聞こえたらしい

 

カンナがこちらを見ているその顔が

さっきより怖い

 

顔からお前を殺すという意思を感じる

 

「・・・おっさん、先行くわ。」

 

おっさんが逃げるように公園の方へ向かう

背中に殺意にも似た視線が突き刺さっている

 

「ちょっ、ちょっと待った!」

 

後ろからフブキの声

 

「マジで!? マジで言ってる!?」

「嘘でしょ、絶対直ぐやられるって! 先生、正気!?」

 

「"正気、正気。"」

 

先生は軽く言う

 

「"大丈夫、きっとなんとかなるよー"」

 

「フブキ、大丈夫です!」

 

キリノも励ます

 

「先生の指揮があるなら何とかなります!――多分!」

 

「多分って言った!?」

 

「・・・・・・」

 

まぁあの2人には正面で頑張ってもらおう

おっさんは、おっさんの仕事をする

 

「ほんならおっさんはミユでええんよな?」

 

おっさんが先生へ声を掛けると

先生が頷く

 

「"怪我はさせないでくださいよ?"」

 

「誰にいっとんねん。」

 

「"生徒に危うくミンチにする威力の攻撃を叩き込んでタワーにめり込ませた人に言ってます。"」

 

「・・・・・・」

 

視線を逸らす

 

「・・・・・・」

 

顔を逸らして口笛を吹きながら

そのまま公園へ向かう

 

そしておっさんがぼそりと呟く

 

【魔術式解凍:隠蔽術式:即時発動】

 

瞬間、おっさんの身体が空気へ溶けた

 

姿が消え、気配も、存在感も

薄れていく

 

(さて、仕事開始や)

 

おっさんは地面を蹴り、

 

――タン

 

さらに空中を蹴る

 

――タン

 

さらに

 

――タン

 

まるで見えない足場が存在しているかのように空を駆けていく

地上ではヴァルキューレの生徒達が公園の入り口に殺到していく

 

それをミヤコがSRTから持ってきたのだろうドローン複数機で迎撃していた

 

銃声、怒号、爆発音

 

そのすべてを頭上から見下ろす

 

「まぁ、先生なら何とかなるか・・・」

「ほんで・・・ミユ、狙撃手なら・・・あっこか。」

 

少し丘になった、周りを見渡すには丁度良く、

それでいて草が茂っていて全身を隠すのにも丁度良さそうだった

 

丘に向けて一歩空を駆ける

 

丘までの途中地面に違和感があった

 

「・・・ん?」

 

空中で止まり、下を見る

地面、その一部分だけ土の色が妙に新しい

 

「・・・・・・」

 

後から土を被せたような跡

 

「地雷か。」

 

まぁこういう場所なら仕掛けとるわな

おっさんはスマートフォンを取り出す

 

【公園内に地雷有り。】

 

先生へ送信

すぐに既読がつく

 

【"了解。気をつけて。"】

 

【ぽーにょ。】

 

【"ぽーにょ!?"】

 

スマホをしまう

 

そして再び

 

――タン

 

空を蹴った

 

 

 

 

 

しばらく進んだところで

茂みの隙間から人影が見えた

 

(見つけた)

(あれがミユやろ。)

 

ゆっくり近づく

 

そして

 

「・・・・・・」

 

思わず、足を止めた

 

ミユが半泣きになっていた

 

その理由は自分の周囲に大量にいる

 

芋虫

 

「・・・・・・」

 

そして、その芋虫を狙って

 

一羽の小鳥がミユの身体へ止まっている

 

ぱくっ

 

「・・・・・・。」

 

小鳥が芋虫を食べていた

 

ミユは一切身動きをせず耐えていた

 

「・・・・・・。」

 

おっさんはしばらくその光景を眺め

そして

 

(自然と完全に一体化する狙撃手の極地やなこれ・・・)

(しかもギリー無しのSRTの普通の制服きとってコレか・・・)

 

正直、かなり感心した

自然に溶け込むどころか

自然から自然そのものと認識されとる

 

「・・・・・・。」

 

まぁ本人は完全に限界やろうけど

おっさんは音を立てずに近づく

 

ミユの背後からゆっくり手を伸ばし

ミユの口元を押さえる

 

「――っ!?」

 

ミユの身体がびくっと跳ねた

 

そのまま首元を締め、

ほんの一瞬力を込めると

 

「・・・・・・」

 

ミユの身体からすっと力が抜け倒れる

力が抜けて倒れるミユをおっさんが受け止める

 

呼吸を確認するも、問題なし

 

「よし、気絶しただけや」

 

そしてスマートフォンを取り出した

 

【ゴミ箱制圧完了。】

 

先生へ送信

 

数秒後

 

返信が返ってくる

 

【"そのままミユを連れてRABBIT小隊の拠点へ"】

【"指令所を制圧してください"】

 

「・・・・・・」

 

画面を見る

 

「・・・・・・。」

 

もう一度見る

 

「ほぼおっさん一人でRABBIT小隊を制圧しろって事やないかいコレ。」

 

ため息

 

「はぁ・・・まぁ今さらやな・・・」

 

ミユを鎖でぐるぐる巻きにして

肩へ担ぐ

 

「ほな、ちゃっちゃ終わらせよか」

 

再び

 

――タン

 

そんな音共に空を蹴る

 

――タン

 

――タン

 

そのままRABBIT小隊の拠点へ向かっていく

 

 

 

 

 

しばらく空を駆けると

やがて木々の向こうにテントが見えてきた

 

RABBIT小隊の拠点

おっさんは空中で止まり

 

耳を澄ますと

テントの中から声が聞こえてくる

 

「何か、また兵が出て来た。」

 

サキがヴァルキューレの追加戦力について話していた

 

「もう誰も残ってないと思ってたけど・・・。」

「まさかとは思うが、生活安全局・・・?」

 

モエもいるのか声が返ってきた

 

「じゃあ雑魚じゃん。」

「聞いて損した。」

「それくらいだったら、ミユが適当に処理してくれるでしょ。」

 

「・・・・・・」

 

そのミユ今、おっさんの肩の上やけどな

 

サキがモエに背を向け公園入口の方を見る

 

「そうなんだけど、何か気になるって言うか・・・」

 

「・・・よし今なら、モエの背後は完全な死角やな」

 

おっさんは音もなくモエの後ろに降りる

サキも公園の入り口を見ていて気付いていない

 

「・・・・・・」

 

手を伸ばし、

モエの口元を押さえる

 

「っ!?」

 

そのまま首元を締める

一瞬力を込め落とす

 

「・・・・・・」

 

モエの身体から力が抜け

そのまま受け止める

 

(よし。モエも確保完了)

 

そのままミユと一緒に抱え再度空中へ

 

――タン

 

一瞬でテントから離れる

 

 

 

公園の入り口を見ていたサキが振り返りながら独り言を呟く

 

「・・・まぁ心配のしす――」

 

サキの言葉が途中で止まった

 

振り返るとそこに居たはずの

 

「・・・・・・?」

 

モエがいないかった

 

「モエ・・・?」

 

サキが周囲を見る

いない、どこにも

 

「・・・・・・」

 

その瞬間表情が変わった

 

銃を握り警戒し始める

 

「誰だ・・・?」

 

一瞬考え

 

「まさか表は囮?」

 

その判断は正しい

サキはテントから飛び出すように出て行き

近くの水飲み場へ身を隠す

 

身体を低くして周囲を見渡す

 

「・・・・・・。」

 

静か何もない

 

「・・・・・・。」

 

その時

 

「判断は正解。」

 

「――――っ!?」

 

真横から声がする

 

自身が隠れている水飲み場の横に

おっさんが立っていた

 

「なっ――!?」

 

サキが反射的に銃を向けようとし

 

おっさんがそれよりも速い速度で

片手でサキの顔を掴む

 

「――っ!」

 

もう片方の手で首元を締め

一瞬で意識を落とす

 

「・・・・・・」

 

サキの身体からも力が抜けた

そのままおっさんが受け止める

 

「うし、これで3人全滅やな。」

 

おっさんはミユ、モエ、サキの

3人を地面へ並べる

 

「・・・なんやろ、これ。」

 

拾ってきた猫を並べとるみたいやな

 

「まぁええか。」

 

スマホを取り出す

3人が並んでいるところを撮影し

 

モモトークで先生へ送信する

 

【終わったでー。】

 

すぐに既読。

 

【"お疲れ様です。"】

 

「先生にも写真を送ったし連れて帰るかね」

 

おっさんは三人をまとめて担ぐ

 

「よいしょ。」

 

そして再び空中へ

 

――タン

 

――タン

 

見えない足場を蹴りながら

公園の外へ向かっていく

 

「・・・なんやかんや、ここまで来たら」

「もう仕事というより運搬業やな・・・」

 

おっさんは三人を担いだまま呟き

静かに空を駆けていった

 

 

 




先生ぇ・・・

いや、付き合ってる訳でもないのに、
ペアルック強要とかちょっと引くわ・・・w

ちなみに一応AIでイメージ画出力してます。


【挿絵表示】


こんな感じの見た目にされてますね。
あ、ちなみに目が勝手に描写されてますが、目の色は別にブルーじゃないです。



さて、それでは
とうとう始まりました、カルバノクの兎編1章
あとカンナちゃんも3年生になって再登場。
ちなみに以前登場した1年の頃はあの手帳の写真の見た目でしたね。
後、このカンナはアンラが地面に放置していった
役1150人をトラックに詰め込むという地獄をやらされ、
今だに当時の事がちょっとトラウマになっています。


さて、RABBIT小隊のお話をしましょうか。
今回のRABBIT小隊はRABBIT小隊と言う特殊部隊相手に、
大人げない本気の特殊部隊の様な制圧方法で制圧するアンラという場面でした。

まぁ実際の潜入の場合は射殺ですけど、キヴォトスだったら、
真面目に首絞め落とすのが一番いいんじゃないですかね?
身体頑強だけど、その中で餓死と水死はすると思うので窒息で意識飛ぶでしょ。

ちなみに、
流石にアンラも戦闘がある可能性を考えて、
先生から渡されたなりきり先生セットは脱いでます。


そして、
この小説の設定集をまた私のメイン垢で活動報告にて投げさせてもらいました。
この小説どころか、小説の基本骨子に使っている、
アンラの若い頃のお話の設定すらも新規で書きました。
まぁ一目で分かると思うので、世界の設定を全部見たい!とかいうネタバレ大歓迎な方は、
探してみてください!

居るか判りませんが。


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