おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
おっさんテンションぶち上がる
【アビドス自治区・アビドス外郭駅】
【日曜日】
アビドス駅の改札を抜けたところで
「アンラさーん!」
元気な声が飛んできた
振り返ると、大きなリュックを背負ったモモイが、
こちらへ手を振りながら駆けてくる
「おー、来たか。」
「来たよ!」
「わざわざミレニアムからアビドスまで来るんだからね!」
「呼びつけたんはこっちやからな。」
「まぁ、それはそうだけど!」
モモイは背負っているリュックを軽く叩く
「ちゃんと訓練用の準備もしてきたよ。」
「お。」
「今日はゲーム機は持ってきてないからね!」
「そこは一応、自分から言うんやな・・・」
「砂塵で壊れたら最悪だし。」
「さすがにそこは分かっとったか」
「私だって学習するんだよ!」
「誰に向かって言うとるんや。」
「アンラさん!」
「さいで」
おっさんは苦笑しながら駅の外へ向かう
「ほな、車乗り。」
「車?」
「車や。」
「えっ、アンラさん車持ってたの!?」
「一応な。」
「なんか意外!」
「なんでや。」
「アンラさん、いつもなんか空飛んでるイメージだから。」
「それ言われると、おっさん自分の足で歩いてる方が珍しいみたいやな。」
「だって前も先生を――」
「その話は忘れよか。」
「えー」
「毎回先生から怒鳴られるんよな。」
「ふふっ」
そんな事を言いながら駐車場へ向かう
そして駐車場の一角
そこに停めてあった車を見て
モモイの足が止まった
「・・・・・・」
おっさんは、その横顔を見る
「なんや。」
「・・・大きくない?」
「まぁ」
「これ、普通の車?」
「普通やないな。」
「やっぱり!」
モモイの目が一気に輝いた
祈願屋で使う大型車両
この車に乗るもの以前先生達をビナーの所に連れて行った時以来か
「うわぁ・・・!」
モモイが車の周りをぐるぐる回る
「なにこれ!」
「でっかいタイヤ!装甲まで付いてる!」
「え、後ろ何!?キャンプ設備?」
「これ車なの!?」
「車や。」
「いやこれもう半分基地じゃん!」
「言い過ぎや。」
「いやいや!」
モモイが車体の横から内部を覗き込む
「この刻印、何!?」
「ああ、魔術での防備やな。」
「魔術まで積んでるの!?」
「念の為な。」
「すっご・・・!」
目が完全に輝いとる。
「こういうのゲームに出てきたら絶対乗りたい!」
「ゲーム脳は相変わらずやなぁ。」
「だってこんなのテンション上がるじゃん!」
「まぁまぁ、楽しそうで何よりや。」
モモイはそのまま助手席へ飛び込む
「よし!出発だー!」
「お前さん、旅行に来たんやないで」
「分かってるよ!」
おっさんも運転席へ乗り込み
エンジンを始動する
ゴウンッ・・・
車体が低く唸り
車体に掘られた刻印がほんのり光った
「・・・・・・」
モモイが目を丸くする
「今、車が魔法使った?」
「魔術や。」
「細かい違いはいいじゃん!」
「いや、おっさんには大事なんやけど・・・」
「じゃあ行こっか!」
「はいよ。」
大型車両が、ゆっくりと走り出す
アビドス都市部を抜け、住宅地を抜け
そして次第に建物が少なくなっていく
代わりに、見渡す限りの砂と青い空
遠くに伸びる地平線
モモイは窓の外を眺めながら
「・・・やっぱり凄いなぁ。」
「何がや?」
「砂漠。」
「ミレニアムじゃこんな景色、まず見ないから。」
「まぁ、せやろな。」
しばらく走っていると
モモイが、背中のリュックをぽんぽん叩いた
「ねぇ、アンラさん。」
「おん?」
「今日って、どこで訓練するの?」
「ちょい外れや。」
「どの辺?」
「だいぶ前に対策委員会と、先生と、うちの会社の社長相手に模擬戦やったところ。」
「・・・・・・」
モモイが固まった
「・・・・・・あの?」
「せや。」
「・・・砂漠がものすごい事になってる場所?
「せやなぁ。」
「・・・・・・」
モモイは窓の外へ顔を向ける
遠く砂漠の色が少しだけ変わっている
砂が大きく吹き飛び大地そのものが露出した場所
「アレ?」
「おぅ」
「あそこだよね?」
「せやな」
「砂漠が無くなってる場所。」
「言い方。」
「いやだって!」
モモイが身を乗り出す
「これ普通に地形変わってるじゃん!」
「まぁ・・・」
「緑のガラスみたいなのも混じってるし。」
「そこも前の余波やな」
「・・・・・・」
モモイが絶句する
やがて
「・・・・・・もしかして」
「ん?」
「この場所って。」
「アンラさんが暴れても大丈夫だから選んだの?」
「暴れる前提にすんなや。」
「でも。」
モモイがにやっと笑う
「街中でやるより、ここでやった方が被害少ないんでしょ?」
「まぁ、それはそうや。」
「ここ、祈願屋の訓練場所としても使っとるしな。」
「へぇー」
モモイが感心したように頷く
「じゃあ今日。」
「アンラさん、結構本気出す?」
「・・・・・・」
おっさんは前を向いたまま答える
「お前さん次第やな。」
「えっ」
「今のお前さんやったら。」
「おっさんの槍じゃ、もうまともな訓練にならへんしな。」
「・・・・・・」
モモイの表情が一瞬で明るくなる
「それって」
「私、強くなったってこと?」
「せやな」
「やった!!」
「調子乗るな」
「でも嬉しいじゃん!」
「まぁ・・・ええか」
しばらく車内にエンジン音だけが響く
やがて目的地へ到着すると
おっさんは車を止める
「ほな、降り。」
「はーい。」
モモイが助手席から降りる
その背中には大きなリュック
外へ出た瞬間砂漠の風が吹き付ける
「わっ」
モモイが帽子を押さえる
「砂、凄いね。」
「ゲーム機なんぞ持って来んで正解やろ。」
「うん。」
「今日はこの中身が相棒だから。」
モモイがリュックを下ろし、チャックを開けると
中から訓練用の装備、予備弾薬
替えのマガジン、簡単な工具
水筒、そして銛の予備部品
「結構持って来たな。」
「そりゃ訓練なんだから!」
「ゲーム開発部の休日とは思えんなぁ。」
「今日は戦闘用モモイだからね!」
「なんやそれ。」
おっさんは笑いながら車の後部を開く
こちらも訓練用の道具を取り出す
そして改めて周囲を見る
以前、対策委員会とユメちゃん、そして先生
それに対しておっさんが一人
模擬戦という名の集団リンチをやられた場所
結果、砂は吹き飛び
砂岩が露出し
一部は熱でガラス化
緑色の異様な地面がところどころに残っている
今では祈願屋の訓練場所として使っとる
「うわぁ・・・・・・」
モモイが周囲を見回す
「本当にここで戦ったの?」
「せやで。」
「何人で?」
「対策委員会と社長と先生。」
「・・・全力?」
「おっさん以外、全力やったなぁ。」
「・・・・・・」
モモイがまた絶句する
「これ。」
「うん。」
「模擬戦?」
「模擬戦や・・・・・・と思う。」
「・・・・・・」
「なんや。」
「ミレニアムの演習場より、こっちの方が演習場として信用できる。」
「そらよかった。」
「いや褒めてないからね!?」
「分かっとるわ。」
おっさんは苦笑する
「ほな、まずは準備や。」
モモイが背中のリュックを背負い直す
「了解!」
その顔にはもう訓練前の真剣さが出ていた
「今日の訓練は?」
「最初はいつも通り。」
「足運び、間合い。」
「銛の扱い。」
「それから――」
おっさんは一本の木の棒を取り出した
モモイの視線が、そこへ向く
「・・・・・・」
「なんや。」
「分かった」
「何がや」
「それ。」
モモイが銛を構える
「木の棒だけど、剣術で来るんでしょ?」
「せやで。」
「・・・・・・」
モモイがため息を吐いた
「嫌な予感しかしないよ・・・」
「なんでや。」
「前にも見たからだよ。」
「見せた事あったか?」
「アリスとの模擬戦で最後、刀を持って空気変わったよね。」
「よぉ覚えとるな。」
「そりゃ覚えてるよ!」
モモイが苦笑する
「だって、あれ怖いもん。」
「まぁ。」
おっさんは木の棒を軽く振る
ヒュンッ
「直に当たらんかったら死なんから安心せぇ」
「それ絶対安心できないやつ!」
「はっはっは」
「笑ってるし!!」
おっさんは木の棒を肩へ担ぐ
「ほな、構え」
モモイも銛を握る
「・・・・・・」
お互いに向かい合う
おっさんは、その姿を見て
少しだけ笑った
ええ構えや
以前とは明らかに違う
銛そのものを使いこなすだけやない
自分の身体
銛、鎖、銃
全部を一つの戦い方として繋げとる
せやから、今日から一段上げる
ダンッ!!
最初に踏み込み
「っ!」
モモイが反応する
木の棒を突き出す
――突き
おっさんにしてみれば、ごくごく普通の一撃
モモイの銛が迎えに来る
真正面
そのまま突きを突き合わせれば簡単に止められる
実際やろうと思えば、モモイの突きくらい
真正面から突きを合わせて、押さえ込む事も出来る
技術差はそれくらいある
けど
モモイの目が一瞬だけ変わった
銛を構えようとして
止まる
そして手首を返した
カンッ!!
銛の側面が木の棒の側面を叩き
おっさんの突きが、横へ流れる
「・・・お」
モモイ自身が驚いとる
おっさんは木の棒を引いた
「今の」
「・・・・・・」
モモイが自分の銛を見る
「私」
「おう?」
「今、合わせるのやめたよね。」
「せやな」
「なんか」
モモイは胸元へ手を当てた
「身体が勝手に」
「これ、真正面から合わせたらヤバいって。」
「そう思った。」
「・・・・・・」
おっさんは笑った
「ええ勘しとるやん。」
「え?」
「別に、おっさんの突きを真正面から受けても問題ないで」
「え・・・」
「お前さんの技術で受け切れるかどうかは別やけど」
「そこは怖いんだよ!」
「はっはっは」
おっさんは木の棒を軽く回した
「けど、相手の刃と刃を合わせるんが、いつも正解やと思わん事や。」
「特におっさん相手やったらな。」
「なんで?」
「おっさんが斬ろう思って振ったら。」
「基本、なんでも斬れるからや。」
「・・・・・・」
モモイが引き攣った
「やっぱり殺意が高い!!」
「木の棒相手に何言うてんねん。」
「でもアンラさんだよ!?」
「信用ないなぁ」
「あるわけないじゃん!」
「さいでっか」
おっさんがカラカラと笑う
「まぁ、今の判断は悪ない。」
「武器を真正面から止めるんやなく」
「側面から叩いて軌道だけ変えた。」
モモイも頷く
「うん。」
「なんか、自然にそっちへ動いちゃった。」
「それでええ。」
「武器同士の力比べをせんでもええ。」
「相手の武器がそこへ来るなら。」
「来る方向を変えたらええ。」
「なるほど。」
「ほな。」
おっさんは木の棒を構え直した。
「もう一回。」
「えっ。」
「次は速くする。」
「待って!」
「なんや」
「今の一回で何となく分かったばっかりなんだけど!?」
「実戦は待ってくれへん。」
「殺意が高い!!」
「さっきからそればっかりやな」
「だってそうじゃん!」
「うだうだ言っとるさかい行くぞー」
そう言った瞬間
ダンッ!!
おっさんが踏み込む
突きからすぐに横薙ぎへ変える
「っ!」
モモイが銛を傾ける
カンッ!!
側面から弾く
木の棒の軌道を逸らす
逸らされた軌道が変わり
ヒュンッ!!
横薙ぎに繋がる
モモイは身体を沈め
頭上を棒が抜ける
「うわっ!」
「次。」
こんくらいでは止まらん
足を動かし間合いを詰める
突き
モモイが流す
薙ぎ
避ける
返し
横へ
そして
モモイの銛が返ってくる
「――今!」
【シュッ!!】
穂先が迫る
おっさんは顔を逸らすだけで避けた
ローブを掠めた
「お。」
モモイが目を輝かせる
「今、当たりそうだった!」
「そうやな。」
「やった!」
「でも。」
「え?」
「自分で思っとるより、まだ足が止まる。」
「・・・・・・」
「えぇ・・・・・・」
おっさんは肩を竦める
「攻撃を逸らした、避けた。」
「そこで安心しとる。」
「その一瞬が長い。」
「次の攻撃が来る前にもう次の場所へ行っとけ。」
「・・・・・・」
モモイが考える
「じゃあ。」
「うん。」
「攻撃を防いだ瞬間じゃなく」
「防いだ瞬間から次の攻撃を始める」
「それや。」
「よし。」
モモイが銛を握り直す。
「もう一回!」
「おう。」
今度はモモイから来た
ダンッ!!
銛による突き
「――」
おっさんは木の棒を真正面へ出した
ガキィンッ!!
銛と木の棒が真正面でぶつかる
「えっ!?」
モモイの腕が伸びきる前に止まる
その瞬間おっさんは少しだけ笑った
「今のくらいなら。」
「正面から合わせても、おっさんは止められる。」
「・・・・・・」
モモイが目を丸くする
「じゃあ、なんでさっきから避けてるの?」
「お前さんに教えるためや。」
「・・・・・・」
モモイの表情が変わる
「あ、そういうこと。」
「せや。」
おっさんは木の棒を引いた
「おっさんが勝つだけやったら。」
「何の訓練にもならへんやろ。」
「・・・・・・」
モモイは少しだけ笑った
「そっか。」
「せやで」
「じゃあ」
銛を構え直す
「私も、アンラさんをちゃんと倒すつもりでやる。」
「やってみ。」
タンッ!!
また来る
今度のモモイは最初から真正面へ合わせようとせず
銛を突くように見せかけ
石突の鎖を投げてきた
ジャラッ!!
おっさんの足を狙う
「お。」
軽く跳び着地する、
そこへモモイの銛が突きこまれる
おっさんは木の棒を一閃
カンッ!!
正面から抑え込もうとした木の棒を
モモイが同時に側面へ流した
「――っ。」
カンッ!!
互いの武器が擦れ
モモイが横へ滑ると同時に
銛を回転させ石突がおっさんの側頭部に向かって飛んでくる
ビュオン
おっさんは上体を逸らし躱す
「ええやん。」
「でしょ!」
「ただ。」
木の棒が一瞬だけ走る
モモイの額の前で木の棒が止まる
「・・・・・・」
「これで、死んだ。」
「・・・・・・」
モモイが固まる
「・・・・・・ズルい。」
「どこがや。」
「最後だけ速い!」
「実戦やったら。」
おっさんは木の棒を肩へ担ぐ。
「最初から最速で動き続ける奴なんぞおるわけあらへんやろ。」
「うぅ・・・」
「せやから鍛えるんや。」
「・・・・・・」
モモイは少しむくれていたが
それでも少し笑っていた
「もう一回。」
「お。」
「もう一回やる。」
「おう。」
それから
何度も、何度も
木の棒と銛が交差した
モモイはおっさんの攻撃を止めようとはせず
真正面から受けた方がええ時と受けたらアカン時を
少しずつ感覚で見分け始めていく
特におっさんが「斬る」動きを見せた時
モモイの身体は、もう自然と横へ逃げる
側面から弾き
流し、間合いを外す
そして、そのまま次の攻撃へ繋ぐ
それは以前までのモモイにはなかった動きだった
「・・・・・・」
おっさんは少し離れた場所で銛を構えるモモイを見る
ええな、ちゃんと自分で掴み始めとる
武器の使い方を覚えるだけやない
相手の武器そのものを見て
どう戦うかを、自分で考える段階まで来とる
「モモイ。」
「ん?」
「もう一個だけ。」
「なに?」
「その勘、忘れるなよ。」
おっさんは木の棒を軽く振る
ヒュンッ
「真正面から合わせたらアカンと思った時は」
「素直に逃げろ。」
「武器で勝つ必要なんかない。」
「相手の武器を空振りさせて。」
「自分だけ当てたら、それで勝ちや。」
モモイが頷いた
「うん。分かった。」
そしてすぐに笑う
「じゃあ、次は私がアンラさんに当てる番ね!」
「おう。」
おっさんも笑う
「ほな、来い。」
ダンッ!!
夕暮れのアビドス砂漠
以前
対策委員会とユメちゃんと先生
全員でおっさんへ挑んだ末に、砂そのものが吹き飛び、
砂岩と緑色のガラスだけが残った荒野
その場所で今度は一人の少女が
自分の中の殺意を飼いならし、新しい戦い方を覚えようとしていた
カンッ!!
ヒュンッ!!
ジャラッ!!
乾いた音が広い砂漠へ響いていく
そして
それからどれくらい経ったやろか
もう何度目かも分からん模擬戦
「はぁっ!」
ダンッ!!
モモイが踏み込み、銛が突き出される
おっさんは木の棒で横へ流す
カンッ!!
モモイはそのまま銛を流される勢いのまま体をひねり
回し蹴りをおっさんにむけて放つ
「おっと。」
おっさんはバックステップで躱す
「――そこっ!」
今度は銛を投擲してくる
ガキンッ!!
木の棒で銛を上に弾き飛ばす
「まだや!」
「分かってるよ!」
モモイが鎖を掴み弾き飛ばされた銛を操り
おっさんの上空から銛を叩きつける
ドゴッ!!
おっさんは木の枝で受け止め
木の枝からミシミシという音が鳴り響く
そのまま、銛を再度弾き飛ばし後退する
「おぉ・・・」
「どう!?」
「だいぶ良うなったな。」
「やった!」
モモイが笑う
ほんまにええ動きになってきた
ここまで来ると殺意に身体を突き動かされていた最初の頃とは明らかに違う
銛の扱いだけでなく、身体の使い方も
距離の取り方も鎖の応用の仕方も
その一つ一つに洗礼された知恵を感じる
何より、今のモモイからは殺意を感じなくなった
完全に殺意を飼いならし、外に出さない様に使いこなしている
「ほな。」
おっさんも少しだけ踏み込む
ダンッ!!
木の棒を上段から振り下ろし
モモイが側面から弾き
カンッ!!
そのまま銛を返す
「もらったよ!」
穂先が来る
おっさんは身体を捻って避ける
紙一重でローブを掠める
「おっ!今の当たった!?」
「掠っただけや。」
「でも当たった!」
「せやな。」
「よっし!」
モモイが嬉しそうに笑う
その顔を見て
おっさんも少しだけ口元が緩んだ
「・・・・・・」
もう一手・・・
もう少しだけ・・・見てみたい
今のモモイがどこまでやれるのか
「モモイ。」
「ん?」
「次。」
おっさんは木の棒を構え直す
「もう一段、上げるで。」
「え?」
モモイが目を丸くする
「まだ上がるの!?」
「そら訓練やしな。」
「いやいや!」
「さっきから結構ギリギリなんだけど!?」
「大丈夫や。」
おっさんは笑う
「ちゃんと加減する。」
「その言葉、アンラさんが言うと一番信用できない!!」
「はっはっは。」
「笑ってるし!!」
モモイが銛を構える
おっさんも木の棒を構えた
「ほな。」
「来い。」
ダンッ!!
モモイが踏み込む
速い
さっきまでより明らかに速い
木の棒が走り
モモイが弾く
そのまま銛が返し的確に突かれる
鎖が鞭のようにしなって襲い掛かる
サイドステップで大きく避ける
「――ここ!」
モモイがおっさんの着地を狙って銛を投げてくる
シュッ!!
穂先がおっさんに接近する
今度は着の棒で地面へと銛を叩き落す
モモイがそれと同時に駆けて
おっさんに飛び蹴りを入れてくる
おっさんは身体をひねる様にして避ける
そこへ、モモイが着地と同時に鎖を握り込んで作ったナックルで殴りかかる
木の枝で受けそのままおっさんが砂漠を滑っていく
「お前さん今のはええな。」
「でしょ!?」
モモイは満面の笑み
「――ははっ。」
思わず笑いが漏れた
楽しい・・・
ほんまにこいつ、ええところまで来とる
モモイが一瞬だけ目を丸くする
「・・・・・・?」
瞬間おっさんの身体が
すっと沈んだ
木の棒を右手から左手へ持ち替え
木の枝を鞘に収めた刀のように低く構える
その構えを見たモモイの表情が変わった。
「・・・アンラさん?」
「どうした?こないんか?」
「何、その構え。」
「・・・・・・」
ただ、少しだけ笑う
今までキヴォトスで
これを生徒相手に使ったことはない
見せたこともない
けど、今の連撃を見て
ほんの少し使ってみたくなった
ほんの少しだけ
「さぁ来い。」
「・・・・・・」
モモイが警戒する
「何する気?」
「なに、ちょっとだけや」
「ちょっとだけって何!?」
「はっはっは」
「来ないなら
「――っ!」
踏み込む
砂が爆発しアンラが消える
次の瞬間、モモイの目の前に居合の構えのアンラが現れる
「
スゥッ――
左手が走り、木の枝が抜ける
「――っ!?」
モモイの身体が突然止まる
「やばっ――!!」
ザッ!!
反射的にモモイが地面へ飛び込み
砂を巻き上げそのまま伏せる
次の瞬間
モモイの身体あった場所を木の枝が通り抜けた
音はほとんどない
ただ
遠くで
――――――――――
砂漠が裂けるような音がした
「・・・・・・」
モモイは伏せたまま動かなかった
数秒
風だけが吹く
やがて恐る恐る顔を上げる
「・・・・・・」
おっさんはその場に立ったまま
木の枝を持っている
そして
「・・・・・・」
ふと前に広がる両断された景色を見る
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あ。」
声が漏れた
砂漠
その先の地平線まで一直線に何もかもが
一文字に斬れていた
砂丘が、砂岩が
その下の大地が
まるで巨大な刃物で真横から撫で切られたように
綺麗すぎるほど綺麗な線で両断されている
・・・・・・
おっさんはそこで初めて背筋が冷えた
「・・・・・・」
さっき、もし、モモイが
あの場で一瞬でも迷っとったら
もし、避けるのが一歩遅れとったら
「・・・・・・」
死んどった
普通に死んどった
「・・・・・・」
そこまで考えて
ようやく頭が冷えた
「・・・・・・あかん。」
ほんまに、これはやってもうた
「・・・・・・アンラさん」
モモイの声
低い
震えとる
「お、おぅ・・・」
モモイが立ち上がる
顔には涙
半泣き、いやかなり泣きそうや
「・・・・・・あれ」
「ん?」
「あれ何!?」
「・・・・・・」
「何したの!?」
「・・・・・・」
「何で!?」
一歩、詰め寄ってくる
「何で木の枝であんなの斬れるの!?」
「・・・・・・」
「ていうか!」
さらに一歩
「私、避けなかったらどうなってた!?」
「・・・・・・」
おっさんは正直に言うことにした
「死んどったな。」
モモイの顔が固まる
「・・・・・・え。」
「今のは、お前さんが避けるの遅れとったら。」
「普通に死んどった。」
「・・・・・・」
モモイの目から
ぽろっと涙が落ちた
「・・・アンラさん。」
「ん。」
「それ、訓練で使う技じゃないよね?」
「・・・人間の訓練では使わんな・・・」
「・・・・・・」
モモイがぐっと唇を噛む
「じゃあ、なんで撃ったの!?」
「・・・・・・」
「私、良い感じだったんじゃないの!?」
「凄くええ感じやったな。」
「じゃあなんで殺しに来るの!?」
「殺す気は――」
「結果が殺す技なんだよぉ!!」
半泣きのまま
モモイが銛を持って詰め寄ってくる
「説明して!!」
「・・・・・・」
「ちゃんと!!」
「・・・・・・はい。」
さすがにこれは怒られて当然やな
「まず。」
おっさんは木の枝を持ち上げる。
「今のは普通の剣技やない。」
「え?」
「おっさんの流派。」
「新月流や。」
「・・・・・・」
モモイが目を丸くする。
「・・・流派!?」
「せや。」
「アンラさん、流派持ってたの!?」
「まぁな。」
「初めて聞いたんだけど!?」
「そらそうや。」
おっさんは苦笑する
「キヴォトス来てから。」
「一回も使っとらんからな。」
「・・・・・・」
モモイがもう一度
さっきの一文字を振り返る
「じゃあ、今のあれも?」
「新月流の技や。」
「・・・・・・技の名前は?」
「虚月。」
「虚月・・・」
モモイが呟く。
「それって、何なの?」
「簡単に言えば。」
おっさんは少し言葉を選ぶ
「斬るんやなくて。」
「そこにあるもんそのものを斬る技や。」
「・・・・・・」
「空間とか物とか存在してる場所を」
「指定してそこだけ斬る。」
モモイの顔が
どんどん引き攣っていく
「・・・つまり今のって、景色そのものを斬ったの?」
「せやな。」
「・・・木の枝で?」
「おぅ。」
「・・・・・・」
モモイはおっさんが持ってる木の枝を見る
それからおっさんを見る
もう一度木の枝を見る
「・・・なんで?」
「武器に依存する技やないからや。」
「・・・・・・」
「まぁ・・・本物の刀やったら。」
「もっと危ないんやけどな」
「いや。」
モモイが即座に食い気味になる。
「今の時点でも十分危ないよ!!」
「まぁ・・・せやな。」
「そこは認めるんだ!?」
「いやぁ」
おっさんは頭を掻く
「冷静になったら。」
「ほんまにやらかしたわ。」
「・・・・・・。」
「おっさん。」
「ちょっとテンションあがってもうてたわ。」
「ちょっとで済んでない!!」
「それはほんまにそう。」
モモイが半泣きのまま睨む
「「・・・・・・」」
しばらく2人とも黙り
やがてモモイが何かを思いついたように声を上げる
「あ。」
「ん?」
涙の残った目が妙に輝く
「・・・じゃあ。」
「何や。」
「悪いと思ってるなら。」
「おぅ。」
「アンラさんの刀、見せて!」
「・・・は?」
「だって!」
モモイが身を乗り出す
「今の技、木の枝でもできるんでしょ?」
「せやな。」
「じゃあ、本物の刀ってどうなってるの!?」
「・・・・・・。」
「ゲームの資料にめちゃくちゃなるじゃん!」
ああ、そういうことか
さっきまで半泣きやったのに
もう完全にゲーム開発者の顔になっとる
「アンラさんの使ってる武器!」
「どういう構造なの?」
「刀身とか!」
「鞘とか!」
「どんな材質とか!」
「どんな形とか!」
「待て待て。」
おっさんは片手を上げる
「一気に聞くな。」
「だって気になるんだもん!」
「・・・・・・」
確かに悪いことをしたという負い目はある
さっき死にかけさせたんも事実やし
これくらいなら見せるだけやしええっちゃええか
「しゃあないなぁ。」
おっさんは虚空から
一本の刀を引き出した
黒い鞘、柄も黒
鍔も黒、鎺も黒
どこを見ても一色
「・・・・・・」
モモイがぽかんとする
おっさんは刀を抜きモモイに見せる
現れた刀身も黒かった
「・・・・・・黒」
「せや」
「全部?」
「全部や」
「柄も?」
「黒」
「鞘も?」
「黒」
「鍔も?」
「黒」
「鎺も?」
「黒」
「刀身も?」
「黒」
モモイの目がだんだん輝いていく
「うわ、すっごい。」
「本当に真っ黒だ・・・」
「まぁ、そういう素材から作った刀やからな。」
モモイが刀身へ顔を近づける
「・・・・・・」
そして首を傾げた
「・・・ん?」
「何や。」
「アンラさん。」
「ん?」
「これ」
刀身を指差す
「刃、無いじゃん。」
「せやで」
「え?」
「刃、研いどらん」
モモイがさらに目を見開く
「・・・なんで!?」
「要らんからや。」
「要らない!?」
「せや」
おっさんは刀身の側面を軽く指で叩くと
コン、と硬い音が鳴る
「この刀、普通の刀みたいに刃はついとらんのよ」
「せやから端っこも丸い」
モモイが恐る恐る刀身を見つめる
確かに刀としては妙に不自然なほど刃が立っていない
「じゃあ」
モモイが顔を上げる
「どうやって斬るの?」
「魔力や」
「・・・魔力?」
「せやで」
おっさんは刀を軽く持ち上げる
「刀そのものに斬れる刃を研いで作るんやなくて。」
「おっさんが魔力を流して刃を形成する。」
「つまり。」
モモイの目がさらに輝く。
「刀自体には、刃がなくて」
「使う時だけ魔力で刃を作る。」
「せやな。」
「・・・・・・」
モモイが完全にゲーム開発者の顔になる
「なにそれ。」
「めっちゃ設定資料になる。」
「・・・・・・」
「外見は完全に普通の打刀なのに、実は刃がない。」
「使用者が魔力で刃を形成して、それで斬る。」
「・・・・・・」
「アンラさん。」
「ん?」
「これ。すっごい良い武器デザイン。」
「そうか?」
「うん!!」
さっきまで泣きそうになっとった奴とは思えん
「黒一色なのもいいし。」
「刃を研いでないっていうのもいい!」
「しかも」
モモイは興奮したまま
刀身を見つめる
「魔力で刃を作るってことは。」
「魔力の形とか密度とかでも性能変わるんでしょ?」
「まぁな。」
「じゃあ、刀の形をしてるだけで。」
「実際の攻撃性能は、アンラさんの魔力次第?」
「そういうことや。」
「・・・・・・」
モモイがしばらく沈黙する
そしてものすごく真剣な顔で
「資料。」
「ん?」
「これ、全部資料にしていい?」
「・・・・・・」
おっさんは刀を見る
モモイを見る
「個人使用の資料ならな。」
「やった!!」
モモイが嬉しそうに笑った
さっきまで泣きそうやったのに
ほんま切り替えが早い
「じゃあさ!」
「ん?」
「その魔力の刃って。」
モモイの目がきらきらしとる
「実際に見せられる?」
「・・・・・・」
おっさんは少しだけ黙り
そして、さっきまで斬ってしまった地平線を見る
これ以上景色を斬るんは
さすがにアカン
少し辺りを見渡すと少し離れたところに
砂漠から突き出すように大きな岩が一本生えていた
高さはおっさんの身長より少し高いくらい
「あれなら。」
おっさんは岩を指差す
「標的にしてええな」
「えっ」
モモイの顔が輝く
「やってくれるの!?」
「まぁ・・・さすがに」
「さっきの件の埋め合わせくらいはせなな」
「やった!!」
モモイは勢いよく背負っていた鞄を下ろし
そして中から端末を一台取り出した
「・・・・・・?」
おっさんが首を傾げる
モモイはすぐさま端末のカメラを起動する
ピッ
「ん?、何してんねん。」
「動画撮るの」
「写真やないんか」
「動画だよ!」
モモイは当然のように答える
「だって、抜刀って動きが大事じゃん」
「・・・・・・」
「一瞬の動きなんだから」
「静止画より動画で撮った方が資料になるでしょ?」
「・・・・・・まぁ」
「それに」
モモイは録画ボタンを押す
【REC】
赤い表示が灯る
「ミレニアム生だよ?」
「こういうの、ちゃんと記録するに決まってるじゃん。」
「さいでっか」
なるほど、そこは抜かりないらしい
「アンラさん。」
「ん?」
「標的、ちゃんと岩だけにしてね。」
「分かっとる。」
「さっきみたいに地平線まで斬るのは禁止。」
「もう分かった言うてるやろ。」
「ほんとに?」
「ほんまや。」
モモイはじっとおっさんを見て
それから録画画面を確認する
「よし、じゃあお願い!」
「おう。」
おっさんは真っ黒な刀を持ったまま
岩へ向かって歩き
数歩、距離を取る
そして左手で刀を握る
その刀身にまだ刃は存在していない
「・・・・・・。」
左手にほんの少し魔力を流す
ブン―――
黒い刀身の縁に光とも闇ともつかない
魔力の薄い輪郭が生まれる
それが刃の形にすっと伸びる
モモイが端末を構えたまま息を呑む
「・・・すご。」
「見えるか?」
「うん。」
「ちゃんと刃が出てる。」
「せや。刀そのものは刃がない。」
「でも魔力を流すと、こんな感じで刃が形成される。」
「・・・・・・」
モモイが録画しながら
小さく呟く
「ちゃんと映ってる・・・」
「資料として最高・・・」
「そこはええねん。」
おっさんは苦笑する
「ほな。」
腰の鞘の鯉口に峰を当て
刃先までそわせた後刀の刃先を収めると同時に
鞘を前に出し完全に納刀する
「今度は技も見せたる。」
「ほんと!?」
「ただし、標的は目の前の岩一個だけや。」
「うん!」
「他は斬らへん。」
「絶対ね!」
「絶対や。」
モモイは少し離れたところまで下がり
そして端末を両手でしっかり構える
「準備OK!」
おっさんは岩を見る
「ほな、よう見とき。」
「うん!」
砂漠を風が抜ける
その中でおっさんの姿勢が僅かに沈んだ。
「――
次の瞬間おっさんの手元が
一度だけブレた
「・・・・・・」
それだけだった
抜刀したのか、納刀したのか
それすらモモイには分からない
刀身も見えない
腕が動いたようにすら見えない
ただ、一瞬何かが走った
そう思った直後
カチン
乾いた鞘鳴り、その音だけが砂漠へ響いた
「・・・・・・」
モモイが目を見開く
けれどおっさんはもう動いていない
刀は腰に収まっている
「・・・?」
モモイが岩を見る
何も起きていない
岩はまだそこに立っている
「・・・終わった?」
「終わったで。」
「え?」
「せやから、もう終わったで。」
「・・・・・・」
モモイは困惑したまま岩を見る
本当に何も起きていない
その直後
ピシ――――
岩の表面に
1本
線が走った
「・・・え?」
続いて
2本
3本
4本
5本
6本
7本
8本
9本
まるで最初からそこに刻まれていた傷が
時間差で一斉に浮かび上がったかのように
パキッ
パキッ
ゴゴゴゴゴ――――
岩が崩れ始める
巨大な塊が無数の破片へ
さらに細かな石へ
最後には砂のような細粒となって
ザアアアアッ!!
周囲へと降り注いだ
「・・・・・・」
モモイは端末を構えたまま完全に固まっていた
しばらく言葉が出てこないようだった
やがて恐る恐る端末へ視線を落とす
「・・・ねぇ。」
「ん?」
「今の。」
「うん。」
「・・・何回?」
「何がや。」
「抜刀。」
おっさんは少しだけ笑った
「数えてなかったんか。」
「だって!」
モモイが叫ぶ。
「一回しか見えなかったんだけど!?」
「せやろな。」
「え?」
「普通に見る限り1回にしか見えへん。」
「というか、その1回すら見えたら上等やわ」
「・・・・・・」
モモイが慌てて録画画面を見る
「ちょっと。」
「ん?」
「スロー再生する!」
「好きにせぇ」
モモイはすぐさま再生速度を落とす
「・・・・・・」
動画がゆっくりになる
けれど、それでも
最初は何も分からない
「・・・あれ?何もない・・・」
「そら。」
おっさんは岩の残骸を見る
「肉眼で追えへん速度やからな。」
「じゃあ。」
モモイはさらに速度を落とす
「・・・・・・」
その瞬間ほんの僅かに
画面の中でおっさんの左手がブレる
「・・・・・・!!」
「今!」
モモイが停止し、巻き戻す
そしてもう一度再生する
「・・・何これ。」
モモイが画面へ顔を近づける
「今1回、抜いたように見えた。」
「せやな」
「でも。」
もう一度
再生
「・・・・・・」
モモイの目が徐々に大きくなる
一度の動きにしか見えなかった
その一瞬の中に何かが重なっている
「・・・待って。」
モモイがさらに再生速度を落とす
何度も停止、再生、停止、再生と繰り返す
「・・・・・・」
「1回抜いて、納刀してる。」
「せや。」
「・・・・・・」
さらに次の一瞬
「・・・・・・もう1回?」
「せや。」
「え。」
モモイが画面を凝視する
「1回のブレの中に。」
「何回も入ってる・・・?」
「せやで。」
「ちょっと待って」
モモイは必死に映像を追う
「1、2、3、4、5、6、7、8・・・9」
そしてモモイの手が止まった
「・・・9回。」
「正解。」
「9回抜刀して、9回納刀する。」
「それが、1回にしか見えなかったの!?」
「そういう技やからな。」
「・・・・・・」
モモイはしばらく黙り込む
そして端末を胸元へ抱えた
「・・・なにこれ。」
「
「めっちゃ格好いい!!」
「さよか・・・」
「だって!」
モモイは目を輝かせながら
録画画面を見る
「通常速度だと。」
「一瞬のブレしか見えない。」
「でも、スローにすると。」
「9回ちゃんと抜刀してる!」
「しかも1回、1回微妙に角度が違う!」
「全部同じ岩を狙っとるからな。」
「角度変えんかったら同じところ斬るだけやしな。」
「・・・・・・」
モモイの顔が完全にゲーム開発者のそれになる
「これ、普通の九連撃じゃないよ。」
「ん?」
「演出にしたら、最初、1回だけ抜いたように見せて。」
「そのまま何も起きない。」
「で、数秒後一気に九ヶ所へ斬撃が入って。」
「全部まとめて壊れる。」
「・・・・・・」
「めっちゃ格好いいじゃん!!」
「ほんまにゲームのことしか考えてへんな。」
「だって!こんなの最高の資料だよ!!」
「・・・・・・」
モモイは録画した映像を
また通常速度で再生する
一瞬、手元がブレる
カチン
それだけ
「・・・・・・」
スロー
今度は9回の抜刀と納刀
「・・・・・・。」
モモイは感心しきったように呟く
「これ、資料にする。」
「勝手にせぇ。」
「する!」
「ただし」
おっさんは釘を刺す
「技そのものを再現しようとすんなよ。」
「え?」
「ミレニアムのゲームに入れるんは。」
「見た目だけにしとき。」
「・・・・・・」
モモイが少し考え
「・・・それ。」
「すごく大事な話?」
「めちゃくちゃ大事や。」
「・・・・・・」
モモイは素直に頷いた
「分かった。」
「じゃあ」
モモイは満面の笑みで端末を抱え直す
「安全な範囲で再現する!」
「さいでっか。」
おっさんは苦笑しながら
真っ黒な打ち刀を虚空へと仕舞う
その横でモモイの端末だけが
何度も、何度も
同じ一瞬を再生していた
おっさんぇ・・・!!
昔の弟子とのやり取りしていた感覚で虚月撃ってんじゃないよ!
そらね!あのおっさんの世界だと虚月はただのジャブで、
無限に連射するもんやったけど、
キヴォトスでは次元斬は文字通り必【殺】技なの!()
まぁと言う事で、
以前言っていたおっさんの流派が初登場!
そして以前セト神を二等分した技の名前も正式登場。
名前は虚月、9連撃のほうが【重】です。
1モーションで座標指定の虚月を限界までぶっ放すのが【重】なので、
別に2回でも3回でも【重】です。
ちなみに、この虚月・重は以前出て来ています。
それは何処かと言うと、アビドスリゾートで、
アンラがウキウキしながらスイカを8等分にぶった斬った時の奴です。
そして、モモイに触れますが。
モモイはあれから結構な頻度でおっさんにしばかれ・・・げふんげふん
しごかれています。
なので、やっとこさ、体が勝手に動く。という段階は乗り越える事が出来た感じですね。
それにしても手を抜いていたと言ってもアンラ状態のあのおっさんの抜刀術を回避するのは
ぶっちゃけキヴォトスでも出来る奴は上位3人くらいなので、マジで凄いです。
それに、木の棒といってもおっさんが使うと実質ライトセーバーみたいな物なんで、
それを銛を切られない様に横から弾いたりして無力化している時点で凄いっす。
モモイの唯一残念な所は、
武術修練を優先している為、神秘の扱いがまだまだな事、
これで神秘圧縮を会得して色付きに至ったら、
ユメの次くらいには強いんじゃないかな?
作者が良く言うキヴォトスバケモンランキング(アンラ除く)は、
1位ローブ着たホシノ
2位ユメ
3位ローブを使いこなしたアリス
4位ミカ
5位ヒナ
6位アル
7位シロコ
8位第三章のアヤネ
9位ヒフミ(未来)
10位第三章セリカ
って感じですね。
見事に6位まで全員神秘圧縮習得者ですね。
なので、モモイがこれに入るには最低ライン神秘圧縮は習得してもらわないといけないっすね。
いや、ゲーム開発部とは・・・?