おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
「・・・・・・」
何もない
さっきまで、アンラさんがいた場所
そこには
黒い球体だけが浮かんでいる
「"・・・アンラさん。"」
返事はない
「さて。」
ミカの声が聞こえ
私は顔を上げる
「邪魔者も片付けたし・・・」
ミカはゆっくりと
サオリへ振り向いた
そして微笑む
「久しぶり・・・ってほどでもないか。」
「また会えて嬉しいよ、サオリ。」
一歩、ミカが踏み出す
「今度こそ、貴女を殺すよ。」
「"皆、散会!!!"」
私が叫ぶと同時に
サオリ、ミサキ、ヒヨリが一斉に散った
ミカとの距離を大きく取る
私は、必死に頭を回し思考を巡らせる
どうする、どうする!?
一発でも貰えばサオリ達の命が危ない
でも、ミカは神秘を圧縮できる
しかも今の私達にはアンラさんがいない
「"・・・決め手がない。"」
その時、さっきのアンラさんの言葉が脳裏をよぎった
『今が使い時や。』
・・・・・・それともう一つ
出発前、私に教えた魔法の言葉
「"・・・・・・"」
私はシッテムの箱を見る
やるしかない
私は、シッテムの箱を強く握った
「"アロナ。"」
シッテム箱から声が返る
『はい、先生!』
「"ちょっと。大変なことになるかもしれないけど・・・"」
「"私も頑張るから、一緒に頑張ろう!"」
一瞬、間があった
それから
『はい!先生!』
『もうこうなったら、覚悟は決めました!』
『いつでもいいですよ!』
私はシッテムの箱を掲げ
そして教えられた言葉を
一つずつ
口にする
「我々は望む、七つの嘆きを。」
「我々は覚えている、ジェリコの古則を。」
そして
「コード:ジェリコ・アクティベート。」
「システムオーバーライド!!」
瞬間
視界が真っ白になった
「"・・・・・・っ!?"」
目の前
視界の中にシステムUIのような画面が展開される
そこへ次々と情報が流れ込んでくる
私が指揮している生徒達の情報
サオリ、ミサキ、ヒヨリ
名前と位置そして、状態
その全てが表示されていた
「"・・・・・・え?"」
その瞬間アロナの声が響いた
『え。』
『え、え・・・・・・?』
『えぇぇぇぇぇぇっ!?』
『先生!!先生!!!!!』
『あの人!!』
『あの人!!!』
『あの人!!!!!!』
『なんて物、入れてくれたんですか!!!!』
『ちょっと待ってください!!』
『今、処理能力がギリギリです!!』
『シールドが少しの間、張れません!!』
『その間!!絶対に前に出ないでください!!!』
「"え、あ。う、うん!"」
私は慌てて頷く
「"ちょ、ちょっと待って!?"」
「"これ、どうするの!?"」
「"アロナ!?"」
返事がない
「"・・・・・・アロナ?"」
返事がない
「"アロナ・・・?"」
もう一度呼びかける
それでも、何も返ってこない
「"・・・・・・"」
私の視界には無数の情報が浮かんでいる
指揮している生徒として
サオリ、ミサキ、ヒヨリ
それぞれの名前の横には、今まで見たことのない情報が並んでいた
体力、位置、状態
そして私を起点として数百メートルにわたるマップ
更には生徒の名前の横には
【PASSIVESKILL】、【EXSKILL】
そんな文字まで
「"・・・これが?"」
アンラさんが言っていた私の本来持ってる力?
私は一度、深呼吸した
今までとは違う
けれど、やることは同じだ
この子達を生きて帰し、アツコを助ける
「"サオリ!"」
「・・・ああ!」
「"ミサキ!"」
「・・・いつでもいいよ。。」
「"ヒヨリ!"」
「は、はい!」
三人が、こちらを見る
私は、視線を三人へと走らせた
そこで初めて気付いた
サオリの身体に
ミサキの身体に
ヒヨリの身体に
神秘の淡い光が纏わりついていた
そして、それが身体の奥へ入り込んでいく
「"・・・神秘が"」
私が呟く
次の瞬間
サオリが自分の手を見た
「・・・これは?」
「身体が・・・」
握った拳
その指がぎしり、と鳴った
サオリが一歩踏み出す
ドンッ
地面が僅かに沈んだ
本人が驚いたように足元を見る
「・・・・・・!」
「速い・・・・・・」
ミサキも同じだった
普段なら一歩ずつ慎重に動くはずの身体が
今はまるで最初からその速度で動けることを知っていたかのように滑らかに動いている
ヒヨリも対物ライフルを構え直す
「・・・・・・す、凄い。」
銃身を支える腕に
以前とは比べ物にならないほどの力が入っている
私は画面を見る
そして表示されている文字を確認する
【PASSIVESKILL】
サオリ【リーダーの責任感】
ミサキ【無意味な技術】
ヒヨリ【付録の力】
さらにそれぞれの数値が跳ね上がっている
サオリを基準にして
その周囲にいるスクワッドの全員へ、強化が重なっている
そこへヒヨリの強化まで加わっている
「・・・・・・」
サオリがこちらを見る
「先生。指示を」
その声は普段と何も変わらない
けれど身体はもう以前の彼女達とは違う
私はミカを見る
黒い神秘を纏ったミカ
その右手が、ゆっくりと開く
けれど背後に浮かぶ黒い球
そこには、今もアンラさんが封じられている
あの巨大な引力も
空間をねじ曲げる力も
今は使えないらしい
なら
「"サオリ。"」
「あぁ。」
「"三人で戦って。"」
「"アンラさんの救出は、今は考えなくていい。"」
三人の表情が僅かに変わる。
「"・・・・・・"」
私は拳を握った
「"ミカを止める。"」
「了解した。」
サオリが答えた
「・・・やろう。」
ミサキもスティンガーを構える
「は、はい・・・!」
ヒヨリも対物ライフルを肩へ担ぐ
その瞬間ミカが笑った。
「そっか。今度は三人で来るんだね。」
一歩、ミカが踏み出す
「じゃあ。遊ぼっか。」
最初に動いたのは
サオリだった
「・・・・・・ッ!!」
地面を蹴る
ドンッ!!
一歩目から速い
二歩目には、もう射程へ入る
三歩目でジグザグに移動しながら
アサルトライフルを構える
ダダダダダッ!!
ミカが半歩ずれる
一発
二発
三発
髪を切り
肩のすぐ横を抜け
四発目が地面へと突き刺さる
「・・・速いね。」
ミカが笑った
その身体が、ふっと沈む
サオリが狙いを修正する
けれど
ミカはもうそこにいない
「・・・・・・!」
右へミカが一気に回り込み殴りかかる
サオリが振り向き
そこへ拳
「っ!」
サオリは反射的に身体を沈め
拳が頭上を通り過ぎる
髪が何本か舞う
そのままサオリは地面へ片手をつき
足を払うようにして距離を取る
着地と同時に銃口を向ける
ダダダダダッ!!
ミカが後ろへ飛ぶ
「"今!"」
私が叫ぶと同時に
ミサキが構えるセイントプレデターの砲口が赤色へと輝いて行く
「・・・・・・」
ミカが着地する地点
その足元へ
「・・・塵は塵にかえるもの。」
ヒュンッ――
そんな空気を切る音と共にミサキの神秘が込められたロケット弾が飛んでいく
ミカがそれに気付いた
「・・・・・・あ。」
ドゴォォン!!
爆炎が地面を舐める
ミカの姿が煙の向こうへ消える
私はすぐに叫ぶ
「"ヒヨリ!"」
「はいっ!」
ヒヨリが煙の奥へ対物ライフルを向ける
「見えません・・・!」
「"まだ撃たない!"」
煙の端
一瞬だけ
黒い影が見えた
「"右!"」
ヒヨリが照準を振る
「・・・そ、そこです!」
ズドォンッ!!
淡い青色に染まった閃光が、煙を裂き
ミカが咄嗟に身体を捻る
完全には避けきれず肩を掠め
ミカが纏っている黒い神秘が弾ける
「・・・・・・っ。」
ミカが着地する
「へぇ・・・」
肩を軽く回す
「それ。ただの弾じゃないんだ。」
ヒヨリは再び照準を合わせる
「・・・つ、次は当てます。」
その声に普段の怯えはほとんどなかった
サオリを中心に三人の身体能力がさらに引き上げられている
「今だ!」
サオリが再び前へ出た
ダダダダダッ!!
今度は正面からサオリが攻める
ミカも真正面から迎え
黒い神秘を纏った拳が振り抜かれる
サオリが右へ
拳が肩のすぐ横を通過する
そのまま身体を回し
アサルトライフルを横薙ぎに構える
ダダダダダダッ!!
ミカは身体を反らし弾丸が服を掠め
そのまま後ろへ跳ぶ
「"ミサキ!"」
「・・・任せて。」
ミサキが、先ほどとは違う位置へ走る
セイントプレデターを構え先ほどよりも強く赤い神秘を込めていく
その照準はミカではない
ミカが逃げる先
「・・・何もかも無駄だよ。」
ヒュンッ――
ミカが一瞬だけ足を止めた瞬間
飛来した赤い神秘が込められたロケットが地面へ刺さる
「・・・・・・!」
次の瞬間
ドゴォォォン!!
大きな爆発で辺りが吹き飛び
爆炎が地面を焼く
ミカがその中から飛び出し
「あちち・・・」
炎を纏う地面を越える
「これ、しばらく消えないんだね。」
ミサキは答えず
そのまま次の照準へ
しかし、ミカはミサキを無視しサオリへ向かって踏み込んだ
「・・・・・・!」
サオリが咄嗟に構え、ミカの拳が顔面へ迫る
サオリは首を傾けて避け
拳が頬のすぐ横を通り黒い神秘が、空気を裂く
その隙にサオリのアサルトライフルがミカの胴体を狙う
ダダダダッ!!
ミカが腕で庇い
数発が身体を掠める
「・・・・・・」
ミカの表情から笑みが少し消える
「やっぱり。」
「皆急に神秘が使える様になってるね・・・」
サオリが銃口を上げる
ダダダダッ!!
ミカが後方へ跳ぶ
その背後へ
「へへ・・・私には、このくらいしか出来ないので・・・」
ヒヨリの神秘が込められた弾丸が放たれる
ズドォンッ!!
淡い青色の神秘が一筋の閃光となってミカへと襲う
ミカが咄嗟に横へ飛が、
完全には避けられず、弾が今度は脚を掠める
「っ・・・!!」
その瞬間一瞬だけ
ミカの身体が痛みで止まった
「い、今です!」
ヒヨリが叫ぶと同時に
「"サオリ!"」
私がサオリの名前を呼び、
サオリが頷く
サオリが構えたアサルトライフルの銃口が綺麗な水色に輝く
「――et omnia vanitas。」
瞬間隙が出来たミカに
十二発もの水色の閃光が連続して放たれた
一発
二発
三発
ミカが体制を崩しつつも右へ逃げる
四発
五発
ミカが身体を捻る
六発目が肩を掠めた
七
八
九
逃げ場が削られる
十
十一
そして
十二発目が直撃する
ドゴォォォン!!
水色の閃光がミカに直撃しミカが吹き飛び
廃屋にミカが突っ込み土煙が舞い上がる
サオリが息を切らしながらミカが消えた土煙を睨む
「・・・はぁ・・・はぁ。」
土煙の向こうで影が動く
ミカが直撃した腹を抑えながらも立ち上がってきた
「先生の指揮の・・・せいだよね?」
「・・・すごいね。本当に」
「でも。もうサオリ達は限界だよね?」
「・・・・・・まだだ。」
サオリの膝が僅かに揺れる
ミカが、それを見ていう
「神秘を扱うのって」
「すごく体力を使うんだよ。」
ミカは微笑む
「私も最初は、息も絶え絶えだった。」
「でも」
一歩
「何度も使って。」
もう一歩
「何度も動いて。」
さらに一歩
「だんだん慣れてくるんだ。」
サオリが銃を構えようとするが腕が上がらなかった
散会していたミサキとヒヨリが助けに入ろうとするが、
身体が思う様に動かないようだった
ミカの右手へ黒い神秘が集まっていく
「・・・・・・今度こそ。」
ミサキが叫ぶ
「リーダー!」
ヒヨリも銃口を向ける
「リーダー!」
それよりも二人の引き金よりも早く
ミカの拳が振り下ろそうとし
「"ミカ!!"」
私も思わず声を上げる
「"やめて・・・!"」
「・・・ごめんね先生。」
「私、元々いう事聞かない悪い子だったでしょう?」
「先生が今どういう状況なのかは大体わかるけど・・・その言葉には従えないの。」
ミカはそう言い拳を振りぬこうとする
私は必死に言葉を続ける
「"ミカは、アリウスを救おうとしたでしょう!?"」
ミカの拳がサオリへ迫る
「"ミカ!!"」
「"まだ、やり直せるよ!!"」
「"だから・・・その手を止めて!!"」
その瞬間
小さな音がした
私は反射的に振り向く
そこにはアンラさんを閉じ込めている黒い球
「"・・・・・・?"」
球体が
僅かに震える
そして
「――――ピキッ。」
小さな、ひび割れるような音が
戦場に響いた
【七篠アンラ視点】
「・・・・・・【新月】。」
アンラが刀を抜き放ち、呟いた
ただ、それだけだった
黒い球体が真っ直ぐ二つに割れた
何かが爆発した訳でもない
大きな音がした訳でもない
ただ
世界そのものを一本の線で切ったように
黒い球体の中心から真っ直ぐにどこまでも伸びていく
「・・・・・・」
おっさんは刀を抜いたまま
ゆっくりと前を見る
その視線の先にはアリウス自治区の街並みが広がっている
ぱっと見、何も変わっていない
建物も、道路も、街灯も
何もかもそのままに見える
・・・・・・けど
・・・カチ
少し離れた場所で街灯の上部がずるりとズレた
「・・・・・・。」
そのまま
ガシャァン!!
地面へ落下する
さらに建物から伸びていた
配管、看板、垂れ下がっていた電線
建物と建物の間に張られていたロープ
その全てがまるで最初から切られていたかのように
真っ直ぐ綺麗に両断され遅れて地面へ落ちていく
「・・・・・・」
その線の先にある建物も
壁面が僅かにズレ
次々と
ズズズ・・・
ガララッ・・・・
と音を立て崩れ始める
まるで街そのものが今になって自分が切られていた事を思い出したかのようだった
そしておっさんの目の前にある
二つに割れた黒い球体が完全に崩れ落ちる
中からおっさんが歩き出す
刀を手に首を左右へ傾け
・・・ボキッ・・・ボキッ
首の骨を鳴らす
「・・・・・・はぁ。」
久しぶりにまともな出力で技を撃ったわ
おっさんはゆっくりとミカを見る
「いやぁ・・・・・・やってくれたなオイ。」
「・・・・・・」
ミカのその目がゆっくりとこちらへ向く
「どうやって・・・」
驚いてほんの一瞬ミカが止まる
それだけだった
けれど先生がその隙を逃さない
「"ミカ。"」
ミカの視線が先生へ移る
「"セイアの事も私が必ず何とかする。"」
「"だから。"」
一歩、先生が前へ出る
「"トリニティに戻って。"」
「"これ以上、ミカを傷つけたくない。"」
「・・・・・・」
ミカは何も言わない
おっさんは手にしていた刀を
静かに鞘へ戻した
カチン
そのまま右手を右腰の刀へ置き
鍔へ親指を添え、いつでも抜ける姿勢を取り
「・・・・・・」
ただ成り行きを見守る
ミカがゆっくりと口を開く
「先生・・・ごめんね。」
「私。いつも、こんなだよね・・・」
「私みたいな問題児はさ。」
「先生に何度も心配をかける生徒は・・・」
「先生の傍に居られないって事もちゃんと分かってる。」
「でも・・・」
声が少しずつ震えていく
「私・・・・・・」
「私・・・・・・」
「私には・・・・・」
その瞬間堰を切ったようにミカの瞳から涙が零れ落ちた
「もう。帰る場所がないの・・・」
「トリニティにも、どこにも・・・」
「私はトリニティの裏切り者で、みんなの敵で・・・」
「何度もセイアちゃんを傷つけてしまった。」
「魔女だから・・・」
涙を拭おうとする
けれど止まらない
「学園から追い出されたら。」
「ナギちゃんにも、大切な人たちにも。」
「二度と会えなくなる。」
「生徒じゃなくなったら・・・私みたいな問題児、先生だってもう会ってくれない。」
「私に、これ以上幸せな未来なんて訪れないって事もちゃんと分かってる・・・」
ミカの声が少しずつ掠れていく
「私は・・・悪党で。」
「人殺しだから・・・」
「だから・・・私に残ってるのは」
「
その瞬間ミカがサオリ達を睨んだ
「なのに。あなた達は・・・どうして!?」
声が震える
「私は、大切な物を全部失ったのに!!」
「全部!!奪われたのに!!!」
「あなた達は・・・どうして!?」
「あなた達が何の代償も支払わないで」
「何も奪われないでいるなんて。」
「そんなの・・・・・・」
ミカの拳がぎゅっと握られる
「そんな事、許したら・・・」
「私は・・・何者でもなくなってしまう。」
「私には・・・何の意味も残らない。」
「わたし・・・わたしは、どうしたらいいの・・・・・・」
「・・・・・・」
ミカはサオリを見つめ
やがて口を開く
「スクワッドを――」
「サオリをそのままなんてしておけない・・・」
「その女が何の代償も無く先生の庇護を受けるなんてダメ・・・」
先生が
「"ミカ・・・"」
と声を掛ける
けれどミカは首を横に振る
「だから。先生。」
少しだけ悲しそうに笑う
「今度は。」
一歩、後ろへ下がる
「・・・私を」
もう一歩、闇の中へ
「止めないでね。」
そう言ってミカの姿がアリウス自治区の街並みの闇へ消えていく
「"ミカ!!"」
先生が叫ぶ
けれど、もうそこにはいない
「"・・・・・・"」
再度アリウスの廃墟が静寂で包まれる
ヒヨリが荒い呼吸を繰り返しながら
ミカが消えた方を見る
「い、行ってしまいました・・・?」
ミサキも肩で息をしながら
「・・・一体何なの。」
「あの女・・・」
サオリは俯いたまま
小さく呟いた
「そんなに・・・・・・私が憎いのか。」
「ミカ・・・・・・」
おっさんはそんなサオリを見る
そしてゆっくり口を開いた
「人の価値感なんてもんは。」
「それぞれや。」
「その上で。」
「自分から見える被害と。」
「その被害を受けた当人が感じる被害は。」
「乖離する事がある。」
「せやから。」
「これも、罪を犯した結果として背負うしかないんやろな。」
サオリはしばらく黙っていた
やがて
「・・・そうだな。」
「仕方ないのかもしれない。」
ミサキが周囲を見渡す
「リーダー。」
「あの女、また私達を追いかけてきそうだけど・・・」
「このままバシリカに突入するのは少し危険かもしれない。」
「アリウスに聖徒会。更に怪力ストーカーまで・・・」
「相手しきれないよ。」
サオリは迷う事なく答えた
「・・・・・・このまま旧校舎地下の回廊を通ってバシリカへ進入する。」
「彼女が何を企んでいようが構わない。」
「行くぞ時間が無い。」
「は、はい!」
ヒヨリが頷く
ミサキも
「・・・・・・仕方ない、か。」
そう呟いた
おっさんは三人を見渡す
やっぱりかなり疲弊しとるな
初めて圧縮神秘を使ったんや
そら、身体も持たんか
「道中の戦闘は。」
「おっさんがやったるわ。」
三人がこちらを見る
「ちょい。」
おっさんは右手を刀の柄から離す
「さっきは不覚を取った。」
「その侘びや。」
「せやから、バシリカまでの道中はお前さんら休憩して」
「体力の回復に務めとけ。」
「見た感じ、初めて神秘を操作して。」
「体力、空っけつやろ。」
サオリが一瞬だけ黙る
「・・・・・・」
ミサキも
ヒヨリも
否定できない
「・・・分かった。」
サオリが頷いた
おっさんはそのまま先頭へ歩き出す
数歩進んで
振り返る
先生はまだミカが消えた方向を見ていた
何度も
何度も
その暗闇へ視線を向けている
まぁ、そうなるわな
「"・・・・・・"」
おっさんはそんな先生へ声を掛ける
「ほら。行くで、先生。」
先生がゆっくりとこちらを見る
「"・・・うん。"」
そして先生も歩き出し
サオリ、ミサキ、ヒヨリ
その後ろへと先生が続く
おっさんは先頭を歩きながら
右腰の刀へ
一度だけ手を置く
「・・・・・・」
バシリカまで、まだ道は長い
けれど今度はおっさんがその道を開ける番や
生徒以外なら幾らでも両断してやる
とりあえず、二つに分けた続きを帰宅後即執筆!
ということで、
【先生】の本来持ってる力とは、
ブルーアーカイブの先生が持っている力の事でした。
聖良先生は、シッテムの箱の戦術指揮システムをほぼ使っていません。
使っているのは敵の位置が分かるレーダーのような物だけで、
それ以外の指揮は全て先生の周回経験による実戦経験に基づいた戦術指揮になります。
それを、今回シッテムの箱から戦術指揮システムを引っ張り出して来たという事です。
まぁ、具体的に言うなら、先生が指揮を取った生徒は
シッテムの箱の戦術指揮システムとリンクし
強制的に神秘圧縮を使用できるようになり、それによりゲーム内で生徒が持っている、
スキル、サブスキル、EXスキル等を使用する事が出来る様になりました。
やったな!アロナ!!
シッテムの箱のメモリ使用量3%くらいだったのが98%くらいになったじゃねーか!
これからお前も重労働だ!!
そしてアンラも戦線復帰。
まぁ・・・お前何しとんねんっていう事ですけどね、
ブラックホール真っ二つにした事もあれですけど、
アリウス自治区が1Km以上に渡って縦に真っ二つにしてくれやがりました。
そして・・・今回使った技は・・・
まぁアンラの流派の剣技で一番一撃の威力が高い奴ですね。
アンラが内心でここまでの高出力を使ったのは久しぶりって言うくらいには
とんでもない奴です。