おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
次回は今日の姫ちゃんメインのお話書きます!
【アビドス都市部・祈願屋事務所】
・・・・・・あかん
これはあかんわ
おっさんは手元の書類を眺めながら深々とため息を吐いた
目の前には未処理の書類が山となって積み上がっている
右側には先日処理したはずの報告書が戻ってきている
左側には新しく届けられた依頼書
そして机の隅には誰が置いていったのか分からん菓子の包み紙
・・・・・・いや
菓子はええねん
仕事の合間に甘いもんを食べるのは大事やしな
問題は書類や
「・・・なぁユメちゃん」
「どうしたんですか? アンラさん」
「最近なぁ・・・おっさん思うんやけど」
おっさんは手元の報告書を持ち上げた
「この祈願屋って組織はなぁ・・・」
「本来こういう書類仕事をするために作ったもんやないと思うんよ」
「・・・うん?」
ユメちゃんが帳簿から顔を上げた
「なんやろなぁ・・・最初は何でも屋みたいなもんやったはずなんやけどなぁ」
「・・・そうですねぇ」
「困っとる人がおったら手を貸して、何か頼まれたら引き受けて、必要なら現場へ行く。」
「そういう組織やったはずなんや」
「そうですねぇ。最初の頃は確かにそうでしたねぇ」
「せやろ?」
おっさんは頷いた
「それが今やどうや」
机の上に積み上がった書類の山を指差す
「朝から晩まで店舗の誘致申請と空きテナントの契約更新と新規商業施設の管理許可や」
「はい」
「ライフラインの維持報告に電力設備の修繕計画に上下水道の点検記録に通信設備の保守報告や」
「はい」
「おまけに企業誘致に関する調整と、都市部の施設管理に関する書類まで次から次へと来よる」
「・・・はい」
「おっさんが何をしたっていうんやろなぁ・・・」
「・・・・・・」
ユメちゃんはしばらくおっさんの顔を見つめたあと、ゆっくりと首を傾げた
「・・・でもアンラさん」
「んー?」
「私が社長になった頃には、もうそういう仕事がかなり増えてましたよねぇ?」
「・・・・・・」
「都市部の建て替えも、ライフラインの整備も、」
「商業施設の管理も、すでに動いてましたよねぇ?」
「・・・・・・せやな」
「書類が増えることも、分かっていたはずですよねぇ?」
「・・・・・・」
「というか、私が社長になったのは、」
「都市復興の仕事を本格的に進めていた時期だったはずですよねぇ?」
「・・・・・・せやなぁ」
「その頃にはもう、」
「何でも屋の依頼だけを受けていればいいような組織じゃなかったと思うんですけど」
「・・・・・・せやなぁ」
ユメちゃんはにっこりと笑った
「じゃあ、どうして今さらそんなことを言ってるんですか?」
「・・・・・・いやぁ」
おっさんは遠くを見つめた
窓の外には、今日も人の行き交うアビドスの街が広がっている
かつて荒れ果てていた街並みには新しい建物が並び、
道路も整備され、電力も水道も通信も安定して使えるようになった
商業施設も増えた
店が開けば人が集まる
人が集まれば商売が生まれる
商売が増えれば新しい店を誘致する必要も出てくるし、
空きテナントの契約も管理せなあかん
当然、そういう仕事を回している祈願屋の書類も増える
いや、知っとる
おっさんかて、それくらい分かっとる
分かっとるんやけどなぁ
「・・・ユメちゃん」
「はい?」
「社長になったとき、おっさんが何て言うたか覚えとる?」
「・・・・・・覚えてますよ?」
「・・・・・・」
「私を助けてくれたあと、契約の話をして」
「その直後にほとんど説明もなしに祈願屋の新社長を任せてきましたよねぇ?」
「・・・・・・」
「私、あのときまだ状況を全部理解できてなかったんですけど」
「・・・・・・」
「アンラさんは、私に社長を任せたら自分はフィールドワークに専念できるって」
「とっても嬉しそうでしたよねぇ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・アンラさん?」
「いやぁ・・・若い頃は誰にでも勢いというもんがあるやん?」
「私、あのあと怒ってアンラさんを殴ったこともありましたねぇ?」
「ぐっ」
痛い、過去の記憶が物理的な痛みを伴って蘇ってきた
あのときのユメちゃんは笑顔のまま馬乗りになって拳を振り抜いてきたんや
あれはほんまに怖かった
「・・・いや、ほら」
おっさんは苦笑いを浮かべた
「ユメちゃんは有能やからなぁ。おっさんは適材適所というやつを大事にしとるんよ」
「そうなんですか?」
「せやで!」
「じゃあ、今からアンラさんが社長に戻りますか?」
「・・・・・・」
「私がフィールドワークに専念してもいいですよ?」
「・・・・・・」
おっさんはそっと書類を机の上へ戻した
あかん、それだけはあかん
今の祈願屋の仕事量を一番よく分かっとるのはユメちゃんや
あの子が社長の仕事から離れたら、今度はおっさんが全部を引き受けることになる
ほんで、おっさんが全部を引き受けたらどうなるか
・・・・・・考えるまでもない
「いやぁ・・・ユメちゃんは社長の仕事が板についてきたからなぁ!」
「そうですかぁ?」
「せやせや! おっさんは現場担当が向いとるんよ!」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「アンラさん?」
「はい」
「あとで覚えていてくださいね?」
「・・・・・・はい」
うん、怖い
この子、オフの時はふわふわしとるくせにこういうところでは一切容赦がない
まあ、そらそうやろなぁ
死にかけのところを助けたあと、
契約を結んで、状況を十分に説明するより先に社長の座まで押し付けたんや
おっさんが悪い
そこは間違いない
それはそれとして
今の書類の山はどうにかならんもんやろか
「せやけどなぁ・・・」
おっさんは改めて机の上を見渡した
「書類だけやったら、まだどうにかなるんよ」
「・・・そうなんですか?」
「せやねん。書類は逃げへんからなぁ。時間をかけたらいつかは片付く」
「その時間が足りないんじゃないですか?」
「せやねん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「それに、最近は治安維持の仕事も増えているんですよねぇ?」
「せやねんなぁ・・・」
おっさんは机に突っ伏した
「ほんまになぁ・・・」
祈願屋は都市復興や都市管理を担う組織やけど、それだけが仕事というわけやない
アビドス全土の治安維持を担う部隊も、祈願屋の下部組織として運営している
第一部隊に所属しとるのは、おっさんとユメちゃんの二人だけ
普通なら二人で自治区全域の治安を維持するなんて無茶もええところやろう
けど、そこはまあ・・・おっさんらやからなぁ
二人とも普通の生徒とは戦力の桁が違う
大抵の武装集団なら、どれだけ数がおろうが制圧できる
大規模な戦闘になったところでおっさんとユメちゃんの二人が出れば
例え学区単位で戦争しかけてきてもどうとでもなる
実際、それで今まで十分に回っていた
もちろん、アビドス全土を二人だけで四六時中走り回っているわけやない
治安維持部隊のさらに下には、元ヘルメット団の子らが作った巡回部隊がおるし
あの子らが日々アビドスの街をパトロールして、
喧嘩や小競り合い、ちょっとした揉め事なんかを処理してくれている
大抵の問題はそこで片付く
元ヘルメット団の子らも、今では立派に街を守る側の人間や
昔のことを考えたら、なかなか感慨深いもんがある
・・・・・・まあ
たまに余計な報告書が増えることもあるんやけど
そこはご愛嬌やな
問題は最近の事件や
単なる喧嘩や小規模な揉め事なら、巡回部隊が対応できる
けれども、武装集団同士の大規模な衝突や
巡回部隊だけでは手に負えない相手が出てくると、第一部隊であるおっさんらの出番になる
そして最近は、そういう案件が妙に多い
アビドス自治区の東側で武装集団の騒ぎが起きたと思えば、少しして西側から応援要請が入る
西側へ向かっている最中に、今度は北側で別の事件が発生する
巡回部隊からの報告を確認すれば、今度は南側で不審な集団が目撃されたという
いや、おかしいやろ
いくらなんでも、事件の発生する間隔がおかしい
しかも、それぞれの事件が妙なところで重なっている
別々の場所で起きたはずの騒ぎが、同じ時間帯に集中することがある
それぞれ別の集団のはずなのに、妙に統率が取れていることもある
単なる偶然で片付けるには、引っかかる部分が多すぎた
「元ヘルメット団の子らも、ほんまによくやってくれとるんやけどなぁ・・・」
おっさんは報告書をめくった
「巡回で小さな揉め事は処理してくれとるし、」
「無理そうな案件はちゃんと応援要請を出してくれとる」
「みんな頑張ってくれてますからねぇ」
「せやねん。ほんま、ありがたい話やで」
「それでも間に合わないことがあるんですよねぇ?」
「・・・せやねん」
おっさんは深々とため息を吐いた
これがまた、厄介なところなんよな
おっさんは通常でも音速で移動できる
普通の距離なら、現場に到着するまでそう長い時間はかからへん
せやけど、アビドスは広い
自治区の端から端まで移動しろと言われたら
さすがのおっさんでも一瞬というわけにはいかん
仮に東の端で事件が起きて、現場へ急行して制圧したとする
その直後に西の端で別の事件が起きたら?
西側へ向かうための移動時間が必要になる
現場に着けば状況を確認し、必要なら戦闘を終わらせ、負傷者や周囲の安全も確認せなあかん
ほんで、その間に別の場所から応援要請が入る
どうしろと?
分身でもせえっちゅうんか?
いやまあ、分身する手段がないわけやないんやけどな
それを常時やるのは、また別の問題がある
何より、そんなことをする必要がないように組織を整えてきたはずなんよ
元ヘルメット団の子らが巡回を担当して、第一部隊の二人が大きな案件に対応する
この仕組み自体は、ちゃんと機能している
ただ、最近は事件が多すぎる
一件を片付けて別の現場へ向かう
その移動時間の分だけ、どうしても対処が後手に回る
どれほど強かろうが、離れた場所で同時に起きた事件を、
すべて同時に解決することはできへんのや
「・・・ほんま、何が起きとるんやろなぁ」
「不思議ですねぇ」
ユメちゃんも困ったように眉を下げた
「それに最近は、不正アクセスも増えていますよね?」
「・・・・・・せやねん」
おっさんは別の報告書を引っ張り出した
最近は祈願屋が管理しとる通信設備や業務用端末に対して、不審なアクセスが増えている
被害そのものは大きくない
けれども、警備用のシステムに不自然な接続があったり
業務用端末が一時的に応答しなくなったりする
そのたびに確認して、原因を調べて、必要なら対処する
通信設備に問題が出れば、都市管理の仕事にも影響する
警備システムに異常があれば、治安維持の仕事にも影響する
放っておくわけにはいかん
せやけど、調査をすればするほど
おっさんらが処理せなあかん仕事が増えていく
「これ見てみ」
「・・・えっと?」
おっさんは三枚の報告書を並べた
「一昨日の通信設備への不正アクセスの報告書や」
「はい」
「こっちは昨日の警備システムの異常」
「はい」
「んで、これが今日の朝に届いた報告書」
「・・・・・・」
ユメちゃんは三枚の書類を見比べた
発生した場所も時間も違う
被害の程度も大きくはない
けれども、いずれも祈願屋の管理する設備やシステムに関係している
「・・・何か調べられているんでしょうか?」
「その可能性はあるなぁ」
「祈願屋を?」
「祈願屋かもしれへんし、アビドス自治区の情報かもしれへん」
「・・・・・・」
「今のところは証拠もないからなぁ。大騒ぎするわけにもいかん」
「そうですねぇ」
「せやから、ひとまず記録を集めて経過観察や。何か分かったら、そのときに動けばええ」
「分かりました」
ユメちゃんは報告書を揃えて机の端に置いた
「それにしても、どうして急にこんなに増えたんでしょうねぇ?」
「さぁなぁ」
おっさんは椅子に座り直した
「何か目的があるんかもしれへんし、単に最近アビドスが目立っとるだけかもしれへん」
「アンラさんでも分からないんですねぇ」
「分からへんもんは分からへんよ。」
「分からんことを無理に分かったふりしてもしゃあないやろ」
「・・・そっか」
「ただまあ、これが続くようなら何かしら手を打たなあかんやろなぁ」
「うん。私に手伝えることがあったら言ってくださいね!」
「ありがとなぁユメちゃん。ほんま助かるわ」
おっさんは心からそう言った
ユメちゃんがおるからこそ、祈願屋は回っている
都市の管理に関する判断も、商業施設の調整も、膨大な書類の処理も、
ユメちゃんが社長として支えてくれているからこそ成立している
治安維持の現場も、元ヘルメット団の子らが巡回を担当し、
手に負えない案件をおっさんらへ回してくれるからこそ、何とか成り立っている
それでも今は、あちらもこちらも限界に近づいていた
いや、正確に言えば、
もうとっくに限界を超えかけとるんやけどな
これ以上は考えんとこう
現実逃避ってのは大事や
そんなことを考えていると、ユメちゃんがふと思い出したように顔を上げた
「・・・そういえばアンラさん」
「んー?」
「アリウスの子たちのことなんですけど」
「・・・ん?」
「ホシノちゃんにはもう説明したんですか?」
・・・・・・あっ
おっさんの手が止まる
手元には未処理の書類
その向こうにはユメちゃんの顔
ユメちゃんは首を傾げながらこちらを見ている
「・・・何のことやろなぁ?」
「アツコちゃんたちのことですよ?」
「・・・・・・」
「今、うちのセーフハウスで保護している子たち」
「・・・・・・」
「先生を撃ったサオリちゃんの仲間で、アリウスから逃げてきた子たちですよねぇ?」
「・・・・・・」
「その子たちをアビドスで匿っていること、対策委員会のみんなには説明したんですか?」
「・・・・・・」
おっさんは書類に視線を落とした
報告書の文字がやけに綺麗に見える
いやぁ達筆やなぁ
誰が書いたんやろなぁ
・・・おっさんや
伊達に長生きしとるわけやない
生き字引と呼ばれるおっさんの字がこんなにも達筆とは知らなんだ
「・・・アンラさん?」
「・・・・・・」
「・・・・・・まだですか?」
「・・・いやぁ」
おっさんは頬を掻いた
「さっきも言うたけどなぁ、最近ほんまに忙しゅうてなぁ・・・」
「・・・うん?」
「書類の仕事もあるし、あちこちで事件も起きとるやろ?」
「・・・そうですねぇ」
「一件片付けて戻ってきたら、別の場所で応援要請が出とったりしてなぁ。」
「遠いところやと、どうしても移動に時間がかかるんよ」
「・・・はい」
「せやから、その・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「まだ説明していないんですね?」
「・・・・・・せやな」
ユメちゃんはゆっくりと目を細めた
責めるような顔やない
呆れているような顔でもない
ただただ純粋に、どうしてそうなったのか分からないという顔だった
いやぁ、ほんまにすまん
おっさんも説明せなあかんとは思っとったんやで?
先生からアツコちゃんたちを頼まれたことも、保護しとることも
アツコちゃんたちがどういう経緯でアリウスから逃げてきたのかも
ちゃんと話すつもりではおったんや
ただ忙しかった
ほんまに忙しかったんや
都市管理の書類が増えた
治安維持の出動が増えた
通信設備の異常が増えた
不審アクセスが増えた
言い訳を並べれば並べるほど、自分が悪い気がしてくるなぁ
「・・・アンラさん」
「はい」
「ホシノちゃん、怒ると思いますよ?」
「・・・・・・」
「怒りますよね?」
「・・・・・・せやろなぁ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・じゃあ早めに説明したほうがいいと思いますよ?」
「・・・せやなぁ」
おっさんはゆっくりと頷いた
そうやな、今日こそはホシノちゃんに説明しに行こう
いや、今からでも連絡して時間を取ってもらうべきか
せやけど向こうも忙しいやろうしなぁ
こちらの事情を説明してから日程を調整して・・・
・・・・・・うん
今日の仕事が終わったらにしよう
まずは目の前の書類を片付けて、それから連絡すればええ
おっさんはそう決めて、再び目の前の書類へ視線を戻した
その瞬間だった
ドガァァァァァンッ!!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
事務所の扉が吹き飛んだ
正確には誰かが扉を蹴破った
勢いよく弾き飛ばされた扉は室内を横切り、壁にぶつかって大きな音を立てる
机の上に積み上がっていた書類が風圧で舞い上がり
紙吹雪のように舞い散る報告書
宙を泳ぐ請求書
どこかへ飛んでいく経費精算書
ああああああああああああああああああああああああっ!!
おっさんが今日一日かけて少しずつ整理してきた書類がぁ!!
いや、まだ終わってへんけど!!
終わってへんけどな!!
それでも積み上げた分は少しずつ片付いてたんや!!
それが全部吹き飛んだ!!
なんやねん!!
誰やねん!!
こんなことするやつ!!
おっさんは舞い上がった書類の向こうに目を向けた
そこに立っていたのは
満面の笑みを浮かべたホシノだった
ホシノはおっさんのローブを着た上に完全武装していた
いつもの眠そうな雰囲気はない
身体には防弾チョッキとサイドワームを携え、手にはショットガン
その姿からは普段のゆるふわな雰囲気がすっかり消えていた
そして背後には同じく武装した対策委員会の面々が並んでいる
シロコは冷静な顔でこちらを見ている
ノノミは笑顔を浮かべているけれど、その手にはしっかりと武器が握られている
セリカは眉間に皺を寄せている
アヤネは何かを言いたそうに口を開きかけていた
いや、なんでフルメンバーなん?
なんで全員武装しとるん?
なんでホシノ笑っとるん?
そして何より
なんで扉を蹴破ったん?
「・・・・・・」
おっさんは無言でホシノを見つめ
ホシノも笑顔でおっさんを見つめ返してくる
にっこり
あかん
何か判らんけどこれあかんやつや
ホシノが持っているショットガンが赤色の光を帯びる
あの散弾を真正面から受ければ、おっさんも普通に痛い
結構痛い
何なら部位ごと無くなる
できれば食らいたくない
・・・・・・
いやほんまに
「・・・話を聞かせて貰いますよ。アンラさん。」
ホシノが声をかけてきた
「・・・・・・おっさん何か悪いことしたかなぁ?」
できるだけ穏やかに尋ねてみる
ホシノは首を傾げた
「うん?むしろしてないと思ってるんですか?」
「・・・・・・で、今日はどないしたん?」
「そんな物騒な格好して」
「んー?」
ホシノちゃんはショットガンを肩に担いだ
「さっきも言いましたけど、
「お話?」
「はい。」
ホシノは笑顔のまま一歩踏み込む
「先生の腹を撃ったアリウスの子達をアンラさんが匿ってるって本当ですか?」
ああ、なるほどその話か
おっさんは内心で納得した
「・・・せやで」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・本当なんですね。」
「せやで」
ホシノの笑顔がほんの少しだけ深くなった
「私も、できれば聞き間違いであってほしかったんですけどね。」
「・・・そうかい」
「はい。」
ホシノちゃんはショットガンを持ち直した
「・・・それで?」
「・・・それでとは?」
「どうして匿ってるのか。ですよ。」
「・・・ああ、それはな」
おっさんは舞い散った書類を踏まんように避けながら椅子から立ち上がった
「先生も知っとることやで」
「・・・・・・え?」
「なんなら先生からも保護を頼まれとる」
ホシノちゃんの笑顔が止まった
ほんの一瞬だけ目が細くなる
「・・・先生から?」
「せや」
「先生本人から?」
「せやなぁ」
「・・・先生がアリウスの子たちを保護してほしいって頼んだんですか?」
「そういうこっちゃ」
ホシノは黙り込み
後ろにいる対策委員会の面々も互いに顔を見合わせている
シロコがわずかに首を傾げた
「・・・私たちには先生から何も話がなかった」
「先生の方はおっさんは知らへんけんども」
セリカちゃんが前へ出た
「先生を撃った子たちなのよ!?」
「その仲間を匿うなら私たちにも説明くらいあっていいじゃない!」
「・・・せやなぁ」
「せやなぁじゃないでしょ!」
「・・・セリカちゃんの言うことはもっともや」
おっさんは素直に頷いた
ここで言い訳してもしゃあない
先生から頼まれたからといって、
アビドスの対策委員会に説明せんでええ理由にはならへん
アビドス自治区を管理統括する立場にあるのは対策委員会の子たちや
その対策委員会に何も話さず、自治区内にアリウスの子たちを保護していた
そら怒られて当然やろなぁ
「・・・それはおっさんが悪かったわ」
「・・・・・・」
「説明せなあかんとは思っとったんやけどなぁ」
おっさんは頬を掻いた
「最近ちょいとホンマに忙しゅうてなぁ・・・」
「・・・・・・」
ホシノの表情は変わらない
笑顔のまま
ただし、手に持ったショットガンがゆっくりと下がった
・・・あ、これ
もしかして話が通じたんやろか?
「・・・なるほど。」
ホシノちゃんが頷いた
「先生から頼まれたんですね。」
「せやねん」
「アリウスの子たちを守るためだったと。」
「そういうこっちゃ」
「・・・・・・」
ホシノはしばらく黙っていた
それから小さく息を吐く
「はぁ・・・分かりました。」
「おっ」
「あのアリウスの子たちを匿っていること自体については、私から何も言うことは無いです。」
「おおっ」
「先生から頼まれていたなら、なおさらですね。」
「いやぁ、話が分かって助かるわぁ!」
おっさんは思わず笑顔になった
よかった、話が通じた
扉は壊されたし書類も吹き飛ばされたけど
ひとまず話は通じた
おっさんはホシノに向かって親指を立てた
「さすがホシノちゃんやなぁ!」
「いやぁ助かるわぁ!」
「・・・はい。」
ホシノちゃんはにっこりと笑った
「ですが・・・」
・・・・・・ん?
「それはそれ、これはこれですよね?」
「・・・・・・」
おっさんの笑顔が止まった
「・・・・・・はい?」
「私たちには、アビドスで保護してる子たちがいると事前に相談があるべきですよね?」
「・・・いやぁ」
「アンラさんは祈願屋の治安維持部隊の代表ですよね?」
「・・・せやな」
「私たちの知らない所で、アリウスに住んでいた子たちを保護してるんですよね?」
「・・・せやな」
「だったらどうして私たちに何の話もなかったんですか?」
「・・・・・・」
「それともアンラさんたちは、私のことなんてどうでもいいと思ってるのですか?」
「いやいやいや!そんなことあらへんよ!?」
おっさんは慌てて手を振った
「ホシノちゃんのことは大事に思っとるで!?そらもうめっちゃ大事に思っとる!」
「それではどうして?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
おっさんはそっと視線を逸らした
窓の外は今日も晴れていた
遠くの砂漠には太陽の光が降り注いでいる
青空は綺麗やなぁ
風も気持ちよさそうや
現実逃避ってのは大事や
「・・・単純に」
「はい?」
「・・・ちょっと忙しゅうて・・・」
ホシノの笑顔が消えた
あっやってもうた
今のは言うたらあかんかったやつやったか
ホシノの表情から笑みが消えて、周囲の空気の温度が下がる
「・・・そうですか。」
ホシノが静かに頷いた
「忙しかった、ですか。」
「・・・せ、せやなぁ」
「そうですか、そうですか・・・」
ホシノちゃんはショットガンを持ち上げ
そして弾を装填し始める
ガシャッ
カチャリ
カシャン
あかん、これはあかん
おっさんの生存本能が全力で警鐘を鳴らしとる
目の前のホシノは笑っていない
いや笑っとるんかもしれへんけど
そんなことはどうでもええ
今のおっさんにとって、あれは間違いなく危険な存在や
「・・・さて」
おっさんはゆっくりと窓に近づいた
「おっさん、ちょっと自治区の治安維持でもしてこようかなぁ」
ホシノちゃんがこちらを見た
「・・・へぇ?」
「いやぁ、最近物騒やからなぁ!」
「ヘルメット団の騒ぎも増えとるし、不正アクセスも増えとるし!」
「・・・・・・」
「事件の報告もあちこちから来とるんよ!」
「こういうときこそ治安維持部隊として現場を回らなあかんやろ!?」
「・・・・・・」
「ここらで一度巡回でもして状況を確認せなあかんしな!」
「そう!これは大事な仕事やねん!」
「・・・・・・」
「せやからちょっと行ってくるわ!」
おっさんは窓の縁に足をかけた
その瞬間
「行かせると思ってるんですか?」
たまに見せる
・・・・・・あ、これ
絶対あかんやつや
おっさんは振り返ると
ホシノがショットガンを構えていた
背後では対策委員会のみんなが何とも言えない顔をしている
「・・・いやぁ」
おっさんは冷や汗を流しながら笑った
「ほらホシノちゃん。ここは穏便にいこうや?」
「はい。私も穏便に済ませたかったですね」
「過去形?」
その瞬間ホシノのショットガンが火を噴き
おっさんの横の壁が砕け散る
「バラバラになるまで撃たれたくなかったら、そこから動かないでください。」
「・・・はい。」
「・・・すみませんでした・・・・」
おっさんは即座に頭を下げた
「・・・そうです。最初からそうしていればいいんです。」
「・・・はい。」
ホシノが構えていたショットガンを下ろす
・・・今やな
次の瞬間、おっさんが一瞬で身をひるがえし
ガシャァァァンッ!!
事務所の窓を突き破ってアビドスの街並みを走り去っていく
「ハッハッハッハ!!!」
「ホシノちゃんはいつまでも暁のホルスちゃんやなぁ!!!」
「おっさんいつまでも変らへんホシノちゃんの事も好きやでぇ!!!!」
そんな声が割れた窓から聞こえてくる
事務所の中に沈黙が落ち
砕け散った窓ガラスが朝日に照らされてきらきらと輝いている
開いた窓の向こうでは、おっさんがすでに豆粒のような大きさになっていた
ホシノは無言で窓の外を見つめ
数秒ほど、その姿を眺める
それから
「・・・・・・」
ホシノはゆっくりとショットガンを持ち直した
「・・・・・・へぇ」
声は静かだった
表情から笑みが消えている
「・・・そうですか。」
ホシノはショットガンを構え直すと、窓へ向かって歩き始めた
「アンラさん」
その声に、事務所に残っていた全員がぞくりとした
「今の発言は、もう取り消せませんよ。」
「・・・・・・ホシノ先輩?」
アヤネが恐る恐る声をかける
けれどホシノは振り返らなかった
窓の向こうを見据えたまま、静かにショットガンを構える
「うへぇ、ちょっとあのアホをしばき回してくるねぇ。」
「・・・えっ?」
次の瞬間
ダッッ!!
ホシノも窓から飛び出した
おっさんが砕いた窓枠を軽々と飛び越え、空中で身体を捻って着地する
その足元から赤色の神気が噴き上がった
ドンッ!!
砂煙が爆発するように舞い上がる
ホシノの姿が一瞬で遠ざかる
その速度は、普通の生徒はもちろん
並の武装集団ですら目で追うこともできないほどだった
そして、その進路の先には
笑いながら逃げていくおっさんの姿がある
「アッハッハッハッハッ!!」
おっさんは背後から迫ってくる赤色の閃光を避けながら、街路を全速力で駆け抜けていた
「しつこい女はモテへんぞホシノォォォ!!!!」
一瞬、ホシノの動きが止まった
「・・・・・・」
その額に青筋が浮かぶ
次の瞬間
ドンッ!! ドンッ!! ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
黒に限りなく近い赤色の閃光が連続して放たれた
ただの弾丸ではなく、ホシノの神気を直接固めたそれは
まるで黒い炎が赤く燃え上がっているかのような色をしていた
それが何発も何発も、おっさん目掛けて殺到する
「うるさいしねぇえええええええええええええええ!!!!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおっ!?」
「ちょっ!?それはあかん!!それはほんまにあかんやつやろぉぉぉ!!」
おっさんは身体を捻り、地面を蹴り、建物の間を縫うように走り抜ける
黒赤色の閃光がすぐ脇を通過し、後方の道路を抉った
ドゴォォォォンッ!!
「ホシノちゃん!?ちょっと街を壊すんは勘弁してくれへん!?」
「アンラさんが止まれば済む話でしょう!!」
「いや!!止まったら絶対当てるやろ!!」
「ええ!ですので止まってください!!」
「嫌にきまっとるやろアホか!!」
「・・・・・・」
ホシノは目を細め口元を吊り上げる
だが、ショットガンから放たれる閃光の数は一向に減らない
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
「うおおおおおっ!?弾幕が濃い!!濃すぎる!!」
「お前、いつの間に神秘を銃弾に変える技法習得したんや!!!」
「アンラさんなら避けられるでしょう!!」
「避けられるけども!!」
「その技法の弾はおっさん本気でもクッソ痛いんやぞ!?」
「そうですか。」
ホシノは淡々と答えた
「では、痛くないところに当てましょうか?」
「そういう話やないんよなぁぁ!!」
ドゴォォォォンッ!!
「うおおおおおおっ!?」
あかん、この子、ほんまに容赦がない
昔からそういうところは変わっとらん
いや、むしろ昔よりも腕が上がっとるせいでより質が悪い
赤色の神気を纏った黒に近い閃光が、容赦なくおっさんを追い立てる
しかもホシノはおっさんの進路を予測して、逃げ道を塞ぐように射線を調整してきよる
ただ闇雲に撃っとるわけやない
おっさんがどこへ逃げるのかを読んだ上で、次々と弾幕を張っている
いやぁ、ほんまに成長したなぁ
おっさんはちょっと感動してしまう
「ハッハッハッハッ!!」
「さすがホシノちゃんやなぁ!!おっさん感動してもうたわ!!」
「・・・・・・」
「いやぁ!!今のはほんまにええ腕やったでぇ!!」
「・・・・・・アンラさん」
「んー?」
「少し黙っていてください」
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
「うおおおおおおおっ!?速い速い速い!!」
「・・・・・・本当に、少し黙ってください!!」
「ハッハッハッハッ!!いややなぁぁ!!」
「・・・・・・はぁ」
祈願屋の事務所に残された面々は、遠ざかっていく二人の姿を見送っていた
黒に近い赤色の閃光が街の向こうで瞬き
そのたびに遠くから爆発音が響いてくる
そして時折、聞き覚えのある二人の声が風に乗って届いていた
「しつこい女はモテへんぞぉぉぉ!!」
「うるさいしねぇええええええええええええええええええ!!!!!!」
ドゴォォォォンッ!!
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
対策委員会の面々は、そろって深いため息を吐いた
「・・・ん、また始まった」
シロコがぽつりと呟く
「・・・・・・そうね」
セリカも疲れたように頷いた
「ホシノ先輩もアンラさんも、本当に元気ですねぇ」
ノノミは苦笑しながら窓の外を眺めている
「元気とかそういう問題じゃないと思うんだけど・・・」
セリカが額を押さえた
「さっきから街の向こうで爆発音がしてるんだけど!?大丈夫なのこれ!?」
「・・・・・・大丈夫だと思いますよ」
アヤネは散らばった書類を拾い集めながら答えた
「二人とも周囲への被害には気をつけているようですし、」
「アンラさんもホシノ先輩も実力を分かっていますから」
「分かってるけどさぁ・・・」
セリカは窓の外をもう一度見た
遠くの建物の向こうで、赤黒い閃光が横切った
ドゴォォォォンッ!!
「・・・・・・やっぱり止めた方がよくない!?」
「・・・ん。楽しそう」
「シロコ先輩!?」
「ふふっ」
ノノミは口元を押さえて笑った
「でも、ホシノ先輩があんなに楽しそうにしているのも久しぶりですねぇ」
「いや、絶対楽しんでないでしょ!?」
「そうかなぁ?」
シロコは首を傾げた
「ん、アンラさんも笑ってる」
「アンラさんはいつもあんな感じじゃない!!」
「・・・・・・まあ、そうですね」
アヤネは苦笑しながら、机の上の書類をまとめていく
「とりあえず、私たちは事務所の片づけをしましょう。」
「扉も窓も修理が必要ですし、書類も全部拾い直さないといけませんから」
「・・・・・・はぁ」
セリカが大きく肩を落とした
「なんで私たちがこんなことに・・・」
「・・・アンラさんが逃げたから?」
シロコが淡々と答えた
「その原因を作ったのもアンラさんだし」
「それはそうだけどぉ!!」
【梔子ユメ視点】
私は散らばった書類を拾い集めながら、窓の外へ目を向けた
アンラさんとホシノちゃんの姿は、もうずいぶん遠くなっている
それでも、時々聞こえてくる声と爆発音で、二人がまだ元気に走り回っていることは分かった
うん、しばらく帰ってこないね
「・・・ねぇ、みんな」
「はい?」
「冷蔵庫にロールケーキがあるんだけど」
「アンラさんとホシノちゃんが帰ってくるまで、みんなで食べよっかー?」
「・・・わぁ!いいんですか?」
ノノミちゃんの顔がぱっと明るくなった
「うん。どうせ、すぐには帰ってこないだろうからねぇ・・・」
「・・・・・・確かに」
アヤネちゃんが窓の外を見た
遠くから、また爆発音が響いてくる
ドゴォォォォンッ!!
「アンラさん!!いい加減に止まってください!!」
「死ぬわぁぁぁ!!」
「・・・・・・」
私は静かに目を閉じた
「・・・うん。まだまだ帰ってこないねぇ」
「では、早速いただきましょう!」
ノノミちゃんが嬉しそうに声を上げた
私は冷蔵庫からロールケーキを取り出して、切り分け始めた
シロコちゃんが皿を並べ、アヤネちゃんがお茶を用意する
セリカちゃんは窓の外を気にしながらも、ちゃっかり席に着いた
こうして、祈願屋の事務所では、急遽おやつ休憩が始まり
ロールケーキが切り分けられ、紅茶が注がれる
対策委員会のみんなは、それぞれ席についてケーキを口に運んだ
「・・・おいしいですねぇ」
ノノミちゃんが幸せそうに目を細めた
「・・・ん。おいしい」
シロコちゃんも頷き
私もロールケーキを一口食べる
甘さが口の中に広がる
うん、おいしい
アンラさんとホシノちゃんが帰ってきたら、二人にも食べさせてあげよう
もっとも、アンラさんは書類の山を見た瞬間、また現実逃避を始めるかもしれないけれど
私は紅茶を一口飲み、窓の外へ目を向けた
遠くのビル群から、まだ銃声と二人の声が聞こえてくる
ドォンッ!!
「しつこい女はモテへんぞぉぉぉ!!」
「また言ったな!!絶対コロス!!!!!!」
私は小さく笑った
「・・・アビドスは今日も平和だねぇ」
その呟きは、銃声と笑い声にかき消されることなく事務所に響いた
Angra Rip.
ホシノに足打ち抜かれてその後引きずられアビドス砂漠に完全に埋められました。
ちなみに先生がアビドスの子達に連絡入れられなかったのは・・・
先生が今トリニティの救護騎士団に監禁されてるからですねぇ・・・・・・
先生が手を大火傷したのを申告せずに、聴聞会にまで出てしまって
そのまま緊急救護され、入院している為連絡が取れていません。
対策委員会の子達がアツコ達の事を知ったのは、
前話の今日の姫ちゃんで、玄関を爆走していたロードチャリがシロコでした。
そして、普段見た事無い生徒がいた事で、調べた対策委員会が
その家に治安維持部隊の下部組織の元ヘルメット団のメンバー達が、
日用品などを運び入れるのを目撃し、聞き込みをした結果。
アンラが匿っている事が発覚したという流れですね。
そして・・・作中描写に1つありましたね・・・
神秘を固めて弾丸に変えると言う・・・
これ何気に出しましたけど、神秘の弾丸の最終形態です。
弾丸という物質に神秘を込めてる間は、弾丸という物質限界が存在しますが。
そこで、神秘(魔力や神気)その物を弾丸にして射出する方が、
最終的に出力に制限がなくなるんですよね。
ちなみに、この技法は、もうアンラの世界の連中と同じ技法なので、
真面目に本気のアンラにまともにダメージが通りかねません。
そして、ホシノはそれに加えて・・・
神秘圧縮の過程がもう黒に入りかけてるので・・・
威力もかなりのものですね・・・
そういや、
エデン条約4章編で出て来た技とか諸々の設定を書いてませんでしたね!
久々におっさんプチ情報!
まず、「先生とゴリラとスクワッド」で出て来た【新月】ですね。
だーいぶ昔に、髪の毛がオレンジ色の死神の最終必殺技とか、
落第騎士の英雄譚で出て来る一刀羅刹みたいな、
全エネルギーを一撃にって言っていた技がコレになります。
つまり、この一撃に、アンラの全エネルギーを集束し振り下ろして
その一撃だけでエネルギーを使い切るっていうだけの技です。
普通にしたらそのまま死ぬので、代償魔術で、自分が作った燃料タンク並みにエネルギーを内包している武器を破砕してそのエネルギーで自身を即時再生しています。
そして・・・九方の新月・・・
こっちは剣術になった新月です。
分かりやすく言うと、
幕末で暗殺剣してた頬に十字傷のあのおっちゃんの九頭〇〇と同じ技です。
ちなみに一太刀、一太刀が新月です。
つまり・・・あれ一発撃つだけで、アンラと同じ魔力量の魔剣や神剣などが、
その回数分砕け散ってます。
そして魔導・・・
これは、魔術大全という作者の活動報告で書いてある設定集に書いてあった奴ですね。
効果は、これの前に天ノ岩戸と言う世界単位で熱と光を集束するという儀式魔導があるんですが。
今回は、前もってこの儀式終了済みの術を発動するだけの状態で控えた奴を使っています。
この発動寸前で控えている奴も魔装の技法なんですが・・・それは後述しますね。
こっちも魔術大全には載っていますが、
この術は・・・まぁ知っている方も居られるかもしれませんが、ギリシャ神話のゼウスが使う
道具だったり、雷そのものだったりと、色々伝承で違う奴ですね。
今回の術は、ちゃんと使えば、
指定範囲内に術者が止めない限り永遠に雷が降り注ぐっていう魔道です。
こちらも、発動寸前で待機さしていたので文言を言うだけで即時発動してました。
そして、一番根っこの魔装
こっちは魔導というより、技法ですが・・・
その技法は、魔術、魔導を自身の体内にストックしておき、
それを文言1つで即時発動するという技法であり、
その先に、アンラが使用した「雷身天光」があります。
あれは、分かりやすく言えば、魔術、魔導その物に身体を変換する技法です。
その一挙手一投足すべてに取り込んだ魔術や魔導が乗り、
アンラがしていた虚月にもその攻撃が乗っています。
あーあと序に虚月の事も書いておきますと、
代償魔術の所に、決まった動作から決まった攻撃をする事で、威力を上げると言う事を、
活動報告の方で書かせて頂いたのですが、
アンラが放つ虚月系列がそれにあたります。
虚月の縛りは、
納刀している状態からしか撃てない。
ただこれだけです。
まぁ、敵の目の前で刀を収めるっていう行為がどれだけリスキーかっていうお話すれば、
その対価がどれだけ高いか分かるとは思いますが・・・
アンラはこれを動作自体を高速化する事でクリアしており、
これにより、ただの抜刀術に、魔導の次元断裂術式を乗せて放ってます。
つまり、代償として、敵前で納刀しなければいけない。
でも、それをクリアしたら無詠唱で次元斬を放てます。っといった技法です。
あ、それとアンラがパヴァーヌ一章の時に、
アリスやモモイ達に技名をいわんでも切れると言っているのに、
今回やたら技名を言っていたのにも理由がありまして・・・
そちらも代償魔術の効果ですね。
技を撃つ前に今から撃つ技を相手に宣言する。
これが代償です。
そしてそれで得られるのが、その攻撃の純粋強化ですね。
つまり、火力を上げる為に態々口頭で技名を言っています。