おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
AとZがまともに反応しなくなっちゃった!
ちょっとキーボード修理か、
パーツ交換ないしキーボードその物を買うまで更新止まるかもしれません!
あ、あとまた二万文字行きましたすいません!
【要塞都市エリドゥ・貨物駅】
ガタン、ゴトン
ガタン、ゴトン
規則的な振動と共に、貨物列車は地下トンネルの中を走り続けていた
私達が乗っているのは、貨物を運搬するための有蓋車
窓もなく、外の様子を確認することはできない
ただ、車輪がレールを踏む音だけが、車内に響いている
やがて、列車の進行方向から明るい光が差し込み
長かった地下トンネルが、ようやく終わろうとしていた
「あっ!」
最初に気づいたのはモモイだった
モモイは有蓋車の側面に取り付けられた扉へ駆け寄り
外の様子を確かめるように少しだけ開く
「見て!外に出たよ!」
その声に、ミドリとユズも扉の方へ近づいた
「ここが・・・」
「エリドゥ・・・」
「ここに、アリスちゃんが・・・」
三人の視線の先には、巨大な貨物駅が広がっていた
コンテナを積み下ろすための大型クレーンが何基も並び
無数のコンテナが整然と積み上げられている
そのさらに向こうには、ユウカが見せてくれたエリドゥの街並みが広がっていた
人工的に整えられた道路
立ち並ぶ高層ビル
そして、その中央にそびえ立つ巨大なタワー
あそこに、アリスがいる
そう考えると、自然と拳に力が入った
やがて貨物列車はゆっくりと速度を落とし、貨物駅の一角で停止する
「よし、想定通り物流輸送用無人列車で現場に来れたね」
ウタハが周囲を見渡しながら言った
「うん。ヴェリタスが手伝ってくれたおかげ」
「さすがヴェリタスです!まさか列車システムごとハッキングしてくださるとは!」
その瞬間、私の持つ通信機からホログラムが展開された
映し出されたのはハレの姿だった
『・・・ちょっと言葉にトゲない?気のせい?』
「気のせいですよ!」
『まぁいいや・・・とにかく気を付けてね。その駅を出たら、もうエリドゥだよ』
続いて、別のホログラムが表示される
『一応、ちゃんとモニタリングしてるから安心してね♪』
マキの声だった
『ですが、こちらで拾えなかった何かが突然現れるかもしれませんので、くれぐれもご注意を』
コタマも続けて注意を促す
「"うん、ありがとう皆。気を付けるね"」
私はそう返すと、駅の出口へ向かって歩き始めた
その先には、エリドゥの中央タワーが見えている
「それじゃあ、まずはC&Cに暴れて貰おうか・・・私達はこの辺りで――」
ウタハがそう言いかけた、その時だった
貨物駅の敷地内を巡回している機械が目に入った
AMAS
リオが運用している無人兵器だった
「見付かった!?」
モモイが瞬時に腰を落とし
服の中から折り畳まれた銛を取り出し、構える
「おや、なかなか素敵な子だね。迷子かな?」
「"いやいやいやいやいや!!"」
思わず声を上げた。
「"迷子な訳ないでしょ!これリオのドローンだよ!"」
ミドリも銃を構える
「そんな・・・!もうバレたんですか!?」
しかし、その直後
『いや、大丈夫』
通信機からハレの声が響いた
『バレる前に制圧終わってるよ』
『ついでに周辺のネットワークは私達がハッキングしてるから大丈夫!』
マキが得意げに言う
「そんなことも出来るんだ・・・すごいね!」
モモイが感心したように声を上げる。
「ヴェリタスだから出来た事だね。ここまでは悪くない走りだし」
ウタハが満足そうに頷いた。
私は、そんなモモイの姿を見つめていた。
("戦闘態勢に移行する速度が誰よりも早かった・・・")
さっきまでアリスのことを話していた時とは、明らかに違う。
モモイは戦闘になれば、迷いなく身体を動かす。
そして、銛
過去のモモイから戦闘技能を継承したことを考えれば
今のモモイが銛を使いこなせること自体には不思議はない
あの時のモモイが使っていた技術が、今のモモイにも受け継がれているのだから
けれど・・・
("・・・・・・そもそも、どうしてモモイは銛を持っていたんだろう?")
その疑問だけは、未だに解決していなかった
モモイが義絶し、過去のモモイから技能を継承するよりも前から
モモイは銛を所持していた・・・
一体、誰が用意したのだろう
・・・後で聞いてみよう
そんなことを考えながら、私達は貨物駅を抜け、エリドゥへと足を踏み入れた
その直後だった
ドォン!!
少し離れた場所から、爆発音が響く
そして続いて、銃撃音が聞こえてきた
「"ネル達も始めたようだね・・・"」
私は音のした方へ視線を向け
そして、全員へ声をかける
「"よし!それじゃあこっちも戦闘準備!アリスが居る中央のタワーまで一気に行くよ!"」
その言葉と同時に、私達は走り出した
【要塞都市エリドゥ・市街地】
私達はヴェリタスの誘導に従いながら
出来る限り監視網に引っかからないように進んでいた
通信機からホログラムが展開され
コタマの姿が映し出される
『現在地からルートを算出しました。』
『このまままっすぐ北に進めば辿り着けます。』
「"サポートありがとう"」
私は短く礼を言い、そのまま走り続ける
しかし、そう簡単には進ませてもらえなかった
前方の道路に、三体のAMASが現れた
「"・・・ちなみに、このAMASは・・・?"」
私が通信機へ問いかける
『・・・未ハッキングだね』
ハレの返答
「"つまり・・・"」
その言葉を最後まで聞く必要はなかった
AMASの武装が一斉にこちらへ向く
その瞬間
「どいたどいたー!!!」
桃色の神秘が足元に宿り
モモイが地面を蹴り抜く
次の瞬間、モモイの身体が弾かれたように前へ飛び出した
砂埃が弾け、モモイの姿が一瞬でAMASの懐へ潜り込む
「そぉいっ!!」
桃色に輝く銛が、下から上へと振り抜かれる
ガァン!!
金属がひしゃげる鈍い音と共に
一体目のAMASが地面から浮き上がり
数メートル先のビルの壁面へ叩きつけられる
機体が壁にめり込み、火花を散らしている
モモイは倒れた機体を確認することなく、着地と同時に身体を捻り
もう片方の手に持った銃が、残る二体へ向けられる
ダダダダダッ!!
銃弾が装甲を貫き、二体のAMASは
武器を構えたまま次々と機能を停止した
「絶好調!!」
モモイは両手を上げ、満面の笑みを浮かべていた
・・・・・・強い
それも、ただ銃の扱いに慣れているという程度ではない
今のモモイは、近接戦闘においても、銃撃においても、明らかに以前とは違う
「・・・・・・え?」
最初に声を漏らしたのは、ユズだった
ミドリも、目の前の光景を信じられないといった様子でモモイを見つめている
「お姉ちゃん・・・?」
「ん?なになに?どうしたの?」
モモイは何事もなかったかのように振り返った
「今の・・・ううん。」
ミドリが言葉を探すように口を開く
「お姉ちゃん、アリスが暴走した時も銛を使って戦ってたよね?」
「えっ?」
「それに、前の時も今も・・・そんな動き・・・私、知らないよ」
ミドリの声が少しだけ低くなった
「いつの間に、そんなに強くなったの?」
「え、えーっと・・・」
モモイの視線が泳いだ
「いやぁ~、ほら!お姉ちゃんだって日々成長してるからね!」
「ゲームで言うところのレベルアップってやつ!」
「・・・それ、誤魔化そうとしてるよね?」
「うっ」
「お姉ちゃん?」
「いやいやいや!違うって!これはその・・・!」
モモイがしどろもどろになっている
私は、その様子を見ながら考えていた
今のモモイが銛を扱えることに、不思議はない
過去のモモイの経験が、戦闘技能として今のモモイに受け継がれている
あの時のモモイが持っていた技術なら、今のモモイが使えてもおかしくはない
けれど、私が気になっているのはそこではなかった
("・・・銛の出所だけは、まだ分からないんだよね"")
私はモモイの手にある銛を見つめる
・・・・・・以前、私が救えなかった周回
あの時も、モモイは銛を使っていた
そして、その先に・・・・・・胸の奥が、少しだけ痛む
今ここにいるモモイは、あの時のモモイとは違う
けれど、完全に別人というわけでもない
時折、言葉の端や仕草に、あの時の面影が覗く
今のモモイが、今のモモイとして笑っている
それだけで、私は・・・
「先生?」
モモイの声に、意識が戻った
「"・・・ううん。今はアリスの救出を優先しよう"」
私はミドリへ視線を向ける
「"ミドリ。問い詰めるのは全部終わってからね"」
「・・・分かりました」
「えー!?そこは見逃す流れじゃないかなぁ・・・」
モモイの顔が、分かりやすく引きつった
「お姉ちゃん」
「はい」
「帰ったら、ちゃんと話してね」
「・・・・・・はい」
ユズがそんな二人を見て、小さく笑った
("・・・私も銛のことは聞かせてもらうからね")
その時だった
『え!?ちょ、ちょっと待って!今、通信の状態が・・・!』
マキの声が通信機から響く
「"マキ?"」
『これは・・・』
コタマの声も続く
そして、通信に別の声が割り込んできた
『ヴェリタス・・・やはりあなた達だったのね』
聞き覚えのある声
『流石、あのヒマリの後輩なだけあるわ』
『え?だ、だれ!?』
マキが驚いた声を上げ
次の瞬間、通信が強制的に切断された
「ヴェリタスの通信が・・・」
ユズが不安そうに通信機を見つめる
私は、さっきの声を思い返していた
「"・・・思ったより、見つけるのが早かったね"」
そう呟いた直後、再び通信機にホログラムが展開される
そこに映し出されたのは、ミレニアムの生徒会長
リオだった
『予想はしていたけれど・・・本当にここまで来たのね、先生』
「"リオ、君を止めに来たよ"」
『・・・そう』
リオは、私達を順番に見渡す
『やはり、あの時の私の言葉と行動だけでは、』
『あなたを・・・そして、その子達を説得できなかったのね』
「"・・・・・・"」
『先生。トロッコ問題をご存知かしら?』
「トロッコ・・・?」
ミドリが首を傾げる
「・・・問題?」
ユズも不思議そうに呟いた
『簡単なお話よ』
リオは淡々と説明を始めた
『故障し、止まることが出来なくなってしまった列車がレールの上を走っている時。』
『大多数を生かす為に一人を犠牲にするか――それとも、一人を生かす為に大勢を犠牲にするか』
『そういう選択を迫る問題』
『そう。誰かがレバーを引く役割を担わなければならない』
『そして・・・私は喜んでその役を引き受けようとしているだけ』
『悪意も敵意も、端から持ち合わせていない』
『私はただ・・・』
「もう!トロッコなんて壊せばいいんだよ!!」
モモイがリオの言葉を遮る
「難しい話はいいから、アリスを返して!!」
『あら、あなたは・・・』
「話は私も知ってるんだからね!」
モモイは一歩前へ出た
「会長が、意味わかんない事言ってアリスをいじめて連れて行ったって!」
『・・・意味不明な話などではないわ』
リオの表情は変わらない
『他の誰でもない、名も無き神々の王女に攻撃されたあなたなら分かるのではなくて?』
「まっっっっっっっったく!!わかんないよ!!」
『・・・・・・!』
「私はただ、アリスを連れ戻したいだけ!」
「お姉ちゃん・・・」
ミドリが小さく呟く
「モモイ・・・」
ユズも、モモイの背中を見つめ
モモイはリオから目を逸らさなかった
その瞳には、迷いのない覚悟が灯っている
「そもそもキヴォトスの脅威だとかなんとか理由を付けて、」
「アリスを誘拐するなんて、スケールが小さすぎるよ!」
『・・・・・・』
「キヴォトス全土に戦線布告して!」
「自分もろとも全部!全部燃やし尽くしてしまう!」
「それくらいのスケールじゃなきゃ!!」
私は思わず目を閉じ、拳を握る
・・・・・・その言葉
今のモモイが口にしたものなのに
どこか、別の誰かの言葉にも聞こえた
「それくらいじゃなきゃ!話が通じる訳無いじゃん!!」
『・・・そうね』
リオは少しだけ間を置いた
『今すぐあなた達に納得してもらうのは難しいのでしょうね』
『私自身、すぐに納得してもらえない事は十分理解しているもの』
そして、リオは告げた
『――アバンギャルド君、発進』
その瞬間
ギャリギャリギャリ・・・・・・
大通りの向こうから、履帯がアスファルトを削る音が響き、巨大な機械兵器が現れる
下半身はキャタピラ
上半身には四本の腕が取り付けられ、片手には盾、もう片方には重機関銃
肩から伸びた二本の腕には、それぞれミニガンとロケットランチャーが装備されている
そして、何より目を引くのは・・・その顔・・・
「うっわぁ・・・」
モモイが思わず声を漏らした
「すごい、ダッサイデザインだね!!」
「たしかに、あまり可愛いデザインじゃないけど・・・」
ミドリが困ったように言う
その瞬間、ホログラムの向こうにいるリオの雰囲気が、ほんの少しだけ変わった
『・・・・・・見た目は関係無いわ』
「"・・・本音がちょっと見えてるよ、リオ"」
私は苦笑した
どうやら、あのデザインには思い入れがあるらしい
それにしても・・・モモイも、アンラさんと同じようなことを言うようになったなぁ
情操教育に悪影響出てない・・・?
そんなことを考えていると、リオの表情が再び無機質なものへ戻った
『理解されないのなら、もういいわ』
『そのままで構わない』
アバンギャルド君の腕が動き出し
銃口がこちらへ向けられた
その足元では、二十数体のAMASが一斉に武器を構えている
「うん、大丈夫。やれる!」
モモイが銛と銃を構えた
「先生!指揮をお願いね!」
「"うん!任せて!!"」
私は周囲を見渡し確認する
遮蔽物になるビルの壁
敵の配置
それぞれの武装と射線
「"まずは全員、遮蔽物に隠れて!!"」
その指示と同時に、全員が動いた
ゲーム開発部は近くの建物の陰へ
エンジニア部も、コンテナや壁を利用して身を隠す
「"モモイ!"」
「なに!?」
「"どこまでできる?"」
モモイは少しだけ考え、答えた
「【私】の十分の一くらい!」
・・・・・・十分の一
その言葉の意味を考える時間はなかった
「"分かった!"」
私はすぐに作戦を伝える
「"モモイは遊撃!敵の射線をかいくぐって、出来る限り多くのAMASを倒して!"」
「了解!」
「"ミドリはモモイの援護!モモイを狙っている敵を優先して狙撃して!"」
「分かりました!」
「"ユズはアバンギャルド君の履帯を狙ってグレネードを撃って!"」
「・・・はい!」
「"エンジニア部のみんなは、遮蔽物越しにブラインドショット!敵の動きを抑えて!"」
「了解だ!」
「任せてください!」
「了解。」
全員が頷き
そして、戦闘が始まった
AMASの銃口が火を噴く
銃弾が壁を削り、コンテナに穴を開ける
その中を、モモイが走った
「私のエイムを見せてあげる!」
桃色の神秘が銃へと集まる
「私の怒りの弾丸を食らえ!!」
ガガガガガガッ
放たれた桃色の閃光が、前方に展開していたAMASをまとめて貫き
五体ほどの機体が、一瞬で機能を停止する
その直後、モモイは地面を蹴り、崩れた機体の残骸を足場にして跳び上がり
モモイが居た場所を銃弾が掠める
モモイは空中で身体を捻り、銃口を別のAMASへ向けた
その動きを追うように、複数のAMASが照準を合わせる
だが
「そこっ!」
ミドリが銃を構え
緑色の神秘が銃口に集まる
「ドットを打つように緻密に・・・!」
ダン!ダン!ダン!ダン!ダン!!
放たれた閃光が、モモイを狙っていたAMASを次々と撃ち抜いていく
射撃の軌道が交差する
一体、また一体
モモイへ照準を合わせていた機体が、ミドリの狙撃によって沈黙する
一方、アバンギャルド君は重機関銃の照準をモモイへ向けていた
「・・・っ!」
ユズがグレネードランチャーを構える
「・・・覚悟してください!」
発射されたグレネードが、アバンギャルド君の履帯へ直撃した
ドォン!!
爆発によって履帯が弾け、機体の下半身が大きく揺れる
さらに、ヒビキが迫撃砲を撃ち込んだ
ドォン!!
「ターゲットへ直撃、成功。」
榴弾が上半身に命中し、巨大な機体が後方へ傾き照準が逸れる
その隙を逃さず、コタマとウタハの雷ちゃんが制圧射撃を開始した
「火力フル稼働!」
「この椅子が、君たちを破滅させる。」
残っていたAMASが次々と撃ち抜かれ、次々動きを止めていく
「よしっ!」
モモイが空中で銛を構えた
「【私】みたいには・・・まだ出来ないけど!」
桃色の神秘が銛へと集まり
先端から鎖に至るまで、銛全体が淡い光を帯びていく
その輝きは、先ほどまでとは比べものにならないほど強くなっていく
「【私】、名前を借りるよ・・・」
モモイは空中で身体を捻り、全身の力を一点へ集中させ
「レムナントストーリー!!」
そして、銛を投げた
ヒュンッ!!
桃色の軌跡が走った
ギャリィィッッ!!
銛はアバンギャルド君の盾を避け、胴体の装甲を貫通し、
そのまま背中から突き抜け、背後のアスファルトへ深々と突き刺る
「よしっ!」
モモイは鎖を握り締め力の限り引っ張る
次の瞬間、鎖が張り詰め
銛を支点に、モモイの身体が一気に引き寄せられる
「いっけぇぇぇぇ!!」
そのまま空中で加速し、アバンギャルド君の巨体に向けて、全身全霊の飛び蹴りを叩き込んだ
ガァン!!
巨体が大きく傾き
履帯を破壊され、胴体を貫かれた機体は支えを失い、
そのまま横倒しになった
モモイは倒れ込む機体の上へ飛び乗り
そして、両肩の関節部分へ銃を向ける
ガガガガガッ!!
弾丸が装甲の隙間へと集中する
火花が散り、関節部が次々と破壊されていく
四本の腕が力なく垂れ下がり
アバンギャルド君は完全に動きを止めた
「やったー!倒したよー!」
モモイがこちらへ向けて手を振っていた
その姿を見て、私は思わず息を吐いた
・・・本当に強くなった
けれど・・・
「お姉ちゃん」
ミドリの声がした
「・・・・・・帰ったら、いっぱい話があるからね」
「・・・・・・」
モモイの身体が固まった
そして、ゆっくりと私の方を見る
助けを求めるような目だった
「"うーん・・・"」
私は苦笑し
「"私も銛のことは聞きたいし、一緒にお話しようか"」
「そんなぁー!」
モモイが絶望したような声を上げる
ユズは、そんな二人を見て小さく笑っていた
・・・けれど、まだ終わっていない
私は周囲を見渡し、先へ進もうとした
その時だった
「すまない、先生」
ウタハの声が聞こえた
振り返ると、エンジニア部の三人が立ち止まっていた
「その・・・」
コトリが言葉を濁す
「・・・ごめん、私達はここまでみたい」
ヒビキがそう言った直後
三人の身体が、膝から崩れ落ちた
「"えっ!?"」
私は慌てて駆け寄る
「"だ、大丈夫!?"」
「い、インドア派には・・・あ、あまりにも無茶な動きをしてしまい・・・」
コトリが息を切らしながら答えた
「・・・もう、指一本動かせない」
ヒビキも、その場に座り込んでいる
「見ての通りだ」
ウタハは苦笑した
「最後までついていけず面目ないが、私達はここでお別れだ」
私は三人の様子を確認する
身体に大きな外傷はない
けれど、明らかに体力を消耗している
これは・・・神秘の操作による反動・・・
慣れない戦闘で、無理をさせてしまった
モモイが三人のそばへ近づいた
「ウタハ先輩・・・」
モモイは少しだけ笑った
「ううん!大丈夫!助けてくれてありがとう!」
「この先は私達でどうにか頑張るね!」
その言葉に、ミドリとユズも頷いた
「"心配しないで"」
私は三人へ向き直った
「"みんなで必ずアリスを連れ戻してくるよ"」
「そうだね」
ウタハは頷き、モモイへ手を伸ばした
「そこまで言うなら・・・モモイ」
「ん?」
「これをあげる」
ウタハが差し出したものを、モモイが受け取る
「いざという時に役に立つはずだよ」
「これは・・・」
モモイはそれを確認し、少しだけ目を見開いた
それから、にこやかに笑う
「うん、分かった」
「それでは、皆さん・・・この先の事、よろしくお願いします!」
コトリが頭を下げた
「みんな、頑張ってね」
ヒビキも小さく手を振る
「"うん。三人とも、ありがとう"」
私はもう一度礼を言い、モモイ達と先へ進もうとした
その時だった
通信機から、再びホログラムが展開された
「"チヒロ!"」
映し出されたのはヴェリタスの副部長、チヒロだった
「"通信が復活したんだね?"」
『うん。さっきの戦闘には間に合わなかったけどね』
続いて、他のヴェリタスの面々も次々と表示される
『うわぁ~ん!副部長~!』
マキが泣きつくような声を上げた
『流石です。待っていました』
コタマが安堵したように言う
『でも・・・どうやって?』
ハレも不思議そうに尋ねた
『こんな時の為に、ヒマリが秘密兵器を用意してくれてたみたい』
「"秘密兵器・・・?"」
私が聞き返すと、ミドリが何かを思い出したように声を上げた。
「あ・・・お姉ちゃん!アレだよアレ!」
「あ、アレってなに!?」
「前にG.bibleを解析しようとしたときに見つけたヤツ!」
その言葉に、私は思い当たった
「"鏡か!"」
『ご明察』
チヒロが頷いた
『そう、鏡を使ってエリドゥのネットワークをハッキングしたの』
『ついでに、会長にも退場してもらったよ』
マキが驚く
『もしかして、ヒマリ部長が生徒会に鏡を差し押さえられてたのって・・・!』
「"こういう時の為にってことだね・・・ヒマリ・・・流石だなぁ"」
私は思わず感心してしまった
「でも、差押品保管所に行くのってすっごく大変だよね!」
モモイが首を傾げる
「一人じゃ絶対・・・」
『ああ、それなら助けてくれた人が居たの』
チヒロが答えた
『運よく、会長の監視から抜けられていた部活の――』
『こんにちは、トレーナー』
「"スミレ!?"」
そこに映し出されたのは、トレーニング部のスミレだった
『アリスちゃんの事をうかがって、居ても立っても居られず・・・』
『僭越ながら、協力させて頂きました』
『うん、本当に助かったよ。ありがとう』
チヒロが礼を言う
ダダダダダダッ
その通信の向こうから、銃声が聞こえてきた
『・・・とまぁ、こんな感じで、絶賛ドローン相手に交戦中なんだけど』
チヒロの表情が少しだけ険しくなる
『どれくらい持つかは正直分からない・・・』
『けどまぁ、やれるだけやってみるよ』
『持久戦ならお任せください』
スミレが力強く言った
「"スミレ、ありがとう。とても頼もしいよ"」
『とりあえず、鏡でネットワークを維持できている間はナビゲートするよ。』
「"うん!ありがとう!任せるね!"」
そうして、私達はチヒロの案内に従って走り出した
【エリドゥ・市街地】
チヒロの指示に従いながら、私達は迷路のような街並みを走り抜けていた
「"えっと、ここを曲がったら・・・次は何処に向かえばいい?"」
『右に曲がって、直進!そこが目的地だよ』
「よーし、行っくよ~!」
モモイが先頭を走る
「そこにアリスが・・・!」
ミドリも続いた
そして、入り組んだ道を抜け、最後の角を曲がった先
そこには、エリドゥの中央タワー前に広がる大きな広場があった
私は足を止め、目の前にそびえ立つ巨大な建造物を見上げる
「"ここが・・・要塞都市エリドゥの中央タワー・・・"」
「アリスちゃんが・・・ここに・・・」
ユズが小さく呟く
「・・・行こう!」
モモイが前を向いた
「うん!」
ミドリも頷く
私達は再び走り出し
そして、タワーの前まで辿り着いた時
「え・・・?」
モモイが足を止める
そこには、既にC&Cの面々が集まっていた
「あっ!ご主人様とみんな~!」
アスナがこちらに気づき、いつもの調子で手を振る
「やほやほ!」
「皆さん、到着されていたのですね」
アカネもこちらへ向き直った
「先輩!」
モモイが声を上げる
「"ネル達がここに居ると言う事は・・・トキは?"」
私が尋ねると、ネルが悔しそうに顔を歪めた
「・・・・・・ぐっ!!」
「あはは、それがね~」
アスナが困ったように笑う
「・・・はぁ」
カリンもため息を吐いた
「残念ながら、逃げられてしまいました」
アカネが説明を始める
トキはC&Cを分断するため、エリドゥの街並みを操作したらしい
道を迷路のように変化させ、C&Cの面々を分断
ネルを中心に交戦したものの、トキはその隙を突いて逃走したらしい
「あとちょっとでぶちのめせたのによ!」
ネルが苛立たしげに吐き捨てた
「"なるほど・・・それで道中、あんなに入り組んでたんだ・・・"」
私はようやく納得した
「ええ・・・そのせいで、陽動自体の意味が無くなってしまったわけです」
「"地形が変わるなんて、普通は想像できないから仕方ないよ"」
「先生の方も、何か起きていた様に見えるが・・・」
カリンがこちらを見た
「あ、たしかに。一緒に居たエンジニア部は?」
アスナも不思議そうに首を傾げる。
「う~ん、何か起きていたというか・・・」
モモイが言葉を濁した
「確かに大変と言えば大変だったけど、その・・・」
ミドリも苦笑する
私はそんな三人を見て、少しだけ笑った
そして、話を切り上げる
「"チヒロ、このタワーにアリスがいるの?"」
『その・・・会長が言ってたんだよね?』
『アリスのヘイローを破壊するって』
チヒロはタワーを見上げた
『その為には、相応の施設が必要なんじゃないかな』
『そして、ここエリドゥは全ての電力がこのタワーに集中するような構造になっている』
『これほどの規模の施設が、会長の手によって作られた理由・・・』
『そして、会長の動機・・・答えは明白だろうね』
「本当に・・・アリスがあそこに・・・」
モモイがタワーを見上げる
「つまり、後はこのバカでかいタワーを登りゃあいいんだろ?」
ネルが腕を組んだ
「"そうだね・・・あとは登るだけ・・・"」
私はタワーの入り口へ視線を向けた
「"そう、簡単に上らせてくれたら・・・だけど"」
その視線の先
タワーの入口を塞ぐように、一人の生徒が立っていた
『あの会長が、門番を用意しないわけがないよね』
チヒロの声が響く
「お待ちしておりました、先輩方、先生。」
そこにいたのは、トキだった
「"やっぱり、トキが門番なんだね"」
「あっ!また会えたね~!トキちゃんやっほー!」
アスナが手を振る
「あぁん?んだよ、さっきは尻尾撒いて逃げ出したくせに・・・」
ネルが一歩前へ出た
「一体どの面下げてあたしらの前に現れてんだ?」
その瞬間、通信機にホログラムが展開された
『作戦を変更したのは、あなた達だけだと思って?』
「・・・・・・リオ」
ネルが低く呟く
『あなた達が来る事を見越して、いくつもの計画を準備して来たけれど――』
『まさか、防衛システムを全て破壊して、ここまで到達するなんて・・・』
『変数として機能し、私の計算を狂わせたのも、全ては・・・』
『シャーレの先生、あなたが関わったからかしら?』
「"・・・リオ"」
私はリオを見つめ
『それならそれで構わないわ』
『あなたが規格外の力を見せるのなら、こちらもそれ相応の切り札を出すまで。』
そして、リオはトキへ視線を向けた
『トキ。現時刻を持ってアビ・エシュフの使用を許可するわ』
「っ!?」
思わず表情が変わった
『・・・リオ様、それは』
トキが僅かに反応する
『ええ。本来はアビドスの彼との戦闘用だけど・・・仕方ないわ。』
『ここでこの子達を阻止できなければ、全てが無に帰してしまうのだから』
「・・・イエス、マム」
トキは短く答えた
「パワードスーツシステム【アビ・エシュフ】へ移行します」
そう言うと、トキは身に着けていたメイド服を脱ぎ捨て、
身体に密着したレオタードのようなスーツが姿を現す
そして、空から何かが落下してくる音が響いた
ピューーーーッ!!
「この音は・・・」
ミドリが空を見上げる
「"ネル!モモイ!皆も戦闘準備!!"」
私は叫んだ
「"リオのとっておきが来るよ!!"」
『・・・っ!上!!』
チヒロも気づき声を上げる
トキが空を見上げ
「呼出信号確認」
次の瞬間
ドゴォォォン!!
巨大な金属製のコンテナが、広場の床を砕きながら突き刺さった
「わ、わぁっ!?いったいなにっ!?」
モモイが驚きの声を上げる
コンテナの扉が開き
その中から展開された機械部品が
トキの身体へ次々と装着されていく
腕
肩
背中
脚部
それらが組み合わさり、トキを覆うように外骨格が展開される
両腕にはバルカン砲
両肩には二門の砲門
背中と脚部にはスラスター
やがて、機械音声が響く
『パワードスーツシステム【アビ・エシュフ】起動』
トキの顔にバイザーが装着され
そして、巨大な外骨格が動き出した
「戦闘、開始します」
「"・・・っ!来るよ!!"」
私が叫んだ瞬間、トキがネルに向かって突っ込んできた
地面を蹴る音と同時に、巨体が一気に距離を詰める
「チッ!」
ネルが銃を構え
その瞬間、私達は散開し
全員がトキを囲むように位置を取り、
互いの射線が重ならないように距離を取る
ネルがツインドラゴンを撃ち込む
ダダダダダダッ!!!
「オラァ!!」
二丁の銃口が火を噴き、無数の弾丸がトキの正面へ殺到する
一発一発の命中を狙う射撃ではない
逃げ場を奪うための制圧射撃
トキの動きを制限し、その場に釘付けにするための弾幕だった
その弾幕の外側から、アスナが駆け出す
「こっちからも行くよ~!」
サプライズパーティーを構え、軽快な足取りでトキの側面へ回り込み
撃っては走り、走っては撃つ
遮蔽物を利用しながら射線を変え
ネルとは別の方向から弾丸を叩き込んでいく
「あはは!これだけ撃ってるのに全然当たらなーい!」
アスナが楽しそうな声を上げた
「ですが、攻撃を止めるわけにはいきませんね」
反対側では、アカネが拳銃を構え
トキの関節部や脚部へ向けて、正確に弾丸を撃ち込んでいく
さらに、移動先を塞ぐように爆薬を投げ込んだ
ドォンッ!!
爆発により路面が弾け
火花と破片が周囲へ飛び散る
「ふふっ。そちらへ行かれると困りますので」
トキは爆発の直前に身体を傾け、爆風の範囲から逃れていた
その動きを見逃さず、カリンがホークアイを構える
「・・・・・・そこ」
ドゴンッ!!
大型狙撃銃から放たれた弾丸が、トキの肩部を狙って一直線に飛んでいく
重い一撃
直撃すれば、外骨格にも相応の損傷を与えられるはずだった
しかし
トキは弾丸が届くよりも早く、上半身をわずかに傾け
弾丸は肩のすぐ脇を通り抜け、背後の建物へと突き刺さる
「避けられた・・・」
カリンはすぐに次弾を装填する
その間にも、ミドリの狙撃が続いていた
「逃がしません!」
ミドリはトキの進行方向を読んでいた
一発目は右脚部
二発目は左肩
三発目は背部スラスター
トキが移動する先へ、正確に照準を合わせていく
それでも、弾丸は一発たりとも届かない
トキはまるで、ミドリが引き金を引くタイミングまで把握しているかのように
紙一重で射線を外していた
「・・・・・・そんな」
そして、ユズもグレネードランチャーを構える
「・・・そこです!」
発射されたグレネードが放物線を描き、トキの足元へ飛んでいく
ドォン!!
さらに、間髪入れずに二発目
ドォン!!
今度は側面
爆風が路面を抉り、トキの移動できる範囲を狭めていく
けれど、トキはそれすらも計算していた
爆発の直前に身体を捻り、爆風の広がる方向から離脱し
そして、爆煙の中から再び姿を現した
七人による集中砲火
銃弾が交差し、爆発が重なり、逃げ道を塞ぐように攻撃が降り注ぐ
普通の相手なら、とっくに逃げ場を失っている
しかし、トキはその全てを回避していた
ネルの弾幕を、わずかな身体の傾きで避ける
アスナの銃撃が重なる瞬間には、既に射線から外れている
アカネの爆薬が進路を塞げば、爆発の直前に別の方向へ踏み込む
カリンとミドリの狙撃も、ユズのグレネードも
全てが、あと一歩のところで届かない
「チィッ!当たらねぇ!」
ネルが舌打ちした
「あはは!ほんとにすごいね!全部避けてる!」
アスナは感心したように言いながらも、射撃を止めない
「感心している場合ではありませんよ、アスナ先輩。」
アカネが落ち着いた声で返す
「あはは~。でも、なんだか面白くなってきたよ~!」
「"・・・・・・全員、まだ攻撃を続けて!"」
私は戦況を見ながら指示を続けた
そして、ユズのグレネードが背後の路面へ撃ち込まれる
ドォン!!
爆発によって地面が砕ける
トキの身体が前方へ跳んだ
「"モモイ!今!"」
「うんっ!!」
モモイが地面を蹴った
桃色の神秘が足元に集まり、身体が一気に加速する
トキの側面から、一息に距離を詰めた
「そぉいっ!!」
銛が振り抜かれる
ガァン!!
「"・・・・・・っ!?"」
初めてだった
トキの身体が、明確に攻撃を受けて揺れた
銛の一撃が、腕部の装甲を叩き、金属を大きく歪ませていた
「"当たった!?"」
私は思わず声を上げた
「よっしゃあ!!」
ネルも笑みを浮かべる
「チビ!そのまま押し込め!!」
「了解っ!」
モモイは銛を引き戻す
しかし、トキもすぐさま体勢を立て直していた
背部スラスターを噴射し一瞬で距離を取ろうとする
その動きに合わせて、モモイが銛の鎖を投げた
ジャララッ!!
鎖がトキの腕に巻き付く
「捕まえたっ!」
モモイが鎖を引き
トキの身体が一瞬だけ引き戻される
その隙を逃すネルではない
「そこだァ!!」
ツインドラゴンを構え、至近距離から銃撃を叩き込む
だが、トキは身体を捻ってそれを回避
巻き付いた鎖を逆に引き、モモイの身体を引き寄せようとした
「わわっ!?」
モモイは鎖を握ったまま身体を捻り、引っ張られる力を利用して宙へ飛び上がった
そのままトキの肩を足場にして蹴り離れる
「"・・・・・・なるほど"」
私は、その光景を見ていた
トキの演算は、こちらの攻撃を予測している
けれど、モモイの銛と鎖だけは違う
そもそも、エリドゥのデータベースに存在しない武器の動き
軌道も、間合いも、攻撃のタイミングも
リオにもトキにとっても未知のものだった
「"モモイ!そのまま攻撃を続けて!"」
「オッケー!!」
私はさらに指示を出す
「"ネルは正面から押さえて!アスナは反対側へ回り込んで!"」
「おう!任せろ!」
「は~い!」
「"アカネは爆薬でトキの進路を制限して!"」
「"カリンとミドリは、モモイの攻撃に合わせて狙撃!"」
「"ユズは背面スラスターの周辺を狙って!"」
「承知しました」
「了解」
「分かりました!」
「・・・はい!」
全員が動いた
ネルが正面から銃撃を浴びせ
アスナが側面へ回り込み、サプライズパーティーを連射
アカネが爆薬を投げ込み、トキの移動できる範囲を狭めていく
カリンとミドリは、トキの回避先を狙って銃口を向けていた
もちろん、弾丸は当たらない
けれど、攻撃を避けるためにトキが動く方向を制限することはできる
そして、ユズのグレネードが背後の路面へ撃ち込まれた
ドォン!!
爆発によって地面が砕け
そしてトキの身体が前方へ跳ぶ
「・・・・・・っ!」
その時、モモイの手が制服のポケットへ伸びた
取り出したのは、ウタハから預かった小型の装置
「よーし・・・!」
モモイはそれを握り締めると、トキの正面へ向けて投げた
「これ、使わせてもらうね!」
「・・・・・・?」
トキの視線が、飛んでくる物体を捉えた次の瞬間
パァンッ!!
凄まじい閃光が弾け
同時に、耳をつんざくような破裂音が広場に響き渡る
「・・・・・・視覚センサー、異常!」
トキのバイザーに警告表示が走った
『視界データ、受信不能』
『センサー入力を再構築します』
ほんの一瞬
けれど、その一瞬で十分だった
「今だよっ!!」
モモイが地面を蹴った
桃色の神秘を足元へ集中させ、一気に加速する
銃声と爆発音が飛び交う中、モモイはトキの側面を駆け抜け
そのまま背後へ回り込む
トキの背中
そこには、アビ・エシュフの姿勢制御を支える複数のスラスターが並んでいた
「見つけた!」
モモイは銛を握り直し、そして、狙いを定めた
「そぉいっ!!」
銛が投げ放たれる
桃色の軌跡が一瞬だけ空に描かれた
ガキィン!!
銛の先端が、背面スラスターの接続部へ食い込む。
「っ!?」
トキが振り返ろうとする
だが、視覚センサーはまだ復旧していない
『視界データ、復旧率――』
「遅いよっ!!」
モモイが鎖を握り締め
そして、全身を使って一気に引いた
「いっけぇぇぇ!!」
トキがスラスターを噴射する
強引に鎖を引きちぎろうとする
だが、モモイは離さない
両足を地面へ踏み込み、鎖を引く力に逆らう
靴底がアスファルトを削った
「ぐっ・・・!」
それでも、モモイは踏ん張った
「ネル先輩!!」
「おうよ!!」
ネルが一気に踏み込み
ツインドラゴンをトキの背面へ向ける
もちろん、銃撃は当たらない
しかし、その弾幕から逃れるために、トキは背部スラスターを強く噴射した
さらに、アカネが投げた爆薬が背後で炸裂する
ドゴォン!!
爆風が背部を包み込み、トキの身体が一瞬だけ浮き上がる
その隙を逃さず、モモイが鎖を思い切り引いた
「これでっ!!」
ガキィン!!
モモイはさらに鎖を引き、身体を回転させ
その遠心力が銛へと伝わる
そして
バキィッ!!
背面スラスターの一基が、根元から引き剥がされ
火花が散り、黒煙が噴き出し、トキの姿勢が大きく崩れた
「"やった!!"」
私は思わず声を上げた
背面スラスターが一基、完全に破壊された
「お姉ちゃん、すごい!」
ミドリが声を上げる
「えへへ!どうだー!」
モモイも笑顔を見せた
しかし
『・・・・・・』
トキのバイザーが、モモイの銛と鎖を捉えていた
その表面に、細かな光が走る
『未知の武装の攻撃データを取得』
「・・・・・・え?」
モモイが小さく声を漏らした
『軌道予測を更新』
『攻撃パターン、解析完了』
『回避演算に反映します』
「"・・・・・・っ!"」
私は嫌な予感がした
「"モモイ!気を付けて!"」
その直後
トキの残された背部スラスターが再び噴射された
破壊された一基を除き、残る推進器が一斉に稼働する
トキの身体が、弾丸のように前へ飛び出した
「うわっ!?」
モモイが慌てて銛を構え
そのまま銛を振り下ろす
しかし、トキは、既にその攻撃を避けていた
銛が空を切る
「・・・・・・え?」
もう一度
モモイが鎖を投げる
けれど、トキは鎖が伸びる軌道を読んでいたかのように、最小限の動きで身を引き
鎖が空を切り、地面へ落ちる
「そんな・・・!」
モモイが目を見開いた
「・・・・・・学習した?」
ユズが呟く
私は唇を噛んだ
そうだ、これまで予測できなかったモモイの攻撃
それを、エリドゥの演算が解析してしまった
一度見せた動き
銛を投げる角度
鎖を引くタイミング
攻撃から次の動作へ移るまでの間
全てがデータとして蓄積され、予測に組み込まれた
「チビ!もう一度!」
ネルが叫ぶ
モモイは再び鎖を振るう
しかし、トキはその動きを見切っていた
銛を避け、鎖をかわし、モモイの懐へ踏み込む
「くっ・・・!」
モモイが後ろへ飛び退く
その頬を、トキの拳が掠める
危なかった
本当に、紙一重だった
その時、トキの動きが変わった
「・・・・・・っ!」
トキがネルへ向き直る
背面スラスターを一基失ったとはいえ、その速度はまだ十分に脅威だった
「来やがれ!!」
ネルが二丁のサブマシンガンを構え
トキが正面から迫る
ネルは銃撃を浴びせながら、紙一重で身体を捻った
だが、トキは銃口の向きまで読んでいた
弾丸を避けると同時に、ネルの懐へ踏み込む
「なっ・・・!」
巨大な腕が横薙ぎに振るわれた
ネルは両腕を交差させて受け止める
ガァン!!
「ぐっ・・・!」
衝撃に身体が浮き、数メートル後方へ押し戻される
それでも、ネルは地面を滑りながら踏みとどまる
「このっ・・・!」
再び銃を構える
その背後から、アスナが飛び出した
「リーダー、今のうちだよー!」
サプライズパーティーを連射しながら、トキの背後へ回り込む
けれど、トキは振り返らない
背部の残ったスラスターを噴射し、身体を斜めに傾ける
弾丸が全て空を切った
そして、次の瞬間
トキの身体がアスナの方へ跳んだ
「えっ?わぁー!」
アスナはとっさに身を捻る
トキの拳が頭上を通り過ぎ、すぐ脇の壁面を砕いた
「あははっ!危ない危ない!」
アスナはそのまま距離を取ろうとする
しかし、トキは既に次の動きを始めていた
一歩踏み込み、反対側から腕を振るう
「あっ!」
アスナは両腕で身体を守った
ドゴォッ!!
外骨格の腕が直撃し、アスナの身体が横へ吹き飛ばされる
「アスナ先輩!」
アカネが声を上げる
アスナは地面を転がり、積み上げられたコンテナの側面へ叩きつけられた
「いたたた~・・・!」
なんとか上体を起こそうとする
けれど、身体に力が入らない
「・・・・・・あはは・・・ちょっと、休憩ー」
そう言って、アスナはその場に倒れ込んだ
「"アスナ!!"」
返事はなかった
「くっ・・・!」
アカネがトキへ拳銃を向け
そのまま連射するが、しかし弾丸は一発も当たらない
「こちらへ注意を向けていただければ・・・!」
アカネは爆薬を取り出し、トキの進路へ投げ込んだ
ドゴォン!!
トキはその瞬間、爆風を避けるように跳躍する
だが、アカネはそこまで読んでいた
空中にいるトキへ向け、もう一つの爆薬を投げる
「こちらです!」
再び爆発
トキの姿勢がわずかに傾く
そこへネルが飛び込んだ
「オラァ!!」
ツインドラゴンを構え、至近距離から撃ち込む
もちろん、弾丸は当たらない
だが、トキがネルの攻撃を避けるために身体を捻ったことで、
着地地点がアカネの前方へと変わった
「・・・・・・そこですね」
アカネは拳銃を構え直す
しかしトキは着地と同時に、アカネへ踏み込んでいた
「っ!?」
アカネが身を引く
けれど、アビ・エシュフの腕が肩口を掠めた
その衝撃で、アカネの身体が大きく弾き飛ばされる
「きゃっ・・・!」
地面に叩きつけられ、拳銃が手から離れた
アカネはすぐに起き上がろうとするが
しかし、負傷した腕が動かない
「・・・・・・申し訳ありません、先生。少々、休ませていただきます」
アカネは悔しそうに顔を上げた
それでも、身体はもう動かなかった
「"アカネまで・・・!"」
私は思わず声を漏らした
その間にも、カリンの狙撃が続いていた
「・・・・・・まだ、終わっていない」
カリンは高所からトキを狙い続けていた
弾丸は当たらない
それでも、射撃のたびにトキの動きを制限しようと狙いを変える
「リーダー、右!」
カリンの声に、ネルが反応した
「分かってる!!」
ネルが右へ身体を捻った瞬間、トキの拳が地面を叩く
アスファルトが砕け、破片が飛び散った
ネルはその破片を浴びながらも、反撃の銃撃を浴びせる
「ったく、どこまで化け物なんだよ!!」
その隙にカリンが再び狙撃を行う
ドゴンッ!!
弾丸はトキの頭部を狙った
しかし、トキは撃たれる前にカリンの射撃位置を把握していた
『脅威対象、狙撃手』
トキの腕に装着されているバルカンが動く
「っ!?」
カリンがすぐに狙撃地点から離れようとする
その直後
ドガガガガガッ!!
銃撃によりカリンの足場を吹き飛ばされ
「くっ・・・!」
カリンの身体が宙へ投げ出され
ホークアイを手放し、建物の低い屋根へ叩きつけられた
「カハッ!」
「カリン!」
ネルが叫ぶ
カリンは身体を起こそうとしたが、腕に力が入らなかった。
「・・・・・・すみません、ネル先輩。援護を・・・続けられません」
そのまま、カリンも動かなくなった
これで、C&Cの中で戦えるのはネルだけになった
「チッ・・・!」
ネルは歯を食いしばり、トキへ向き直る
「まだ終わってねぇぞ・・・!」
その間、ゲーム開発部の三人も戦い続けていた
ミドリは遮蔽物から狙撃を続け、ユズはグレネードでトキの移動を制限する
モモイも銛と鎖を使い、何度もトキの懐へ飛び込んでいた
しかし、もう以前のようにはいかない
「お姉ちゃん!右!」
ミドリが叫ぶ
「分かってる!」
モモイは銛を振るう
だが、トキに既にその軌道を読まれている
わずかに身体を傾け、銛を避ける
そのままモモイの身体へ肘を叩き込もうとした
「・・・危ないっ!」
ユズが叫び、グレネードを撃ち込む
ドォン!!
爆発によってトキの動きがわずかに逸れ
モモイはその隙に後ろへ跳ぶ
「ユズ、ありがと!」
「う、うん・・・!」
けれど、もう余裕はなかった
「ネル先輩!まだいける!?」
「当たり前だろ!!」
ネルが銃撃を続ける
しかし、ツインドラゴンの弾幕だけではトキを止められない
アスナも、アカネも、カリンも倒れた
こちらの攻撃を支えていた射線が、次々と消えている
「"・・・・・・っ!"」
私は周囲を見渡した
アスナはコンテナの陰で倒れている
アカネは地面に伏せたまま、腕を押さえている
カリンは狙撃位置から落とされ、動けない
前線でトキを抑えていたネルも、既に全身に傷を負っていた
そして、今も戦っているのはネルと、モモイ、ミドリ、ユズ
援護の数が減った
攻撃の密度が落ちた
トキを牽制する射線が減った
それは、つまり・・・
「・・・・・・先生!」
ユズの声で我に返った
トキが動いていた
ネルの銃撃を避け、ユズのグレネードをかわし、ミドリの狙撃を避ける
そのまま、モモイへと向かっていく
「お姉ちゃん!!」
ミドリが叫び
モモイは銛を構えた
「まだまだぁ!!」
銛を振るう
しかし、トキはその攻撃を完全に読んで銛の軌道を回避する
鎖が伸びる方向を見切り
モモイの次の動作さえも、既に計算されていた
そしてトキの右腕が動いた
「っ!?」
モモイが銛を盾にするように構えた
けれど、トキの攻撃はその銛ごと押し込んできた
ドゴォッ!!
「ぐっ……あぁっ!!」
拳がモモイの身体を捉えた
衝撃が全身を貫き、モモイの身体が宙へと吹き飛ばされる
「"モモイ!!"」
私が叫んだ時には、もう遅かった
モモイは数メートル先の建物へ叩きつけられた
ドゴォォン!!
壁面が砕ける
崩れたコンクリートと瓦礫が一斉に降り注ぎ
モモイの姿を飲み込んだ
「・・・・・・っ!」
一瞬、周囲の音が消えたように感じた
「お姉ちゃん!!」
「モモイ!!」
ミドリとユズが叫ぶ
「チビ!!」
ネルも声を張り上げた
私は駆け寄ろうとした
けれど、その前にトキがこちらを向いた
『唯一の変数である先生』
リオの声が通信機から響く
『あなたの指揮能力を奪い、終止符を打たせてもらうわ』
「イエス、マム」
トキがゆっくりとこちらへ歩き出した
『先生!逃げて!』
チヒロの声が響く
「"くっ・・・!"」
私は後ずさった
(どうしよう・・・!)
(このままじゃ、全員が・・・!)
どうすればいい
どうすれば、この状況を打開できる?
その時だった
「先生・・・相手は、陸上専用の・・・」
すぐ近くから、アカネの声が聞こえた
地面に倒れたまま、アカネは片腕を押さえていた
呼吸も荒く、声を出すのも辛そうだった
それでも、アカネはトキから目を逸らしていなかった
「・・・・・・空中での制御は、地上ほど・・・自由ではありません」
私は、その言葉にはっとした
そして、ネルへ視線を向ける
「"ネル!"」
「あぁ!?」
「"戦う場所を変えよう!"」
「ハァ!?」
「"屋上に向かうよ・・・!"」
その瞬間、ネルの表情が変わった
そして、獰猛な笑みを浮かべる
「はっ!わーったよ!あんたを信じる!」
ネルは私の方へ走ってきた。
「んじゃ、舌噛まないよう、歯ぁ食いしばりな!」
「"えっ?"」
次の瞬間、私はネルに横抱きにされていた
「"きゃっ!"」
ネルが走り出す
その速度は、普通の生徒とは思えないほどだった
『ここで逃げるだなんて・・・!』
リオの声が響く
『トキ、行きなさい!』
「イエス、マム」
トキがスラスターを吹かせ、私達を追いかけてくる
ネルは近くのビルの外階段を駆け上がった
一段
二段
三段
足音が階段を打ち鳴らす
ネルは私を抱えたまま、ほとんど減速することなく階段を駆け上がっていく
追いかけてくるトキのスラスター音が、背後から迫っていた
やがてネルは屋上へと辿り着いた
「・・・・・・」
ネルは私を下ろし
屋上にあった給水塔に隠れる
そして、私はすぐに入口へと振り返る
その時、屋上の入口からトキが姿を現した
「ターゲット追撃、屋上に到着しました」
『よりによって建物の屋上だなんて』
リオが呆れたように言う
『狭い所であればトキとまともに戦える、と。』
『そう判断したのですね、先生』
「"ううん"」
私は首を横に振った
「"狙いはそこじゃないよ"」
そして、声を張り上げる
「"ネル!!"」
その瞬間
トキの頭上から影が落ちた
「頭上!?」
トキが反応する
次の瞬間、ネルが空から降ってきた
「ハッ!!」
ネルの身体が、真上からトキへ叩きつけられるように落下する
トキはすぐに姿勢を低くし、迎撃態勢を取った
「そんな事をしたって無駄です!回避できますから――」
「そうだな」
ネルが笑う
「そのバカでかい玩具なら、逃げ回れるかもしれねーけど」
ネルはトキへ突っ込んだ
「それは地上の話だろ?」
「・・・!?」
「じゃあ、空中はどうだ?」
ドォン!!
ネルの体当たりが、トキの身体を真正面から捉え、トキの巨体が浮き上がる
踏ん張る場所を失った外骨格は、そのまま屋上の端を越えて吹き飛ばされた
「建物の外にはじき出された・・・?」
トキが落下しながら呟く
「おいおい、まさか空まで飛べるとかいわねぇよなぁ?」
ネルが笑った
「おら、来いよ!」
「落下中でもあたしの攻撃、避けられるかどうか見てやるよ!!」
ネルはビルの外壁を走り始めた
トキを追いかけるように、壁面を駆け下りていく
その光景を、私は屋上から見つめていた
【エリドゥ・中央タワー前広場】
「はぁ・・・はぁ・・・!」
モモイはミドリとユズの助けを借り瓦礫の中から這い出していた
「せ、先生は・・・!?」
「先生とネル先輩がどっかに走って行っちゃった・・・」
ミドリが答える
「・・・・・・!」
ユズが何かに気づいたように上を見た
「あ、あそこ!モモイ、上・・・!」
その声に、モモイとミドリも顔を上げる
そこには、ビルの外壁を走るネルと、その後を追うトキの姿があった
トキは片手を外壁へめり込ませ、減速している
「被弾・・・ダメージ、軽微」
「重力加速に対する演算補正開始」
トキの背部スラスターが再点火する
「エリドゥのバックアップがある以上・・・」
「空中であっても、行動に支障はありません」
「対応を再開します」
トキが片腕をネルへ向けた
バルカン砲が火を噴く
《/b》《/vib》ダダダダダッ!!
「いってぇな!!」
ネルが叫んだ
弾丸が外壁を削り、ネルの周囲で火花を散らす
「クソ、マジで何なんだよ!」
ネルは身体を傾け、壁面を蹴って射線から逃れる
「空中でも行動出来るなんてそんなんアリか・・・!?」
トキはスラスターを細かく噴射し、落下速度を制御していた
『姿勢制御、安定』
『重力補正、正常』
「ってかマジでチートじゃねぇのか!テメェ!!ふざけんなよ!?」
「ネル先輩」
トキの声が響く
「これで終わりです」
背面スラスターを噴かせ、腕のバルカンがネルへ向けられる
「一斉掃射・・・!」
その瞬間、ネルも両腕のサブマシンガンを構えた
「やられてたまるかよ・・・!!!」
銃撃と銃撃が交差し、轟音がビルの壁面に反響する
ネルは外壁を蹴り、トキの攻撃を紙一重で避けながら横へ走る
トキのバルカンが壁を削る
その射線を避けながら、ネルは一気に距離を詰めた
「後ろががら空きだぜ!!」
トキの背後へ回り込み、サブマシンガンを撃ち続ける
弾丸が外骨格へ叩きつけられ、火花が散った
しかし、トキはすぐに体勢を立て直し
「連戦による負傷・・・ゼロ」
「対応、再開します」
「・・・・・・クソがっ!?!?」
次の瞬間
トキの両腕がネルへ向いた
逃げ道を塞ぐように、両腕のバルカンが一斉に火を噴く
凄まじい一斉掃射
ネルの姿が爆煙に呑まれた
そして、二人は同時に地面へ着地した
《vib:1》《b》ドォォン!!
コンクリートが砕け散り、周囲に砂埃が舞い上がる
「はぁ・・・はぁ・・・!」
私は階段を落ちる様に駆け下りていた
「"ネル、大丈夫!?"」
砂埃の向こうに、ネルの姿が見えた
ネルは立ち上がっていた
けれど、その身体は血まみれで、全身が傷だらけだった
「ああ、先生・・・あいつはどうなった?」
「"トキの様子はまだ・・・というか、傷が・・・!"」
「・・・ああ。こんくらい別に・・・」
ネルの身体がふらつく
「"ネル!?"」
私は慌てて抱き留めた
そのままネルの身体から力が抜けていく
「・・・・・・ちっ。まだ・・・やれんのによ・・・」
そう言い残し、ネルは意識を失った
そこへ、モモイとミドリ、ユズも駆け寄ってくる
「ネル先輩!」
その時
ズシン
ズシン
重い足音が聞こえてきた
砂埃の向こうから、巨大な影が現れる
アビ・エシュフを装着したトキだった
装甲には細かな傷が残っている
それでも、歩みには一切の乱れがなかった
「・・・・・・っ」
モモイが私の前へ出て、銛と銃を構える
「あ、ありえない・・・ビルから落ちたのに・・・!」
「傷一つない・・・なんて・・・」
ユズが呟いた
『そもそもコレは、この先訪れるキヴォトスの脅威に備えて要塞都市と共に作ったもの』
リオの声が響く
『そして要塞都市の能力を集結させている』
『つまり、要塞都市そのものと言っても過言では無いわ』
『そして・・・あなた達C&Cが裏切った時、』
『そしてアビドスの彼の鉾先がこちらに向いた時の為に備えて準備していたモノでもあった』
『ネル、あなたは確かに優秀だけど・・・』
『あなたとあなたが率いるC&Cは――私にとって不安要素でもあったの』
『だから、いつかこのような日がくる場合に備えていたのよ』
「"・・・・・・"」
私は、何も言えなかった
("どうすれば・・・!")
『トキ、シャーレの先生を回収して』
「・・・イエス、マム」
トキがこちらへ歩み寄ってくる
その時
「ダメ!!」
モモイが銛を前に突き出した
「絶対やらせない!!」
けれど、トキは止まらない
一歩
また一歩
ゆっくりと、こちらへ近づいてくる
その瞬間だった
トキの動きが、ぴたりと止まった
「・・・・・・?」
そして、何かに気づいたように上を見上げる
次の瞬間、トキは大きく後ろへ跳んだ
ドゴォォンンッ!!!
トキがいた場所に、黒い棒が深々と突き刺さり
そして
砂色のローブを風になびかせながら、一人の男がその場に降り立った
「よぉ、PTAのご登場だ。クソガキ共。」
「大事な娘を返してもらいに来たぞ。」
聞き慣れた声がエリドゥの広場に響いた
ふぅ・・・難産!
そして、キーボードのAとZがほとんど反応しないので、
何度もキーを叩いてやっと反応するから、単純に書くのがほんま大変。
こいつハンダで固定されてるからキースイッチの交換も出来んし20年弱使ってたけど、
買い替えだなぁ・・・
とまぁ作者の愚痴は置いておいて。
本文解説!
まず、前もって言っておくと、
前回言った通り、現時点のモモイはかなり強いです。
それも現段階だとキヴォトスで3位の強さです。
アリスがローブの使い方を理解すれば4位に落ちますが。
そして、もう一個言うと・・・
あのランキング、皆さんお気づきでしょうか・・・?
実はモモイよりも上の3名のキヴォトス人は全員アンラのローブを着ています。
さて・・・
あのローブはいったいなんなんでしょうね。
まぁ現時点でのモモイはそれはもうべらぼうに強いです。
それこそほぼ単騎でアヴァンギャルド君をデバフ無しで圧倒する位に強いです。
もちろん先生の指揮も込ですけどね。
それなのに、アビ・エシュフ戦で、モモイがそこまで強く見えない。
これには理由がありまして、
まず、先生の同時指揮の限界値の超過。
描写で気づいた方がおられるか分かりませんが、
あの7名同時指揮の時モモイ以外色付きの神秘を使ってる生徒が居ません。
これは、アンラが魔改造したシッテムの箱の処理限界を超過・・・
まぁ判り易く言えば、同時指揮の定員オーバーです。
原作風に言うならば、制約解除が必要ですね。
なので、あの7名で素の状態で神秘を操作し、圧縮まで持って行っているのは
モモイだけとなります。
それでも、モモイが弱く見える。
これにも理由があり、
作中描写で言っていた通り、あのアビ・エシュフ。
対アンラ用兵装でもあるんです。
なので原作基準で言うなら凡そ5倍のスペックがあります。
それこそ、エリドゥその物が原作よりも規模が大きく、それでいて
その演算能力も数倍上になっています。
更には、アビ・エシュフに付けられた背面ブースター等の加速機構により、
瞬間加速による高速回避を可能としました。
まぁぶっちゃけて言うと、
アンラの高速移動に対する対処法として、同じような速度域を出す為の物ですね。
これにより、モモイの攻撃を学習後は完全回避される事になります。
理由?
純粋な速度差です。
どれだけ強かろうと、その速度域が違えば、その強さが発揮される事はないんです。
モモイも、足に神秘を集中して加速して攻撃する事は出来ますが、
その速度域も精々素のネルと同じか少し早い程度になっただけなので、
対アンラ用のアビ・エシュフとやり合うのは、かなり分が悪いです。
そんな中で、学習される前にスラスターを一個ぶっ壊したのは大金星とも言えますね。
とりあえず、現段階で、モモイの改善点を上げるなら、
神秘の圧縮密度をもっとあげる事。
現在の圧縮率だと、まだまだ足りないので、普通に攻撃が通ります。
良く、私が言う、神秘圧縮した生徒に対して、
神秘圧縮を会得していない生徒では殆どダメージを与えられないと言うのは、
【殆ど】これがネックになります。
どういう原理かと言うと、圧縮した神秘を体内にため込む事で
そもそものキヴォトス人が持っているパッシブの防御力がバカみたいに上がってるんです。
これに対して、普通の弾丸を叩き込んでも、
ノーマルのキヴォトス人でも鈍器でしばかれたくらいのダメージに落ちてます。
これが、漫画版便利屋のヒナがアルの狙撃受けた時みたいに
ペチッ。くらいのダメージになるのが神秘圧縮のオマケ特典です。
この防御を抜くには、
そもそもの攻撃する側の純粋火力を上げるか。
それとも同じ様に攻撃側が神秘圧縮し、その攻撃に神秘を乗せるかで、
相手の防御を減算した状態で攻撃を通す事が出来ます。
ほら、エデン条約4章で、サオリがミカからの攻撃を鉄板に神秘を纏わせて
減衰させて辛うじて命を繋いだ描写があったでしょ?
あれの逆バージョンです。
つまり、今回モモイが神秘なんて関係ないアビ・エシュフの攻撃を食らって
ダメージになってるのは、純粋にモモイの圧縮率がまだ足りないので、
ダメージが通ってるだけです。
なのに、なんでキヴォトスランキング4位やねん!って思った人。
正しい感性です。
モモイが4位に入っているのは、あくまで対人能力で入ってます。
なんせ、あのモモイの中身には、無名の守護者の大群との戦争と、
キヴォトス全土相手取った戦争を経験した熟練の戦士の戦闘経験が備蓄されてます。
以前言った通り、現在のモモイは、対人においてかなりの強さを誇ってます。
そしてあのランキングは純粋に一対一でしばきあったら、という想定で組まれてます。
つまりヒナVSモモイだったら、モモイが勝てると言う事ですね。
逆に言うなら今のアビ・エシュフ相手にしたらヒナも負けますね。
なので、ランキングとして言うなら、
アビ・エシュフ装着時のトキはモモイの一個上の4位になります。
一位:ホシノ
二位:ユメ
三位:ローブの使い方を知ったアリス
四位:トキ(強化版アビ・エシュフ装着時)
五位:す~ぱ~ももい
六位:ヒナ
七位:アル
八位:ミカ(一時的に神秘使用不可の為ランクダウン)
九位:シロコ
十位:セリカ
上の3人には勝てないのかって・・・?
いやだって、この4位よりか上って全員能力が、化学によるものではなく、
本当のオカルト存在ですもん。
トップのホシノは元々持ってる神秘量に追加されて、アンラのローブから、
アンラの神気を供給されてるので、一生ガス欠になりませんし、
防御も本気のアンラの半分くらいかつ、
傷の再生速度も人外速度になってますんで、まず死にません。
ユメはそもそもアンラの眷属になってるので、
やろうと思えば神秘ではなく、ユメ自身の神気を使えますし。
ローブの使い方を知ったアリスは・・・
作中でも言った通り、ホシノのローブよりももっとヤバいモン着せてるので、
どエグイ事になりますし。
うん。
流石にこの3人は、今の数倍強化されたアビ・エシュフでも分が悪いというか、
そもそも勝負にならないっす・・・
いやだって、殺さない様に手加減してるアンラより強いもんこの三人。
そしてアビ・エシュフは手加減してるアンラを全力のアンラだと想定して
作られたパワードスーツなんで・・・まぁ・・・リオどんまいって事で。
今日の姫ちゃんを書きたかったのですが、
ちょっとキーボードの調子がほんま悪いんで、
今回は見送ります!すいません!
次のお話では書かせてもらいます!