おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
≪小鳥遊ホシノ視点≫
私達はアビドス砂漠のカイザーPMCの基地から逃げる様に、アビドス高校へと戻ってきていた
足取りは重いはずなのに、妙に現実感が薄い
さっき見た光景も、聞いた話も、全部が遠い
(・・・それよりも)
喉の奥に、引っかかっているものがある
砂のせいじゃない
もっと、嫌なもの
(やっぱり、見られてた)
確かに、【アンラ】さんがいた
遥か遠く、何も感じないはずの場所に確かに、居た
でも今はもう、何も感じない気配も、視線も、
まるで最初から何もなかったみたいに
(・・・だから余計に、怖い。)
(私が見つけたから、消えたんだとしたら・・・
今は、どこで何してるんだろうね。)
「・・・ふぅ」
「もうっ!いったい何のよ!」
「ん、カイザーはあそこでいったい何を企んでるの・・・?」
「宝物を探している、と言っていましたが・・・」
「あの砂漠にはなにも無いはずです。
でたらめを言ってるんだと思います。」
皆の声が飛び交う
カイザーの基地での事だろう・・・
でも、その中で
私は少しだけ、ズレていた
「いやいや、今はそれよりも借金の方でしょ!3000%とか言ってなかった!?」
「保証金も要求してきましたし・・・あと一週間で一億だなんて・・・」
その言葉に、誰もが黙る
重たい沈黙
「・・・行ってくる。あそこで何をしているのか、調べないと。」
「し、シロコ先輩?!行くっていったいどこへ・・・?」
「カイザーのPMC施設。徹底的に準備すれば、何とか潜入出来ると思う。
行って何をしているのか確認する」
「ま、待ってシロコ先輩!」
声が重なって、ぶつかって、少しずつ空気が荒れていく
私はその中で
無意識にローブの裾を指でなぞっていた
ざらりとした感触、乾いた血の跡
(・・・アンラさん)
さっき確かに【目が合った】
あんな距離で普通じゃ、ありえない
(私だって大概だけど)
(アンラさんは私なんかと、同じ枠じゃない)
だからこそ
(余計な事は、しない)
(もう、やる事は決めてる)
「・・・借金はもう、真っ当なやり方じゃ返せない。
何か、別の方法を・・・」
「だ、ダメですよ!それではまた・・・」
「・・・私はシロコ先輩に賛成!」
言い争いが激しくなる
(皆、ちゃんと前を見てる、頼りがいの在る大人も来てくれた。)
(だから、大丈夫)
「ほらほら、皆落ち着いて~
頭から湯気が出るよ~?」
場を収める
いつも通りの役目
(終わらせる)
(これ以上、誰も巻き込まない)
「ん・・・」
「・・・」
「はい、すみません・・・」
「ん、ごめん。こんな風にしたいわけじゃなかった。」
「うん、皆わかってるよ。シロコちゃんも良い子だからね。
まっ、とりあえず今日はこの辺にしとこう。」
「うへ~じゃあ解散解散~
一回頭を冷やして、また明日集まる事にしようよ。
これは委員長命令って事で。」
「”・・・そうだね。とりあえず、みんないったん帰ろう。”」
皆が帰っていく
静かになる校舎
今アビドス高校には私と先生だけが残った
「ん~?先生は何かまだやる事がある感じ?」
「"ホシノ、ちょっと話したい事があるんだ。"」
「うへ~、おじさんとお話したいことがあるの?
照れるな~」
「でもさ、今日は疲れたし、いろんなことがあっちゃじゃん?
また明日話そ?」
軽く返す
いつも通りに
でも
「"ううん、今、だからこそ。
ホシノに聞いておきたいんだ。"」
逃がしてくれない
「ん~何を?」
私がそう言うと退学届を先生が懐から取り出していた
「うへ・・・先生、私のカバンから盗んだの?」
「"ごめんね。最近様子が変だったからちょっと調べさせてもらったよ。"」
「先生も悪い大人だねぇ・・・」
「"この退学届について、詳しく聞きたいんだ。"」
(まぁそうだよね・・・)
「そっかー・・・」
「"聞かせてくれる?"」
「うーん、逃がしてくれそうには・・・無いよね~?」
「"だね。逃げたら対策委員会の皆に口が滑っちゃうかも。"」
「うへぇ先生それは脅迫っていうんだよ~?
はぁ、仕方ないなぁ・・・」
「面と向かってっていうのも何だし・・・
先生、いつもの屋上で話そうよ。」
歩き出す
(もう・・・決めたんだ。)
カイザーも
黒服も
【アンラ】さんも
全部まとめて
(私がいなくなれば、それで終わる)
(少なくとも、【アビドス】には来ない)
それだけでいい
屋上に出ると、星空が広がり、夜風が吹いていた
「うん、やっぱりここはいつも最高だね~」
「"ホシノは、この学校が好きなんだね。"」
「うへ、今の一言だけでそう思ったの?やっぱり先生は変な人だね・・・
ねぇ先生、昔話を、してもいいかな?」
「"うん、聞かせて?"」
「おじさんがさ、入学して少ししたらね、砂嵐が酷くてアビドスの本館から
今居る別館に引っ越してくる事になったんだ。
そしてその頃にはもうアビドス高校の生徒が二人だけになってんだ。」
「私と、もう一人、アビドス高校の最後の生徒会長、私の先輩。
そんな二人でアビドスの借金をなんとかしようと頑張っていた時だったね。」
「正門に不審な大人が居たんだ。
あの頃はおじさんも若くて尖っていたからその人に銃を向けちゃってね。
その後でわかったんだけど、その人はアビドス高校を救うために来てくれていたんだ。」
「その人と私達二人でケーキを食べながら生徒会室で良くお話していたんだ。
まぁ・・・そんな時間も長くは続かなかったけどね・・・」
「うん・・・先生が言った通りやっぱり私はここが好きなのかもしれないな~」
「"ホシノにとって本当に楽しい思い出が詰まった場所なんだね・・・"」
「・・・先生、正直に話すよ」
「私は二年前に、変な奴らから提案を受けていたんだ」
「"提案?"」
「カイザーに、提案と言うかスカウトをアビドスに入学した直後から何回もね。」
「二年連絡が無かったのにこの間久しぶりにその提案があったんだ。」
「その時こんな事を言ってたよ。」
「ホシノさん、貴女に、決して拒めないであろう提案をひとつ、
興味深い提案だと思いますのでどうかご清聴ください。」
「アビドス高校を退学し、私共の企業に所属する・・・
その条件を飲んでいただければ、今アビドスが背負っている借金の全額を此方で負担し、
その上で私共の企業はアビドスから手を引きましょう。」
(あと、アンラさんの捜索も条件にあったけどね・・・)
「ククッ、ククククッ・・・さぁ、答えを聞きましょう。
もしイエスならば、こちらにサインを」
「で、そんな事を言われた時に柴関が爆破されたって連絡が入ってね。
返事もせずに柴関に向かったんだよね~」
「”その提案を持ち掛けた人は何者なの?"」
「私も、あいつの正体は知らない・・・ただ、私は黒服って呼んでる。」
「"黒服・・・"」
「なんとなく、ぞっとする奴で、キヴォトス広しといえども、ああいうタイプの奴は見た事なかったし・・・
怪しい奴だけど、別に特段問題を起こしたりはしなかった・・・」
「何なんだろうね。あのカイザーの理事ですら、黒服の事は恐れてるように見えたけど」
「"じゃーこの退学届は?"」
出された紙
「うへぇ・・・」
私は苦笑いしながら、それを受け取る
「まぁ・・・1ミリも悩んでなかったって言ったらウソだし
ちょっとした気の迷いっていうかね・・・」
指先に、少しだけ力を込める
「・・・うん、もう捨てちゃおっかな」
ビリッ
紙が裂ける音が、やけに大きく響いた
(・・・これで、いい)
先生の前で見せる答えとしては、これが正解
もう悩んでないよ
ちゃんと前向いてるよ
そう思わせるには、十分
(・・・ごめんね)
ほんの少しだけ、胸が痛む
本当は、もう決めているの
これはただの、その場しのぎ
(でも、それでいい)
皆をこれ以上巻き込まないための小さな嘘
「余計な誤解を招いてごめんね。ただ、こんな話を皆にしたところで、
心配させるだけでいい事も何も無さそうだったからさ。」
「でもまぁ、可愛い後輩達にいつまでも隠し事をしたままって言うのは良くないし、
明日、皆にはちゃんと話すよ。」
「聞かされたところで困らせちゃうだけだろうけど、
隠し事なんて無いに越したことはないだろうし。」
「実際の所、今はあの提案を受ける以外、他の方法は思いついてないんだけど・・・ね・・・」
「"ホシノ、きっと、何か方法があるはずだよ。"」
「うへぇ~そうだね、軌跡でも起きてくれればいいんだけどね。
奇跡・・・かあ・・・」
「さ~てと、この話はこれでおしまい!
じゃあ、また、明日ね。先生。・・・・・・さよなら」
背を向ける
「"ホシノ!"」
呼び止められる
少しだけ、驚いたふりをして振り返る
「な、なに?」
「"私が大人として絶対なんとかするから!"」
一瞬
瞳が、揺れる
ほんの一瞬だけ
(・・・優しいなぁ)
「うへへ。おじさんそんなに元気無さそうだったかな?」
笑う
いつも通りに
「うん、ありがとう、先生。」
(先生・・・皆の事、お願ね。)
背を向ける
今度は足を止めない
止めたら、多分揺れてしまう
(大丈夫、大丈夫・・・)
(私はもう、【選んだ】から)
(もうここには、戻らない)
地下ちゃんがこの時からアップしてんのかっていうくらいに
ホシノちゃんの思い込み暴走が激しいよ!!
まぁ自分が頼んだ結果片腕無くして死んだと思ってたら
クッソ怪しい奴からソイツ生きてんで言われた後
信頼してる大人からソイツアビドスを裏から支配してカイザー操って(可能性の話)んでとか
言われたら頭バグって暴走するのもまぁ・・・しゃーないか・・・?
ゆーて18歳の少女だもんねホシノちゃん
ってか今祈願屋はユメちゃん自体が結構忙しいので、過去見の水盆を見れてない状況なんですが、
ユメちゃんに余裕が出てウキウキ気分で過去見の水盆使ったらこんな映像流れるんでしょ?
地獄でしょ。自業自得やけど。八つ当たりでおっさんは多分またローキックされるとは思うけど。