おっさんキヴォトスに行く   作:無い頭のおっさん

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あぁタコよ。
お前の行いが悪いせいだぞ。

皆も契約書はよく読もうね!
ちなみにこの作品で出てきたこの契約トリックは現実でも出来うる事だから
マジで注意だよ!
読まないとばにたするよ!


対策委員会編後日談
おっさん接収する


先日カイザーPMC理事がアビドス自治区に不法侵攻を行い

その結果壊滅し、カイザー理事がヴァルキューレに拘束された

この事件は連日報道されていて、今後のカイザーの動きにも注目されていた

 

そしてこの事件に大きく関わった祈願屋の二人は

今DU地区に来ていた

 

DU地区カイザーローン本社

エントランスに、二人

 

一人は、スーツ姿の男――七篠アンラ

そしてその隣に立つ女性は、

髪型、化粧、所作に至るまで徹底的に作り替えられていた

輪郭こそ同じでありながら、印象はまるで別人

アビドス元生徒会長の【梔子ユメ】だと、

一目で見抜ける者はまずいない

 

――そういう仕上がりだった

 

 

 

「祈願屋の七篠アンラです。本日は未精算債務の件で伺いました」

 

受付の処理が一瞬止まる

 

【該当データ:なし】

 

「・・・未精算債務?」

 

「はい。先月提出済みの請求です」

 

アンラは淡々と続ける。

 

「来訪ログをご確認いただければ、提出事実は記録されています」

 

【来訪ログ検索:実行】

 

【所属:祈願屋】

【氏名:山梔ウツツ】

【来訪記録:あり】

 

空気が変わる。

 

「・・・契約担当を呼びます」

 

 

応接室

アンラが以前アビドス再開発の契約を交わしたロボット、フシカツが入ってくる

 

「七篠様。本日は――」

 

「未精算債務の件で」

 

一拍

 

「・・・未精算?」

 

明確な違和感

 

「先月提出済みです」

 

「来訪ログも残っています」

 

フシカツは端末を操作する

 

【来訪記録:あり】

 

だが――

 

「・・・請求処理が上がっていない」

 

指が止まる

もう一度ログを確認

来訪はある

 

だが、処理がない

あり得ないズレ

 

フシカツの視線がわずかに細くなる

 

「・・・受付ログを開く」

 

端末操作

紐付けられた担当者IDを引き当てる

 

「・・・担当を呼べ」

 

低く、短い指示

 

 

 

呼び出された受付

そしてユメを見る

 

「・・・・・・あ」

 

フシカツの目が細まる

 

「説明を」

 

「・・・その・・・不要と判断し・・・廃棄処理を・・・」

 

沈黙

 

フシカツは息を吐く

状況は理解した

 

内部ミス

だが――まだ【処理可能範囲】だと思っている

 

「・・・大変失礼致しました。本件はこちらで精査し、処理いたします。」

 

アンラは頷く

 

「では、請求内容をご確認ください」

 

ここで初めて、封筒が机に置かれる

 

フシカツはそれを開く

ページをめくる

 

人件費、設備費、解体、再構築。

インフラ、防砂林

 

そして――

 

「・・・110兆円・・・」

 

手が止まる

空気が変わる

 

だが、まだギリギリ思考は動く

 

(精査すれば削減できるか?不正請求か?分割交渉か?)

 

「・・・内訳の妥当性については確認が必要ですが――」

 

アンラが遮る

 

「問題ありません」

 

「必要であれば全工程ログを提出します」

 

逃げ道を塞がれる

フシカツの思考が一段沈む

 

それでもまだ、【交渉でどうにかする】段階

 

「・・・支払い条件については――」

 

アンラは続ける

 

「なお、本請求は既に支払い期限を経過しています」

「現在は債務不履行状態です」

 

一拍

 

「未精算債務が継続した場合、契約第9条に基づき」

「担保としてアビドス全土の土地権利が移転します」

 

止まる

完全に止まる

思考が

 

110兆

期限切れ

 

担保

アビドス【全土】

 

フシカツは理解する

 

――自分の裁量ではない

 

封筒を静かに閉じる

 

「当社裁量を逸脱しており本件は・・・本社判断となります」

 

 

 

その言葉を皮切りに、カイザーローンを後にし、

DU地区のカフェで優雅にティータイムを楽しんでいる二人

 

 

 

「ちょっと可哀想な事しちゃいましたね」

 

「受付の奴かい?あれはアイツがアホやったのが悪い。」

「受付は見た目で判断する裁量なんか持ってないんやから、

受付業務を真っ当にしてれば俺らに利用される事も無かったんよ。」

 

「確かに酷い事いっぱいいわれましたけど・・・」

 

「そもそも会社の顔が暴言紛いな事言う時点で会社からしたらガンみたいなもんやで、

気にするだけ無駄無駄。」

「俺らが利用せんでもいつか今回みたいなヘマやらかして

首切られるか文字通りバラされるかのどっちかやったやろな~」

 

そんな事を話しているとアンラのスマホに通知が入った

 

『本件について、本社にて協議を行う。出頭を求める』

 

「さて、タコの親玉の登場や。

本番やでユメちゃん、これでアビドスの未来がほんまに決まる。気合だそか。」

 

「はい!でも、交渉事は私全然ダメダメなんで何も出来ませんけど・・・」

 

「ハハハ、まぁボディーガードっちゅーことで傍おっといてー

こういう交渉事は人数ってのも大事やからね。」

 

「さ、タコ本体をしばきにいきましょか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

DU地区カイザーコーポレーション本社

機能性だけで構成された巨大構造体は、装飾という概念そのものを切り捨てている

 

その最上層

 

「こちらです」

 

無機質な案内に導かれ、アンラとユメは廊下を進む

足音がやけに響く

人の気配は薄い

 

だが――視線だけがある

 

壁面に埋め込まれた監視ユニット、天井を滑るドローン

見られている、というより【測られている】感覚

 

ユメの指先が、わずかに強張る

 

(・・・なんか、息しづらい・・・)

 

それでも足は止めない

隣を歩くアンラは、普段と何一つ変わらない足取りだった

やがて、一枚の扉の前で足が止まる

 

他と変わらない、無機質な扉

だがそこに付随する空気だけが、明確に違う

 

「――こちらが、プレジデント執務室になります」

 

案内役が一歩下がる

同時に、扉のロックが静かに解除される

 

【認証:完了】

 

【入室許可】

 

低い電子音

 

ユメが小さく息を呑む

アンラは軽くノックを一度

 

間を置かず、扉を開ける

 

開けた先にあった部屋は空気がとてつもなく重かった

 

この重さの原因はきっとあの人物だろう

 

部屋の奥

 

机の向こうに座る一人

 

カイザー・プレジデント

 

そしてその背後、壁際に控えるのは武力部門の頂点、カイザー・ジェネラル

 

ただそこに【在る】だけで威圧を行う暴力装置

さらに、部屋の外には武装ドローンと警備ユニットが無言で待機している

 

ユメは無意識に背筋を伸ばす

 

(う~やっぱりこういうの向いてないよぉ~)

 

アンラは一歩進み、自然な所作で立ち止まる

 

「祈願屋の七篠アンラです。本日はお時間いただきありがとうございます」

 

形式的な挨拶

 

だが、その声音に一切の揺らぎはない

 

一拍

 

静寂

 

その空気を割るように、横から一人が前に出る

 

フシカツだ

 

ここまでの経緯を、ただ一言で通す

 

「当該案件、来訪記録および契約条項の整合性は確認済みです」

 

「受付段階での処理欠落により、現在は債務不履行状態となっております」

 

説明はそれだけ

 

余計な弁明も、感情もない

 

プレジデントは視線すら向けずに言う

 

「分かった。下がれ」

 

「・・・失礼いたします」

 

フシカツは一礼し、即座に退室する

 

扉が閉まる

 

完全に切り離された空間

 

残るのは四者

 

カイザープレジデント

カイザージェネラル

アンラ

ユメ

 

沈黙が数秒続く

 

そして――

 

「・・・で」

 

プレジデントが資料を指で弾く

 

「110兆円、か」

 

紙の数字にしては、あまりに現実離れした金額だった

だがアンラは、まるでスーパーのレシートでも渡したかのように平然としている

 

「はい。アビドス都市部再整備一式の実費精算です」

 

「砂漠の更地に対して110兆は、合理性の範囲を逸脱しているように見えるが?」

 

「逆ですね」

 

アンラは静かに返す

 

「【逸脱しているように見える状態にしないと成立しない規模の再整備】だった、

というのが正確です」

 

プレジデントは数秒、アンラを見つめたまま動かない

 

「・・・つまり、その費用は正当だと?」

 

「はい。契約上は」

 

その一言に、わずかな間が落ちる

アンラは続ける

 

「御社が委託した管理権限の範囲内で発生した費用ですので」

 

「そして現在、支払い期限は既に経過しています」

 

沈黙

 

プレジデントが椅子に深く座り直す

 

「債務不履行状態、という認識でいいな?」

 

「はい」

 

即答

 

空気が一段、冷える

プレジデントは淡々と言う

 

「では単刀直入に言おう」

 

「その請求、受け入れるつもりはない」

 

ユメの指がわずかに強張る

アンラは視線すら動かさない

 

「理由を伺っても?」

 

「金額が非現実的だ。それに加えて」

 

プレジデントは資料を軽く叩く

 

「そもそもその規模の権限委譲自体、正当性に疑義がある」

 

「無効を主張する余地は十分にある」

 

アンラは一拍置いてから、静かに口を開く

 

「可能ではありますね」

 

その言葉に、わずかに空気が緩む

 

だが次の一言で、すべて凍る

 

「契約を一方的に棄却する場合、第九条および第十一条に基づき」

 

「未精算債務ならびに違約精算が発生します」

 

指先で条文を軽く叩く

 

「既発生費用110兆に加え、事業中断損失および逸失利益が加算されますので」

 

「総額は、おおよそ130兆規模になります」

 

沈黙

 

さっきまで“非現実的”と切り捨てていた側が、

今度はさらに上積みされた現実を突きつけられる

 

プレジデントの視線が、ほんの僅かに細くなる

アンラは淡々と続ける

 

「なお、精算が行われない場合」

 

「第九条担保条項に基づき、対象資産への担保権が自動的に執行されます」

 

一拍

 

「つまり、支払いが不能であれば」

 

「御社が保有するアビドス全土の土地権利が移転します」

 

完全な静寂

 

背後に立つジェネラルが、一歩も動かないまま圧だけを残している

プレジデントだけが、ゆっくりと息を吐いた

 

「最初からそこまで設計していたな・・・」

 

アンラは微笑む

 

「リスク管理の範囲です」

 

再び沈黙

やがてプレジデントが口を開く

 

「ではこちらの提案だ」

 

「土地権利は譲渡する」

 

「ただし、当社はアビドス地区の使用権を保持する」

 

「使用範囲に応じた対価を、継続的に支払う」

 

ユメがわずかに顔を上げる

プレジデントは続ける

 

「当該請求および違約精算については、相殺処理を前提に再構成」

 

「実質的な負担は分割・圧縮する」

 

アンラは、少しだけ考える素振りを見せてから頷いた

 

「受け入れ可能です」

 

「当該条件にて、土地所有権は弊社――祈願屋へ移転」

 

「御社は使用範囲に応じた使用料を支払う形で、引き続き運用が可能となります」

 

プレジデントは短く問う

 

「条件は?」

 

アンラは静かに答える

 

「信用条項を追加します」

 

空気が再び張り詰める

 

「第一に──社会的信用の著しい失墜」

 

「第二に──契約対象領域における大規模な武力行使」

 

「第三に──契約目的からの逸脱行為」

 

「いずれかが確認された場合、本契約は即時停止」

 

「同時に資産凍結および担保権の即時執行を行います」

 

プレジデントは短く問う。

 

「・・・それで我々の行動は制限されるのか?」

 

「いいえ」

 

アンラは即答する。

 

「契約目的に従う限り、制限は発生しません」

 

沈黙。

 

プレジデントは目を閉じ、数秒思考する。

 

背後のジェネラルは動かない。

 

ただ、その存在だけが“別の選択肢”を無言で示している。

 

やがてプレジデントは目を開いた。

 

「・・・いいだろう」

 

「その条件、受け入れる」

 

ユメが息を呑む。

 

アンラは穏やかに頷く。

 

「ありがとうございます」

 

ペンが走る

 

契約が、締結される

 

アンラは立ち上がり、扉へ向かう

 

その直前、ふと思い出したように振り返る。

 

「・・・念のためですが」

 

一拍

 

「強引な手段は、信用評価に影響しますので」

 

「ご留意ください」

 

 

 

 

 

扉が閉まる

 

完全な静寂

 

数秒

 

誰も動かない

やがて――

 

「・・・クソが」

 

低く、吐き捨てるような一言

プレジデントの指先が、机の上の資料をゆっくりと叩く

 

一定のリズム

 

だが、その実わずかに力がこもっている

 

「最初から・・・ここまで織り込んでいたか」

 

視線が資料の条文をなぞる

 

第九条

 

第十一条

 

そして、追加された信用条項

 

「合法の形をした拘束具だな」

 

乾いた笑いが、短く漏れる

 

壁際

 

ジェネラルは動かない

 

ただ一度だけ、視線を向ける

 

プレジデントはそれを受けて、ゆっくりと言った

 

「分かっている」

 

「力で奪る段階は、もう過ぎている」

 

一拍

 

「少なくとも――今はな」

 

机の上のペンを手に取る

 

軽く回す

 

止める

 

「だが覚えておけ」

 

誰に向けたものでもない言葉

 

「この手の【勝ち方】は、恨みを買う」

 

静かに、資料を閉じる

 

「・・・まあいい」

 

「利用してやるさ」

 

視線が、アビドスのデータへと移る

 

「あの土地には、我々しかしらない【価値】が埋まっている」

 

最後に、ほんのわずかに口角が歪む

 

「それを掘り起こすのは――我々だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・今頃クソが、って顔しながらそんな事言ってるんやろなぁ」

「あのブリキ人形」

 

おっさんとユメは今カイザーコーポレーションから出て

アビドスに戻る為に電車に乗っていた

 

「確かアビドスには宇宙船が埋まってるんでしたよね?」

 

「せやで~まぁどっちか言うと空飛ぶスパコンやけどね。」

 

「しかも起動するのに先生のもってるタブレットか、

DU地区のあのタワーの制御権が無いと動かないっていうな。」

 

「アビドスってなんか色々ありますよね・・・」

 

「色々埋まってるんよなぁ・・・

そういやビナー君もあとちょっとしたら活発になる時期やしなぁ・・・」

 

「ビナー君?」

 

「そう、ミミズみたいな見た目の大型ビルサイズの掘削ロボット」

 

「ひぃいん・・・なんでそんな危なそうなの生息してるんですか・・・」

 

「それは俺もしらん。なんかおった。

多分何かしら理由があるんやと思うけどなぁ・・・

俺が知ってる情報でもソコまでは明かされてなかったからなぁ・・・」

 

「アンラさんでもしらない事あるんですねぇ・・・」

 

「まぁ、結構知らん事も多いぞ、ガバも多いけど・・・」

「まぁとりあえず、今はアビドスの土地がアビドスに戻ってきた事を祝して

帰ったらパーっと宴会でもせんかい?ユメちゃん」

 

「え!お、お酒ですか?私も飲んで良いの?」

 

「え?ユメちゃんもう20いったやろ?なら大丈夫やろ。」

 

「えへへ~そうなんですね!私前からアンラさんが目の前で美味しそうに飲むしどんな味か興味あったんですよ!」

 

「そかそか、それは飲んでからのお楽しみやな。

まぁ初心者向けにチューハイ系の飲みやすい

ジュースみたいなん買ってから事務所にもどりましょか~」

 

「わ~い!おかしとかも一杯買いましょう!」

 

 

平和な二人のやり取り

さっきまで悪い大人を一方的にボコボコにしていたとは思えない

 

とても平和なやりとりだった




さて、
アビドスの皆に気づかれる事なく、
とうとうアビドスの実質的な支配権所か、所有権すら持ちました。

ちなみに今回の契約トラップって、現実でも起こりうるんです。
前書きにも書きましたけどね。
契約って本当に危ない物なんで皆さんはよく読みましょう。
過ぎ去りし刻のオラトリオ編でサオリが言ってたでしょう?
契約書はほんとに大事。
ほんとその通りなんですよ。
最悪カイザーみたいに進めば110兆逃げれば130兆
どっちに進んでも土地は没収とか頭おかしい契約を結ぶ事になる事もあるかもしれません。
まぁこの規模の契約をそもそも契約後進捗とかの確認を自分で調べずにほったらかしにしてるアホが悪いんですけどね。
ちなみに今回の契約のお話は、
【おっさん大企業と契約する】
【ユメ社長カイザーをハメに行く】
が伏線となっています。

あ、ちなみに110兆円っていう桁が頭おかしいと思った方。
ブルアカアニメのPVで一瞬写るアビドス全域航空写真を見てください。
あれの北側に広がる都市部全域の再開発を行いました。
110兆円でも安いです。

では、おっさん豆知識
おっさん、実は生物じゃありません。
だから子供が出来ません。
寿命もありません。
ちなみにこれらは、神という座に就く前からです。
おっさんは生まれながらの神ではないので
あとおっさんが以前とある宗教で神の先兵をしていたと話しましたが、
その時におっさんが殺した教祖は本物の神です。
まぁおっさんの世界の神は基本全員カスですベアトリーチェがまだマシなカスです
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