おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
おっさんは現在事務所にて通常業務である、
書類の処理を行っていた
アビドスの土地をカイザーから接収したとしても、
その土地の維持管理を行わなければいけない事には変わりなく
2年間で再開発を急ピッチにすすめていた時に比べれば幾分かはマシにはなっていたが
それでも二人で処理しきるには中々骨の折れる作業となっていた
「だー・・・いっその事魔導使って
時間停止と固定化で経年劣化しない様にしてやろうか・・・」
「でも、アンラさん、それしたとしても
維持魔力どこから出すんですか?」
「・・・魔導炉・・・いや倫理的に・・・バレなければ・・・?」
そんなおっさんの呟きにおっさんとユメ以外の別の人物が反応する
「アンラさん、アビドスの土地を取り返してくれたのは嬉しいんですけれど、
アビドスにそんな倫理に引っかかりそうな危険な物を設置するのは許可しませんよ?」
「・・・一応倫理に目をつぶれば、
凄くエコロジーで実質無限にエネルギーを生む夢のような品物やで?」
「倫理に目をつぶれないので無理です。」
「そっかー・・・」
「にしても、なんでホシノちゃんここにいるん?
学校はええん?」
「来ちゃダメなんですか?」
「いや、一応アビドストップクラスの機密がある企業やけど・・・」
「私はそのアビドスの生徒会ですけど?」
「あ、はい。」
「それにアンラさん達はほっておくとまた何年もどっかに行きかねませんからね?」
その一言でおっさんとユメはホシノから目線を逸らす事しか出来なかった
「そういえば、私は結局詳しい事を聞いてないんですが、
そろそろ話して貰ってもいいですか?」
「あー・・・まぁ本当はこんな序盤で
ホシノちゃんにバレる予定やなかったんやけどねぇ・・・」
「まぁホシノちゃんが思ったより成長しててバレてしまったし
この際だから休憩がてら軽い説明だけはしよか。」
そう言いながらおっさんは事務机から立ち上がり、応接用のソファーと机の元に向かい
昔、三人で良く食べていたトリニティ産のロールケーキを出した
「こうして皆でケーキを食べるのも久しぶりだね~」
「えぇ、そうですねユメ先輩実に二年ぶりですね。」
「ひぃいいん、ホシノちゃんが全然許してくれない・・・」
(まぁ・・・せやろなぁ・・・)
「アンラさん、自分は関係ないみたいに黙ってお茶飲んでないで、
速く話してください。」
「お、おぅ・・・まぁ何から聞きたい?」
「全部です。といってもどうせ、アンラさんは全部は話さないでしょうし。
話せる所だけで構わないんで話してください。」
「あー・・・まぁ了解。
とりあえず、俺の腕と俺の血染めのローブやけど、
あれは実際にその場で腕千切って偽装工作しただけや。」
「は?、千切った・・・?」
「アンラさん!今腕は!それってもしかして義手なんですか?!」
「あー落ち着け落ち着け、
俺はぶっちゃけ手足千切れても生えてくるバケモンやから。
そない焦らんでもええで。」
「生え・・?」
「まぁトカゲの尻尾みたいなもんやとおもっといて~」
「にしても、ホシノちゃんが俺の血染めのローブ着てたの見た時はびっくりしたで。」
「欲しかったらさらっぴんのあげるから、あんなばっちいのポイしいや?」
おっさんのその言葉を聞いた瞬間ホシノの目が
初めて事務所に訪れた時と同じ位に冷たくなっていた
「いえ、結構です。」
「はぁ・・・」
そんな二人のやり取りを見ていたユメは
頭が痛いのか額を抑えてため息をついていた
「じゃーユメ先輩のあの死体も偽装だったんですね。」
「あー・・・あれなぁ・・・
ユメちゃんそっくりの死体を用意したんよ、大変やったで~」
おっさんがそう言った瞬間ユメがぎょっとした顔でおっさんを見てきた
「ほんとに、手が込んでますね・・・」
「2人していつから計画していたんですか?」
「ひ・み・つ。【ドパンッ】」
おっさんの言葉を聞き終わるか終わらないかで、
ホシノがとんでも無い速度でショットガンを抜き撃ちして来た
「うぉおおい!事務所の壁に弾痕ついたやん!?」
「避けなきゃいいんですよ。避けなきゃ。」
「まてまて!今のホシノちゃんなら避けなきゃおっさんハチの巣になるぞ?!」
「治るんだったらいいんじゃないですか?
ついでにその頭も治って貰えるといいんで一回吹っ飛ばしましょうか?」
ホシノはおっさんの無自覚煽りに大分キレていた
おっさんとホシノのちょっとしたガチ目のCQCとCQBが繰り広げられ
ティータイムは一時中断となった
尚、二人して500kgの鉄塊でユメにしばかれて戦闘が中断された
「いたい・・・ユメ先輩がアンラさんのせいで暴力的になった・・・」
「おっさんのせいやないわ・・・
祈願屋に合流した当初からコレやったから、多分コレ素やぞ・・・」
こそこそと話していた二人に満面の笑みを浮かべたユメが話しかけていた
「うん?二人ともまだ反省したりないの?」
「「反省しました!」」
ユメに強制的に反省させられ、中断していたティータイムを再開していた
「そういえば、ユメ先輩。」
「ん?な~に?ホシノちゃん」
「私が監禁された時に助けに来てくれていた
フルフェイスの人って結局ユメ先輩なんですか?」
「あ~せやで、
おっさん3キロも離れた所から観察してたのに、
ホシノちゃんが見つけるから途中から監視とか干渉する業務全般を
ユメちゃんに移行したんよ。」
「へ~、そうなんですね。
じゃーあの戦い方はユメ先輩なんですね。」
「あ、いや、それはね・・・」
「ん?戦い方?どんなんやったん?」
「私は全部終わった現場しか見てないんですけど、
外に出たらゴリアテが両手足捥がれて胴体がねじ切られてましたよ。」
「え・・・ユメちゃん・・・本気出すって言ってたけど、
いくらなんでもそれは・・・」
「いや!違いますよ!
あれはホシノちゃんを誘拐した主犯が出てきたから思わず・・・」
「ユメ先輩って実は普通に戦えたんですね?」
「うっ・・・」
「あと、シロコちゃんから聞きましたけど、
なんかアビドスの悪夢って呼ばれてるらしいですね?」
「え?なにそれおっさん知らんのやけど」
「うぅぅう~!!!」
声にならない声を上げながら顔を覆ってユメが丸くなってしまった
「なぁ・・・ホシノちゃん、カイザーの基地そんなに酷かったん?」
「皆の話を聞いただけですけど、鎖で繋がった盾を投げて、
その鎖で盾を振り回してカイザーをなぎ倒してたらしいですよ。」
「え、なにそれ怖。」
「やっぱりあの戦い方アンラさんが教えたんじゃないんですね。」
「おっさんが教えたんは、ホシノちゃんに教えたような神秘の使い方だけやな」
「模擬戦を何回かしてたけど、
普通の堅実な盾とハンドガンの使い方やったんやけどな・・・」
「よっぽど隠したかったんじゃないんですか?」
そんな事を言いながら二人でプルプル震えながら丸まってしまったユメを見る
少しして、やっと復活したユメが話し出した
「うー・・・昔、私にもホシノちゃんの1年の頃みたいな時期があったの・・・」
「うっ」
ユメに1年のころと言われ自身の尖り散らしていた
過去を思い出したのかうめき声をあげていた
「ユメちゃんが暁のホルス時代のホシノちゃんと同じねぇ・・・」
「アンラさん次その名前言ったら撃ちますよ。」
「私がアビドス高校に入学した時は今よりもっと不良が多くてね、
それで治安維持も兼ねて色々してたんだ・・・
その功績もあって2年の頃に生徒会長に任命されたんだけどね・・・」
「ほへ~・・・それがアビドスの悪夢ねぇ」
「アンラさん、その名前は言わないで欲しいなぁ・・・?」
いつもの笑顔だが、顔に影が差して圧が増したユメがおっさんを見つめている
「お、おぅ・・・
にしても君ら似た者生徒会役員やったんやなぁ・・・」
「ユメ先輩のあの戦い方と同じ括りにされるのは凄く不服です。」
「ひぃいんホシノちゃんがひどい・・・」
そんな話をしていると突然、ユメが思いついた様な顔をした
「私達だけ、過去の恥ずかしい名前を掘り返されるのは不公平です!」
「アンラさんだったら私達なんかより過去でいっぱいヤンチャしてるはずだから
何か通り名とかなかったんですか?」
そのユメの思い付きを聞いたホシノの顔と目が輝く
「うぇ?!おっさんの通り名?
おっさん元々キヴォトスの外の人間やで?通り名言っても君らわからんやろ・・・?」
「そういう問題じゃないんです!」
「そうですよ。アンラさんが何処で知ったのか知りませんが、
私の通り名を知っていてアンラさんの通り名を知らないのは不公平だと思います。」
「なので、ちゃっちゃと吐いてください!」
「おー・・・圧が凄いな君ら、やっぱ似た者生徒会だよ・・・」
「にしても通り名ねぇ・・・いくつかあったけど・・・
どんなんが聞きたいん?」
「じゃー!とっておきの恥ずかしいやらかした時の通り名で!」
ユメが顔を輝かせながら中々に下種な要求をしてきた
(先輩っていう猫かぶってないとええ性格してんなぁほんと・・・)
「やらかしねぇ・・・ん-・・・
【必滅者】、【全ての悪】、【人類悪】、【リセットボタン】とかか?」
「「・・・」」
おっさんから出てきた通り名が自分達が思ってるよりも
物騒なのが出てきた事で二人は止まってしまった
「どうしよう・・・ホシノちゃん。」
「これ多分聞いたらダメな奴だよね・・・?」
「絶対そうに決まってるじゃないですか・・・!」
「だよね・・・別の話題に逸らそっか・・・!」
そんな二人の小声のやり取りを全部聞こえてるおっさんは
苦笑いを浮かべるしかなかった
「アンラさん、そんな感じの不穏なのじゃなくて、
こうもっと格好いい感じの通り名ってなかったんですか?」
「カッコいい通り名ぁ~・・・?
通り名なんて半分蔑称だろうに・・・恰好言いも何も・・・」
そう言いながらおっさんは考え込む
「んあー・・・・あ~・・・くっそ恥ずかしいのが一個あったな。」
「!なんですか!なんですか!」
顔と瞳をキラキラさせながら今度はユメが食いついた
「【剣神】結構長い事これは呼ばれてたねぇ・・・
このクソみたいな通り名のせいで賞金稼ぎやら武勲を上げたい武人やらが
しょっちゅう襲ってきてじゃまくさいったらなんの・・・」
「「お~!」」
「なんで二人して目キラキラさしてんの・・・」
「だって、キヴォトスで剣なんてふるってる人いませんし。」
「うん、漫画とかアニメの世界だけだよね。」
「まぁ自分が弾丸と同じ速度で動ければこっちの方が速いんよ。」
「キヴォトス人でも普通は無理ですけどね。」
「君ら二人ともやろうと思えばできるよね?」
アビドス生徒会ズが揃って目を逸らした
「まぁそれくらいかねぇ・・・」
「そうだ!今度模擬戦する時にアンラさん剣使ってみてほしいな!」
「えー・・・いや、マジでやめた方が良いで・・・」
「私も参加するので二対一ならどうですか?」
「いや、そういう事やなくて・・・」
「おっさん曲りなりにも剣の神なんて言われてたんよ・・・
だから切るっていう動作その物が切断っていう結果に結びつくんよ・・・」
「「???」」
「まぁわからへんよね・・・」
そう言いながらおっさんは虚空から鉄パイプを出して来た
「これ鉄パイプ。
そしてコレ、今食ってるロールケーキ。」
そう言いながらおっさんは輪切りになった
ロールケーキをフォークに刺して見せてきた
「そんでこのロールケーキを刃物に見立てて、【こう】する」
おっさんはロールケーキ側面を鉄パイプに添わせて横にゆっくり動かした
それと共にロールケーキが鉄パイプを通過したように見えた
「わー凄い!アンラさんマジックも出来たんですか?」
ユメがおっさんがやった芸当を見てテンションを上げていた
その一方でホシノは冷や汗を流していた
「文字通り種もしかけもありませんっていう奴やね。
なんせこの鉄パイプ両断されてるし。」
そうするとおっさんは中腹から二つにわかれた鉄パイプを見せてきた
「え・・・」
「アンラさん、ロールケーキでそれだったら
もしかしたら木刀だったらもっと・・・?」
「お、ホシノちゃんは勘が良いねぇ
せやで、多分木刀だったらユメちゃんの盾でも、
ホシノちゃんが神秘を全力で守りに回しても、問答無用で両断されるで、身体ごとな。」
おっさんにそう言われて2人はさっき見た鉄パイプが
自分に置き換わって想像してしまった
「ひぃん・・・模擬戦で刃物の使用は無しでお願いします・・・」
「だから最初っから使ってないやろ~」
「刃物抜きだったら皆の勉強にもなりそうですし、
今度対策委員会全員で来ても良いですか?」
「ええで~ユメちゃんもええよね?」
「はい!後輩ちゃん達と結局あまり話せなかったから
また会いたいって思ってたんですよね!」
「シロコちゃんがユメ先輩と模擬戦したがってたんで、喜びますよ。」
「え・・・それは・・・どっちの私・・・?」
「そらアビドスの悪夢のほうやろ。」
【シュッッパン!!!】
そんな音共におっさんの胴体に向けて拳が突きこまれる
「あっぶな。でもおっさんに接近戦闘もちかけるのはまだまだ甘いでー」
そんなあり得ない膂力と速度が伴った突きをいとも簡単に外に逸らしながら宣った
「・・・ホシノちゃん、今度皆来るときに先生も呼んで。」
「良いですね。」
「ちょっと待てや、総力戦ちゃうんやぞ。
おっさんはただの中年や!せめてそれやるならワカモにしろや!!」
「ちょっと!おい!お二人さん?!聞いてますか?!」
そんな悲しいおっさんの自業自得な叫びが事務所内で木魂する
今日も平和なアビドス
閑話閑話~
魔導炉について、
正式名称は魔導縮退炉、この魔導縮退炉とは1のエネルギーで2を生む人類大望の永久機関です。
ただし、起動するのに世界を薪にくべてもまだ足らないくらいのエネルギーが要ります。
一回起動したら、もう止まる事はなく、自分が生産したエネルギーを使って、
2、4、8、16とどんどん増やしていきます。
なので常時エネルギーを吸い出さないと最終的に地上に太陽が生まれる事になります。
クッソ危険ですね。
ホシノちゃんにユメちゃんの死体の話で嘘ついたのは、
ホシノちゃんが自分が原因でユメを殺したと思ってるからですねぇ~!
たとえ生き返ったとしても、一度死んだのであれば、ホシノ視点からすると自分が殺した事になっちゃうので、おっさんが気を利かせて誤魔化しました。
ユメちゃんの過去の通り名はアビドスの悪夢。
これを言い始めたのはユメの同級生です。
なんでもフルフェイスヘルメットを被って盾で不良を殴打し続けてる様と、
その後病院送りになった不良達がその光景がトラウマになって悪夢にうなされるようになった事からついた通り名です。あと本人の名前のユメからも取ってるそうです。
ちなみにホシノの前で見せないのは、このヤンチャしていた過去が恥ずかしくて、先輩として後輩に怖がられない様に猫を被ってました。
まぁそんな中でも他人を疑い過ぎるなっていうあの名言が出てくる所は流石ユメ先輩ですけどね。
にしてもこの二人、同じ理由で猫被ってるな。
おっさんの過去の通り名が出てきましたね。
まぁこの蛇足の後書きまで読んでる方は知っておられると思いますが、
あの過去なので、そういった通り名には困らない人生を送ってきましたね。
あとおっさんがロールケーキで鉄パイプを切断するとかいう奇天烈現象は、
もう動作その物というよりおっさんが行った行為そのものが魔術や魔導のような結果を生む概念的な何かになってると思ってください。
ちなみに切断と意識すればなんでもいけるので、素手でも切れます。
もちろんちゃんとした刃物を使ったほうが切れる幅は広がりますけどね。
例えば新聞紙丸めた奴で切ろうとしてもユメの盾は両断できてもユメはギリギリ切れないくらいの程度で収まります。
はい、クッソ危険ですね。
まぁ本人は鋏要らず包丁要らずで楽してますけどね。
ちなみにこの後日皆と一緒に合同練習をしました。
ユメとシロコの戦いはそもそも弾丸が有効打にならない為ユメの圧勝になってしまいました。
シロコもっと神秘の使い方を鍛えるんだ。
最低ライン弾丸が色付きの閃光になるまでは込めないとダメージにすらならないぞ!
その点どっかの社畜白モップさんはスゲーぞ!
おっさんVS対策委員会全員&ユメ&先生の本気の指揮で行われました。
アビドス砂漠でやりましたが。
戦闘の余波で砂が消し飛び、砂漠が砂漠化しました。
基本はユメとホシノで近距離中距離でアンラを抑え、それ以外の面々で常時支援火力を叩きつけるという本当に総力戦の様な戦いをしていました。
最後は全員弾切れで無効試合になりました。