おっさんキヴォトスに行く   作:無い頭のおっさん

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ばにばに

時計仕掛けの花のパヴァーヌ編、第一章開幕


時計仕掛けの花のパヴァーヌ編、第一章
おっさんミレニアムに行く


おっさんは事務所の机に突っ伏していた

 

書類は片付いている。仕事も終わっている

にも関わらず、精神だけがすり減っていた

 

原因は明白

 

「・・・なぁユメちゃん、そんな睨まんでもええやん・・・」

 

おっさんの正面、

腕を組んで、露骨に不機嫌そうな視線を向けてくるユメ

 

「・・・別にー?」

 

声は平坦、だが目が全然【別に】ではない

 

「いや絶対怒ってるやん・・・」

 

「ううん~怒ってませんけど?」

 

「語尾が怒ってる時のそれやん・・・」

 

机に頬を預けたまま、だらっとした声で返す

ユメは一歩も引かない

 

「アンラさんは、ここ最近ずっと外出てますよね?」

 

「・・・まぁ、うん」

 

「しかも毎回、急に」

 

「・・・・・・まぁ、うん」

 

「それで内容、ほぼ全部【先生絡み】ですよね?」

 

「・・・そうやなぁ・・・」

 

じとっ、とした視線が突き刺さる

 

 

(あーごっつ拗ねとるなぁ・・・)

「いやでもな?これ一応契約の範囲内というかやな?」

 

「深夜に【助けてください!】って呼び出されて行ったら書類整理させられるのが?」

 

「・・・」

 

「契約って、凄く便利ですね?」

 

「ごめんて」

 

即答だった

ユメのこめかみがぴくっと動く

 

「・・・この前なんて、帰ってきたの朝ですよね」

 

この時おっさんの脳内は、

まるで浮気を詰められる夫みたいだなぁなんて考えていた

 

「いやあれはほんまに緊急案件やってんて」

 

「書類の山が?」

 

「山、やったなぁ・・・」

 

遠い目

 

(あれは災害やった、人災やったけど。)

 

「・・・はぁ」

 

ユメがため息を吐く

ほんの少しだけ、怒気が緩む

 

「ちゃんと、帰ってくるならいいですけど」

 

「お、許された?」

 

「許してません」

 

「せやんなぁ」

 

苦笑する

 

その時だった

 

――ペロン

 

机の上の端末が鳴る

二人の視線が同時にそこへ落ちた

 

嫌な予感しかしない

 

「・・・出ぇへんでもええかな?」

 

「出てください」

 

「即答やん・・・」

 

観念して端末を取る

表示名を見た瞬間、肩が落ちた

 

「・・・先生や」

 

「だとおもいました。」

 

通話を繋ぐ

 

「もしもし。今度はなんや、また紙の山でも崩れたか?」

 

軽口で入るが

返ってきた声は、少しだけ様子が違った

 

「"アンラさん、今大丈夫ですか?"」

 

「大丈夫ちゃうって言ったら切ってくれるんか?」

 

「"切りません"」

 

「せやろなぁ・・・で、なんや?」

 

一拍

向こうが言葉を選んでいるのがわかる

 

「"・・・ミレニアムに来てほしいんです"」

 

その一言で、頭の中のスイッチが切り替わる

だるさが消える

思考が、一気に澄む

 

(・・・ミレニアム?)

 

「観光やったら断るで?」

 

「"ゲーム開発部です"」

 

――止まる

 

一瞬で、いくつかの可能性が頭を走る

 

(原作・・・直撃・・・)

 

「・・・先生」

 

声のトーンが、わずかに落ちる

 

「それ、【どの程度の話や】」

 

「"今朝シャーレに依頼が来まして、その依頼にアンラさんにも来てほしいなぁって"」

 

(【来てほしい】か・・・)

 

小さく息を吐く

 

「・・・わかった。今から向かうわ」

 

「"ありがとうございます"」

 

通話を切る

数秒、無言

 

それから顔を上げる

 

「ユメちゃん」

 

「・・・またですか?」

 

「今回はガチや」

 

即答だった

ユメが少しだけ目を細める

 

「・・・どういう意味ですか?」

 

「未来に関わる案件や。遊びやない」

 

空気が変わる

さっきまでの緩さが消える

 

ユメも、それを感じ取る

 

「・・・直接かかわるんですか?」

 

「先生に呼ばれてしまったからなぁ・・・」

 

「契約は早計だったんじゃ・・・」

 

「あの先生は、ほっといたら潰れるからしゃーないんや・・・」

 

ユメは小さく息を吐く

 

「・・・お土産お願いしますね。」

 

「善処するわ」

 

「あ、それは買ってこない人のやつですよね?」

 

「否定できへんなぁ~」

 

苦笑しながら立ち上がる

 

「ま、今回はほんまに真面目に行ってくるわ」

 

扉に向かう

 

その背中に、

 

「・・・あんまり無茶しないでくださいね」

 

少しだけ柔らかい声が飛んできた

 

「おっさんにそれ言う?」

 

「言います」

 

「さよか・・・いってきます。」

 

軽く手を振る

そのまま外へ出た

 

――数十分後

 

ミレニアム自治区

巨大な校舎群と、異様なまでに整備された設備

 

そして何より、

 

【金の匂いがする場所】

 

その入口に、二つの影が立つ

 

「相変わらずやなぁここ……」

 

「"最先端の技術の集まりですからね"」

 

「最先端すぎて財布が死ぬ場所とも言うな」

 

ぼそっと呟く

 

(まぁ、その財布の一部、おっさんなんやけどな)

 

「"ゲーム開発部はこっちです"」

 

「はいはい、案内頼むわ先生」

 

歩き出す二人。

 

その足取りの先にあるのは、

 

【娘みたいに可愛がってる連中のトラブル】と、

【原作に干渉しかねない地雷原】

 

(さて・・・どう転ばせるかねぇ)

 

「・・・まぁええか」

 

小さく呟く

 

「呼ばれた以上、面倒見るのが大人やしな」

 

先生の方をちらりと見る

その横顔は、もう“先生”の顔に戻っていた

 

(ほんま忙しい子やで)

 

そう思いながら

アンラはミレニアムの奥へと足を踏み入れた

 

 

二人がミレニアムタワー内の部室棟に入った瞬間

先生の頭上にゲーム機が飛んできた

 

そしてそれを掴み取る先生

 

「おー・・・お見事」

 

「"百回以上投げられてますからね・・・"」

 

そんな二人でやり取りをしていると

頭上から声が降ってきた

 

「プライステーションは無事!?」

 

上を見上げると、緑色と桃色の猫耳ヘッドフォンを付けた双子が

窓から顔を出して覗いており、

おっさんと目が合った瞬間に顔を青ざめ始めた

 

「はぁ・・・モモイ、ミドリ。部室で正座して待ってなさい。」

 

おっさんが笑顔でそう言うと一瞬で窓から顔が引っ込んで窓が閉められた

 

「"え・・・アンラさん二人の知り合いなんですか?"」

 

「まぁ・・・な、あっこの部活のパトロンをやっとるんよ・・・」

 

そんな雑談を挟みながらゲーム開発部の部室前まで来ていたが

 

扉の鍵が閉められており開けられなかった

 

「・・・なぁ先生。この扉斬っても良いと思うよな?」

 

「"いや・・・流石にそれはまずいんじゃ・・・"」

 

「さよけ・・・ほんなら、モモイがミドリの楽しみにしていたおやつを」

 

そこまで言った瞬間に扉が開け放たれさっき窓から顔を出していた桃色の方の子が

おっさんの顔面に飛びついてきた

 

「ア、アンラさーん!会いたかったよー!?だから変な事は喋らないでね!?」

 

飛びついてきたモモイを引き剥がそうと

モモイと力比べをしている二人

 

「お姉ちゃん、後で詳しい事聞かせてね。」

 

そんな二人を見ながら扉の奥から緑色の子も出てきた

 

「"えっと、君たちがゲーム開発部だよね?"」

 

「あ、ごめんなさい。アンラさんが連れてきたお客さんですよね?」

「私達がゲーム開発部です。」

 

そこでモモイをやっと引きはがしたおっさんが口を挟んだ

 

「今回はおっさんが連れて来られた方やで。」

 

「え?」

 

「"えっとね、私はシャーレの先生だよ。"」

 

ここで二人は先生の顔を初めてまじまじと見て、

何回もテレビで報道されているその人だと気づいた

 

「うわっ!じゃあ私達が送った手紙、読んでくれたんだ!

もし読んでくれたとしても本当に来てくれるなんて思ってなかった!」

 

そうアンラに襟首をつかまれて宙ぶらりんになっているモモイが叫んだ

 

「"あはは・・・"」

 

「まぁとりあえず、二人共、一回部室の中で正座しようか

おっさん、君らに言わんとあかん事があるんよね。」

 

ここで二人はさっきまでなぜ部室に籠城していたのかを思い出し顔を青く染めた

 

モモイは逃げようとジタバタするがおっさんに捕まって、

宙吊りになっているため逃げられない

 

ミドリは大人しく部室の中に入って行った

 

 

その後、二人はおっさんにこんこんと説教され萎びてしまった

 

 

萎びた二人がおっさんからお土産のロールケーキを渡され、復活した後

 

「あらためて・・・ゲーム開発部へようこそ、先生!」

 

「先生に来ていただけて、嬉しいです。」

 

「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」

 

「私はミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当してます。」

 

「あとは、照れ屋で人見知りの子。

企画やプログラミングを担当しとる部長のユズがおるで。」

 

そう言いながらおっさんと先生はYUZUと書かれたロッカーに目をやる

ロッカーが一瞬揺れる

 

「まぁそういう感じで!私達がミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」

 

「よしっ!じゃあ先生も来たことだし、【廃墟】に行くとしよっか!」

 

「お~、ほな行ってらっしゃい・・・」

 

「"【廃墟】・・・?あとアンラさんは

私の護衛だから一緒に来てもらいますよ?"」

 

「うへぇ、ほんま契約は早計やったかねぇ・・・」

 

「あっそっか!それだけじゃわからないよね!じゃー最初から順に説明するね。」

 

「えっとね、まず私達ゲーム開発部は今までずっと、

平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど。」

 

「最初の一作以外出来た報告聞いてないけどな・・・」

 

「ある日、急に生徒会から襲撃されたの!」

 

「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最後通牒を突きつけられて。」

 

「"ユウカから【最後通牒】?"」

 

「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」

 

そんな声が部室の玄関から聞こえてきた

その声を聴いた瞬間モモイとミドリがびくっとした

 

「こ、この声は!?

出たな!生徒会四天王の一人!【冷「イシヘ〇ジン」の異名を持つ生徒会の会計ユウカ!」

 

合間におっさんが要らん事を差し込んでいた

 

「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる?失礼ね。

あとアンラさんは後でお話があるのでセミナーまで出頭してください。」

 

ユウカにそう言われ目を逸らして口笛を吹くおっさん

 

「それよりも・・・先生。」

 

「”や、やぁ、ユウカ。”」

 

「はぁ・・・こんな形で会うなんて。

先生には色々と話したこともありますが、それはまたあとにするとして・・・モモイ。」

「本当にあきらめが悪いわね。

廃部を食い止めるために、わざわざ【シャーレ】まで巻き込むだなんて。」

 

「けど、そんなことをしても無意味よ。」

 

「たとえ連邦生徒会のシャーレだとしても・・・

いえ、あの連邦生徒会長が戻ってきたとしても!」

 

「部活の運営については概ね、各学校の生徒会に委ねられてるんだから。」

「ゲーム開発部の廃部はもう決まった事なの、これはもう誰にも覆せない。」

 

「そ、そんなことはないよ!」

「ユウカも言ってたでしょ、部員が規定人数に達するか、

ミレニアムの部活として見合う成果を出せば」

 

「それが出来れば良し。もし出来なかったら廃部、部費はもちろん部室も没収する。

私、そこまでちゃんと言ったわよね。」

「あなたたちは部員数も足りない上に、部活としての成果を証明できるような物も無いまま、

もう何カ月もたってるんだから・・・」

 

「廃部になっても、何も異議はないはずだけど?」

 

「おーこわ・・・先生コレにいつも詰められてるん?」

「”この前出費5000円以上は申告制になりました・・・”」

 

「異議あり!すごくあり!私達だって全力で部活動をしてる!」

「だからあの、何だっけ・・・上場官僚?とかいうのがあっても良いはず!」

 

「それを言うなら【情状酌量】でしょう。

それより、今なんて言ったかしら?全力で活動してる・・・?」

「笑わせないで。

校内に変な建物を建てたと思ったら、まるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すとか言いながら古代史研究会を襲撃するし・・・」

「おかしいでしょう!?【全力】かもしれないけど、部活動としては間違ってるわよ!

それに、これだけ各所に迷惑かけておいて、よく毎度のように部費なんか請求できるわね?!

しかもあなたたちアンラさんから物品の提供を受けてるじゃない!

どこに使ってるのよその部費は!」

「もう少し真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!」

 

 

 

「うーん・・・残当。まぁカジノに関してはゲームっちゃゲームやし、

やり方変えれば功績として出せんくはない・・・か?先生はどう思うよ。」

 

「"いやぁ・・・生徒間でギャンブルはちょっと・・・"」

 

「ん-倫理的にか・・・でも確かオデュッセイア海洋高等学校の方の船舶で賭博やっとるぞ?」

 

「"うっ・・・それは確かにそうですけど・・・"」

 

「でもまぁ、この子らも無許可でやるんやなくてセミナーに通して、

ミレニアム学区の土地を俺経由で買ってそこでカジノを運営すれば

部の功績として行けると思うんやけどねぇ・・・」

 

「"確かに功績としては凄そうですね・・・

ギャンブル系は入ってくる金額も大きいですし・・・"」

 

 

 

そんな大人が二人で雑談していると

 

 

後ろの口論も別の話題に移行していた

 

「け、結果だってあるもん!私達も、ゲーム開発してるんだから!」

 

「そ、そうですよ!【テイルズ・サガ・クロニクル】はちゃんと、あのコンテストで受賞も」

 

「"【テイルズ・サガ・クロニクル】・・・"」

「あのアンガーマネジメントトレーニングゲームかぁ・・・」

 

「そうね。確かに受賞、してたわ。」

 

「その反応を見るに先生もご存じなようですね?」

「【テイルズ・サガ・クロニクル】、このゲーム開発部における、唯一の成果物です。」

「ゲームそのものもさることながら、レビューが大変印象的でした。」

 

私がやってきたゲーム史上、ダントツで【絶望的】なRPG

いやシナリオの内容とかじゃなくて、ゲームとしての完成度が

 

このゲームに何が足りないのか数えだしたらキリがないけど

まぁ、一番足りてないのは制作者の【正気】だろうね

 

このゲームをプレイした後だと、デ〇クリムゾンはもしかして

名作の部類に入るんじゃって思っちゃうわ

 

アンガーマネジメントで5秒我慢しとっても収まりきらへん怒りのボルテージ。

修行僧にさしたら全員悟りひらけんのとちゃう?

 

「などね。」

 

「わ、私達のゲームはインターネットの悪意なんかには屈しな・・・」

 

「例えユーザー数が無限にいたとしても、

たくさんの評価が収束すれば、それは真実に一番近い結果よ。」

「それに、あなたたちの持ってる【結果】はその【クソゲーオ〇ザイヤー1位】だけでしょう?」

 

「そ、それはそうだけど・・・!」

 

「とにかく、あなたたちのような部活がこのまま活動していても、

かえって学校の名誉を傷つけるだけよ。」

 

「それに、その分の部費を他に回せば、

きちんと意義のある活動をしている生徒達のためにもなる。」

「だから、もし自分たちの活動にも異議があるのだと主張したいのなら、

証明してみせなさい。」

 

「証明、って?」

 

「何度も言ったでしょう。

きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回するって。」

 

「例えば、何かの大会で受賞するとか・・・?」

 

「そう、スポーツならインターハイに出るとか、エンジニア部なら発明品を公表するとか、

そういう類の物よ。ゲーム開発部なら、そういうコンテストも色々あると思うけど。」

 

「とはいえ、出せば何とかなるとも思えないわね。

あなたたちの能力は、あのクソゲー〇ブザイヤーが証明済み。」

 

「ぐっ・・・」

 

「どうせなら、お互い楽な形で済ませましょう?

今すぐ部室を空けて、この辺のガラクタも捨てて。」

 

「ガ、ガラクタとか言わないで!」

 

「じゃあ、何なの?」

 

「そ、それは・・・わかった。全部、結果で示す。」

 

「へえ・・・?」

 

「そのための準備だって、もう出来てるんだから!」

 

「え?」

 

「そうなの!?」

 

「なんでミドリが驚くのさ!?とにかく、私達には切り札がある。

その切り札を使って、今回の【ミレニアムプライス】に私達のゲーム・・・」

 

「【テイルズ・サガ・クロニクル2】を出すんだから!!!」

 

「お~ええ啖呵切るやんモモイ。

そういう気概ならおっさんも先生も手伝ったる気出てきたわ。」

 

「”えっ?!”」

 

「先生は元々この子らの依頼で来てんのやから手伝うのは決定事項やろ。」

 

「"まぁそうなんだけど・・・アンラさんが自分から進んで干渉する事が意外で・・・"」

 

「まぁ・・・可愛がってる子らがここまでの意気込み見せたんやから、

手伝いたくなるやろ年長者としては。」

 

「はぁ・・・良いわ。

けどねモモイ、今あなたが言ってるのは運動部がインターハイに出場するとか、

そういうレベルじゃなくて、【高校球児がいきなりメジャーデビューする】みたいな、

雲をつかむような話よ。」

「まぁいいわ。私もちょっと楽しみになってきたし。」

 

「素直やないなぁユウカちゃんは、最初っから炊き付けとったくせに・・・」

 

そうおっさんが呟くとユウカが睨んできた

 

「アンラさんが全部やって提出とかは認めませんからね?!」

「今日からミレニアムプライスまで二週間、この短い時間でゲーム開発部が

どんな結果を出せるのか楽しみにしてるわ。」

 

「はぁ・・・まさか先生の前でこんな、

可愛くないところを見せてしまう事になるなんて・・・

ただ、これも生徒会の仕事なので。」

 

「次はもっと違った、落ち着いた状況でお会いしましょうね、先生。」

「それではまた。」

 

「"ユウカも無理しないでね。"」

 

そう先生が言うと笑顔になったユウカがゲーム開発部の部室から出て行った

 

「お姉ちゃん・・・

どっちも確率は低いだろうけど、今から私達がゲームを作るより、

部員を募集する方がまだいいんじゃないの?」

 

「それならこの一ヶ月、散々やってみたでしょ・・・

結局、誰も入ってくれなかったし。」

「ぷーっ!VRですら古いのに、何がレトロ風ゲームだよって

バカにされるのは、もううんざり。」

 

「ユウカの卑怯者め!私たちみたいなオタクは

友達が少ないって事を利用するなんて!許せない!」

 

「いや・・・それはユウカじゃなくて、100%私たちの自業自得だと思うけど。」

 

「とにかく、これ以上部員の募集をしても明るい未来は見えない。」

「それにまだ、他にも希望がある!」

 

「あ、そうだ。さっき言ってた【切り札】っていったい何のこと?」

 

「それはもちろん、先生の事だよ。」

 

「呼ばれてんで先生。」

「”あはは・・・”」

 

「話を戻すと、私たちの目的は【廃墟】にあるの。」

「廃墟っていうのは、元々は連邦生徒会が出入りを制限してた、ミレニアム近郊の謎の領域。」

 

「出入りを制限してたのは【危険な地域だから】って言われてたけど、

実際の所具体的に何がどう危険なのかを誰も知らない。」

 

「誰も入った事が無いのか、そもそも入る事が出来ないのか、

それとも戻ってきた人が誰も居ないのか、それすらもよくわからない。

そういう、謎に包まれた場所があるの。」

 

「"一体どうして、そんな所に行こうと?"」

 

「良いゲームが作りたいから!」

「私は証明したいの。例え、今のわたしたちのレベルは

【クソゲーオブザ〇ヤー1位】にすぎないとしても。」

 

「私が大好きな・・・私を幸せにしてくれた、このゲーム達が・・・

決してガラクタじゃない、大事な宝物なんだってことを!」

 

「・・・お姉ちゃん。」

 

「その為には、どうにか廃墟に入って【あれ】を見つけないと。」

 

「"あれって?"」

 

「先生、【G.Bible】って知ってる?」

 

 

そんなモモイと先生のやり取りを眺めながらおっさんは内心でひとりごちる

 

(とうとう始まったな・・・

アリスは絶対確保せんといけん、それと先生とこの子らの身の安全も。)

 

(それと、ケイの保護。)

 

(ここでの詰み要素は、アリスの完全覚醒。

ただそれはあの論理回路粉砕装置(テイルズサガクロニクル)がなんとか出来る。)

 

(不安要素は、廃墟にはデカグラマトンが一機居る事。)

(未来を知っている俺と先生という変数がある上で、そいつがどう動くか予測が出来ない。

最悪俺が潰す必要が出てくるか・・・)

 

 

(――それだけは避けたいんやけどな。)

 

 

「はぁ・・・憂鬱やわ・・・」

 

 




まーた原作の会話入れてるから文章量爆発してますことよ!!



酒の場で先生を甘やかしたら依存され気味になってしまったおっさん。
女の匂いくっつけて朝帰りしてくるおっさんに何故か不愉快になるユメちゃん

ちなみにおっさんは、ゲーム開発部の中でお父さんみたいな立ち位置です。
ゲーム開発部が問題を起こすたびにセミナーから連絡がきて相手方に菓子折りを持って謝罪に回ってたりします。その都度説教をしているので、ゲーム機を先生に投げた時におっさんと目が合った為、即座に籠城を選択しました。

TSCのレビューの最後はおっさんです。

おっさん豆知識
完全顕現したセト神と戦った時のおっさんが言った
【我が神名を此処に】は神名開放と言われる自身の神としての権能の部分開放です。
4節に分割されており、全詠唱する事で全権能の行使が可能になります。
1節での解放率は精々10%でした。それで砂漠の空気が軋み死に絶え、セトは地に落ちましたが、
はて、全開放する事は来るのでしょうか・・・作者にも判らん。


追伸
誤字報告ありがとうございます!(*'ω'*)
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