おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
ミレニアムサイエンススクール・ゲーム開発部部室
先ほどまで、演習場では凄まじい轟音が響いていた
地面を抉る砲撃
光を斬り裂く黒い斬撃
そして、修理費五千八百万円
――そんな激戦があったとは思えないほど
今のゲーム開発部には、いつもの穏やかな空気が流れていた
「いやぁ・・・さっきの模擬戦凄かったねぇ・・・」
モモイがソファへ倒れ込みながら、大きく伸びをする
「本当に凄かったね・・・。」
ミドリも小さく息を吐きながら頷いた
部室のテーブルには、ユズが用意したジュースとお菓子が並んでいる
そのユズ本人は、皆の話を聞きながら、おずおずと口を開いた
「え、えっと・・・。」
「本当に、演習場を壊しちゃったんですか・・・?」
「壊したっちゅうても、ちょっとやで?」
アンラがジュース片手に答える
「ちょっとで地面に亀裂は入らないと思います・・・。」
ユズが小さく視線を逸らした
その横で、アリスがぴしっと手を上げる
「ユズ!」
「は、はいっ!?」
「アンラは隠しボス系剣豪でした!」
「その分類やめぇや」
即座にアンラがツッコむ
モモイが吹き出した
「いやでもほんとそんな感じだったんだって!」
「途中まで普通に避けてるだけだったのに、
刀抜いた瞬間、急にラスボス戦になったし!」
「確かに、空気が一気に変わりました・・・。」
ミドリが静かに頷く
「あの瞬間だけ、別人みたいでしたし。」
ユズがぱちぱちと瞬きをした
「け、剣豪・・・。」
「ゲームで言うと、隠しルートの高難易度ボスです!」
アリスが力説する
「一定条件を満たすと戦えます!」
「嫌な解放条件やなぁ・・・。」
アンラが遠い目をした
「しかもアリスの砲撃、斬ったんだよ!?」
モモイが勢いよく立ち上がる
「ビームだよ!?なんで斬れるの!?」
「いやぁ、なんか斬れそうやったから・・・。」
「そんな感じで斬れるものなんですか・・・?」
ユズが困惑した顔で首を傾げる
先生はそのやり取りを見ながら、小さく笑った
「“でも、アリスはかなり楽しそうだったよね。”」
「・・・はい!」
アリスが即答する
その声には、いつもの機械的な響きよりも、ずっと感情が乗っていた
「アリスは現在、戦闘スタイルを更新中です!」
「おぉ、まだ言うとる。」
アンラが笑う
「でも、本当に動き変わってました。」
ミドリが感心したように言った
「最初は撃つことばっかり考えてたのに、途中からちゃんと相手の動きも見てましたし・・・。」
「あと、砂煙を使った牽制。」
「アレ、結構上手かったと思います。」
「おっ、ミドリ解説入ります。」
モモイがにやにや笑う
「べ、別に解説じゃないよ!?」
ミドリが少し慌てた
「ただ・・・ちゃんと考えて戦ってる感じがして。」
「アリスちゃん、凄いなって。」
「・・・!」
アリスの目が少しだけ大きくなる
「はい!」
「アリスは学習しています!」
「撃つ!」
「殴る!」
「蹴る!」
「全部同時に考えます!」
「なんかアリスちゃんの戦闘スタイル、どんどん怖くなってない?」
モモイが若干引いた顔になる
「ええ事や。」
アンラがうんうん頷いた
「実戦やと全部必要やからな。」
「アンラさん基準の実戦、かなり怖いと思います・・・。」
ミドリが小さく呟く
その時だった
【ガンッ!!!!】
突然、部室のドアが勢いよく開いた
「ゲーム開発部!!!!」
聞き慣れた怒声に、部室の空気が固まった
「ひっ。」
ユズがびくっと肩を震わせる
扉の前に立っていたのは、
セミナー所属・早瀬ユウカ
いつものタブレットを片手に、
額へ青筋を浮かべている
「ちょっと!!」
ユウカが部室を見回す
「演習場で何やったのよあなた達!?」
「うわっ来た。」
モモイが小声で呟いた
ミドリも若干視線を逸らしている
アリスだけユウカの顔を見て、
「よ、妖怪が出現しました・・・!」
とんでもない事を言い放った
「い、今この子、私の事を妖怪って言ったわよね!?」
妖怪発言を聞いてモモイの肩が跳ね上がった
「か、勘違いだよ!【妖精】って言ったのを聞き間違えたんでしょ、
もう、アリスは嘘が付けないんだからー。」
冷や汗を流しながらモモイが言いつくろっていた
「くっ・・・悪役には慣れてるとはいえ、まさか初めて会う子に妖怪扱いされるだなんて・・・」
「それにしても、あなたが噂のアリスちゃんね?ゲーム開発部に入った、4人目のメンバー。」
「ふーん、ミレニアムの生徒ならほぼ全員把握してると思ってたけど・・・」
「私がこんなに可愛い子の事を知らなかったなんて、ちょっと信じられないわね。」
「あなたへの資格審査はこの演習場の問題が終わったらするからちょっと待っていてね。」
「は、はい!」
アリスがぴしっと背筋を伸ばす
だがその直後、ユウカの視線がゆっくりと部室全体へ向いた
その目は、完全に仕事モードだった
「・・・で。」
【バンッ!!】
タブレットが机へ叩きつけられる
画面には、大量の損害報告書
【演習場設備大破】
【高出力兵装使用記録】
【地盤損傷】
【原因不明の巨大亀裂】
「その子にセミナーとして資格審査をしようと思ったら、こんなのが飛んできたのよ!!」
「タイミング悪すぎひん?」
アンラが思わず呟く
「悪いのはタイミングじゃなくてあなた達!!」
即ツッコミだった
ユズがびくっと肩を跳ねさせる
「ひぅっ・・・」
先生が苦笑しながら口を開いた
「“まぁまぁユウカ。”」
「“模擬戦自体は必要だったから。”」
「模擬戦で地面に亀裂なんか入らないんですよ普通は!!」
ユウカが勢いよく画面を指差す
「何なのよこれ!?」
「【鋭利な断裂痕を確認】って!」
「しかも解析班が、【爆発痕ではなく切断痕に近い】って書いてるんだけど!?」
モモイとミドリが、すっ……と視線を逸らした
先生も静かに目を逸らす
その空気の中、
アリスだけが真っ直ぐ手を挙げた
「はい!」
「な、何よ。」
「アンラが斬りました!」
「アリスちゃん!?」
アンラが勢いよく振り返る
ユウカが固まった
「・・・は?」
「刀で、こう、スパーっとです!」
アリスがジェスチャー付きで説明する
「待って。」
ユウカが頭を押さえた
「アンラさん、刀使えるの?」
「いえ、それよりも。刀なんて前時代の武器であんな亀裂を作ったの・・・?」
「いやぁ、ちょろっと・・・な?。」
「ちょろっとで地面裂ける訳ないでしょ!!」
部室へ綺麗なツッコミが炸裂した
モモイが吹き出す
「いやでもほんとなんだって!」
「アリスのビーム、真っ二つだったし!」
「しかもそのまま後ろの隔壁まで吹っ飛んでました・・・。」
ミドリが小さく補足する
ユウカがゆっくりアンラを見る
「・・・ちなみに。」
「はい。」
「その模擬戦を始めた切っ掛けは?」
「おっさんです。」
「意味不明な斬撃で演習場を割ったのは?」
「変な言い方やめぇや。」
「アンラさんですね?」
「はい・・・。」
ユウカが深々と溜め息を吐く
「はぁぁぁぁぁ・・・。」
その横で、アリスが小さく前へ出た
「ですが。」
「アリスにも責任があります。」
「今回の高出力砲撃は、アリスの判断です。」
「アリスも修理費を――」
「あなたは気にしなくていいの。」
ユウカが即答した
「えっ。」
アリスがきょとんとする
ユウカはこめかみを押さえながら続けた
「新型装備の試験も、演習場での模擬戦も必要。」
「そこは別にいいの。」
「でも。」
すぅ、とアンラを見る
「何でその流れで演習場半壊してるんですか?」
「いやぁ、なんか盛り上がってもうて。」
「ライブ感で地面割らないでください!!」
「はい・・・。」
アンラがしょんぼりした
その様子を見て、モモイが肩を震わせる
「っ、ふふ・・・。」
「お姉ちゃん?」
「いやだってさぁ・・・」
モモイが吹き出した
「あんなに強い人がこんなに怒られて小さくなってるの面白くて・・・!」
「笑い事じゃないのよ!?」
ユウカの怒声が再び部室へ響いた
「――もちろん。」
ユウカがタブレットを操作しながら、じとっとアンラを見る
「演習場の修理費、請求先は七篠アンラ名義で通しておくから。」
「やっぱそこ確定なんや・・・。」
アンラが遠い目をした
「当然です。」
ユウカは一切ブレない
「報告書にも、【主導者:七篠アンラ】ってしっかり記載されてるし。」
「誰やそんな事書いたん。」
「演習場の監視AI。」
「機械が辛辣過ぎるやろ・・・。」
モモイが肩を震わせる
「しかもAIにまで主犯認定されてるし・・・!」
「まぁ・・・あの模擬戦を見てたら・・・」
ミドリが小声で呟いた
「ミドリまで辛辣になっとる。」
アンラが軽く項垂れる
その横で、ユズがおずおずとアンラを見る
「え、えっと・・・。」
「五千八百万円って、本当に払えるんですか・・・?」
「まぁ、一応な。」
アンラが頭を掻く
「おっさん、こう見えてそこそこ金持っとるし。」
「そこそこって額じゃないと思うんですけど・・・。」
先生が苦笑した
ユウカはまだ若干納得していない顔だったが、深く息を吐いてタブレットを閉じた
「・・・まぁいいわ。」
「少なくとも、逃げる気は無さそうだし。」
「信用ゼロからのスタートやなぁ。」
「地面割った人への信用なんてそんなものです。」
「ぐうの音も出ぇへん。」
するとユウカは、気持ちを切り替えるように前髪を払った
「さて。」
部室の空気が少し変わる
「本来の目的を終わらせましょうか。」
その言葉に、アリスがぴしっと姿勢を正した
「はい!」
ユウカがアリスを見る
さっきまでの怒り顔とは違う
今度は、セミナーの会計として、そしてミレニアムの生徒として相手を見る目だった
「改めまして。」
「私はセミナー所属、早瀬ユウカ。」
「ゲーム開発部へ新しく加入する生徒の資格審査を担当するわ。」
「アリスちゃんに簡単な取り調べ・・・あら、思っても無い言葉が。」
「じゃあ、いくつか簡単な質問をするわね。」
「今、思いっきり本音が出てた気がする・・・」
「そんなに時間はかからないわ。」
「せ、選択によっては、バッドエンドになる事もありますか・・・?」
「バッドエンド・・・まぁ、そういう事もあるかもね。それじゃあ、アリスちゃん。」
「質問を始めるわ。」
「・・・アリスちゃん。もしゲーム開発部に脅されて仕方なくこの場にいるなら、左目で瞬きをして。」
「・・・え?」
「ちょっと、最初から何その質問!?小声で言っても聞こえてるから!
っていうかそんな事しないって!!」
モモイが慌てて立ち上がる横で、
アンラがぼそっと呟いた
「いやまぁ、セミナー視点やと疑う気持ちはわからんでもないんよなぁ」
「アンラさんは黙っててください。」
ユウカが即座に切り返す
「今この部屋で一番信用値低いの、あなたなんですから。」
「クッソ辛辣で笑うわ。」
先生が小さく苦笑する
「“でも、ユウカなりにちゃんと確認してるんだよ。”」
「当然です。」
ユウカは腕を組む
「部活動の認可って、遊びじゃないんですから。」
その言葉には、いつもの小言とは違う責任感が滲んでいた
ミレニアムの予算
設備
部活動
その全部を管理する立場だからこそ、適当には出来ない
ユウカはそのまま、ちらりとアリスを見る
「・・・まぁ。」
「脅されてる感じには見えないけど。」
「はい!」
アリスが元気よく頷いた
「アリスは自発的にゲーム開発部へ加入しました!」
「ほらぁ!」
モモイが机をばんばん叩く
「このキラキラした目を見てよ!完全にゲーム好きの目じゃん!」
「それに、ほらみて!この眩しい学生証を!ミレニアムの生徒だっていうまごうことなき証明!」
「ふーん、確かに。生徒名簿にアリスちゃんが登録されていることも確認したけれど。」
「私は、そんな簡単に騙される女じゃないわ。」
ユウカの言葉を受けてモモイとミドリの肩が跳ねる
「さて、それじゃあ取り調べを再開しましょうか。」
「もう隠すつもりも無いじゃん・・・」
「アリスちゃん、貴女がゲーム開発部に来たきっかけは何?」
「気付いた時には既にここに・・・ではなく・・・」
アリスの発言を聞いてモモイがアリスを睨みつけている
「モモイ!なんでそんなにアリスちゃんを睨んでるわけ?やめてあげなさい。」
「えっと、【悪魔〇ドラキュラ】がやりたくて・・・
それで、ゲーム開発部の存在を知って・・・」
「ふーん・・・そうなの。」
「よし!アリスちゃんその調子!」
「でもここはレトロゲーム部じゃない、あくまでもゲーム開発部。」
「つまり、あなたもゲーム作りに参加するという事よね?何を担当するの?」
「勇者を・・・」
「えっ?」
「じゃなくて、えっと、ぷ、ぷ、ぷ・・・プログラマラスです!」
「・・・はい?プログラマー、じゃなくて?」
「あ、はい。そうです、その通りです。間違いなく私は完璧なプログラマーです!」
「マズイ・・・っ!?」
「プログラマーね・・・凄く難しい役割だと聞くけれど。」
「はい、そ、そうです。ぷ、プログラマーは大変です。
たまに過労で、意識を失ったりもします。」
「"判る・・・"」
「先生は何アホな事共感しとんねん・・・」
「な、なんですって!?」
「それでも大丈夫です!」
「いや、大丈夫じゃないでしょ・・・ちゃんと休みなさいよ・・・」
「宿屋で寝て起きるか、聖堂にお金を払えば、仲間たちと一緒に復活できます!」
「そっ、そんなわけないでしょ!?」
「そんなわけないのですか・・・?常識のはずですが・・・
もしかして、【英雄伝〇】や【聖剣伝〇】をご存知ないのですか・・・?」
アリスは眩い笑顔を浮かべている
「本当に【神ゲー】ですよ!」
「おわった・・・全てが・・・。」
「ありがとう、わかったわ。」
「短い時間だったけれど、アリスちゃん。あなたの事についておおむね理解できた。」
「もうダメだぁっ!」
「どうしよう・・・!?」
「ちょっと怪しいところはあるけれど・・・」
「ゲームが好きだって事。それに、新しい世界を冒険したり、
仲間と一緒に何かをやり遂げるストーリーが好きなんだってことは、十分に伝わってきた・・・」
「そんなあなたがゲーム開発部の部員だというのは、何も不思議な事じゃないわ。」
ユウカの発言を受けてモモイとミドリの顔が明るくなる
「え・・・?」
「っていうことは!?」
「規定人数を満たしているので、ゲーム開発部を改めて正式な部活として認定・・・
部としての存続を承認します。」
「やったぁっ!」
「よかったぁっ!」
「そ、そしたら部費も貰えるし、このまま部室を使っててもいいんだよね!?」
「ええ、もちろんよ。【今学期】までは・・・ね。」
「わーぃ・・・え?」
「な、な、なんで!?」
「どうして!規定人数も満たしたのに!?」
「あら、知らなかったのかしら。」
「今は部活の規定人数を満たすだけじゃなく、
同時に部としての成果を証明しないといけないの。」
「もちろん、最近急に変わった要件だから、猶予期間はあるけれど・・・」
「その期間は今月末まで。今月中に結果を出せなければ、
あなたたちの部はたとえ4人居ても400人いても、廃部になるのよ。」
「嘘だ、あり得ない!」
「あり得るの!この間、全体の部長会議でちゃんと説明した内容なんだから。」
「ただ、あなたたちの部長、ユズはそこに参加してなかったけれど。」
「!?」
「つまり、あなたたちの責任よ。」
「くっ・・・卑怯者め!」
「【鬼】とかならまだわかるけど、規則通りに事を運ぶことの何が【卑怯】なのよ・・・」
「正直な所アリスちゃんの正体も怪しいし、
本当なら今日直ぐに退去を要請しようかとも思っていたのだけれど・・・」
「!?」
「・・・正体はさておき、ゲームが好きっていう純粋な気持ちは本物だと思った。」
「猶予を与えたのは、その気持ちにふさわしい成果がきちんと出せる事を期待しているからよ。」
「お優しいねぇユウカは・・・アビドスだったら砂に埋められてたぞ。」
「"あれはアンラさんだからじゃないんですか?"」
「モモイ、あなた言ったわよね?ミレニアムプライスで、
びっくりするぐらいの結果を出して見せるって。」
「そ、それはそうだけど・・・」
「新しいメンバーも増えた事だし、前よりもちゃんと面白いゲームが作れるんでしょうね?」
「それじゃあ、楽しみにしてるわよ。じゃあね~。」
「ちょっ。待って!詐欺師っ、杓子定規っ、もおぉぉぉぉっ!!」
「おーモモイがそんな難しい四字熟語を使うなんてな・・・」
「"流石に言い過ぎじゃないです・・・?"」
「行っちゃった・・・」
「うーん・・・。」
「結果的に、まだゲーム開発部は存続の危機・・・ってことだよね。」
「でもこんなの、どう考えても詐欺だよ!謀略だよ!」
「・・・ごめん。わたしが部長会議に参加できなかったせいで・・・」
「ゆ、ユズちゃんのせいじゃないよ!こういう場合って、
お姉ちゃんが代わりに参加するってことにしてたはずでしょ?」
「は?」
「あ!待ってまって!ミドリ、しー!」
指の骨をボキボキと鳴らしながらおっさんがモモイに詰め寄る
「おぅ、モモイ。理由を聞こうやないか。」
「・・・仕方なかったの・・・だってその時は、
アイテムドロップ率の二倍キャンペエエエエエエエ!!!!!!!」
「いたいいたいいたい!!ごめんなさい!!!」
言い終わる前におっさんに顔面を鷲掴みにされていた
「やっぱりお姉ちゃんのせいじゃん!今直ぐそのゲームけして!」
「うう・・・とにかく、もうやるべきことは一つ。」
「ミレニアムプライスで受賞できるような、すごいゲームを作る事。」
やっと鷲掴みから解放されたモモイ
「いったぁ・・・でも、そうなってくると結局G.Bibleが必要になるじゃん・・・」
「またあの廃墟に行くの?やだぁ!!」
「・・・責任取らないと」
「G.Bibleを探しに、また廃墟に行くなら・・・私も、一緒に行く。」
「え、え!?嘘!?」
「ユズちゃん、もう半年間近く校舎の外に出てないのに。
授業もインターネット受講だけだし・・・」
「・・・元々は、わたしのせい・・・だから。
それに、この部室は・・・もうわたしだけのものじゃない。」
「・・・一緒に、守りたいの。」
部室が静かになる
ユズは不安そうに、自分の袖をぎゅっと握っていた
そんなユズの頭へ、
ぽん、と軽くアンラの手が乗った
「ええ顔するようになったやん、ユズ。」
「・・・ぁ。」
ユズが目を丸くする
「前はロッカーの中で縮こまっとったのになぁ。」
「い、今も縮こまってます・・・。」
「せやけど、自分から【行く】って言えた。それはちゃんと前進や。」
ユズが少しだけ俯く
けれどその口元は、ほんの少しだけ嬉しそうだった
先生も静かに頷く
「“ユズはちゃんと変わってるよ。”」
「・・・先生。」
「"今度は、みんなで行こう。"」
その言葉に、
ユズは小さく、でも確かに頷いた
「・・・はい。」
「パンパカパーン」
空気を変えるように、アリスが勢いよく立ち上がる
「ユズがパーティに参加しました!」
「おー、ゲーム開発部らしくなってきたやん」
「じゃあ次は装備確認だね!」
「アリスちゃん、武器と防具!」
「はい!」
アリスが元気よく頷いた
「アイテムを選択――【光の剣:スーパーノヴァ】。」
「そして、アンラのローブを装備しました!」
「やっと脱いでくれたと思ったらまた着とる!?」
アンラが勢いよくツッコむ
アリスはきらきらした目でローブを抱えた
「この装備には未知の力を感じます!」
「感じんでええねんそんなもん。」
ミドリはそんな皆を見ながら、少しだけ笑った
さっきまで廃部寸前だった空気が、
いつの間にかいつものゲーム開発部へ戻っている
不安はまだある
G.Bibleも見つかっていない
今月末までに結果も出さなければならない
それでも――
今は、不思議と何とかなる気がした
「よし!」
モモイが拳を突き上げる
「今度こそ、G.Bibleを手に入れるために出発だー!」
「・・・うん。」
ユズも小さく頷いた
「みんなで、部室を守ろう。」
ということで!太腿妖怪ユウカ再登場!
まぁ演習場をあれだけ滅茶苦茶にしたらそら、ブチギレですよね。
このクラスの戦闘なら、アビドス砂漠くらい行かないと本気の演習とか出来なさそう・・・
アリスのアンラとの次の模擬戦の予定ですか・・・?
多分鋼鉄大陸後になるんじゃないですかね・・・
正直あれ以上のおっさんになってくると、アリスもマッハの世界に突入しないと、
速度域が違い過ぎてお話にならないですし・・・
アリスが言う、ある一定の条件を超えると戦えるってのは、
案外嘘でないんですよねぇ・・・
その条件が、アンラが本気で死を覚悟する。アンラの元居た世界に被害が及ぶ様な大規模な破壊を行うとかですね。
次はでまた廃墟に出発ですね~
がんばって書かねば。
おっさん豆情報
おっさんの居た世界ではおっさんと同格が最低3人居ました。
まぁおっさんと違って世界を渡る能力はないので前の世界で平和(?)に暮らしてます。