おっさんキヴォトスに行く   作:無い頭のおっさん

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バニタアアアアアアアアッス!!(Gガン風)
本日投稿分2/2です!後半です!気を付けてくださいね!


おっさん部室に帰る

ケテルに襲われた工場から出た一行はしばらく廃墟を歩いていく

 

すると――

 

「・・・でもさ。」

 

モモイがふと真面目な顔になった

 

「G.Bibleって、本当に実在したんだね・・・。」

 

空気が少し変わる

 

ミドリも静かに頷いた

 

「都市伝説だと思ってた。」

 

「伝説のゲーム制作エンジン・・・。」

 

ユズが小さく呟く

 

「ゲーム製作者なら、一回は聞いたことあるやつ・・・。」

 

「うん。」

 

モモイも頷いた

 

「どんなゲームでも作れるとか。」

「開発効率が桁違いとか。」

「使った作品は必ず歴史に残るとか。」

 

「でも全部、噂ばっかりだった。」

 

ミドリが続ける

 

「そもそも実物を見た人が誰も居なかったし・・・。」

 

「それがまさか、本当にあったなんてねぇ。」

 

モモイが感慨深そうに、自分のゲーム機を見下ろした

 

ゲームガールズアドバンスSP

 

そこには今、

G.Bible.exeが入っている

 

「これがあれば・・・。」

 

モモイの目が少し輝く

 

「今度こそ、ミレニアムプライスを――」

 

そこまで言って、

 

ぴたり、と止まった

 

「・・・あれ?」

 

全員がモモイを見る

 

モモイは硬直していた

 

「・・・お姉ちゃん?」

 

ミドリが首を傾げる

 

数秒の沈黙

 

そして――

 

「・・・・・・・・・。」

 

モモイがゆっくりゲーム機を見る

 

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

さらに沈黙

 

その顔から、みるみる血の気が引いていった

 

「あっ。」

 

ユズが察した

 

次の瞬間

 

「私のセーブデータぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

廃墟区域に絶叫が響き渡った

 

「うるさっ!?」

 

ミドリが飛び跳ねる

 

「思い出したぁぁぁぁぁっ!!」

「私の800時間!!」

「伝説装備コンプデータ!!」

「裏ダンジョン制覇ァァァ!!」

 

モモイが膝から崩れ落ちた

 

「返してよぉぉぉぉっ!!」

「私のセーブデータアア!!」

 

「お、お姉ちゃん落ち着いて!?」

 

「落ち着ける訳ないでしょぉぉぉ!?」

 

「気持ちはわかるけど声大きい!」

 

「しかもあれ限定イベント武器も入ってたんだよ!?」

「もう二度と手に入らないんだよぉぉぉ!!」

 

「うわぁ・・・。」

 

ユズが少し引いた顔になる

 

アリスも真剣な顔でモモイを見る

 

「モモイに会心の一撃が入った。」

 

「アリスちゃんまでぇぇぇぇぇ!?」

 

その横で――

 

「ハハハハハッ!!」

 

アンラが腹を抱えて笑っていた

 

「いやー傑作やわ!!」

「世界レベルの超重要データと引き換えにゲームのセーブ飛ばされる奴初めて見たで!!」

 

「笑い事じゃないからぁぁぁっ!!」

 

モモイが涙目で叫ぶ

 

「アンラさん絶対途中からわかってたでしょ!?」

 

「そらまぁ途中からはな。」

 

「止めてよぉ!!」

 

「いやぁ、でもおもろかったし。」

 

「最低だこのおっさん!!」

 

先生も口元を押さえて肩を震わせていた

 

「"・・・ふふっ。"」

 

「先生まで笑ってるぅぅぅ!?」

 

夕暮れの廃墟に、

しばらくモモイの悲鳴とアンラの笑い声が響いていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミレニアム・ゲーム開発部 部室

 

「ただいまー!!」

 

モモイが勢いよく扉を開ける

 

見慣れた部室

出しっぱなしのゲーム機

散らばった資料

ホワイトボードに残った企画メモ

 

いつもの景色だった

 

「はぁ・・・帰ってきた・・・。」

 

ミドリがぐったりソファへ倒れ込む

 

ユズもほっとしたように息を吐いた

 

アリスはそんな部室を見回しながら、小さく呟く

 

「・・・なんだか、安心します。」

 

その言葉に、

モモイが笑う

 

「でしょー?」

「ここがゲーム開発部の拠点だからね!」

 

「落ち着く場所って、大事。」

 

ユズも小さく頷いた

 

ミドリは荷物を机へ置きながら苦笑する

 

「今日は色々あり過ぎたからね・・・。」

 

「ボス戦に、レアアイテム入手イベントに、データロストイベントまであったもんね。」

 

「最後のはイベントじゃなくて悲劇だから!?」

 

モモイが即座にツッコむ

 

「うぅ・・・私のデータ・・・。」

 

まだ引きずっていた

 

その様子に、アンラがまた吹き出す

 

「まだ言うとる。」

 

「だってショックなんだもん!!」

 

「まぁまぁ。」

 

アンラが笑いながら肩を竦める

 

「その代わり、世界変えるレベルのモン拾ったやろ?」

 

「それはそうだけどぉ・・・!」

 

モモイがぐぬぬ、と唸る

 

そのやり取りを見ながら、先生が柔らかく笑った

 

「"みんなも今日はちゃんと休むんだよ。"」

 

「"G.Bibleの解析は、また明日。"」

 

「はーい!」

 

「・・・了解です。」

 

そんな返事を背に、

アンラと先生は部室を後にした

 

扉が閉まり、

足音が遠ざかっていく

 

しばらくして――

 

「・・・。」

 

アリスが静かに扉の方を見つめていた

 

「アリスちゃん?」

 

ミドリが不思議そうに声を掛ける

 

アリスは少し迷うようにしてから、小さく口を開いた

 

「アンラは・・・。」

 

「?」

 

「とても優しい人です。」

 

モモイ達がきょとんとする

 

アリスは続けた

 

「でも時々、とても遠くへ行ってしまいそうな顔をします。」

 

部室の空気が少し静かになる

 

ユズがそっと目を伏せた

 

ミドリは少し考えるように呟く

 

「・・・遠く、かぁ」

 

「はい。」

 

アリスは頷く

 

「上手く説明できません。」

「ですが、時々・・・アンラが、誰も居ない場所を見ている気がします。」

 

モモイは腕を組みながら、「んー・・・」と唸った

 

「まぁ確かに、たまーに変な顔してる時あるよね。」

 

「お姉ちゃん、その言い方。」

 

「でもさ。」

 

モモイは少しだけ真面目な顔になる

 

「それでも、アンラさんってちゃんと戻ってくるじゃん。」

 

「戻ってくる・・・?」

 

「うん。」

 

モモイが笑う

 

「私達が話しかけたら、ちゃんと笑うし。」

「ゲームの話したらノッてくるし。」

「アリスちゃんの事も、ちゃんと見てる。」

 

「・・・はい。」

 

アリスは静かに頷いた

 

その脳裏に、

夕陽の中で頭を撫でてきたアンラの姿が過る

 

――勇者様としては上出来や。

 

その声は、ちゃんと嬉しそうだった

 

だからこそ、少しだけ分からなくなる

 

どうしてあの人は、時々あんな顔をするのだろうと

 

「まぁ!」

 

モモイがぱん、と手を叩いた

 

「今は気にしても仕方ない!」

 

「それよりG.Bible!!」

 

「切り替え早っ。」

 

ミドリが呆れる

 

「だって夢のゲームエンジンだよ!?」

「ヴェリタスに依頼するだけ先にしてこようかな!?」

 

「先生に休めって言われたばっかりでしょ・・・。」

 

「ぐっ。」

 

モモイが言葉に詰まる

 

その様子に、アリスが少しだけ笑った

 

部室の空気が、いつもの調子へ戻っていく

 

けれどアリスだけは、

閉まった扉の向こうを少しだけ見つめていた

 

まるで、夕暮れの廃墟で感じた違和感の続きを、

まだ考えているみたいに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミレニアムタワー 外周ベンチ

 

夜風が静かに吹いていた

 

タワーの明かりが水面みたいに街へ広がっている

 

ベンチへ腰掛けたまま、

先生は黙って缶コーヒーを握っていた

 

アンラは隣で缶ジュースを揺らしている

 

しばらく沈黙

 

やがて先生がぽつりと口を開いた

 

「"・・・なんで、邪魔したんですか。"」

 

静かな声だった

 

「"【Key】を、私のUSBへ入れるのを。"」

 

アンラは空を見上げたまま答える

 

「別に邪魔した訳やない。」

 

「"・・・。"」

 

「先生が無理して抱え込もうとしとったから、止めただけや。」

 

先生の眉が僅かに動く

 

「"あれは・・・必要な事でした。"」

 

「先生にとっては、せやろな。」

 

アンラはあっさり頷いた

 

「せやけど、お前一人で処理する必要は無い。」

 

「"・・・。"」

 

「大丈夫や。」

「少なくとも、今はな。」

 

先生は黙ったままだった

 

その横顔は、

どこか張り詰めている

 

アンラは小さく息を吐いた

 

「はぁ・・・全部は言えん。」

 

「"!"」

 

先生の視線が向く

 

「未来の話になる。せやから、そこまでは言わへん。」

 

「"・・・。"」

 

「けどまぁ。少なくとも、先生が今すぐ全部背負わなアカン訳やない。」

 

夜風が吹く

 

先生は缶コーヒーを強く握り締めた

 

「"・・・私の覚悟を。"」

 

小さな声

 

「"踏みにじりましたよね。"」

 

アンラは少しだけ目を細めた

 

「怒っとるんか?」

 

「"当然です。"」

 

即答だった

 

「"私は――"」

 

そこで言葉が止まる

 

アンラは苦笑した

 

「最初っから無理しとったん、丸わかりや。」

 

「・・・。」

 

「前に酒の場で言うたやろ。」

 

先生は黙ったまま視線を落とす

 

アンラは静かに続けた

 

「生徒達に笑って欲しかったら、まず自分も笑わなアカンってな。」

 

「ッ・・・。」

 

「そない無理した顔で、本心から笑えるか?」

 

その言葉に、

先生の呼吸が僅かに止まる

 

夜風だけが流れた

 

しばらく沈黙

 

やがて先生は、小さく俯いた

 

「・・・。」

 

返事は無かった

 

アンラはそれ以上追及しない

 

代わりに、

話題を変えるように口を開いた

 

「・・・にしても。」

 

缶ジュースを軽く揺らす

 

「デカグラマトンが動くの、思っとったより早かったな。」

 

先生は崩れた缶コーヒーの水滴を親指でなぞりながら、小さく呟いた

 

「"本来、あそこにケテルは居なかったんです。"」

 

アンラは何も言わない

 

「"少なくとも・・・私の知っている流れでは。"」

 

夜風が吹く

 

ミレニアムの灯りが、遠く水面みたいに揺れていた

 

「"ケテルは、水没区域の奥で活動していました。"」

「"こちらから踏み込まない限り、接触する事は殆ど無かった。"」

 

「"だから本来、ゲーム開発部があんな形で遭遇する筈は・・・。"」

 

そこで先生は言葉を切る

 

アンラは静かに缶ジュースを揺らした

 

「せやろな。」

 

「"・・・。"」

 

「せやけど、変わった。」

 

アンラの声は静かだった

 

「先生が動いた。」

「おっさんも動いた。」

「助かる筈やなかった生徒が助かった。」

 

「ほんなら、未来もズレてくる。」

 

先生は俯く

 

「"・・・怖いんです。"」

 

初めて漏れた本音だった

 

「"私は、失敗する未来を知っています。"」

 

「"だから避けたかった。"」

 

「"皆を助けたかった。"」

 

缶コーヒーを握る手へ力が入る

 

「"でも、変えてしまったせいで。"」

 

「"今度は、何が起きるのか分からない。"」

 

夜風が吹いた

 

アンラは少しだけ空を見上げる

 

「どっかのセクシーフォックスみたいな事いっとんな。」

 

「だが、未来なんてもんは本来そういうもんや。」

 

あっさりした声

 

先生が顔を上げる

 

「わからんから、最悪を想定して過剰なまでの準備する。」

 

「"・・・。"」

 

「先生は今まで、【答えを知っとる側】やった。」

「せやから、先回り出来た。」

 

「けどもう違う。」

 

アンラは笑う

 

「これから先は、未知数や。」

 

その言葉に、先生の肩が僅かに震えた

 

「・・・怖いです。」

 

「せやろな。」

 

否定しない

 

励ましもしない

 

ただ受け止めるみたいに、アンラは頷いた

 

「けどまぁ。」

 

缶ジュースを傾ける

 

「救われた連中は、ちゃんと居る。」

 

先生の脳裏に、

今日笑っていたゲーム開発部の姿が過る

 

モモイ

ミドリ

ユズ

アリス

 

あの笑顔

 

先生が経験した時間軸では、もっと苦しんでいた生徒達

 

「"・・・。"」

 

「間違いやったと思うか?」

 

先生は答えられなかった

 

長い沈黙

 

やがて、小さく首を横へ振る

 

「"・・・思いません。"」

 

アンラは少し笑った

 

「ほんなら上等や。」

 

再び沈黙

 

先生は静かに目を閉じる

 

「"・・・でも。"」

 

「ん?」

 

「それでも私は、多分また無理をします。」

 

「せやろな。」

 

即答だった

 

先生が少しだけむっとする

アンラは笑う

 

「先生、不器用やし。」

 

「否定出来ないのが嫌です・・・。」

 

「ハハ。」

 

少しだけ空気が和らぐ

 

そして先生は、

ゆっくりアンラを見る

 

その目は、どこか不安げだった

 

「・・・アンラさん。」

 

「んー?」

 

「アンラさんは、助けてくれるんですよね?」

 

夜風が吹く

 

アンラは少しだけ目を細めた

 

契約

 

あの日交わした言葉

 

【先生を助ける】

 

酒の場で交わした契約

 

けれど――

 

アンラは、優しく笑った

 

「当たり前やろ。」

 

その声音は、

驚くほど柔らかかった

 

「契約したんや。最後まで付き合ったる。」

 

先生は目を見開く

 

張り詰めていたものが、

ほんの少しだけ緩む

 

アンラはいつもの調子で肩を竦めた

 

「まぁせやから、最後は帳尻あわしたるさかい安心して無茶せぇ。」

 

「それ安心出来る台詞じゃないですよ・・・。」

 

「せやったか?」

 

先生は思わず吹き出した

 

その笑い声は、

今までより少しだけ自然だった




うおーーー!
二分割した片割れでえええええっす!!
もう片方が1万3000文字に対して、こちらは5000文字です!
ちょっと短いって思われる方がおられるかもしれませんが
元々は一個の話を二つにポキっと折ったのですいません!許容してくだせぇ!

とりあえず、なんとか部室まで皆もどってこれました。
そして、先生のUSBをすったのは先生の読み通り、アンラでした!
まぁアンラの理由は、ケイを救う為ですね。
おっさんの目的は子供を救う事だからね。しかたない。
そして先生が失敗した未来から【Key】を一人閉じ込めようとした先生。
まぁ大分苦悩し、覚悟した結果の行動っぽいんですけどね。
その覚悟も何もかもおっさんが全部台無しにしましたが!

まぁ・・・ここでまたおっさんにちょっと説教されたんで、
先生は多分もう道は間違えないとは思います・・・多分きっとメイビー。

にしてもとうとう、おっさんと先生という変数のせいで、
未来が明確に変わりましたね・・・
これからのメインストーリー君はどうなるかこうご期待。

おっさんプチ情報
おっさんの戦闘方法のネタバレです!
おっさんの戦闘方法高速移動しながら、刀を使用しつつ魔術や魔導を連射。
相手の体勢が崩れた所に極大火力として弓術を隙あらば放ち、
敵が本当に接近してきて魔術を使う余裕が無ければ、近接格闘を併用した剣術で応戦します。

まぁどっかで見たと思われると思いますが・・・はい、アリスの戦い方そのものです。
まぁ師事してるししかたないね。


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