おっさんキヴォトスに行く   作:無い頭のおっさん

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R.I.P. 先生のノートPC

ばにたすばにたす


先生とノートパソコンとデータロスト

今日のトリニティの天気は大雨だった

昨晩の時点で連絡があり、今日はグレゴリー司祭も悪天候の為こちらの別荘には来られないらしい

窓の外では朝から雨粒が激しく地面を叩いている

 

「あうぅ・・・結構降ってますね・・・」

 

「そうですねぇ・・・」

 

まだ眠そうなヒフミとハナコの声を聞きながら、私は窓の外を見る

雨脚は弱まる気配が無い

 

("これは外に出たくないなぁ・・・")

 

そんな事を考えていると、隣の布団が小さく動いた

 

「んぅ・・・」

 

「あら、おはようございますコハルちゃん。」

 

「おはようございます。」

「アズサちゃんは・・・まだちょっと起きられなさそうですね。」

 

「んっ・・・んん・・・」

 

名前を呼ばれたからだろうか

アズサが小さく寝返りを打つ

だが起きる様子はなく、そのまま皆に背中を向けてしまった

 

「どうしたの、アズサ結構早起きだったのに・・・」

 

「今までは、無理をしていたんじゃないでしょうか?少し寝かせておいてあげたいですね・・・」

 

「"そうだね。"」

("そういえば・・・")

 

アズサはいつも誰よりも早く起きていた

誰かより先に目を覚まし、誰かより遅く眠る

 

それが当たり前みたいに

 

("だから逆に・・・寝坊してる方が珍しいんだよね。")

 

そんな事を考えていると、

背中を向けたアズサが何やら寝言を呟き始めた

 

「んんっ・・・ダメ、可愛い物が・・・ふわふわで・・・それは、良くない・・・」

「ううぅ・・・・・・お花増え過ぎ・・・」

 

背中を向けたアズサが何やら寝言を呟いていた

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・あらあら♡」

 

「何その夢。」

 

「それに、何だかいい夢を見ているようですし。」

 

「"うーん・・・なんか後半魘されてなかった・・・?"」

 

何となく、可愛い物に囲まれて逃げ回っているアズサの姿が頭に浮かんだ

 

("それはそれで見てみたいかも。")

 

そんな事を考えた瞬間

 

【ピシャアアアン】

 

窓の外が真っ白に染まった

 

「あ、あうぅ・・・なんだか雷まで・・・」

 

「・・・あら?」

 

「どうしたのハナコ?」

 

「忘れてました!洗濯物が外に!」

 

その瞬間

ハナコが勢いよく立ち上り、外に走って行った

 

「ま、まずいですっ・・・!?」

 

ヒフミがそう言うとコハルと共に外に向けて走り出した

 

慌ただしく部屋から飛び出していく三人

残された私は布団の中のアズサを見る

 

("流石に起こすか・・・")

 

私は肩を軽く揺すった

 

「"アズサ、アズサ。ごめんだけど起きて?"」

 

「・・・?」

 

ゆっくりと瞼が開く、完全に寝ぼけていた

 

「"大雨で洗濯物を急いで取り入れたいから手伝って。"」

 

「・・・?」

 

数秒

 

「・・・うん・・・」

 

まだ半分夢の中に居るような返事だった

 

ふらふらと身体を起こし、そのまま私の後ろを付いてくる

 

("凄いな・・・まだ起きてない。")

 

それでも手伝おうとしてくれる辺り、

やっぱりアズサだなと思った

 

そして私達が外へ出た時には

既に手遅れだった

 

 

 

少し時間がたってから

 

 

 

「多分これで全部だ。」

 

回収した洗濯物の山を前に、全員でため息を吐いた

 

「これは・・・見事に全滅ですね。」

 

ハナコが泥の付いた制服を摘まみ上げる

 

「泥も跳ねちゃってますし、洗い直しが必要そうです。」

 

「今着てる体操着も凄い事に・・・うぅっ、中まで全部びちゃびちゃ・・・」

 

「それはコハルが途中で転んだからだ。」

 

「うっ・・・」

 

コハルが言葉に詰まる

確かに途中で盛大に足を滑らせていた

 

("まぁ・・・あの雨じゃ仕方ないよね。")

 

「ごめんなさい、つい失念していて・・・私が皆一緒にと言い出したせいです・・・」

 

ハナコが申し訳なさそうに俯いた

するとアズサが首を横に振る

 

「いや、ハナコのせいじゃない。」

「洗濯はもう一度すれば良いし、服は着替えれば良い。」

「そんなに気に病む事でもない。」

 

「はい、そうですよ。」

 

ヒフミも優しく頷く

 

「濡れた服のままですと風邪をひいてしまいますし、

まずは早く着替えてしまいましょう。」

 

「・・・ありがとうございます。」

 

ハナコが少しだけ笑った

 

「そうですね、髪も乾かさないと。」

 

「"そうだね、私も制服ビショビショだから、ジャージに着替えてこないと・・・"」

 

私はシャーレ制服の袖を軽く絞る

ぽたぽたと雨水が落ちた

 

("これ乾くかなぁ・・・")

 

シャーレの制服はそう何着もある訳ではない

地味に痛い

 

("というか何で私、毎回ジャージになるんだろう。")

 

気付けば合宿開始からジャージ率が異様に高かった

 

「あ・・・」

 

不意にコハルが固まった

 

「コハルちゃん?どうかしましたか?」

 

「・・・もう、着るものが無い・・・」

 

「・・・え?」

 

全員が止まる

 

「そういえば私もそうだ。」

 

アズサが当然のように言った

 

「制服もこの体操着もびしょ濡れで、他に予備の服は無い。」

 

「そ、そういえば私も、あぅぅ・・・」

 

ヒフミも顔色が変わる

どうやら全員同じ状況らしい

 

("あー・・・そういえば数日分しか持ってきてないもんね。")

 

すると

 

「・・・あらあら♡」

 

ハナコが何かを思いついたように微笑んだ

嫌な予感しかしない

 

「まぁ、下着姿で勉強というのも凄くアリだと思いますよ?」

 

沈黙

そして

 

「何言ってるの!?バカ!」

 

コハルの怒声が響いた

 

「そんなハレンチなのダメっ!どうしてそういう方向になるの!?」

 

「でも話は分かる。」

 

アズサだった

 

「下着は多めに用意してあるし、

靴下も履いておけば体温の維持も問題無さそうだ。」

 

「アズサ!変に同調しないで!?教室で下着なんてヤバいでしょ!?」

 

「ですがコハルちゃん、想像してみてください――」

 

「もうあんたは黙っててっ!!」

 

("成長したなぁ・・・")

 

以前なら途中で押し切られていた気がする

今ではしっかり遮れるようになっていた

補習授業部の活動成果かもしれない

 

「手早く洗濯して、ドライヤーでも使って乾かせば良いでしょ!」

 

「その間は、バスタオルとか巻いておけば良いし!

何かあっても先生にやってもらえばいいじゃん!」

 

「それに、この状況で急いで勉強の事考える必要も無いでしょ!

なんでそんな急に勉強したがりなの!?」

 

「そうだとしても、その間はどちらにせよ下着姿なのでは?」

 

「早く勉強したいのだけど、洗濯が終わるまでは教室には行けないなら仕方ない。」

 

アズサが立ち上がる

 

「とりあえず脱ごう。」

 

「行動が早い!?」

 

「あうぅ、仕方ありませんね・・・とにかく脱ぐしか・・・」

 

ヒフミまで同意しかけている

 

「何で皆そんなに脱ぎたがるの!?露出は犯罪なんだよっ!?」

 

("室内だからそこまでではないと思うけど・・・")

 

 

 

皆の洗濯が終わるまで私が使ってる小部屋で次の授業の内容をパソコンで入力していた

ずぶ濡れになったシャーレの制服は今ハンガーに掛けて乾かしている最中だ

 

私自身は結局ジャージ姿だった

 

("雨降るって知っていても結局は芋ジャー・・・")

("なんかもう最近こっちの方が正装なんじゃないかな・・・")

 

そんな事を考えながらキーボードを叩く

今日やる予定だった内容

補習授業部用の問題、今後のスケジュール、やる事は山ほどある

 

外は大雨

生徒達は洗濯

 

今の内に出来る事はやっておかなければ

 

カタカタカタカタ――

 

部屋の中にはキーボードを叩く音だけが響いていた

すると

 

【ピシャアアアン】

 

今までとは比較にならない轟音が響いた

窓の外が真っ白に染まる

 

「"うわっ!?"」

 

思わず肩を跳ねさせた

かなり近い

本当に近い

 

("今の近くに落ちたんじゃ・・・")

 

そう思った瞬間

 

ブツッ

 

部屋の電気が消えた

 

「"・・・え?"」

 

一瞬遅れて

ノートパソコンの画面も真っ暗になった

 

沈黙

 

数秒

 

私は恐る恐る電源ボタンを押した

 

反応なし

 

もう一回押す

 

反応なし

 

コンセントを抜く

 

挿し直す

 

 

反応なし

 

「・・・・・・・・・」

 

「"ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝!!!!データがア˝ア˝ア˝ア˝!!!!"」

 

思わず椅子から飛び上がった

 

昨日の夜に作った資料、補習用の問題集、全部入っていた

 

全部だ

 

全部

 

「"保存したよね!?"」

 

確認するように呟く

 

「"いやでも最後いつ保存した!?"」

 

思い出せない

嫌な汗が出てきた

それに、そもそもSSDが無事かもわからない

 

「"アロナぁぁぁぁ!!バックアップ!!"」

 

『だから最初から私を使えば良かったんですよ!』

 

シッテムの箱から猛抗議が飛んできた

 

「言います!」

 

「"うぅぅぅぅ・・・"」

 

机に突っ伏した

大人になると分かる

 

データ消失は

 

 

普通に死ぬ

 

 

 

 

その頃

 

大部屋でも悲鳴が上がっていた

 

「きゃっ!?」

 

「あうぅ!?」

 

「停電ですか・・・?」

 

「洗濯機が止まった。」

 

そして全員が気付く

 

洗濯機の中には

制服が入っている事に

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・終わった。」

 

コハルが呟いた

 

 

 

数十分後

 

 

【合宿所・体育館】

 

「さあでは記念すべき第一回、補習授業部の水着パーティーを始めます♡」

 

「"わーぱちぱちー・・・"」

 

力なく拍手する

 

「あうぅ・・・」

 

「・・・。」

 

「なんで、どうしてこんな事に・・・」

 

停電によって洗濯機が停止

衣類は取り出せない、乾燥も出来ない

 

制服も体操着も全滅

 

結果

 

着られる服が水着しか無かった

 

私は水着を持ってきていないのでジャージ姿だが

 

【先生も皆に合わせません?】

 

というハナコの提案は

全力で却下した

 

「"却下。"」

 

「えー。」

 

「"却下。"」

 

「残念です♡」

 

残念そうに見えない

むしろ次の作戦を考えている顔だった

 

("油断できない・・・")

 

【ピシャアアアン】

 

 

 

再び雷鳴

コハルが飛び上がる

 

「きゃあっ!?」

 

「"はぁ・・・色々と凄い状況になっちゃったなぁ・・・"」

「"あぁ私のノートパソコン・・・"」

「先生はアロナが居るのにそんな物に頼ってるからそうなるんですよ!」

 

("まだ言ってる・・・")

 

私は聞こえない振りをした

 

「うふふっ♡仕方ないじゃないですか。」

 

「"まぁ・・・停電しちゃったしね・・・"」

 

「そうですよ。」

 

「こうなってはパジャマパーティーならぬ水着パーティーくらいしかする事はありません♡」

 

 

「あうぅ・・・な、何か他にもありそうな気がしますが・・・」

 

ヒフミが困ったように首を傾げる

 

「なるほど、下着パーティーとかもありそうですね。

やっぱり、一度先生のジャージを剥いでみましょうか。」

 

「"ほんとに勘弁して!"」

 

「ですが先生。今の状況ですと、先生だけ服を着ているのは少し不公平では?」

 

「"そんな事ないよ!?むしろ私も被害者側だよ!?"」

 

「なるほど。つまり先生も脱ぎたいと」

 

「"何でそうなるの!?"」

 

「アズサちゃん、それは流石に飛躍し過ぎでは・・・?」

 

「そうなのか。」

 

「そうなの!アズサはハナコに感化されすぎ!!」

 

アズサが素直に頷き、コハルが即座に否定する

その様子を見てハナコが楽しそうに笑っていた

 

「うふふっ♡」

「こういうのも中々新鮮で良いですね。」

 

「どこがよ!停電だし、服は乾かないし、全然良くないわよ!」

 

「でも、皆で集まってお話するのは楽しいですよ?」

 

「そ、それは・・・まぁ・・・」

 

「それに勉強も出来ませんし。」

 

「それは良い事じゃないから!」

 

「こうなると授業もやりにくいし・・・こんな落雷くらいで全部の建物が機能不全だなんて、

ひどいセキュリティだ。」

 

「まぁ、古い建物ですし・・・」

 

ヒフミが苦笑する

トリニティの建物は歴史が長い

 

見た目こそ綺麗に整備されているが、内部まで最新とは限らない

 

「"グレゴリーさんも色々しているようだけど、

流石に配電周りは短期間じゃどうしようも無かったんじゃない?"」

 

「そうですねぇ。流石のグレゴリー司祭でも電力会社にはなれませんから。」

 

「"なれる気がするのが怖いんだけど・・・"」

 

「確かに。」

 

「アズサまで!?」

 

そんな事を言っていると、コハルが何かに気づいたように顔を上げた

 

そして

今更ながら、ある重大な事実に気付く

 

「・・・っていうか。」

 

一同の視線が集まる

 

「待って。」

 

コハルがゆっくり立ち上がる

 

「流されないわよ!?」

 

「水着パーティーって何!?卑猥!!」

 

体育館に絶叫が響いた

 

("水着を着ながら言う事かな・・・")

 

「あら、ですがこういう時間こそ合宿の花だとは思いませんか?」

 

ハナコは全く気にした様子もなく微笑む

 

「皆寄り添って、お互いの深い部分をさらけ出し合う・・・

雨も降っている上に停電で何も見えませんし、雰囲気は最高です!」

 

「うふふふ・・・♡せっかくの休み時間なんですし、そうやって有意義に過ごしません?」

 

そう言いながら、楽しそうに両手を合わせる

その姿は普段のハナコ以上に上機嫌だった

 

("なんか・・・ハナコ過去類を見ない程楽しそうだなぁ・・・")

 

合宿が始まってからずっと機嫌は良かったが、今日は特にだ

まるで昔から夢見ていたイベントでも実現したかのようだった

 

「あはは・・・た、確かに合宿の定番と言う感じはしますね。」

 

ヒフミも少し照れ臭そうに笑う

 

「なるほど、それがこの水着パーティーと。」

 

アズサが真面目な顔で頷いた

 

「いやいやいやいや!納得するか!!水着と掛け合わせる意味は!?」

 

コハルの全力のツッコミに

 

「あうぅ、た、確かに・・・」

 

ヒフミが我に返った

 

「まぁまぁ、せっかくなんですし楽しむとしましょう。」

 

ハナコが手を叩く

 

「そうは言ってもただのお喋りですし、話題も何でもアリと言う事で♡」

 

「ふふっ私こういう事、すっごくしてみたかったんですよね。」

 

そう言ったハナコの笑顔は、いつもより少し柔らかかった

 

「なので、ちょっとテンションが上がっていると言いますか・・・」

 

("なるほどね・・・")

 

何となく理解した

ハナコは今までこういう普通の学生らしい時間を、あまり経験してこなかった

 

友達と集まって、何でもない話をして、夜更かしして

どうでもいい事で笑い合う

そういう当たり前を

 

だからきっと今が嬉しいのだろう

 

「"うん、ハナコ、本当に楽しそうだね。"」

 

私がそう言うと

 

一瞬だけ

ハナコが少し照れ臭そうに笑った

 

「・・・そう見えますか?」

 

「"見えるよ。"」

 

「うふふっ♡それなら良かったです。」

 

その笑顔を見ながら

 

("やっぱりこういう時間も大事なんだろうなぁ・・・")

 

そんな事を思っていると

不意にアズサが口を開いた

 

「気持ちは分かる。」

 

「え?」

 

全員の視線が集まる

 

「私も何なら、補習授業部に入って以来ずっとそういう気持ちだ。」

 

体育館の空気が少し静かになった

アズサは気付いていないのか

それとも気付いた上で言っているのか

 

いつも通りの真面目な顔で続ける

 

「何かを学ぶという事も。」

「皆でご飯を食べる事も。」

「洗濯も掃除も。」

 

「その一つ一つが楽しい。」

 

ヒフミが目を丸くする

ハナコも少しだけ驚いたような顔をしていた

コハルですら言葉を失っている

 

アズサはそんな皆の反応に気付かないまま続けた

 

「水着は泳ぐ時にだけ着る物だと思っていたのに。」

「こんな活用方法があるなんて事も初めて知った。」

 

「知らなかった事を知れるというのは、楽しい事だ。」

 

("凄く偏った間違った知識が蓄積されていってる・・・")

 

思わずそんな感想が頭を過った

 

「み、水着の件はちょっと違う気もしますが・・・」

 

ヒフミが小さくフォローを入れる

 

「でも、動きやすいし通気性も良い。」

 

アズサは真面目に分析していた

 

「ハナコがこれを着て学校を歩いてたというのも納得がいく」

 

「そうですよね、だから言ったじゃないですかコハルちゃん。」

 

「いやそれで外を歩くのは犯罪だから!」

 

コハルが即答する

 

「納得しちゃダメ!公然淫猥罪だよ!?」

 

("コハル、そこは猥褻罪だよ。")

 

そんなツッコミを飲み込みながら見守っていると

アズサがふとコハルの方を見た

 

そして

本当に自然な声で言った

 

「コハルと一緒に勉強するのも楽しい。」

 

再び体育館が静まり返った

 

「っ!?」

 

コハルの肩が跳ねる

 

「きゅ、急に何!?何でそんな急に恥ずかしい事を!?」

 

耳まで真っ赤になりながら叫ぶ

 

「あらあら・・・♡」

 

ハナコが実に楽しそうな顔をしていた

 

「ま、まぁ、私みたいなエリートと一緒に勉強して、タメになる事は多いと思うけど?」

 

コハルは顔を真っ赤にしながら腕を組む

どう見ても照れ隠しだった

 

「うん、本当にそうだ。」

 

だがアズサは真顔だった

一切の迷いも冗談も無い、ただ事実を述べているだけ

 

だからこそ破壊力が高い

 

「っ・・・」

 

コハルが言葉に詰まる

 

「分からない問題を教えてもらったし、テスト勉強も手伝ってもらった。」

「それに・・・」

 

少しだけ視線を落とす

 

「私が失敗した時も、怒らなかった。だから、ありがたいと思ってる。」

 

「・・・」

 

コハルの耳まで真っ赤になる

 

「な、なによそれ・・・」

 

「別に普通じゃない。」

 

「普通じゃないと思う。」

 

「普通なの!」

 

「普通なのよ!!」

 

何故か本人が一番必死だった

そんなコハルを見て、ヒフミが小さく笑う

 

「あはは・・・」

 

優しい笑い声だった

その声にアズサが今度はヒフミを見る

 

「もちろんヒフミもだ。」

 

「え?」

 

「本当にいつも世話になってる。」

 

「ありがとう。」

 

ヒフミが固まった

まるで時間が止まったみたいに

 

数秒

 

本当に数秒

 

ぽかんとしていたヒフミの目に涙が浮かぶ

 

「あ・・・」

 

肩が震える

 

「ア、アズサちゃん・・・」

 

「うん?」

 

「アズサちゃんっ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁん!!!」

 

アズサの言葉で感極まったのか泣きながらアズサに抱き着いた

 

勢いよく飛び付いた

 

「うぐっ!?」

 

アズサの身体が後ろへ揺れる

 

「ひ、ヒフミ・・・!」

 

「良かったですぅぅぅ・・・!」

「ほんとに良かったですぅぅぅ・・・!」

 

「ど、どうしたんだ急に・・・」

 

「だってぇぇぇ・・・!」

 

ヒフミは完全に涙腺が崩壊していた

 

「最初は全然笑ってくれませんでしたし・・・!」

「何考えてるのか分からなかったですし・・・!」

 

「すぐ危ない事するし・・・!」

 

「一人で抱え込むし・・・!」

 

「危なっかしいし・・・!」

 

「うぐっ・・・」

 

アズサも反論できないようだった

 

「で、でも今は・・・」

 

ヒフミはアズサを抱き締めたまま言う

 

「今はちゃんと楽しそうで・・・!」

 

「皆と一緒にいて・・・!」

 

「そうやって話してくれて・・・!」

 

「本当に良かったですぅぅぅ・・・!」

 

「ひ、ヒフミ・・・」

 

アズサが困ったように視線を泳がせる

 

逃げようにも

抱き締める力が思ったより強い

 

「うぐっ・・・」

 

「ひ、ヒフミ。少し息苦しい・・・」

 

「はっ!?」

 

慌てて離れるヒフミ

 

「あっ、ご、ごめんなさい!」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「・・・うん。」

 

アズサは軽く咳払いした

 

「多分。」

 

「多分って何!?」

 

コハルが即座に突っ込む

 

「ほんとに大丈夫なの!?」

 

「問題ない。」

 

そう言いながらも

少しだけ口元が緩んでいた

 

ほんの僅かに

本当に僅かに

 

けれど確かに

それを見たヒフミがまた涙ぐむ

 

「うぅ・・・」

 

「ヒフミちゃん、また泣いてますね。」

 

「だ、だってぇ・・・!」

 

「今日は涙腺が忙しそうだね。」

 

「"うん、でも良い涙だと思うよ。"」

 

私がそう言うと

ヒフミは少し恥ずかしそうに笑った

 

「えへへ・・・」

 

外ではまだ雨が降っている

停電したままの体育館

水着姿という意味不明な状況

 

だけど

 

その空気だけは妙に温かかった

 

 

しばらく、ヒフミが落ち着くまで皆で雑談を続けていた

外では相変わらず雨音が響いている

 

停電した体育館の中は薄暗いが、不思議と居心地は悪くなかった

 

「そういえば今トリニティのアクアリウムで、【ゴールドマグロ】という

希少なお魚が展示されているらしいですね。」

 

不意にハナコがそんな話題を切り出した

 

「"マ・・・グロ・・・?"」

 

私は思わず反応してしまう

 

("凄くマズイ予感がする・・・")

(”いや、でも流石にこの時期に彼女達でも無茶は・・・")

 

脳裏に色々な光景が過った

主に美食が絡んだ場合の惨事である

 

「あ、私もそれパンフレットで見ました!」

 

ヒフミが手を挙げる

 

「【幻の魚】と呼ばれているんですよね?」

 

「はい。」

 

ハナコが頷く

 

「どうやら近くの海で発見されたとか。

見に行きたいのですが、入場料も安くないので・・・」

 

「海、か・・・」

 

アズサが小さく呟いた

 

「そういえば一度も言った事無いな。」

 

「そ、そうなんですか!?」

 

ヒフミが驚く

 

「一回も・・・!?」

 

「うん。」

 

アズサは平然としていた

 

「湖や川なら見た事はある。」

「でも海は無い。」

 

「・・・」

 

一瞬だけ場が静かになる

 

("アリウスだもんなぁ・・・")

 

海水浴だとか

友達同士で遊びに行くだとか

 

そういう機会とは無縁だったはずだ

 

 

 

「それで、とっくに潰れたアミューズメントパークなのにも関わらず」

 

ハナコが次の話題を持ち出す

 

「夜になると何やら騒がしい音が聞こえて来て・・・」

 

("ゴズだ・・・")

 

私は思わず顔を覆いたくなった

 

("今回も活動してるんだ・・・")

("仕事熱心だなぁ・・・")

 

もう廃墟になって久しいはずなのに

元気に活動しているらしい

 

("夜の遊園地・・・アンラさんを連れて行ったら・・・うーん、嫌がりそう・・・")

 

「そ、そんな訳ないじゃん!」

 

コハルが即座に否定する

 

「聞き間違えよ!」

 

「まぁ、私もそういう噂として聞いただけですが・・・」

 

ハナコは肩を竦めた

 

「夜になると音楽が流れたり。」

 

「誰も居ないはずなのに観覧車が動いたり。」

 

「園内で何か巨大な影を見たとか。」

 

「いやだっ!」

 

コハルが叫ぶ

 

「絶対嘘!全部誰かの悪ふざけ!!」

 

「"そうだと思いたいね・・・"」

 

私は遠い目をした

 

("割と本当に居るんだよなぁ・・・")

 

「先生?」

 

「"いや、なんでもないよ・・・"」

 

危うく余計な事を言いそうになった

 

 

 

またも話題は流れて別の話題になっていった

 

「水着で街や学園の中を歩くのは別に、そこまで変な事じゃないですよ?」

 

ハナコがさらりと言った

 

「そんな訳ないでしょ!?」

 

コハルが即座に反応する

 

「勝手に常識改変しないでっ!」

 

「ですが、これは私がシスター達から聞いた話ですが・・・」

 

ハナコは人差し指を立てた

 

「どうやらキヴォトスの何処かの無法地帯では――」

 

嫌な予感がした

本当に嫌な予感がした

 

「水着姿で覆面を被っている犯罪集団があるらしいですよ?」

 

私は思わずヒフミを見てしまった

 

「・・・・・・」

 

ヒフミも気付いた

気付いた上で

 

物凄い勢いで視線を逸らした

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

数秒

 

誰も何も言わない

ヒフミだけが汗を流していた

 

「み、水着に覆面・・・!?」

 

コハルが目を見開く

 

「ド変態じゃん!?なにそれ!?」

「っていうか【犯罪者集団】なんじゃん!

そんなの何もしてなくたって、見た目からしてすでに犯罪よ!」

 

「そういう集団がある位、他の地域では普通なんですよ。」

「ですからコハルちゃんも今度一緒に――」

 

「いやっ!」

 

コハルが全力で首を振る

 

「何言いだすか分からにけど取り敢えず嫌っ!!」

 

「残念です・・・」

 

ハナコが本気で残念そうな顔をした

 

「絶対残念じゃないでしょ!」

 

「ですが。」

 

「まだ言うの!?」

 

「コハルちゃんも似合うと思うんですよね。」

 

「何が!?」

 

「覆面。」

 

「そこなの!?」

 

「あと水着。」

 

「そっちもダメだから!!」

 

体育館に笑い声が響く

ヒフミもつられて笑った

 

だが

 

どことなく笑顔が引き攣っている

 

そんな話をしていると、ハナコの視線がアズサへ向いた

 

さっきまでの悪戯っぽい笑みではない

少しだけ心配そうな顔だった

 

「そういえばアズサちゃん。」

 

「?」

 

「アズサちゃんはもっと、夜はきちんと眠った方が良いと思いますよ?」

 

「・・・うん。今朝は寝坊して迷惑をかけてしまった。」

「慣れない場所で寝坊なんて、これまで殆ど無かったのに・・・」

 

「・・・もうここは、【慣れない場所】じゃないからかもしれないな。」

 

("あぁ・・・")

 

何となく、その言葉の意味が分かった気がした

 

だけど

ハナコは少し微笑んでから、いつもの調子で話を続ける

 

「・・・とにかく、もっとしっかり寝た方が良いです。深夜の見張りは減らして頂いて。」

 

「・・・?見張り?何それ?」

 

「あぁ、毎晩夜中にちょっと見張りを・・・」

 

「"ハナコがアズサの事凄く心配してたよ。"」

 

「む、そうなのか・・・?ごめん。」

 

「実は、見張りは言い訳で・・・ブービートラップとかを設置していたんだ。」

「昼間だとグレゴリー司祭に見つかってしまうから。」

 

「ブービートラップ・・・?どうしてそんな事を・・・?」

 

ヒフミが少し困惑したような顔になる

 

まぁ普通はそうなる

合宿所の周囲にブービートラップを設置しているなんて話、そうそう聞くものじゃない

 

「心配しないで、ここに悪意を持って侵入しようとするルートにだけ設置してるから。」

「普通の生活をする上では、安全面に問題はない。」

 

「・・・」

 

一瞬だけ沈黙

アズサとしては安心させるつもりなのだろう

 

だが

 

("安心・・・かなぁ・・・?")

 

私は思わず視線を逸らした

 

「なるほど・・・ですが、それならそれで教えてくれると嬉しいです。」

「どうしても心配しちゃいますから。」

 

ハナコの言葉は責めるようなものではなかった

本当に心配していたのだろう

 

だからこそ

アズサも素直に受け止めたようだった

 

「・・・そうか。」

 

アズサは少しだけ目を伏せる

 

「うん、これからは気を付ける。」

 

「私のせいで、先生と皆が被害を受けるのは望む所じゃないから。」

 

「"アズサは優しいね。"」

 

そう言いながらアズサの頭を撫でた

ふわりと柔らかい髪が指先を滑る

 

「なっ・・・こ、子供扱いしないで、先生。」

 

慌てたように一歩後ろへ下がる

だが、その耳は少しだけ赤かった

 

「私は別に・・・そんなのじゃない。」

「だってこの世界は、全てが無意味で、虚しいものだ。」

 

その言葉に

先程まで賑やかだった体育館が少し静かになる

 

雨音だけが遠くから聞こえていた

 

「だから、もしかしたら・・・」

 

アズサがぽつりと続ける

 

「私はいつか裏切ってしまうかもしれない・・・」

「皆のことを、その信頼を、その心を。」

 

「・・・」

 

ヒフミが何か言おうとして

けれど言葉が見つからなかったのか口を閉じる

 

コハルも珍しく黙っていた

ハナコだけが静かにアズサを見ている

 

("・・・")

 

私はアズサを見る

今の言葉は誰かを脅したい訳じゃない

自分自身を信用しきれていないだけだ

 

アリウスで生きてきた時間

裏切りと疑念の中で生きてきた時間

それらがまだ彼女の中に残っている

 

だから

 

私が何か言おうとした、その時だった

 

【ブゥゥン・・・】

 

どこかで機械が動き出す音が響いた

 

「あれ・・・?」

 

ヒフミが顔を上げる

 

次の瞬間

 

パッ、と体育館の照明が灯った

 

「あ、電気が・・・」

 

「直ったみたいですね。」

 

ハナコが微笑む

停電で薄暗かった体育館が一気に明るくなった

 

それと同時に

窓の外から差し込む光も変わっていた

 

「あ・・・雨。」

 

アズサが窓を見る

いつの間にか豪雨は止んでいた

 

厚い雲も流れていき

その向こうから青空が顔を覗かせている

 

「本当ですね。」

 

ヒフミも嬉しそうに立ち上がった

 

「晴れてきました!」

 

「そうですね。」

 

ハナコも手を叩く

 

「では、もう一度改めて洗濯しましょうか。」

 

「あうぅ・・・また洗い直しですね・・・」

 

「でも今度はちゃんと乾きそうだ。」

 

「うん。」

 

アズサも小さく頷く

そして少し考えてから

 

「じゃあ第一回水着パーティーはここで閉幕か。」

 

「・・・。」

 

「二回目も楽しみにしてる。」

 

「二回目とか無いからっ!!」

 

コハルの絶叫が体育館中に響いた

 

 

 

皆は水着姿のまま外へ出る訳にもいかないので、洗濯物を干す役目は自然と私になった

 

("まぁ・・・ジャージだしね。")

 

体育館を出ながら洗濯籠を抱える

雨上がりの空気はひんやりしていて気持ちが良かった

 

その日はこのまま休息日という事になり

皆にもゆっくり休んでもらう予定だった

 

そうして日も落ちて、皆大部屋に集まり

今日も一日が終わる――

 

 

「いいえ!!!まだです!!このまま一日が終わりだなんて!!!」

「そんな勿体ない事はさせません!!!」

 

ハナコが私のナレーションに割り込んできた・・・

 

「は、はい・・・!?」

 

「な、なに!?急に飛びあがって、びっくりした・・・」

 

コハルが本気で驚いている

 

私も驚いている

というか今の流れなら普通終わると思う

 

「突然の事でしたが、せっかくのお休みじゃないですか。」

 

ハナコは両手を広げながら続ける

 

「皆裸で交わったのに、このまま、ハイお休みなさいなんて――」

 

「勝手に記憶を捏造しないで!裸じゃないから!」

 

コハルのツッコミが即座に飛んだ

 

「それはともかく、このまま寝てしまうのは勿体ないです。」

 

ハナコは全く気にしていない

 

「まだ火照ってると言いますか、物足りないと言いますか・・・」

 

「具体的には?」

 

アズサが真面目な顔で聞く

ハナコがにっこり笑った

 

その笑顔を見た瞬間

何故か嫌な予感がした

 

「うふふっ♡合宿と言えば、やはり合宿所を抜け出す事・・・」

「それも一つの醍醐味だと思いませんか?」

 

「"え・・・それバレたら私が始末書・・・"」

 

思わず本音が漏れた

補習授業部の引率教師が生徒を連れて夜遊び

 

字面だけで胃が痛くなる

 

「さあ!今から皆でこっそり外に出て、お散歩しましょう!」

「トリニティの商店街は夜遅くまで営業している店も結構ありますし、

食べ歩きとかショッピングとかも出来ます!」

 

「そ、そんなの校則違反じゃん!ダメっ!」

 

コハルが慌てて否定する

だがその声にも、どこか迷いが混じっていた

 

「細かい校則は知りませんが、結構皆さんこっそりやってると思いますよ?」

「意外とそう言う方周りに居ませんか、ヒフミちゃん?」

 

「あ、あはは・・・そ、そう、ですね・・・?」

 

ヒフミの視線が一瞬だけ泳ぐ

 

("あ、居るんだ。")

 

何となく察した

 

「で、ですが普段であればまだしも、今は補習授業部の合宿中ですし・・・」

「良いんでしょうか・・・?」

 

「遠出する訳でもありませんし、直ぐそこですよ。」

「コハルちゃん、いかがですか?楽しそうだと思いません?」

 

「え、っと・・・きょ、興味はある、けど・・・」

 

コハルも完全には否定しきれていない

 

まぁ年頃の女の子だ

夜に皆でお出かけなんて、興味が無い方がおかしいだろう

 

「はい、ちょっと行って戻ってくるだけですから大丈夫ですよ。」

「ね?良いですよね先生?」

 

そう言うと一歩私に近づいて、私にしか聞こえない声量で呟いてきた

 

私のテスト用紙をヒフミさんに提供したのはコレでチャラで。

 

「"うっ・・・そ、そうだね。楽しそうだし、行こっか・・・"」

("バレてた・・・")

("やっぱりバレてた・・・")

("というか、いつから・・・?")

 

一瞬だけ冷や汗が流れる

 

だが、ここで断れば間違いなく蒸し返される

教師としての威厳と秘密保持

天秤にかけた結果だった

 

「い、良いの!?」

 

コハルが驚いたように目を丸くする

 

「準備は出来た。今直ぐにでも出発できる。」

 

「・・・え?」

 

気付けばアズサが立ち上がっていた

 

「既に着替えも終わっている。」

 

そう言われて見れば、いつの間にかパジャマではなく普段の制服姿になっている。

 

("早いなぁ・・・")

 

というか

思った以上に乗り気だった

 

「アズサちゃん!?いつの間に着替えて・・・!」

 

「決まった後で準備していたら遅いと思った。」

 

「気が早すぎるでしょ!?」

 

コハルが頭を抱えている

だがアズサはどこ吹く風だ

 

どことなく楽しそうに見える

 

「では決定ですね♡」

 

ハナコがぱんっと手を叩いた

 

「さぁ早く準備していきましょう!楽しくなってきましたね、深夜に裸で散歩・・・!」

 

「さりげなくすり替えないで!!服は着ろ!!!」

 

 

そうして、唐突に夜のトリニティに繰り出す事になった

 

部屋中にコハルのツッコミが響く

 

その声にヒフミも思わず吹き出していた

 

「あははっ・・・」

「た、確かにそれはちょっと・・・」

 

「ちょっとじゃないから!」

 

「犯罪だから!」

 

「大丈夫ですよ♡」

 

「誰も脱ぎませんから。」

 

「その言い方が信用出来ないのよ!!」

 

("うん、私もちょっと信用出来ないかな・・・")

 

そんな事を考えながらも準備を始める

窓の外を見ると

 

雨上がりの夜空には雲の切れ間が広がり始めていた

濡れた石畳が街灯の光を反射している

 

トリニティの夜の街

 

生徒達だけならともかく

 

こうして皆で出歩く機会は意外と少ない

 

("まぁ・・・少しくらいなら。")

 

そう自分に言い訳しながら

私は生徒達と一緒に合宿所を後にした

 

 

 

 




とうとう、先生にハナコのテストの用紙をヒフミに渡した事を知っているという事を
カミングアウト!
まぁ先生も、自分にだけやたら意地悪が多いから、ちょっと察していました。

そして、アズサもグレゴリー司祭に隠れて、ブービートラップを近辺に仕掛けていた事をカミングアウト!
ちなみにグレゴリー司祭、ティーパーティーから【別荘】の管理を任されているだけなので、
近隣の山とかは一切関与しません。
依頼内容に忠実というより、それ以外仕事をしたく無いといった感じですね。

ちなみにノートPCのSSDはその後シッテムの箱と繋いで、何とかデータをサルベージしました。

~今日のセイヤ~

今日のセイヤ様、どうやら休みのようですね。
ベットの上でぐったりしたまま動きません

どうも前回のダイエットがよほど辛かったのでしょうか、
目も虚ろです。

ん・・・?何か呟いていますね・・・

なになに・・・
トリニティで爆発に巻き込まれていた方が安全だった。
セイア様の隠遁も生活大変そうですね。

それにしても、セイア様恨み言が凄いですね。
ユメ社長については一切触れないのに、もう一人の同僚についてずっと怨嗟を吐いています。
保護したのにずっと居ない等止めどなく口からあふれ出ていますね。
よほど、昨日のダイエットは精神的に辛かったのでしょうね。

ですが、そのおかげもあってか、セイア様のお身体が元のスマートなお体に戻っていますね。
むしろ一日でここまで絞り上げてみせたユメ社長の手腕に感激します。

あ。セイア様が動き出しましたね。
そのまま家の外に向かっていきました。
何処に行くのでしょうか・・・?


柴関です。柴関にまた来ております。
しかも普段は一杯で終わっていたラーメンの大盛を、
特盛にした上に二杯目に突入しています。
柴関の大将とセリカさんが少し引いた目で見ていますね。

ストレスからくるやけ食いでしょうか・・・
セイア様、そんなに食べるとユメ社長にまた追い回されてしまいますよ。

どうやら、スープすら残さず完食したようです。
食べ物を残さないのは素晴らしい事ですね。

祈願屋のオフィスビルに戻ってきたセイア様、
あ、二階の祈願屋のオフィスの窓から見ているユメ社長と目が合いましたね。
セイア様凄い勢いで顔をそむけてしまいました。

セイア様の次のダイエットも、もしかしたら近いかもしれません。

本日までのロールケーキ消費本数:53本
本日までの柴関来店回数:49回
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