おっさんキヴォトスに行く 作:無い頭のおっさん
いやぁ・・・新しいストーリーがくるから、整合性とかの絡みで、
ちょっと更新止まってました。
そしてヤバい事が起きました。
このままだと、
今後の予定で便利屋68の全員が色付きの閃光を放てるようになります。
そして現時点で、ヒナはそれが放てます・・・
やっべぇ・・・よ・・・
どうすっよ・・・神秘を極めたヒナとカヨコが敵に回るよ・・・
本日2話同時更新!1/2!
【古聖堂跡】
夜が明けた
けれど
前日から降り続いていた雨は、未だに止む気配を見せていなかった
灰色の空、冷たい雨
そして
かつては美しかった古聖堂は――
見る影もなく崩れ果てていた
爆破によって壁は崩れ、床には瓦礫が散乱し、
祈りの場だったはずの場所には、もはや祈りのための静寂すら残っていない
ただ
雨音だけが響いていた
その古聖堂跡へ
サオリ達はアツコを連れてやって来ていた
目的は一つ
不安定になったETO
その再契約
そして――
アズサはアンラに言われた通り
トリニティ側の戦力が再結成した、その瞬間を狙っていた
「ぐっ・・・!」
銃弾が飛ぶ
アズサは咄嗟に身を捻った
それでも避けきれない
「・・・っ!」
肩を掠める
痛みを無視して撃ち返す
「・・・何故だ、アズサ。」
サオリの声が響く
「何故そこまで足掻く?」
「その行為に何の意味がある?」
「何を証明しようとしている?」
「思い出せ。アリウスの教えを。」
「全ては――」
「・・・たとえ虚しくても。」
アズサが息を整える
銃を構え直す
「サオリ達を元に戻す為に、足掻くと決めた。」
「・・・元に戻す?」
サオリの声が低くなる
「私達は正常だ!!!」
「この怨み!!!」
「私達の境遇!!!」
「その全ては――!」
サオリが銃を向ける
引き金を引く
一発、二発、三発
無数の銃弾がアズサへ降り注いだ
「ぐっ・・・!」
身体が揺れる
アズサの膝が折れる
そして
その身体を――
後ろから誰かが支えた
「・・・っ!?」
アズサが振り返る
「ヒフ・・・ミ・・・?」
「アズサちゃん!」
そこには
補習授業部の皆がいた
「増員、ですね・・・。」
ヒヨリが周囲を見回す
「数は四・・・いえ。」
「後ろに、それ以上・・・。」
その言葉通りだった
ヒフミ達のさらに後方
そこには――
大量の生徒達が展開していた
トリニティ
そしてゲヘナ
互いに本来なら敵対するはずの二つの学校
その混成部隊が古聖堂を包囲するように展開している
「・・・あれは。」
ミサキが呟く
サオリもヒフミ達へ視線を向ける
「・・・なんだ、お前は?」
ヒフミは一歩前へ出た
「普通の、トリニティの生徒です。」
「・・・普通?」
サオリが眉を顰める
「ヒフミ、ダメだ・・・。」
「どうしてこんな所に・・・。」
「ここはヒフミみたいな、普通の人が来るべき所じゃ・・・。」
「・・・はい。」
ヒフミは頷く
「確かに私は、普通で平凡です。」
「先日見せてくれたガスマスクの姿が、本当のアズサちゃんなのだと。」
「その事も理解しました。」
「そんなアズサちゃんは、本当なら私なんかには手の届かない世界に生きているのだと。」
「・・・そう言いたいのも、分かりました。」
アズサが怪訝そうにヒフミを見る
「ヒフミ・・・?」
「でも!!!」
ヒフミが叫んだ
「アズサちゃんは、一つ!」
「大きな間違いをしています!!!!」
「・・・!?」
アズサが目を見開く
ヒフミは自分の鞄へ手を突っ込んだ
そして
取り出したのは――
【5】
と書かれた、目の部分だけがくり抜かれた紙袋
「今ここで!」
「私の本当の姿をお見せします!!!」
ヒフミは紙袋を被った
そして堂々と宣言する
「私の正体、それは――」
「【覆面水着団】のリーダー!」
「ファウストです!!!!」
「・・・え?」
アズサが固まった
「見てください!」
ヒフミは両手を広げる
「この恐ろしさ!」
「アズサちゃんと並んだって、全然見劣りしない程不気味でしょう!」
「こっちの方が恐ろしくて怖いと言う人だって、いる筈です!!」
「ひ、ヒフミ・・・?」
「だからっ!!!」
ヒフミは叫ぶ
「私達は、違う世界に居るなんてことはありません!」
「同じです!」
「隣にだって居られます!」
「だから――世界が違うだなんて。」
「一緒に居られないだなんて・・・!」
「そんな事を言わないでください!!」
ヒフミは一歩、アズサへ近づいた
「拒絶されても!」
「すぐ近くに行ってみせます!」
さらに一歩
「私は・・・!」
「私は、アズサちゃんの傍に居ます!」
そして
もう一歩
「こうやって!」
「すぐ触れられる所に・・・!」
「ヒフミ・・・。」
アズサが小さく呟く
「でも。私の為に、そんな嘘を言ってくれた所で――」
その時だった
「誰が嘘だって!?」
バババババッ―――――
雨音を掻き消すようにヘリのローター音が響いた
「・・・!?」
全員が空を見る
そして
四つの影が降ってきた
一人
【1】と書かれた桃色の覆面
黒褐色のローブとボディーアーマー
二人
【2】と書かれた青色の覆面
アビドスの制服に白いライフル
三人
【3】と書かれた緑色の覆面
巨大な白いミニガン
四人
【4】と書かれた赤色の覆面
高倍率スコープを載せた白いライフル
四人が
ヒフミの背後へ着地する
「いや~。」
【1】の覆面が言う
「何だか大事な所みたいだね?」
「・・・あの覆面。」
ハナコが目を見開く
「まさか・・・!?」
【1】が胸を張る
「目には目を。」
「歯には歯を。」
「無慈悲に、孤高に、我が道の如く魔境を行く――」
【2】が続ける
「ん。」
「それが私達のモットー。」
【3】が楽しそうに言う
「普段はアイドルとして活動してますが!」
「夜になると悪人を倒す副業をしてるグループなんです♪」
【4】が即座に怒鳴る。
「別にそれ私達のモットーじゃないから!?」
「後、変な設定付けないで!」
その瞬間。
空中にホログラムが展開される。
【0】
と書かれたベージュの覆面。
「覆面水着団リーダーであるファウストさんのご命令で、集合しました!」
「!?」
「え、えっ!?」
コハルが目を丸くする
ハナコも唖然とする
「じ、実在したんですね・・・?」
サオリも呆然としていた
「・・・あいつらは。」
「・・・分からない。」
ミサキが答える
「詳細なデータは無し。」
ヒヨリは震える声で呟いた
「ふ、覆面水着団・・・。」
「う、噂に過ぎないと思ってましたが・・・。」
「本当にいたんですね・・・。」
ミサキがサオリを見る
「・・・リーダー。」
「あいつら、へらへらしてるけど注意した方が良さそう。」
「少なくとも。」
「なめてかかると痛い目に遭う。」
サオリは答えない
ただ、ヒフミ達を睨みつけた
すると
【1】の覆面がサオリへ向き直る
「なーに。」
「うちのリーダーを泣かせようとしてるのかな~?」
「ねぇ、そこの君達?」
その声から
先ほどまでの軽さが消える
「・・・。」
そして
誰にも聞こえないほど小さく
上空を見ながら
「アンラさん。」
「見てるだけだった理由。」
「あとで話して貰いますよ。」
そう呟いた
そして再びサオリを見る
「何処の誰なのか知らないけど。」
「知らないよ?」
「うちのファウストさんは怒ると怖いんだから。」
「ファウストさんの怒りを買ったブラックマーケットの露店商が、」
「何件も吹き飛ばされたからね。」
【3】が続く
「そうですよ☆」
「何せファウストちゃんは最終的に、」
「カイザーコーポレーションに榴弾叩き込んでスクラップにしちゃったようなものなんですよ♪」
【2】も頷く
「ブラックマーケットの銀行だって襲える。」
「朝飯前みたいに。」
【4】
「それにこの間なんて!」
「カイザーPMCも砲弾で粉みじんにしてたんだからね!!」
「・・・・・・。」
ヒフミの肩が震える
「ファウスト!」
「ファウスト!」
「ファウスト!」
「ファウスト!」
四人の声が重なる
「ファウスト!!」
「ファウスト!!」
「ファウスト!!」
「ファウスト!!」
「・・・・・・・・・・・・。」
そして
とうとう、ヒフミの限界が来た
「・・・。」
紙袋を脱ぐ
顔が真っ赤だった
俯いている
【3】が叫ぶ
「ああっ!」
「ファウストちゃんが紙袋を取ってしまいました!?」
【1】が覆面を脱ぐ
「流石に恥ずかしかったのかなー・・・?」
ホシノだった
【4】も覆面を脱ぐ
「せ、せっかく乗っかってあげたのに!」
セリカが少し赤くなりながら言う
『2』だけは覆面を被ったままだ
「私は何も恥ずかしくないけど。」
「シロコ先輩も堂々としてないで早く取って!」
「・・・。」
渋々、シロコも覆面を脱ぐ
そして
最後にホログラムのアヤネが口を開いた
「ま、まぁ、とにかく・・・。」
「改めて、アビドス対策委員会。」
「今度は、ヒフミさんの事を助けに来ました!!」
「・・・ありがとうございます。」
ヒフミが微笑む
「対策委員会の皆さん・・・。」
その時
古聖堂の外
さらに人影が増えていく
正義実現委員会を率いる、ツルギとハスミ
風紀委員会を率いるヒナとアコ、イオリとチナツ
2校の実力者達が古聖堂を包囲していた
「包囲されてしまいましたねぇ・・・。」
ヒヨリが呟く
ミサキもサオリを見る
「これはちょっと厳しいんじゃない?」
「リーダー。」
しかし
サオリは笑った
「知った事か。」
「無限に増殖するユスティナ聖徒会の前では、等しく無意味。」
「・・・むしろ好都合だ。」
「アズサだけではなく、この場の全員に知らせてやれ。」
「私達の憎悪を。」
「苦しみを。」
「呪いを。」
「この殺意と憎しみに満ちた世界で。」
「あらゆる努力は無駄なのだと。」
「足掻こうと何の意味もない。」
「全ては無駄なのだと!!」
――その時
私は車のハンドルを握りながら、アクセルを踏み込んだ
「"そこ、どいてー!!"」
「――!?」
古聖堂を包囲する部隊が、一斉にこちらを振り返り車を避ける
そのまま
私は車を古聖堂の入口へ突っ込ませた
ズガァァァンッ!!!
崩れた壁をさらに押し崩し
瓦礫を跳ね飛ばし
私はそのまま車を止める
「"ふぅ・・・死ぬかと思った。"」
『そう思うんでしたら、あんな運転しないでください!。』
「"ははは・・・ごめんごめんアロナ。"」
そして私は車内から周囲を見る
そこには
補習授業部の皆
そして
アビドス対策委員会のみんな
(ホシノ達も来てくれたんだね・・・。)
私は扉を開け
外へ降りた
「"お待たせ。皆。"」
「・・・先生!?」
アズサの目が見開かれる
サオリ達も
言葉を失った
「生きて・・・いたのか・・・。」
私はヒフミを見る
「"アズサに言いたい事は全部言えた?"」
「・・・いえ。」
ヒフミは静かに答えた
「まだ一つだけ残っています。」
そして
アズサへ向き直る
「アズサちゃん。」
「・・・ヒフミ。」
「私。今、凄く怒っています。」
「すっごくです。」
アズサは黙って聞いている
「ですが・・・。」
ヒフミは微笑む
「それ以上に。」
「無事でよかったです。」
「すっごく怒ってましたが。」
「よく考えてみれば、それはアズサちゃんのせいではありません。」
「ですから。私はもう怒っていません。」
そして
ヒフミはサオリ達へ向き直った
「ですが。あなた達については。」
「まだ怒っています。」
「殺意ですとか。」
「憎しみですとか。」
「それがこの世界の真実ですとか。」
「それを強要して。」
「全ては虚しいのだと言い続けていましたが・・・。」
ヒフミは
空を見上げる
曇天
降り続く雨
そして
「それでも、私は・・・!!!」
「アズサちゃんが人殺しになるのは嫌です・・・!」
「そんな暗くて憂鬱なお話!」
「私は嫌なんです!!」
「それが真実だって。」
「この世界の本質だって言われても!」
「私は好きじゃないんです!!」
声が震える
それでも
止まらない
「私には、好きなものがあります!!」
「平凡で!」
「大した個性も無い私ですが・・・!」
「自分が好きな物については!」
「絶対に譲れません!!!」
「友情で、苦難を乗り越えて!」
「辛い事は慰めて。」
「お友達と慰め合って・・・。」
「苦しい事があっても!」
「誰もが最後は笑顔になれるような!!」
ヒフミは叫ぶ
「そんなハッピーエンドが!」
「私は好きなんです!!!」
その瞬間
雨が止んだ
「・・・。」
誰もが空を見る
雲の隙間から
光が差し込む
曇天が
少しずつ
少しずつ
晴れていく
「誰が何と言おうとも!」
ヒフミは光を背負って立つ
「何度だって言い続けてみせます!!」
「私達の描くお話は!」
「私達が決めるんです!!!」
「終わりになんてさせません!!」
「まだまだ続けていくんです!!!」
ヒフミが
空へ向かって腕を掲げる
「私達の物語・・・。」
「私達の、
雲が消えた
青空が広がる
世界へ
光が溢れた
「・・・あ。」
ヒヨリが呟く。
「雨雲が・・・。」
ミサキも空を見上げる
「気象の操作・・・?」
「いや。」
「これは・・・。」
ヒヨリの瞳から
先ほどまでの憎悪が少しだけ薄れていた
「き、奇跡・・・ですか・・・?」
「っ!」
ミサキが頭を押さえる
「奇跡なんて無い!」
「何これ・・・!」
私は
そのヒフミの言葉を聞いた
そして
ゆっくりと前へ出る
「"ここに宣言する。"」
「"私達が。"」
「"新しいエデン条約機構。"」
サオリが反応する
「なっ・・・!?」
ハンドガンを抜きその銃口が私へと向けられる
その瞬間
濃い茜色の閃光が走った
サオリの持つ銃が弾き飛ばされる
「・・・今度はさせないわよ。」
そこには
アビドス治安維持第二部隊の腕章を付けた便利屋68がいた
私がよく見る飄々とした表情ではない
アルも
ムツキも
カヨコも
ハルカも
真剣な顔をして、サオリを睨んでいた
("アル達も・・・ありがとう。")
「くっ・・・!」
サオリが歯を食いしばる
ミサキが頭を押さえながら叫ぶ
「・・・リーダー。」
「ユスティナの統制がおかしくなってる。」
サオリが周囲を見る
ユスティナ聖徒会が
微かに震えている
輪郭が
ぼやけ、また戻る
明滅を繰り返していた
「こ、混乱していますね・・・。」
ヒヨリが呟く
「ETOを助けると言う戒律。」
「でも今は・・・ETOが二つあって・・・。」
「っ!」
サオリが怒鳴る
「知った事か!!」
そして
アズサを見る
「ハッピーエンドだと!?」
「ふざけるな!」
「そんな言葉で世界が変わるとでも!?」
「それだけで!」
「この憎悪が!」
「呪いが!」
「不信の世界が!」
「変わるとでもいうつもりか!?」
「何を夢のような話を!!!」
私はサオリの慟哭に静かに答える
「"生徒達の夢を。"」
「"その実現を助けるのは、大人の義務だから。"」
「"生徒達自身が。"」
「"その本心から願う夢を。"」
「"私は信じる。"」
「"そして支えるよ。"」
「・・・・・・。」
サオリは
しばらく、何も言わなかった
ただ
私を見ていた
その瞳に宿るのは
冷たい憎悪
サオリは笑った
歪んだ笑いだった
「その上っ面の綺麗事がどこまで持つ!!」
「その理想論が!この現実に耐えられる!!」
そして
サオリが後ろを振り返る
「この世は虚しいのだと!、見せてやれアンブロジウス!!」
「――――!!」
その瞬間
古聖堂の奥
動きを止めていた巨大な影が、ゆっくりと立ち上がる
「・・・え?」
ヒフミが目を見開く
ミメシスとは、明らかに違う
巨大な身体
二本の腕
鋭い爪
そして
身体の中心へ集約されていく、濃密な神秘
「・・・何、あれ。」
コハルが呟く
ハナコも、思わず目を細めた
「初めて見るタイプですね・・・。」
アズサだけが、静かに銃口を向ける
「・・・強い。」
私も、その姿を見た瞬間
思わず表情を変えた
("アンブロジウス・・・。")
周回の記憶に存在した
ミメシスの強化個体
だが
("・・・この個体は。")
空気が違う
その身体から溢れる威圧感
そして
「―――――――――。」
アンブロジウスの手へ
光が集まった
最初は
小さな光
それが
圧縮され
さらに圧縮され
やがて
色を帯び始める
私は思わず目を見開いた
("色が・・・。")
「先生・・・?」
ヒフミが私を見る
私は即座に叫んだ
「"全員、絶対に無理に攻撃しないで!!"」
「"あいつの攻撃は、まともに受けちゃ駄目だ!!"」
「えっ!?」
コハルが驚く
「で、でも・・・!」
「"いいから!"」
私の声に
全員が一瞬だけ動きを止める
「"今の私達で、まともに攻撃を通せる可能性があるのは――"」
私はホシノを見る
次にアルを見る
「"ホシノと、アル。"」
「・・・え?」
ヒフミがホシノ達を見る
アル自身も
僅かに眉を上げた
「・・・私?」
私は頷く
「"前に見た。"」
「"ホシノの攻撃と、今のアルの攻撃なら。"」
「"あいつに傷を付けられる可能性がある。"」
「・・・。」
ホシノが盾を構える
「うへぇ・・・。」
「また面倒なのが出てきたねぇ。」
アルも銃を構える
「・・・ふふ。」
「つまり。ここは私達の出番ってことね。」
ムツキが笑う
「くふふ~。」
「アルちゃん、張り切ってる~。」
「当然よ!」
「便利屋68に任せておけば、完璧なんだから!」
その直後
アンブロジウスの神秘圧縮弾が完成した
「――――ッ!!」
青黒いの閃光が
一気に放たれる
「散開!!」
私の声と共に
全員が動いた
――――――――――ッ!!
轟音
大地が抉れる
瓦礫が吹き飛ぶ
「きゃあっ!?」
ヒフミが地面へ伏せる
「危ない!」
コハルがその身体を引き寄せる
ハナコも身を低くする
「これは・・・!」
「ただのミメシスじゃありませんね・・・!」
シロコが飛び退く
セリカが叫ぶ
「ちょっと待って!」
「今のって・・・!?」
ノノミも目を丸くする
「色のついた神秘・・・。」
その中で
ホシノだけが
一歩前へ出る
「じゃ。」
盾を構える
「私が止めるよ。」
アンブロジウスが
ホシノに向けて突進する
巨大な爪が振り下ろされた
――――ガァンッ!!
盾と爪が激突する
「・・・・・・。」
しかし
ホシノの身体は微動だにしない
「うへ。」
「思ったより、軽いねぇ~?」
盾を押し返す
その巨体が僅かに揺らぐ。
「今!」
私は叫ぶ
「"アル!!"」
「任せなさい!」
茜色の神秘が
銃口へ集束し
引き金が引かれる
ダアァン!!!
茜色の閃光が放たれ、
アンブロジウスの胴体へ直撃する
――――――――――ッ!!
初めて
アンブロジウスの身体に
明確な傷が刻まれた
「"・・・通った!"」
私は思わず叫ぶ
その瞬間
ホシノも動く
桜色の神秘が盾へ集まっていく
「じゃあ。次はおじさんの番。」
――――ッ!!
盾を水平にして
アンブロジウスへ叩き込まれ、その巨体が吹き飛んだ
私は即座に判断する
「"よし!"」
「"他のみんなは、絶対に無理して攻撃しないで!"」
「"アズサ、シロコ、セリカ、ノノミ!"」
「"動きを止めるための牽制を!"」
「"ヒフミ、ハナコ、コハル!"」
「"三人は味方の援護!"」
「"ホシノとアルが攻撃できる隙だけ作って!"」
「はい!」
ヒフミが答える
「分かりました!」
ハナコも頷く
「それなら、私達にも出来ます。」
コハルも銃を握り直す
「う、うん!」
吹き飛ばされたアンブロジウスが
体勢を立て直し、再度神秘を圧縮していく
その巨体の周囲が
空気そのものが
歪んで見えた
「"・・・来る!"」
私は叫ぶ
「"全員、左右に散って!"」
次の瞬間
――――――――――ッ!!
再び、青黒い閃光が放たれた
先ほどよりも太い
まるで光そのものが砲弾になったかのような一撃
「っ!」
ホシノが盾を構え、正面から受ける
ガガガガガ――――ッ!!
凄まじい轟音
足元の瓦礫が吹き飛ぶ
それでもホシノは動かなかった
盾の向こうから押し寄せる圧力を、ただ真正面から受け止めている
「うへぇ・・・。」
「やっぱ、このローブ凄いねぇ・・・。」
その声に余裕がある
「ホシノさん!」
ヒフミが思わず声を上げた
「大丈夫なんですか!?」
「んー?」
ホシノは軽く振り返る
「へーきへーき。」
「この程度なら、まだ全然平気だよ~」
「・・・。」
ヒフミはその言葉に、ほんの少しだけ呆然としていた
自分達なら、触れることすらできないような力
それをホシノは
盾一枚で
「・・・すごい。」
思わず呟く
「"ヒフミ。"」
私は声を飛ばす
「"今は見惚れてる場合じゃないよ!"」
「は、はい!」
「"アル!"」
「任せなさい!」
アルが一歩前へ出る
銃口に茜色の光が集まっていく
「この私がここで決めるわ!」
ダアァ――ッン!!
茜色の閃光が走る
アンブロジウスが腕を上げた
巨大な爪で受けようとする
しかし
「・・・!」
その爪が
僅かに弾かれ
そして
ドガァァン!!
光が肩を抉ると共に爆散する
「あっはは! 命中よ!」
「――――ッ!!」
アンブロジウスが吠えるような声を上げた
ヒフミの表情が変わる
「ミカ様と同じ・・・。」
アル本人も
ほんの少しだけ驚いていた
「・・・私。」
「これ、本当に使えるようになったのね・・・。」
ムツキが横で笑う
「くふふ~。」
「アルちゃん。今さらそこ?」
「だ、だって!」
「あの人達と同じ事が出来るって、」
「私だってまだ実感が・・・!」
「社長、話してる場合じゃないよ。」
カヨコが淡々と言う
「来る。」
「・・・え?」
アンブロジウスが
再び動いた
今度は遠距離攻撃ではない
巨大な身体を前へ投げ出すように
一直線に突っ込んでくる
「"全員、避けて!"」
私は指示を飛ばす
その瞬間
ガガガガ――――ッ!!
爪が振り下ろされ地面が砕ける
「っ!」
シロコが横へ跳ぶ
「セリカ!」
「分かってる!」
セリカが反対側へ回る
ノノミも即座に後退した
「わぁ・・・危ないですね~!」
シロコ達を狙って再度爪が振るわれる
その隙
「"ホシノ!"」
私は叫ぶ
「"今!"」
「はーい。」
ホシノが盾を構える
そして
踏み込む
「――――ッ!!」
桜色の光が盾の表面を走り輝く
そしてホシノの走力を盾に乗せ
そのままアンブロジウスの胸部へ
「どっせぇぇぇぇい!!」
――――ゴォンッ!!
鈍い轟音
巨体が再度吹き飛ぶ
だが
アンブロジウスは倒れない
瓦礫を巻き上げながら
再び起き上がる
胸部には
明確な傷
それでも
「・・・まだ来ます!」
ハナコが叫ぶ
「"うん。"」
私は頷いた
「"だから、私達で隙を作るよ。"」
私は周囲を見る
「アズサ!」
「はい。」
「"正面から撃たなくていい。」
「"足元と退路を狙って。"」
「"動きを誘導して。"」
「了解。」
「"シロコ!"」
「ん。」
「"左右から牽制!"」
「ん、分かった。」
「"セリカ、ノノミ!"」
「了解!」
「援護しますね~。」
「"ヒフミ、ハナコ、コハル!"」
「"三人はアンブロジウスの攻撃に絶対巻き込まれないように!"」
「"その上でホシノとアルが攻撃する瞬間だけ。"」
「"全力で補助して!"」
「はい!」
「分かりました。」
「う、うん!」
三人が返事をする
その時アヤネの声が通信から響いた
『先生!』
『こちらからも援護射撃できます!』
「"お願いアヤネ!"」
『了解です!』
ヘリの機関銃が唸る
――――ダダダダダダダダダッ!!
ヘリからの機関銃の雨が、アンブロジウスに降り注ぐ
ノノミが笑う
「アヤネちゃん、ありがとうございます~!」
『い、いえ!』
アンブロジウスが
その銃撃に反応する
ほんの一瞬、視線が上へ向いた
「"今!"」
私は叫ぶ
「"アル!"」
「――了解!」
茜色の光が再び銃口に収束する
しかしアンブロジウスも同時に手を掲げた
「"・・・!"」
神秘圧縮弾
「"まずい!"」
私は叫ぶ
「"同時撃ちは――!"」
その瞬間
「うへぇ、それはさせないよ~?」
ホシノが前へ出た
アンブロジウスの腕を
盾で横から叩き上げる
――ッ!
神秘圧縮弾が
上空へ逸れた
そして
空へ向かった閃光が
雲を吹き飛ばす
「・・・うわ。」
ハナコが空を見る
「・・・これ。」
「もし正面から受けていたら・・・。」
コハルが震える
「絶対ダメだった・・・。」
「"だから言ったでしょ。"」
私は答える
「"まともに攻撃を受けない。"」
その直後
「片手でも命中させられるわ。」
アルが引き金を引く
茜色の閃光
ホシノが作った一瞬の隙を
そのまま貫くと共に、大きな爆発を巻き起こした
ドゴォォン!!!
「――――ッ!!」
爆発により吹き飛ばされたアンブロジウスの腹部に
二つ目の傷が刻まれる
「やったわ!」
アルが叫ぶ
「・・・社長、まだ。」
カヨコが呟く
「来るよ。」
アンブロジウスが傷口から漏れる神秘を振り払いながら
再び突進してきた
「"全員、下がって!"」
私は声を張る
そして
「ホシノ!」
「はーい。」
「アル!」
「任せて!」
二人が
同時に前へ出る
桜色
茜色
ダアァン!!
二つの神秘が同時に走った
その光が交差しアンブロジウスの巨体へ直撃する
ドゴォォ―――ンッ!!
強烈な爆発と共にアンブロジウスが吹き飛び
地面を何度も跳ね
ダガアァン!!
そのまま瓦礫へと叩きつけられる
「・・・倒した?」
セリカが呟く
私は銃口を向けたまま、アンブロジウスの様子を確認する
動かない
「・・・。」
ノノミも慎重に見る
「大丈夫でしょうか?」
アンブロジウスの身体を包んでいた神秘の光が
少しずつ薄れていく
そして
「・・・消えていく。」
ハナコが呟く
アンブロジウスの輪郭が崩れていく
「"ふぅ・・・なんとかなったね。"」
光の粒子へ変わっていくアンブロシアを見つめながら
私は少しだけ息を吐いた
後書きぃ!!
のんびりまったり、
書いてたら2万文字いったので二つに分けてます!
それにしても今回は戦闘描写にちょっと困りました!
ブルアカ名場面で1,2を争うあの場面ですね!
ちなみにこの世界には魔術や魔導といったものが存在するので、
この時ヒフミがした事をそれに当てはめて説明する事も出来るのですが、
それをすると、今後の展開のネタバレになっちゃうので、
なんかヒフミがヤベーことをしたってだけ覚えておいてください!
そのヤベーことに、追加でヒヨリとミサキの洗脳が薄まってたりします。
それにしても、今回は通して戦闘描写にちょっと悪戦苦闘しました・・・
とりあえずアンブロジウスの化物感は出せたかな・・・?
原作のアンブロジウスよりも数倍強化が入ってます!
なんせ、神秘を使えるので、正直前に話してたキヴォトス生徒最強ランキングの中でも
上位5名しかダメージが入れられないので・・・
まぁこの戦場にその5名の内3名がいるのがアレなんですがね・・・
今日のセイアに関しては、次のお話に持ち越しで!