内務局員アンナはお掃除をがんばります!   作:朝日橋立

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十話め 仲良くします!

「やっ、調子はどうですかね」

 

 後ろからドミトリー・ジェーヴシキンの手元を覗き込んだ。

 彼はナイフを整備していたようで、その灰色が目に映った。

 

「邪魔をするな」

 

 こういったのは勿論彼である。

 やはりというか、当然と言うべきか……。私は彼に嫌われてしまっているようである。

 たぶん私の能力に不安を覚えているのかなと思う。

 現に彼はマルファさんも同様に嫌悪しているようだ。

 

「ところで今日の授業って何するんでしょうね。近接だったら私は嬉しいですよ。頭を使うのも好きなんですけど、身体を動かすのも好きなので」

 

 この数週間で気付いたのは、思ったよりも他の隊員たちが有能だということだろう。

 ジェーヴシキンさんが疑問視しているマルファさんも同様だ。

 そして、誰かが特別抜きんでている訳でもない。

 強いて言うなら、カラーモフさんだろうか? まだあんまり会話の弾まない人だ。

 

「俺は頭の方が好きだ。お前とはあわん」

 

「へえ、何が好きですかね。私は基本どれでも好きですよ」

 

 これ以降ジェーヴシキンさんには無視されてしまった。

 どうやらこれ以上は会話に応じてくれないようだ。

 ああ、何て冷たい……。

 

 さて、ジェーヴシキンさんとの関りは今のところこれでよいだろう。

 わざわざ悪感情を引き出すのも得策ではないだろうしね。

 それに善い人なのかはまだ分からないが、彼だけに注視しているわけにもいかない。

 

 手が足らんよ、これは。

 でも、カレーニンさんから頼まれたのだしね。

 ……まだまだ頑張ってこ。

 

 

 

 

 空が青いなと思った。

 確かあの空は積乱雲というのだったろうか?

 

「ふふふ、私の勝ちだね」

 

 差し出されたマルファさんの手を掴む。

 これでもお仕事で近接格闘もやってるのにな、と少しの悔しさがあった。

 たぶん彼女の運動能力が優れているか、鈍ったのだろう。

 

「勝てると思ったんですけどね」

 

「アンナちゃんは軽いからね。そう軽すぎるんだよ」

 

 笑った調子で言われたことは少しショックだった。

 やはり年齢差というべきか、対格差というべきか……。これは埋めがたい。

 ……だとしても、そう易々と投げられるのは癪だ。

 

「もう一回ですよ。もう一回」

 

 他の部隊員を見る。ジェーヴシキンさんはケーレルさんと組んでいるようだ。カラーモフさんは他の分隊員とやっている。

 特に思うことと言えば、ジェーヴシキンさんは反射神経が強いのかなと思う。

 ケーレルさんはよく分からない。カラーモフさんは教本通りな感じだ。

 

「よし、今度も勝って見せよう」

 

 マルファさんの煽りに乗っかることにした。

 決して何か情動があった訳ではない。

 

 結局のところまた投げ飛ばされてしまった。

 ちょっと足を引っかけたりと小技を弄したのだが、対格差の前にはどうしようもなかった。

 そうだな……しいて言うなら魔法だろうか? 対格差に依存しない武器を有さないといけない気がした。

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