制服を緩く着るというのはあんまりない。
それも下手にそんな風にして、他人に目を付けられるというのもあんまり意味がないからだ。
しかし、現状少し着崩しているのは少しばかりの横着によるだろう。
偶然にも寝坊をしたというべきか……。
まあ少しばかりこちらに問題があったことを否定しない。
「すいません、すいません。遅れました」
こんな風にマルファさんに謝る。
彼女はあんまり見たことのないような、所謂私服と言われるものを着ている。
「あっ、久しぶりだね。アンナちゃん」
「はい、えっと……。覚えてるものかと思いましたが、あんまり時間は記憶してませんでした」
さて、ヤウザ士官学校の二ヵ年目が終わり、大体のところ学校生活も半分に差し掛かった休暇であった。
それも終わってしまって、これから三ヵ年目が始まる。
休日と言ってもあんまり長いものではない。
そもそも私は内務局の方には帰れないので、普段通りの生活の焼き直しとなった。
あっちの方に出入りしているのを見られてもまずいというのもある。
もっとも普段よりも手紙は頻繁に出したと思う。
これは内務局の同僚であるとか、あるいはもっと別な人であるとか……。
結局私はヤウザの外に知り合いはあんまりいないので、そんな遠方にはあんまり出していないのだけどね。
「こっちはあった? 面白いこと」
「そうですね……。学校の中からあんまり出てませんが、五月祭というべきかメーデーというべきか、お祭りがあったはずです。そっちはどうです?」
「うーん、たぶんこっちと同じだと思うよ。五月祭で遊んで、あとはゆっくりと過ごしてたな」
案外こことサンクト・ピーテルとでは生活が変わらない様だ。
しかし、あそこは元々貴族の街であるし、何かは違いそうなものだと想像は膨らむ。
よく記憶の彼に子供らしいと揶揄われることであるが、古都への興味というのは生まれていた。
「あっ、そうだちょっとしたものだけどお土産持ってきたんだよ。見てみて」
彼女は包み紙をとると、ものを見せてくれた。
知らない街の描かれた綺麗な箱である。
「これは?」
「チョコレートだよ。あっ、これは旧大聖堂だね」
「へえ。高かったんじゃないですか?」
「まあ、それなりに……」
お値段は聞かないことにした。
あんまりに高いと何も準備していないことが申し訳なくなってしまう。
さて、こんな会話の後には少しお茶を飲んでから寮に帰ってきた。
普段よりも人が少ないなかでお茶を準備して再びお茶会が始まった。
「あっ、美味しいです」
「だね、私も初めて食べた」
「へえ、確かに買わないものですよね。私もこんな豪華なの買ったことありませんよ」
「ええ嘘でしょ、時々高そうなの食べてるのみるけど?」
「それは貰い物ですね。外の知り合いが時々送ってくれるんですよ」
「お金持ちだね」
「どうでしょう……。あんまり知らないですね」
というのも送られてくるのは大抵仕事の報酬とばかりである。
そもそもとして送り主を知らないのだ。
幾つかの話を挟みながらもお茶を飲み続けた。
途中から私の秘蔵のものなんかも出して、とても楽しかったといえる。
ちょっとした余談。
物語全体を通していわゆる歴史ネタというべきか……。
そのように解釈できる物語なので、ウィキネタ的なのを作ろうかなと思っていたりします。掲示板形式的なノリですね。
実際やるかは未定なのですが。