「うーん……これって21を超えたら飛ぶんですよね」
「そうですね」
「そうですよねー」
カードを手に持って少し頭を使っていた。
手元のカードの合計は16だ。
5が来たら勝てるのだが……。
「スタンドでお願いします」
バーストの恐怖に負けてしまった。
いや、しかしまだ勝てる可能性は十分にあるのだ。
……勝ってくれー。
カードが公開される。
……負けた。
うーん、やっぱりヒットするべきだったか。
「いやあ、難しいですね、これは」
どうにもやることがなくカードゲームを小隊員と興じていた。
今のところは殆ど勝てていない。
……何かいかさまでもやられていないだろうか。
いや、まああり得ないだろう。
酔っぱらった彼らがそんな高度なことができると思えない。
……するとこれが実力なのか。
「皆さん強すぎですよ。どうやってるんです?」
「酒ですよ、酒。考えちゃダメなんすよ」
「お酒ですか……。ええー、それは嫌ですよ。皆さん強いお酒が好きじゃないですか」
以前、この小隊に配属されたときに一緒にお酒を飲む機会はあった。
あったのだが彼らは強い酒をペースを考えずに飲むのだ。
ただでさえ苦手な私はげーっと吐いてしまった。
「ああー、もうこんな時間ですか。失礼しますね」
「お疲れ様でーす」
「はい、皆さんお疲れさまでした」
少しばかり歩いた。
冬のバトルはとても寒い。
ただ降る雪はヤウザで見るものと変わらず、やっぱり綺麗なものだ。
ふう、と息を吐けば白い靄が出てきた。
ふふ、と笑ったのは私である。
快い気分だった。
……笑わないでほしいよ。
ほら、気持ちの良い夜ですもの。
記憶の彼はあたふたした。
可愛らしいものである。
……生活を想像したことがある。
拙いながら生活だ。
もっと普通な……。こういうと分からないが、もっと遠いところにいる想像だ。
それは何か良いことなのかもしれない。
所謂平凡な、普通な生活なのだろう。
しかし、想像は出来ないものだ。
お母さんというのはあの人だ。春を売ることしか知らないあの人しか知らない。
お父さんは知らない。そもそもどんな人なのだろうか?
今を変えたいとは思わない。
これは多くを望んでない質素さではない。
十分幸せだと思うからだ。
……昔から言っているだろうに。
憐れまないでほしいな。
君の幸せはきっと、君だけの幸せだ。
私の幸せが君に理解が出来ないようにね。
だから、君は君で私は私なんだ。
そんな悲しい声をかけないでほしいな。
結局は運と視点だ。
それらによって不確定なままに、確定するんだよ。
もし確実、絶対的なものがあるとしたら知らないことだけですよ、きっとね。
「あっ、川が凍ってる。今朝はどうだったかな……」
ほら記憶も薄らいでしまうものだからね。
閑話を含めこれで三章は終了です。
ありがとうございました!
第四章をお待ちください。
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