オラリオで娯楽革命を   作:寝心地

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深度

聖なる光が止みディース姉妹のスティレットが砕けベルの体を蝕んでいた呪詛が解ける。

 

「解呪の魔法…………あれだけの攻撃を受けながら発動させた魔法が、たったそれだけの為に?」

 

ディナは崩れ落ちた得物を眺めながら震える声でそう呟く。

 

計り知れないダメージを負い死ぬかも知れない1人での長文詠唱で得た恩恵は呪詛の解呪と敵の武器の喪失のみ。

 

詠唱途中に命を落とすかも知れない事を考えれば全く割に合わない。

 

「一体…………………貴方一体、何なのよ!!」

 

その歪で不釣り合いなやり方に2人は言いようのない恐怖を感じベルから距離を取る。

 

「私は君達と同じく破綻者だ、万人が美しいと思うものを美しいと思えず、万人が嬉しいと思う事を嬉しいと感じられない」

 

ベルはそう言いながらディース姉妹に近付いていく。

 

「生まれながらに善よりも悪を愛し、醜いものを好み他者の不幸と苦痛に幸福を感じる」

 

そこまでいいベルは足を止める。

 

「な、なら私達の様に人をいっぱい()せば良いじゃない!!」

 

「そうよ!!貴方も此方に来て人をいっぱい()しましょう!!」

 

「愛……か、私はこれでも良識は備えている。この欠陥を正そうとした。その試みに()()()()()()()()。正確には、そう出来れば良いと思い、子も成した。その結果、私は彼女を愛せなかった、彼女は私に自分を愛していると言い残し自ら死を選んだ、だが、それは勘違いだ、何故なら」

 

ベルの死んだ赤い瞳が二人を射抜く。

 

「その悲しみは彼女の死がではない、【どうせ死ぬのなら、私の手で殺したかった】と言う損得感情でしかないのだから」

 

その瞬間、ディース姉妹だけでなくその場にいるヘグニもヘディンも同じ事を思った。

 

もし、破綻に海の様に深度があるのだとしたら、ディース姉妹のそれは浅瀬も浅瀬、しかし目の前にいる道化師がいるのは人も神も到達した事の無い深海にあるのだと。

 

同時に、ベルは一瞬でディース姉妹の懐に潜り込み再び剥き出しのその腹部に痛打を飛ばす。しかし今度はディース姉妹側がベルから距離を取る様に飛び下がり衝撃を後ろに逸らす。

 

その顔は恐怖に染まっていた。

 

「良いぞ、その絶望はこの上なく芳醇だ」

 

「「ヒッ!?」」

 

子鹿の様に震える体で互いを抱きしめ合いディース姉妹は涙目で後退る。

 

「ゴラアアアアアアアアアアアア!!」

 

そこにバシン!!とハリセンを持ったリュウイチが現れベルの頭を引っ叩く。

 

「状況に呑まれるなアホ!!お前は言峰綺礼じゃないだろうが!!」

 

「………………………………ハッ!?ぼ、僕は何を」

 

「言峰綺礼の意識に引っ張られてた、と言うかほぼ本人に成り代わられてたぞ」

 

「す、すいません」

 

「行くぞ、此方の掃討も終わった、もう此処に用はないさっさとあの二人を…………あ?」

 

リュウイチが見るとそこにディース姉妹の姿は無く瓦礫の山のみが残されていた。

 

「しまった逃げられた!!急いで追いかけるぞ!!」

 

「はい!!」

 

こうしてその場にヘディンとヘグニのみを残しリュウイチ達はディース姉妹を探し回ったが結局見付ける事は出来なかった。

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