オラリオで娯楽革命を   作:寝心地

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タイムリミット

それからもベル達は【道化師(ジェスター)】としてあちこちを助け回った。

 

その噂はあっという間に人々の希望となった。

 

闇派閥の作戦を1つ潰す度に噂が増え噂が増える度に呼び名が増えていく。

 

道化師(ジェスター)】【狩人】【聖職者】そして【正義の味方】

 

「これが、アーチャーが見ていた景色か」

 

不意にベルは誰も居なくなった中でそう漏らす。

 

不殺を心掛けているが必ずしもそれが完遂される訳では無い、人質を取られる・罠を張られる・不意を打たれる。他にも殺さざるを得ない状況は無数にある。

 

文字通り少数を切り捨て多数を救っている。これが人類史が続く限り彼は繰り返すのだからたまらないだろう。

 

(手段が雑になってる。死んでないから良いだろうは考え的に不味い、僕が居なくなった後も治療が間に合わなかったら死んでしまう深手は避けないと…………クソ、考えが纏まらない)

 

いっそ常に言峰綺礼になれば楽になるだろうかととんでもない考えまで浮かぶ事もある。

 

(本当に時間がない、()()()()()()()()()()()()

 

それからどれだけの時間が進んだか、10日?5日?或いは1分や1秒しか進んでないのかも知れない。

 

微睡む意識の中でベルはクノッソスを出る。

 

「やぁ、君が噂の道化師(ジェスター)かい?いや、正確にはその1人、と言うべきかな?」

 

「ッ!!」

 

慣れ親しんだ胡散臭さ満点の声にベルの思考はクリアになり前を向けばそこにはヘルメスがいた。

 

「漸く足取りを掴めた、会いたかったぜ、愛しの道化師(ジェスター)、いや、イレギュラーと言った方が良いかな?」

 

「ヘルメス様、僕も会いたかったです」

 

「俺の事を知ってるのか、なら話が早い、このオラリオを掻き回す君は、一体何者だい?」

 

「その辺りは…………いえ、後は任せます」

 

ベルはそう言うと何処かへ走り代わりに何かが落ちてくる。そこに居たのはボロボロになったリュウイチだった。

 

「よぉヘルメス様、こんな格好で悪いが先にやるべき事をやらせてもらう」

 

リュウイチはヘルメスの言葉も無視し懐からとある物を取り出す。それは金属で出来た片手に収まる位の球体。

 

「コイツは闇派閥が使ってる第二の迷宮の鍵だ、好きにしてくれ」

 

そう言うとリュウイチはヘルメスに鍵を投げ渡す。

 

「本当に君達は一体何者だい?」

 

「……………………未来人」

 

「ミライジン?未来人と言うことか?君達は未来からきたと?」

 

「ああ、証拠に背中を見ればわかる」

 

リュウイチが背中を開けさせるとそこには聖火の印が刻まれていた。

 

「あんたらが知りたい情報は此処に載ってる。活用してくれ。俺が出しゃばれるのは此処までだ」

 

リュウイチはヘルメスにその紙束を渡すとその体が光り透明になっていく。

 

「ベルも限界みたいだしそろそろ帰る時だ、じゃあなヘルメス様」

 

「ああ、また運が良ければ会おう、未来人君」

 


 

同時刻、ベルも限界を迎え適当な場所でへたり込んでいると

 

「アル!!」

 

アーディが現れベルの偽名を呼ぶ。

 

「アーディさん…………」

 

「その体どうしたの!?消えかかってる!!」

 

「もう起きてられなくて…………夢が終わっちゃうんです」

 

「何言ってるの!?分からないよ!!」

 

「もう、時間が無いんです、だから」

 

ベルはそう言うとアーディに2つの贈り物を残す。1つは緑色の宝石の首飾り、もう1つは

 

「【投影、開始(トレース・オン)】」

 

2振りの中華剣干将・莫耶、その内の莫耶

 

「この剣が貴女をきっと守ってくれます」

 

「ッ!!……………………困っちゃうなぁ〜男の人のプレゼントなんて、お姉ちゃんに怒られちゃうよ」

 

「ごめんなさい、でも…きっと」

 

「うん、ずっと持ってる、君からの贈り物、だからっ…………また会えるよね、アル!!」

 

「はい、絶対会えます」

 

ベルはそう言い遅れてやってきた【アストレア・ファミリア】の面々の前でその姿を消し【道化師】の噂はピタリと止んだ。

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