「「ん〜」」
ヘスティアとタケミカヅチは目の前の新作ゲームをクリアし難しい顔をしていた。
「正直、神受けはしないと思う」
「と言うか人の子も恐れ多いとか何とか言って買わないんじゃないか?」
それが2人の感想だった。
「う〜ん、やっぱりそうですかね?」
「やっぱり神が身近にいるとそうなるか?」
「でも爽快感はあったよ」
「ああ、題材が悪いだけでゲーム性は良かったと思うぞ」
「まぁ、取り敢えず完成しましたしアスフィさんに録画も放送出来る様に改良してもらったこの改良型プロジェクターも使ってみたいし取り敢えず宣伝だけでもしてきます」
ミユはそう言いプロジェクターを持ち外へ出た。
何時も宣伝を行っていた噴水広場、そこに机とプロジェクターを置きプロジェクターのスイッチを入れる。突然空中に絵が浮かんだ事で住人達は何だ何だと集まって来る。
『魂を捨ててまで求めたのは、神をも脅かす、圧倒的な力』
リュウイチが限界までトーンを落とした声がオラリオに重く響き渡る。
同時に背後で鳴り響いていた人命と思わしき名を呼ぶ男女どちらとも着かない甲高い声と重厚な音楽。
更に画面には双剣を操り人々を惨殺するスキンヘッドの上裸の男が映っていた。
【愛する家族を奪われ】
【男は復讐の鬼と化す】
【GOD OF WAR】 本日発売
その映像が流れると同時に映像は終わりミユはそそくさと荷物を片付け本拠に戻る。
1時間もしない内に神々が新作のゲームをくれと群がって来る。
タケミカヅチを含めベル以外の全員がフル稼働で売れていくゲームを捌き内容が内容だけに余り売れないだろうと高を括っていたミユとリュウイチは追加で作る羽目になった。
数日後
「ヘスティア!!あんた何とかしなさい!!」
突然目の下に真っ黒な隈を作ったヘファイストスが泣きながらそう叫び店に飛び込んで来た。
いきなりの事に何事かと話を聞いてみると【GOD OF WAR】の販売から日も回らない内に神人間問わず、皆口を揃えてこう言いに来ると言う。
『【ブレイズ・オブ・カオス】打ってよヘファイストス!!』
と、知らない人の為に解説すると【ブレイズ・オブ・カオス】は【GOD OF WAR】の主人公クレイトスがアレスとの契約により賜ってしまった鎖付きの双剣、特徴的なのはこの双剣に付いた鎖が伸縮する事で鞭の様になったり引っ掛けて壁を登ったりと多種多様な使い方が出来ること。
「どいつもこいつも【ブレイズ・オブ・カオス】【ブレイズ・オブ・カオス】…………冗談じゃないわ!!誰があんなもん作れるか!!双剣の方はまだ良いわ、伸び縮みする鎖に炎属性つけろ!?そんな物下界にある素材で打てるもんですか!!もっと悪いのは椿が本気であの双剣を再現しようとしてる所よ!!」
「神様には受けが悪いと思ったのに皆割とノリノリだな」
「楽しければ良いやの精神が出ちゃったのかもね」
こうしてヘファイストスは暫くゲーム由来の無茶振りをされまくる事になるのだが、それはもう少し先の話。
【ロキ・ファミリア】のロキの自室
そこでロキは買ったばかりの【GOD OF WAR】をしていた。
『アテナ!!』
船に乗ったクレイトスが名を叫ぶと船に付いていた石像の目が開く。
『十年だアテナ!!私が神々に仕えて十年になる!!何時になればこの悪夢から解放してくれる!!』
『では最後の使命を与えましょうクレイトス、最も困難な使命がアテネで待っています。そこでは私の兄アレスが街を包囲しています。アテネは存亡の危機に瀕しているのです。アレスの望みはあの街を滅ぼす事、ゼウスは神同士が戦う事を禁止しています。だから貴方でなければならないのです。アレスを倒すのは神から力を受けた貴方だけが頼りです』
『もし私が神を倒せれば、この悪夢は消えるのか?』
『この使命を果たせれば、過去の行いは許されるでしょう、信じなさい、神々は約束を違える事はありません』
その後クレイトスの【ブレイズ・オブ・カオス】から放たれる豪快な薙ぎ祓い攻撃の爽快感に酔い痴れていたロキはゲームを進める。
そうしてラスボスであるアレスを殺したクレイトスはアテナの元へ向かう
『アテナ、あの忌まわしい悪夢がまだ消えぬ』
『良くやりましたクレイトス、兄が死んだとは言え貴方には恩を感じています。貴方の罪を許すとは約束しました、それは守ります。しかし悪夢を消すとは約束していません。神と言えども貴方の忌まわしい記憶を拭う事は出来ないのです』
「か〜!!とんだ詐欺師やなアテナ、まぁ確かに記憶を消すとは一言も言わんかったけどそれでよぉ10年も振り回したもんやな」
最後にはクレイトスが山から身を投げそれすらもアテナは阻止しアレスが死んだ事で空白となった戦神の席にクレイトスが座りゲームは終わった。
「半神半人の戦神か…………中々おもろい話やったな、しっかしあの武器は神連中にウケるかもな」
ロキは知る由もないが現在進行系でその被害に遭っている鍛冶神が元凶に泣き付いてる所だった。