「………………………………はぁ」
命はため息を付きゲームカセットを次々と棚に置いていく。
その光景をベル達は部屋の隅から見る。
「本日4回目のため息、アレは確実に何かあったな」
「兄さん数えてたんですか?キモっ」
「馬鹿言うな、あんだけ盛大なため息を吐かれたら陰湿な店と思われるだろう。お客様にそう思われない為にも従業員のメンタルケアは必須だ」
「ならリリは待遇の改善を要求します。今のままでは間違いなくキャパオーバーです、大体ヴェルフ様も【ヘスティア・ファミリア】に改宗したんですから従業員としてカウントして下さいよ」
「それは出来ないな、そんな事をして武具の質を落とされてはお前やベル、そして命の生存率が下がってしまう。だから彼には鍛冶師専門としてうちに来る様な契約にしたんだ」
「言い返せないのが腹立ちますね。それで?どうするんですか?」
「まぁ、素直に聞いても命さんの性格なら『何でも無い』の一点張りでしょうから」
「「動き出す時にコッソリ後を着いていくしか無い」」
「前から思ってましたけどこの兄妹常識がゲームから来てません?」
「「そんなに褒めるなよ/ないでよ」」
「…………はぁ」
そんなこんなで営業が終わり夜、皆が寝静まる頃
ヘスティアを除いた全員で抜け出した命の後を追う。
「此方の方角は確か…………」
「歓楽街ですね」
「歓楽街……………………ああ、風俗の事か」
「はっきり言うなはっきり」
「でも何で歓楽街?」
「あ!!動きますよ!!」
結局命は歓楽街の前で【タケミカヅチ・ファミリア】の千草と合流し歓楽街の中に入っていく。
「本当に歓楽街に来ましたね」
「でも何で?【タケミカヅチ・ファミリア】もうちでタケミカヅチ様がバイトしてるお陰でそこまで財政は苦しくないって言ってたよね?となると身売りって事は無いと思うけど」
「兎に角後を追ってみましょう」
その後、2人の後を追いかけるが陥落特有の空気に翻弄されるばかりで何がしたいのか分からない。
「仕方無い、ちょっくら手ぇ貸してやるか」
見かねたヴェルフとリリルカが仕方無しに助けに入り群がる男連中を追い祓った所で事件が起こる。
「あれ?ベルは?」
ミユの言葉に命と千草以外がキョロキョロと辺りを見回すがベルの姿は無い。
完全に焦った一行は夜が明けるまで歓楽街を走り回る事になりベルはその間アマゾネスとヒキガエルに追いかけ回されていたと言う。
「………………………………で?」
当然の事ながら何も知らないヘスティアは全員を正座させ歓楽街での事を吐かせる。
「全く、サポーター君が居ながらなんてざまだい、ミユ君とリュウイチ君も、【聖火の遊技場】のイメージダウンに繋がると思わなかったのかい?」
「ヘスティアから正論が出るとは思わなかった」
「まさかヘスティアが【聖火の遊技場】の会長らしい事を…………」
「君達は僕を何だと思ってるんだい!?」
「マスコット9割会長1割のほぼマスコット」
「肝心な時にしか役に立たない女神」
「君達は……………………そこまでいうなら僕にも考えがある」
ヘスティアの言葉に2人は何か意図を察したのか顔をしかめる
「「ま、まさか」」
「戦争遊戯で最も戦果を挙げたベル・クラネルの主神として【聖火の遊技場】に要請する!!【僕とベル君のイチャイチャ主題のゲーム】を作れ!!」
「「ぎゃああああああああああああああああ!?」」
当然そんな物が売れる筈も無く【聖火と兎】と銘打たれたこのゲームは空前の大爆死を遂げ後に【聖火の遊技場】の黒歴史と呼ばれる様になりヘスティア以外プレイし続ける者は居なかった。
因みに命が歓楽街に行ったのは昔の友達を見つけるためだったらしい。