オラリオで娯楽革命を   作:寝心地

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乗り越える時

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

【疾風】の前で業火が燃えている。地を焼き空気を焼き風を焼く。

 

彼に牙を剥く者は何人も肉片と化し灰となり散っていく。

 

しかしその炎を【疾風】は暖かく感じた。

 

『逃げられはしませんよ、スパルタ人、真実から幾ら目を背けようとも何も変わりません。貴方は偽りの自分を演じる事しか出来ないのです。指導者、夫、父親』

 

『そして、逃れられない運命の鎖に縛られている。貴方は変われない、貴方はこれからも永遠に、獣のまま』

 

響くのはとある女神が獣に送った言葉、破壊を象徴し葬り去った過去に手を伸ばした男に送った後悔を強いる言葉。その言葉に男は

 

『そうだ、だが最早お前の飼い犬ではない』

 

そう返した。

 

(そうだ、何時迄も同じでは居られない)

 

【疾風】は立ち上がる。自分を照らす業火を聖火へ変えるために。【疾風】の名を何時迄も悲劇のままにしておかない為に。

 

「【今は遠き森の空。無窮の夜天に鏤む無限の星々。愚かな我が声に応じ、今一度星火の加護を。汝を見捨てし者に光の慈悲を。来れ、さすらう風、流浪の旅人。空を渡り荒野を駆け、何物よりも疾く走れ 星屑の光を宿し敵を討て】【ルミノス・ウィンド】!!」

 

風は業火を燃え上がらせる。より高く、より熱く、より激しく

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

【疾風】リュー・リオンはこの日、ジャガーノート(悲劇の元凶)を乗り越えた。

 


 

「さて、色々あって大変だったと思うが今日は【聖火の遊技場】の金だ、存分に飲み食いしてくれ、乾杯!!」

 

『かんぱーい!!』

 

ベル達が救出された数日後、【ヘスティア・ファミリア】は予定通り宴会を開いていた。

 

ベル達は無事ダンジョンから帰還したのだが、ここから忙しかったのが、リュウイチ達地上に残った組だった。

 

まず今回の事件の影響で備品が壊滅的被害を受けた。ベルの装備で無事だったのはヘスティア・ナイフ等少数、更に怪我の治療に高いポーションや【ディアンケヒト・ファミリア】の【戦場の乙女】の治療費等など、遠征としては大失敗に終わった。

 

「ま、最初の内はそんなもんだろ。ここまでの損害もイレギュラーにイレギュラーが重なって起こった事だ。ここまでの事もそうは無いだろうしな。こういう時は飲んで忘れるに限るぞ」

 

リュウイチはそう言いそれぞれの体調がある程度回復したので、今日こうして宴会を開いた。

 

ベルの両隣にはリリルカとリューが陣取り、ベルの世話を焼いていた。

 

「グヌヌヌヌ、サポーター君だけに飽き足らずエルフ君まで!!」

 

「しょうがないだろ。今日はアイツラの日だ」

 

こうして宴会を楽しんだ翌日、ノリで飲み慣れない酒を飲んだベル達は仲良く二日酔いになったと言う。

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