「王手」
「コーン!?」
「グヌヌヌヌ、な、ならば此方に【銀】を打てば」
「ほい」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
現在【ヘスティア・ファミリア】ではベルの療養もありのんびりとした時間が流れていた。そんな暇を持て余した彼らは春姫と命の提案もあり極東のボードゲーム【将棋】を遊んでいたのだが。
「王手、詰みだね」
「…………………………………………」
リュウイチとミユに蹂躙されていた。
「おかしい!!絶対おかしい!!春姫さんや命さんは一日の長があるから分かりますがお二人が幾らゲームが得意だからってこれは流石にあんまりです!!」
あまりの蹂躙っぷりにリリルカは思わずそう声を上げベル達もうんうんと頷く。
「お二人は将棋をしたことがあるのですか?」
「まぁ、爺ちゃんにタップリ仕込まれたからな」
「結局1度も勝てませんでしたね〜」
春姫の言葉に2人は懐かしむ様に天井を見上げる。普段は酒ばかり飲んでいたがたまに将棋を持ち出し挑むとそれはもう見事に蹂躙された。戦績は覚えている限り2人合わせて68戦68敗0勝である。
「お二人でも勝てないお祖父様って、何者ですか」
リリルカの問いに2人は互いの顔を見合わせる。
「まぁあの時は俺達も幼かったからな、見事に蹂躙された」
「本当、【玉】を逃がすだけで精一杯って感じでしたよね。1手指し間違えるだけで総崩れって感じで」
死んだ目でハハハと笑う2人に一体どんな人物だったのかと思いを巡らせる。
いつの間にかゲームは通常の【将棋】から【将棋崩し】や【将棋回し】へと移行していた。
「ふぅ、休憩休憩」
リュウイチとミユはある程度遊び尽くすとソファに座り残りはベル達に遊ばせる。
「お疲れ様、あそこまでしなくても良かったんじゃないかと思わないでもないけど」
2人がソファに座るとヘスティアが紅茶の入ったカップを2人に渡しベル達の遊戯を見守る。
「ヘスティアは参加しなくて良いのか?」
「僕は見てるだけで十分さ、そう言う幸せもありだろう?」
「…………そうだな、さて、今回の件で新しいゲームも思い付いたぞ」
「新しいゲーム?どんなのだい?」
「家族と言ったらやっぱりアレだろ」
その言葉にミユはある程度予想が立ったのかポンと手を打ち鳴らす。
「アレですね!!早速作りましょう!!」
2人はそう言うと作業室に籠り2時間程で再び顔を出す。
「あれ?早かったね、もう出来たの?」
「ああ、これは多分流行るぞ、名付けて【オラリオ人生ゲーム】!!」
「人生」
「ゲーム」
2人はルールを説明し今度はヘスティアも混ぜ人生ゲームを遊んだ。
尚、1位はベルがぶっちぎりの金額と速さで勝利し逆にヴェルフとリュウイチは借金まみれでゴールする事になった。
私も良く祖父に将棋を挑んで蹂躙されてました。