宴会から数日後、【ヘスティア・ファミリア】は全員でダンジョン3階層に来ていた。そう、全員で、である。
「はぁ、何だって私達まで」
「文句言うな、ヘスティアの言葉にも一理ある」
ミユは文句を垂れながらダンジョンに進み、そんなミユを嗜めながらリュウイチが剣を振る。
彼らが行っているのは所謂【経験値稼ぎ】と呼ばれる低Lvの者の強化だ。未だLv1のミユとリュウイチ、そして春姫に少なくとも自衛出来るだけの力を付けさせる事が目的だった。
「あの2人は何だかんだ言いながらちゃんと戦えてるな」
「うん、異端児達に会いに行った時も自衛は出来てたから、後は本当にステイタスを上げるだけだね」
「ああ、問題は…………」
ヴェルフは2人から目線を反らし反対側での訓練を見る。そこではゴブリンに群がられボコボコにされている春姫がいた。
「あ〜あ〜、こりゃあ駄目だな」
「ま、まぁ、春姫さんは戦い始めたばかりだから」
「とは言えなぁ〜剣も槍も薙刀も刀も駄目、大槌や大剣の類は論外、未だに適性のある武器も分からないときちゃあ正直お手上げだぜ?」
「う〜ん、ちょっと2人にアドバイスしてもらおうかな?すいませ〜ん、リュウイチさ〜んミユさ〜ん!!」
「あの2人の力を持ってしても私はお手上げだと思うけどねぇ〜」
たまたま居合わせたアイシャも走っていくベルを見送りながらそう言い、ヴェルフもそれに同意する。
ベルは2人の名前を呼び走って来るのを見た2人は戦闘を止める。
「どうしたベル?」
「何かあった?」
「いえ、あの、春姫さんに戦い方とか適性のある武器を教えてあげたりって…………」
「私達戦闘の素人なんですけど」
「わ、分かってます。けどほら、お二人はゲームで武器の知識も豊富ですし、そう言う人の武器とか…………」
「う〜ん、要は戦いの素人でも敵を倒せる様な武器って話でしょ?そうなると私達が思い付くのはやっぱり【銃】しか無いけど」
「銃…………あの【バイオハザード】ってゲームに出てくる武器ですね。でもあれって架空の存在じゃあ…………」
「私達の故郷ではちゃんと実在してたよ。まぁ危ないから一般人が触れる機会は無かったけど、仕組み位は知ってるから、ヴェルフと一緒なら簡単な物なら作れると思うけど…………やってみようか?」
「え?良いんですか!?」
「まぁ、多分ヴェルフなら簡単に出来るし」
「じゃあ早速帰ったらやってみるか」
そうして【経験値稼ぎ】を終えた【ヘスティア・ファミリア】は帰還し2人は早速ヴェルフを巻き込んで銃を作り始めた。
「じゃあヴェルフ、まずシリンダーから作ってね。仕組みは…………」
ヴェルフは新しい武器作りにワクワクしながらリュウイチとミユの指示に従い、パーツを作り始める。
「で、此方の中に火薬を詰める。これで弾は完成だ。後はこれを量産して春姫に持たせる。暴発したら冗談抜きで指が無くなるから気をつけろ」
「怖い事言わないでくれよ」
そうして三日三晩寝ずに作業したヴェルフはとうとうそれを完成させた。6連発大口径リボルバー爆誕である。
「じゃあ春姫さん、あっちの壁に向かって撃ってみて」
「は、はい!!行きます!!」
ドギャアアン!!
と破裂音が響き、その場に居合わせたほぼ全員が音の大きさに驚き耳を塞ぐ。しかし春姫は耳よりも銃の反動で上振れた腕の痛みに涙を流す結果になった。
「まあ、そこは練習してもらうしか無いね」
「これなら最低限の自衛は出来るでしょ」
「は、はい、ありがとうございます。これからも頑張ります!!」
そしてこの新たな武器の製作という偉業により、ヴェルフはかなりの上位の経験値を稼ぐ事が出来た。