「「………………………………」」
この日、リュウイチとミユは珍しく意見の相違が起こっていた。
「兄さん、流石にこのゲームは販売しない方が良いと思います。ネットでの批判なんて目じゃないくらいの批判浴びますよ。なんなら多分殺しに来ると思います」
「妹よ、我々のモットーは何だ?恐れず進む事じゃないか?」
「それはそうです。しかし100%来ると分かっている災害を避けないのは勇気ではなく愚行です」
「「…………………………………………」」
2人の意見の衝突を見ていた他のメンバーは珍しい光景を見守る。
「仕方無い、このままでは平行線だ」
「そうですね、では、例のアレで決めますか」
2人はそう言うと互いに拳を突き出しベルはあわや喧嘩かと2人を止めようとするが2人は止まらない。
「「じゃーんけん……ぽん!!」」
こうして
【あの大型オープンワールドRPGの続編!!】
【ディヴィニティオリジナルシン 2 発売決定!!】
リュウイチの勝利に終わったじゃんけんの結果ディヴィニティオリジナルシン2の販売が決定した。
そして販売翌日 ミユが販売を渋っていた理由が露呈する。
「ちょっとこれどういうことですか!!」
「そうです!!なんですかこの設定!!我々への冒涜です!!即刻訂正して下さい!!」
「責任者呼びなさい!!責任者!!」
ワラワラと【聖火の遊技場】では皆怒りの表情を浮かべ店員に文句を垂れていた。
店番をしていた春姫やレイは般若の如く怒る彼ら彼女らに完全に気圧されていた。
「たっだいま〜、ん?どうした春姫さん」
「あ!!ミユ様丁度良かった!!皆さんお怒りです〜!!」
春姫はミユの背中に隠れる様にそう言いミユはクレームを入れる者達を見る。皆が長い耳を持つエルフであり、これだけでミユは皆が何を言いに来たのか大体察した。
「え〜、皆さん本日はどの様なご用向きで?」
「どうしたもこうしたもありません!!先日お宅から販売されたこのゲーム!!エルフの設定です!!なんですかこれは!!」
(あ〜やっぱり)
彼女らの怒りを察したミユはそう思いながら遠い目をする。彼女達が怒る理由も無理はない、【ディヴィニティオリジナルシン 2】前作同様このゲームもまた様々な役職を選択し非常に自由度の高い設定となっているのだが今回は役職だけでなく種族も自由に選ぶ事が出来る。その中でもエルフと言う種族があるのだが、その設定が彼女らの逆鱗に触れた。
その設定とは簡単な話【森に住み死体の肉を喰らう蛮族】と言う設定だった。そう、死体を喰うのである、それも割と頻繁に、そんな物が販売されればこうなるのは必然だった。
(私は止めましたからね、兄さん!!)
「聞いてるのですか!!これは我々エルフを冒涜する行為に等しい…………」
「騒々しいな」
そこに氷を張った様な冷たい声が響き全員がそちらを見る。
そこにはエルフ達の憧れ女王リヴェリア・リヨス・アールヴがいた。
「り、リヴェリア様!!」
突然の王族の登場にエルフ達は膝を屈しようとするがリヴェリアがそれを止める。
「こんな場所で止せ、周りの迷惑だ、迷惑と言えば何を騒いでいる?」
「そうでした!!聞いて下さいリヴェリア様!!」
エルフの1人が事の経緯を説明しリヴェリアはそれを黙って聞く。
「成る程そういう事か、くだらん」
リヴェリアはエルフの話を聞いた上でその話を一蹴する。
「なっ!?私達を野蛮な【死肉喰らい】と謳うのですよ!?それの何がくだらないと」
「死肉を食うなど、我々エルフ以外は皆そうではないか、酒場で提供される串肉や焼き魚、ステーキに丸焼き、この世に存在する殆どのものが何かしらの死肉を食っている」
「そ、それは、そうですが」
「大体そう言うのは此方が黙っておけば一時噂は立つだろうが自然と消える。この店の品なら特にな、寧ろお前達の様に大騒ぎすればソレが火種となって他の同族達にも嫌疑が掛かるぞ」
リヴェリアの言葉に騒いでいたエルフ達は顔を真っ青にし始める。
「分かったらもう帰れ、私は忙しい」
「「「「「「は、はい!!失礼しました!!」」」」」」
エルフ達は最後にそう挨拶しあっという間に退散した。
「こんにちは〜!!さっきエルフの人がいっぱい出ていったけど何かあったの?」
入れ替わる様にやって来たのはリヴェリアと仲がいいカードバトラーの少年、リヴェリアはフッと笑い「何でも無い」と言うと少年を手招きしバトルスピリッツを始めた。
「帰った?」
「帰りましたよ。兄さんもしかして」
「うん、リヴェリアさんにストライクと相性の良いカード渡して今日来てもらった」
「兄さんも大概ですがこのハイエルフ様案外暇なんでしょうか?」
ミユはそう言い少年とバトスピに励むリヴェリアに何とも言い難い視線を送った。