トントン
と扉を叩く音がリュウイチの部屋に響く、扉を開けるとそこには神妙な面持ちのヘスティアが立っていた。
「……………入れ」
そう言いヘスティアを中に入れると扉を厳重に施錠する。
「さてヘスティア、単刀直入に聞こう、何が起きてる?」
丸テーブルを挟み互いに向かい合う様に座るとリュウイチがそう切り出す。
「……………………全てはフレイヤの仕業だ」
少し間を置いて悔しそうにヘスティアは言葉を紡ぐ。
「フレイヤ?」
「ああ、フレイヤはオラリオ全体に【魅了】を行ったんだ」
「……………………その内容は?」
「【ベル君が【フレイヤ・ファミリア】の団員】と言う魅了だ」
「その言い分だとベルは」
「君の察してる通り、僕の眷属、そして君の後輩だ」
「俺の違和感の正体はそれか」
「逆に君は何故違和感を感じたんだい?」
ヘスティアが尋ねるとリュウイチはテーブルの引き出しからある書類を取り出す。
「これは?」
「うちに関する書類だ、まずはこれだ」
そう言いリュウイチが差し出してきたのはリリルカの手で書かれたであろうダンジョン攻略に必要な装備や道具の要請書。
「うちのダンジョン攻略出来る人員はリリルカ・ヴェルフ・春姫・命の4人、だがここに書かれている道具の量は明らかに5人分、それも中層や下層を想定されている。明らかに現状の戦力と釣り合いが取れない」
「そうか、フレイヤのあくまで【魅了】、改竄ではないから既に記録に残っている事は改変出来ない」
「ああ、そして次はこれだ」
そう言って差し出された書類には【売上貢献度】と書かれた書類、更にそこにはベルの名前が並んでいた。
「この名前が何なのかは分からなかった、多分これだけだったらミスかイタズラだと考えただろう。だがそこにいた痕跡が無数にあるのに存在しないなら、それはミスではなく本当に人が消えている証拠だ」
「リュウイチ君……………………」
「行くぞヘスティア」
「行くって何処に?」
「決まってるだろう。アポロンの時と同じだ、うちに喧嘩を売った奴らは潰す。その為にもまずはオラリオに目を覚ましてもらうぞ」
リュウイチはそう言うとヘスティアの頭をワシャワシャと撫でる。
「こら!!僕の頭をワシャワシャするんじゃない!!髪が乱れ……」
ヘスティアはリュウイチの顔を見上げるととても強い顔をしていた。
「リュウイチ君…………」
「頼みの綱はお前だ、頼むぞヘスティア」
「……………………うん、任せてくれ」
ヘスティアはリュウイチの言葉を聞いて覚悟を決めた目でそう答えた。