「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
炎を噴き出す双剣を振るいベルは目の前の相手に斬りかかる。
相手は冒険者達の頂点、【猛者】オッタル。そんなオッタルは叫びを上げ猛進するベルとは対象的に静かにその場から一歩も動かずゆっくりと背中に差していた大剣を抜くとゆっくりと構えを取る。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
「ふぅん!!」
2人の武器がぶつかり合い凄まじい熱気がオッタルの身をうっすらと焼く。
「ほぉ、この身を焼くか、その剣、単なる魔剣では無いな」
オッタルはその剣がどの様な物か知識が無かった。正確にはその剣の知識が何処に存在するかは知っていたがその情報を入手しようとは思わなかった。
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
呟くオッタルを意にも介さずベルは追撃を放つ、手から双剣を離し腕に巻き付いた鎖でその双剣を操る。大上段から鎖を振り下ろし鎖に引っ張られる様に双剣が上空からオッタルを襲う。
オッタルはその双剣を振り祓い武器を手放したベルに肉薄する。
「フンッ!!」
「ゴハッ!?アアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「ッ!!」
繰り出されたのは何の変哲も無い右ストレート、その拳を受けベルは息を吐き出すが次の瞬間には歯を食いしばりアッパーを繰り出す。
オッタルに当たりこそしなかったが間違いなくオッタルはその攻撃に驚愕し少し距離を取った。
観戦していたオラリオの住民は言葉が無かった。
オラリオ最強の男【猛者】オッタル、最強と言う称号は言う程に安くなくその意味には【並ぶ者無し】と言う意味が込められている。
しかし現在映像越しに見えている物はどうか?
オッタルを相手に正々堂々正面からぶつかり合って尚も一歩も引かない男がいる。
振るわれる双剣は炎を吐いている。
「クレイトスだ」
ある神は呟く、その姿はかの戦神クレイトスの様だと。
「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ」
「謝罪する。貴様を見誤っていた」
オッタルは突如謝罪を述べると大剣を構える。
「【銀月の慈悲、黄金の原野。この身は戦の猛猪を拝命せし】」
紡がれるのはこれまでオッタルが見せることの無かった魔法の詠唱。
「【駆け抜けよ、女神の神意を乗せて】」
その意味する所はつまり、オッタルは勝負の決着を付けるつもりだった。
「【ヒルディス・ヴィーニ】」
黄金に輝く大剣は何時か見た聖剣の様だと、ベルは思った。
オッタルはその黄金の剣をゆっくりと構えると
「フンッ!!」
次の瞬間大きく薙ぎ祓いその極光がベルを包んだ。