「ミユ!!」
リュウイチは銃を片手に妹の元へ走る。
何もせずただその場に留まりボーッと何かを眺めている光景は端から見れば不用心であり状況が状況なら何か魔法に掛けられたのかと心配する。しかしその様な様子は無くリュウイチもミユが見ている方を見るとそこには丁度ベルが【鶴翼三連】を放っている所だった。
オッタルも全力で迎撃し両者が武器を振り切る。
オッタルの体に十字の傷が走りベルは力尽き倒れ込みオッタルは軽く膝を落とす。
ベルの方は落下地点にリューが走り込み何とか頭から落ちる事は無かったが微動だにしない、そんなベルにリューは声をかけるが返事をしている様子もない。
「行くぞ、オッタルはまだやる気だ」
「は、はい!!」
2人の視線の先でオッタルは屈していた膝を上げベル達の前に立つ。
リューもベルを横たわらせオッタルとベルの間に立ちはだかりとどめを阻止する。
「リューさん時間稼ぎ!!」
リュウイチから短く端的に発された言葉を理解しリューは武器を抜く。オッタルも思惑を知りどう感じたのか再び大剣を構え直す。
オッタルの背後から銃声が響き頭部に弾丸が命中するがやはり微動だにしない。
「もお〜!!固すぎ!!」
ミユが効力が無い事を嘆きリュウイチはベルの元へ向かいその身体に【ミアハ・ファミリア】製のポーションを飲ませる。
「ゴホッゲホッ………………り、リュウイチ……さん?」
「よぉ寝坊助、叩き起こして悪いが具合はどうだ?」
リュウイチに言われベルは自身の体の状態を確認する。全身が骨が砕けた様な激痛が走り思考が鈍く意識が重い、とても戦闘に参加出来る様な状態では無かった。
「まだ無理そうだな、時間は稼いでやる。動ける様になったらフレイヤの所まで走れ、そうすりゃ俺達のッ!?」
瞬間、オッタルが凄まじい気迫でベルとリュウイチに迫り大剣を振り下ろす。リュウイチは動けないベルを引き摺る様にその場を離れギリギリで大剣を回避する。
「あの方へは貴様らの指すら触れさせん」
「おいおい、手負いの獣+恋は盲目ってか?、面倒な要素の組み合わせ=超面倒臭い、だな。というかリューさん!!ミユ!!ちゃんと時間稼ぎしろよ!?」
「無茶言わないで下さいよ!?相手は戦車みたいなもんですよ!?それをライフル一丁と弾少々で頑張った方でしょう!?寧ろ褒めてくださいよ!?」
「申し訳ありませんリュウイチさん、【猛者】の鉄壁の守りを貫くことが出来ず、しかし次こそは」
「本当にお願いしますよ?リューさんを前衛に俺達2人で援護する。勝つにはこれしかない」
「兄さん、一応聞きます。勝つ算段あるんですか?」
「ハッ、決まってんだろ?あるさ」
3人は覚悟を決めそれぞれの武器を構えた。