魔法科高校の喧嘩屋   作:porion

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砕けたCAD(自信)

 

 

 颯太と達也たちは、達也たち行きつけの喫茶店の一角に座っていた。颯太は初めて来る店のコーヒーの予想以上の味に少し驚いた様子を見せていたが、ほのかにはそれが、突然立ち上がって何かしそうな態度に見えたらしい。実は颯太は食通であったりするのだ。

 

「率直に言うけど、颯太くん、風紀委員会に入ってみない?」

 

「風紀委員?」

 

 幹比古の始めた話の内容に、颯太は終始驚きを感じ、コーヒーを飲む手を止めた。もうお気づきの通り、颯太はどちらかといえば不良の部類に入る生徒だ。普通はそのような生徒は、生徒会活動とはほぼ無縁と言っていいのだが、もし仮にあるとしたら特例中の特例だ。

 

「なぜオレを誘う。その理由がさっぱり理解できない。」

 

「その理由はオレが代わりに説明する。実はオレはあの食堂での一件を見た。」

 

「ほぉ、そうか。それとこれとがどういう関係が?」

 

 確かにあの一件を見たら普通は尚更風紀委員会に誘おうなんて思わないだろう。

 

「お前のやり方は少し強引でやりすぎな感じがする。だが、あのように一科生に食って掛かれる生徒は滅多に居ない。そこでオレは、お前が一科と二科の争いの抑止力になるのではないかと思って幹比古に誘うよう提案したんだ。」

 

「随分と持ち上げてくれたようだが、残念ながら所詮オレはただの不良だ。」

 

「そんなことはないよ!ハ十崎君は彩ちゃんを助けてくれたでしょ!」

 

「彩?もしかしてオレのクラスの日暮彩名のことか?」

 

「そうそう、少し遅くなったけど彩ちゃんを助けてくれてありがとね!」

 

「オレは個人的にあいつらが気に食わなかっただけだ。」

 

「おいおい颯太、そこは素直に受け止めとけって・・・」

 

「まぁいい。とりあえず近いうちに詳しい話を聞かせてもらおう。」

 

 その後颯太はレオやエリカから容赦ない質問攻めにあい、いつもに増して気だるげな顔で達也たちと別れた。

 

 

〔5月1日  生徒会室〕

 

 あれから何日か過ぎた後、颯太は生徒会室に立ち寄り、風紀委員会についての話を聞いていた。だが、どうやら和やかとは言えない空気に満ち溢れているようだ。きっかけを作ったのは風紀委員の森崎だ。

 

「やはりお前たちは狂っている!なぜこんな不良を風紀委員にしようとするんだ。」

 

「私が許可しました。何か異論でもあります?」

 

「大ありだ!やはり深雪さん、あなたは司波達也に洗脳されているんだ!」

 

「森崎くん、それは言い過ぎだ。」

 

「お前もお前だ!よくも司波達也の口車に乗ったもんだな!」

 

 この口論が始まってかれこれ5分が経過している。勿論その間颯太は放置だ。そして森崎は、颯太と達也、そして幹比古を成り上がりだ何だやらでディスりまくる。さすがの颯太もそろそろ我慢の限界が近づいていた。

 

「女々しい野郎だ・・・」

 

 ふと颯太はつぶやいた。

 

「お前今何って言った?」

 

「女々しい野郎だ!と言ったのだが?」

 

「女々しいって、お前ウィード、しかも一年のくせに僕に向かって!」

 

 完全に森崎の感に触ったようだった。先ほどよりも勢いと怒りに満ちた形相を向けていた。だが颯太は不良。そのような形相は何回も見たことがある、それくらいで怯むどころか玉に睨み返した。

 森崎はしばらくすると、睨んでいた目を収めて平然とした目となった。すると森崎は切り出した。

 

「それなら、お前の実力を魔法で示すんだな。」

 

「・・・それはオレに喧嘩を売っていると受け止めていいんだな?」

 

「好きにしろ」

 

「そういう訳だ。深雪さん、許可を出してくれないか?」

 

 颯太は深雪に対して問いかけた。深雪は迷うことなく答えた。

 

「分かりました。ではジャッジはお兄様にお願いしましょう。」

 

 

 

 実技演習場には3人の男が立っていた。颯太と森崎、そしてジャッジの達也の3人だ。そして観客席にはこれを聞きつけたやじうまが多数。その中にはレオたちと零士たちの姿も見えた。会場のざわめきは今や最高潮になっており、中には颯太に声援を送る二科生の声もあった。

 

「ではこれより、森崎対ハ十崎の模擬戦を行う。ルールは3分間1本勝負。こちらが続行不可能と判断した次第終了とする。2人とも準備の方はいいか?」

 

「いつでもいい。」

 

「・・・おう。」

 

「よし、それじゃあお互いCADを構えろ」

 

 2人は達也の指示通りCADを構え、開始の合図を待った。先ほどのざわめきが嘘かのように一気に静まり返り、思い沈黙に包まれた。その沈黙の中、達也の腕が空気を縦に一閃した。

 

「始め!」

 

 達也の掛け声とともに颯太は動き出した。だが森崎の起動式の方がわずかに早かった。これが森崎家の十八番の「クイックドロー」の速度。彼の特化型CADから魔法式が放たれた、これは衝撃系の魔法だ。だが颯太の反応速度も負けてない。以前みせた動きのようにギリギリのラインでかわし、今度は颯太が起動式を立ち上げた。だが、その時異変が起こった。颯太のCADからサイオンが異常に漏れ始めたのだ。

 

「お兄様、あれは一体・・・」

 

「これはまずいぞ!颯太、起動式を止めるんだ!」

 

 だが、もう遅かった。サイオンが漏れ出したCADはオーバーロードを起こして煙を出し始め、その直後に爆発を起こした。腕に焼けるような痛みを感じた。そして爆発による破片が颯太の目に直撃をして、その衝撃で倒れこんだ。

 

「やめっ!この勝負は無効とする。すぐに担架を準備してくれ。」

 

 戦いはまさかの引き分け。しかも放たれた魔法は森崎の一発だけ。会場は再び騒然とした。すると森崎は颯太に近づき、見下したような目線のまま始めた。

 

「思いあがってなれない魔法を使うからこうなるんだ。これで分かったろ、自分が未熟であることを。」

 

 そう残して森崎は演習場から立ち去っていった。その後颯太は担架で保健室に運ばれた後病院にて検査が行われた。

 

 

〔4日後〕

 

 診断は、網膜の火傷による左目の一時的な失明。手術は3日後に行われるが、特別に登校をさせてもらった。それからというもの、颯太は実習室に残ってひたすら起動練習を行っていた。恐怖心による起動不全は無かったが、やはり新調したCADがまたオーバーロードを起こした。

 

「一体どういうことなんだ。なでちゃんと起動しない。」

 

 確かにあの時使おうとした魔法は慣れていないものだった。しかし、今は演習用の単純な起動式。調整は何通りも試してもらったが、どれも上手くいかない。颯太の脳裏にあの時のビジョンが浮かんだ。自分は思いあがっていた、弱い、そんな言葉ばかりがずっと響いていた。あの時、颯太は自分の抱いていた自信が全て崩れ去り、そして左目の視力すら奪った。

 自分はどうすればいいのか。すると、ある答えが浮かんできた。しかし、それは颯太自身のプライドが許さない答えだった。そのまま自問を何回も行った。自分は風紀委員会に入りたいわけではない、だが自分の雪辱は果たしたい。あのころのようなプライドを取り戻したい。

 颯太の迷いが晴れたとき、彼は実習室を飛び出した。夕暮れの校舎を走り、ひたすら走った。彼が向かったのは委員会を終えた達也と深雪、そして幹比古とほのかの元だ。廊下で4人に鉢合わせた颯太は突然頭を下げた。

 

「あわわわ・・・一体急にどうしたの?!」

 

「そうよ、急に頭を下げて。」

 

 女児勢2人は突然の事に少し動揺していた。そして颯太は重い口を開いて言った。

 

「恥を承知でお願いする。オレに・・・オレに魔法を教えてくれ!」

 

 

 

続く




テストの関係で上げるのが遅くなりましたm(_ _)m

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