前話で一旦一区切り。ここから1章中盤ですね。
中盤はワタルの日常、バイト風景をお届けしていきます。ゆるーくお楽しみください。
月曜日である。
普段は憂鬱さに苛まれながら、重たい足を引き摺って学校へ行く月曜日である。世の学生達の大多数は、学校めんどくさいとか、休み続いてほしい〜とか、うだうだ文句を垂れ流しながら登校するのが月曜日という日だ。
私も分かる。ちょっと前まで同じ事思ってたからね。
「──ふふん、ふんふふ〜ん……」
しかし、今日からの私は違うのだ!
なんせ、新しい銃を引っ提げながら友達と一緒に登校という、学生であれば最低1回くらい経験がありそうなイベントを体験できる可能性があるのである。中学時代からは考えられないくらいの進歩だ。やったね私、ここから楽しいスクールライフが始まるよ!
そんな訳で、今日の私はすこぶるご機嫌である。具体的には鼻歌を歌いながら、そこらに湧いた【変なの】を、爪先で蹴っ飛ばすくらいにとても元気だ。
……メガネはどうしたって?
浮かれすぎて部屋に忘れてきたよ。
チェックリストの意味が無くなったね。
まあ良いのだ。見えても気にしなければ問題なーし!
……とまあ、こんな感じで今日の私は浮かれまくっている。だけど、部屋にメガネを忘れてきてしまった事が後々になって響いてくるとは、この時の私は思いもしなかった。
◇
入学してからそろそろ2週間くらい経つだろうか。何度も出入りして見慣れた寮の門を潜り抜け、私は学園へと登校する。最初はわくわくしながら通っていた通学路も、今やすっかりお馴染みの道として記憶に定着してしまった。
しかし、今日はそんな通学路にも新鮮さを覚える。色鮮やかな道端で咲く野花、クルクルと軽やかに喉を鳴らして囀る小鳥達の鳴き声。学園へと向かう生徒達の談笑がまばらに聞こえ、和気あいあいとした雰囲気に乗せられた私の口角も絶好調だ。
そんなこんなで学校の校門前に到着すると、校門の向こう側に見知ったピンクのサイドテールが立っている。
ナッちゃんだ。彼女は植込みを背にしながら、ぼーっとした様子で上を見上げている。
何をしてるのか気になって、私は彼女へ声をかけた。
「やっほー、ナッちゃん。おはよー!」
門を潜り、ナッちゃんの元へと駆けていくと、彼女もこちらに振り向きながら小さく手を挙げる。それに合わせて彼女の頭上で、淡いミルクのようなピンク色のヘイローが揺れた。
「──あ、おはようワタル。朝から元気だね?」
「すっごい元気!いい事あったからね!」
「おぉー、良かったじゃん」
その場に立ち止まり、普通の学生らしい会話をする私達。中学生の時には得られなかったそれを、現在この瞬間に出来ている。そんなありきたりな出来事を私はひっそりと喜んだ。
なんせ、中学時代はカズサや不良以外の子達以外からは話しかけて来る子なんて居なかったからね!
何を隠そうあの時代、私はカズサ達というそこそこ繋がりがある知り合いを除外すると、基本的にボッチなのである。多分『番長』っていう厳つい肩書きのせいで周りの子達から敬遠されてたんじゃなかろうか。私が話しかけようとしたら、めちゃくちゃ怯えられて会話が成立しなかった事もあったし。
まあ、そりゃそうよね。
一般JCは不良と関わりたくなんてないもんね。
そんな奴から話しかけられたら、この世の終わりみたいな顔されたって仕方ないわよね……。
ふふ……所詮私は地域の不良、悲しき孤独の番長よ……。
思い返すと悲しくなってきた。
目から零れる悲哀を拭って、私は彼女の方へと向き直る。
「……何見てるの?」
「あれ、あの雲」
すると彼女は空を見て、とある雲を指差した。
釣られて私も見てみると、そこには青空をのんびりと流れる、白い不格好な楕円形の雲が浮かんでいる。どうやら、ナッちゃんはあれを見て立ち止まっていたらしい。
「──あれ、シュークリームみたい」
彼女はこちらを向き、目尻を下げながらそう言った。それを聞いた私はちょっと考える。
「……そう?おまんじゅうっぽくない?」
少し考えてそう言うと、彼女は指を顎に当てて唸った。
「──なるほど、そういう見方もあったか……」
ふむ……と頷きながらナッちゃんは目を閉じる。私はそれを見た後、再度例の雲を見上げた。
風に吹き流されているからか、少し形が崩れた楕円。細い部分に少し凹みのような場所が2箇所あり、よく見てみればクリームが若干はみ出たシュークリームのように見えなくもない。
「でも、ナッちゃんの言う通りシュークリームっぽくも見えるわね……。あの、ちょっとくびれた部分がクリームを挟んでるみたい」
そう伝えると、彼女は目を開いて少し笑う。
「あ、やっぱり?ワタルにもそう見えるんだ」
そう言った彼女は少し笑って、再び空に目を向けた。ナッちゃんに釣られて私もちょっと笑う。
「うん。面白いわね」
「だよね〜」
ちょっとしたお空の雲の観察。登校中ののんびりとした空気感。これまで味わった事のない不思議な感覚だけど、私は悪くないと思った。
そう思いながらナッちゃんと2人で雲を見ていると、横合いから声を掛けられる。
「あれ、ナツとワタルじゃん。おはよ」
「あ、ヨシちゃん!おはよう!」
「おはよー」
利発そうな声で話掛けてきたのはヨシちゃんだった。今日も今日とて金髪の髪のツインテールと、頭上に光るうさ耳のような黄色のヘイローを揺らしながら、こちらへと向かってやってくる。それに気が付いた私は、彼女に向かって軽く手を振った。
「2人して何突っ立ってんの?」
不思議そうな顔をしたヨシちゃんが、私達に対して質問してくる。私は頭上に浮かぶ、かたつむりみたいにのろのろ進む雲を見ながら返答した。
「ほら、あれ。あの雲がどう見えるかーって話してたの」
私の目線を追うように、ヨシちゃんも雲を見上げる。しかし、見上げ続ける事に疲れたのかすぐに頭を戻してしまった。
「えぇ……そんな事で?」
少し呆れ混じりな様子で腰に手を当ててヨシちゃんは言う。
「うん、そうだよ。──美味しそうだなーって思って」
そんな彼女に対して、ナッちゃんは事も無げにそう返した。
「はぁ?何それ?バカみたい。雲は浮いてて食べられないでしょ!」
ナッちゃんの話を聞いたヨシちゃんは、呆れたように肩を竦める。夢がない。
「ちっちっち、甘いねヨシちゃん……。こういうのは想像力よ、想像力」
私の発言を聞いたヨシちゃんは怪訝そうな顔を浮かべる。なんの事か分かっていないようだ。
それなら私がお手本を見せてあげなきゃね。
考えをまとめた私はヨシちゃんに例として解説をする。
「──見なよ、あの白くて丸っこいフォルムを。すべすべした外観に、霜のように降りかかった薄力粉……。大福っぽくないかしら?」
自信満々にそう言うと、彼女は目尻を釣り上げ私に向かって抗議してきた。
「どこをどう見たら雲の表面が薄力粉に見えんのよ!あんなの綿にしか見えないじゃない!」
「えー、比喩表現なのにー……」
ヨシちゃんが正論を言ってくる。ロマンが足りない。身も蓋もない反論に対して、私は静かに肩を落とした。どうやら彼女には私の表現の仕方がお気に召さなかった様子。残念。
「てか、無駄に語彙力豊富ね。グルメレポーターしてみたら?」
それはそれとして、ヨシちゃんからありがたい評価をいただけた。やったぜ。
「えへへ〜、それ程でも〜」
「褒めてないんだけど」
ヨシちゃんの評価に対して私は照れた。
嬉しい事言ってくれるじゃないか。
こういう風な評価のされ方は大好きだ。
「今度から私の事は、グルメリポーターワタルちゃんと呼びなさい!」
「呼ばない呼ばない、本気にしない」
「グルメリポーターワタルちゃん……!」
「ナツも乗るな!!」
ふっふっふ……素晴らしい賛辞だ。
これは私の記憶の中にリマインドしておこう。
私は腕を組んで鷹揚に、2人の言葉を受け止めた。
そんなこんなで3人でわちゃわちゃしていると、ナッちゃんがヨシちゃんの服の袖を掴んで引っ張る。
「……それでヨシミはあの雲、どう見える?」
なんとナッちゃん、ヨシちゃんへ強気のリトライ。私のお手本作戦が彼女ににべもなく爆砕させられた事に対するフォローをしてくれるらしい。
マジでかナッちゃん、行けるかナッちゃん……!?
「えっ、これ私もやるの?」
「もちもち。ヨシちゃんスイーツ部に所属してるし……期待してるよ?」
ナッちゃんのフォローに揺らぐヨシちゃんへ、私はすかさず援護射撃を放った。言い方が若干ウラちゃんっぽくなったけど、なんとかなれの精神でゴリ押す。それを受けたヨシちゃんは、腕を組んで目を閉じた。
小鳥が囀る中、私達の間に一瞬の沈黙が流れる。
そして、考えがまとまったのか彼女の瞳が開かれた。
「──はぁ〜、もう。しょうがないわね」
こちらを向いたヨシちゃんはため息を吐きながら、根負けしたように腕組みを解く。私とナッちゃんは、彼女を策に乗せた事へアイコンタクトで喜び合った。
「うーん……、あの雲でしょ……?」
そう言って、ヨシちゃんは額に右手を当てて考え始める。時折、道端の植込みを見たり、白いレンガで造られた道を見ながら青空を向いた彼女の答えを、私達は期待の眼差しを向けながら待った。
──そうして、たっぷり数十秒。彼女はようやく口を開く。
「───わたあめしか出てこなかったわ」
「「おぉ〜……」」
普遍的、ありきたりな答えを出したヨシちゃんに私達は感心の声をあげた。それは分かってても言わない答え、ある種の王道であり、万人がそうであると認識しやすい、単純明快な解である。
しかしその答えは、万人受けがしやすい回答が故に会話をぷっつり途切れさせてしまう諸刃の剣。単純明快な答えだからこそ、問題に決着をつけてしまうマスターキー。なればこそ、私とナッちゃんはそれを最初に思い浮かべた上で、あえてそこを避けた。会話を続けようとしたのである。
だが、ヨシちゃんは違った。
私とナッちゃんが会話を続けるために選ばなかった正解、それを迷いながらも選び取り、口に出した。本来ならば『分からない』と選択してもいいはずのところを悩みながら答えたのは、ひとえにスイーツ部員としての矜恃なのだろうか。
ナッちゃんと、私の視線が交差する。
どうやら考える事は同じのようだ。
私とナッちゃんは同時に手を合わせ、見事この論争に終止符を打った彼女へ向けて拍手する。
贈ろう、ヨシちゃん。
貴女こそ、ナンバーワンにふさわしい。
「2人して感心しないで!ほら、こんなことしてたら学校に遅れちゃうでしょ!」
しかし、彼女は何故自分が拍手を受けているのかが分からなかったようだ。ヨシちゃんは、意味が分からないと言わんばかりに私達の制服を掴んで、無理やり校舎へ向けて引っ張りだす。
その最中、制服の後ろ襟をヨシちゃんに掴まれたナッちゃんがこちらを向いて話しかけてきた。
「……良い議論だったね。甘いもの食べたくなっちゃった」
分かる、お菓子食べたくなったよね。
彼女の意見に対し、同じくヨシちゃんに後ろ襟を掴まれた私も同意する。
「同感、お昼に学食でなんか買ってこうかな?」
「あーもう!能天気なやつらはこれだから……!!」
それを聞いたヨシちゃんは、ぷりぷり怒りながらさらに力を込めて制服を引っ張った。
見上げる空には未だゆるゆると綿あめみたいな雲が流れていて、青いキャンパスには光円がいくつも折り重なっている。そんなキヴォトスの晴れ模様を見ながら、私の騒がしい登校時間は過ぎ去っていった。
◇
さて、ヨシちゃんのお陰で予鈴がなる前に余裕を持って登校できた。授業に必要無いものをロッカールームへ放り込んだ私は、意気揚々と教室へ入る。教室内には少なくない人数のクラスメイト達がそれぞれグループとなって会話に花を咲かせ、とても楽しそうに見えた。
そんな中、その明るい空気から離れた場所にポツンと1人。机の上で黒猫が伸びている。
カズサだ。
まだ朝に弱いらしい。
「やっほ、カズサ。おはよ。早いね?」
「──ん、おはよ。むしろアンタがちょっと遅いんでしょ」
机に近付き肩を叩くと、彼女は気怠げに顔を上げてこちらを見る。なんだか眠そうな彼女は軽くあくびをして身体を起こした。
「どしたのよ、寝不足?」
「……そ。ちょっと長めにスイーツ店巡りしてたら帰るの遅くなっちゃってね」
「ふーん、体調崩さないでよね」
彼女の返事にそれとなく返す。身体を起こしたはいいが、まだぼんやりとしている彼女の頭の揺れに合わせて、猫目を模したピンクのヘイローがゆらりと揺れ動いた。
「それで、何食べてきたのよ?」
私がそう聞くと、カズサは少し考え始める。そして机の上で頬杖を付き、指折り数え始めた。
「……えーっと、確かシナモンロール、ラズベリージャムの乗ったチーズケーキ、あと店頭販売されてたチョコ菓子とマカロンだったかな……?」
ぼんやりとした表情で指を折って、彼女はスイーツの名前を列挙する。私はちょっとだけ引いた。
あの、午前中にもスイーツパーティーしてなかったっけ?結構食べてたよねカズサ。その量食べて大丈夫なの?
「食べすぎじゃない?」
「んー、やっぱそうだよね……。食べすぎたね」
ちょっと目を細めて、どこか遠くを見るような顔をするカズサ。自慢の猫耳がシナっとしてるのを見るに、若干後悔してるらしい。
「あの後皆でシナモンロールとか食べに行ったんだけどね……、ちょうど限定セールでマカロンとチョコ買っちゃってさ」
「そりゃ大変だったわね……、セールとか飢えたハイエナが群がってくる戦場じゃない。それに巻き込まれたわけね」
「そういう感じ。結構しつこかったからその場で食べて切り抜けた」
「お疲れ様……」
バーゲンか……、ならしょうがないか。
思い出すのも嫌そうな彼女に、私は労いの言葉をかけた。なんせ、キヴォトスのセールは文字通り戦場だからである。私もデパートで何回か巻き込まれたが、セールのカゴに人の波がワッと押し寄せそのまま商品の取り合いが始まるのだ。
そして銃撃戦が始まる。
流石キヴォトス、治安がヤバい。
当時、中学生だった私も巻き込まれた事があるけれど、あれはヤバい。
修羅の形相でカゴに迫る人々。
商品に押し寄せる手の津波。
壁となって殺到する人垣に、当時の私はとても恐怖した。
まあ、全員叩きのめして帰ったんだけど。
マジで怖かった。カズサは本当にお疲れ様である。
そんな感じでセールに関していい思い出がさっぱり無い私は、頑張った証として彼女の頭を撫でる。
しかし、素早く振り払われてしまった。
鋭い目つきが私を射抜く。
「やめなね」
「あい」
怒られちゃった。
だけど話しているうちに少しずつ調子が戻ってきたのか、彼女の目蓋が開き始める。ため息をつきながら椅子に座って伸びをした彼女は、こちらに目を向けた。
「んで、話しかけてきたってことはなんか用事?」
そう言って、彼女はいつも通りの流し目で私に問い掛ける。それに対して私は腕組みをして胸を張った。
流石カズサ、付き合いが長いだけはあるね。私が言いたい事をすぐ察してくれる。
「ふっふっふ……用事も何も。カズサにマイオーダーメイド銃見せてあげようと思ってね!」
「あ、届いたんだ。良かったね。じゃ」
「ちょっと??」
しかし、私の用件を聞いた途端、またもやカズサは机に突っ伏してたぬき寝入りをし始めた。あまりにもあんまりな塩対応に、私は彼女の肩を掴んで揺さぶる。
「ねーぇー、それは酷くない?こっちがご機嫌な理由とか、銃がどんな感じなのか聞きたくないわけ?!」
「あーあー、うるさい。どうせカッコよく装飾して貰ったとか、お値段以上の性能してたとかそういう感じなんでしょ。前に聞いたじゃん」
だが、私の必死の訴えも虚しく、彼女はそっぽを向いて机に倒れ伏したままだった。私はなんとか彼女の興味を引けないかと苦心する。
「そうだけど、それだけじゃないんだってば〜!バックブラストで銀色出たりとか、反動ゼロとか色々あるんだってばー!!」
「はいはい、そうだねー」
またも適当に流されるアピールポイント。
私は泣いた。話をスルーされすぎた私はとうとう半泣き状態となり、彼女の肩を強めに叩く。それに対して彼女は微塵も動じなかったので、私はとっておきの話題を出すしか無くなった。
「──銃にも英語で話しかけられたんだよー!?」
「そっかそっか、よかったねー………──って、うん??」
今まで話を聞き流していた彼女の適当な返事が脈絡なく途切れる。
カズサの真顔がこっちを向いた。
「───ワタル、話しかけられたって……誰に?」
「銃に」
カズサが机の上からむっくり起き上がって天を仰ぐ。彼女は私の話を聞いた途端、流し目だったはずの瞳は閉じられ、シナっと横たわっていた猫耳は今や完全に起き上がっていた。
「──ハァ〜〜〜ッ……よしワタル。その銃の話はまた今度ね。帰ってから、OK?」
ものすごく長いため息の後、ぐっさり彼女に釘を刺された私は口を尖らせる。しかし、圧のある彼女の笑顔に気圧された私は渋々了承した。
「──仕方ないなぁ。今夜は付き合ってよね?」
「はいはい、ストレッチとかしながらね」
私がそう言うと、カズサはひらひらと手を振る。さっきまでの眠そうな表情とは打って変わり、彼女はいつも通りの澄まし顔に戻っていた。
「──て言うかワタル。もうそろそろ
「え、マジ?」
彼女に指摘され、私は慌てて壁に掛けられた時計を見る。確認した時計の長針は既に11を超え、12の文字盤スレスレに届こうとしていた。
「……やっば!?カズサ、話の続きはまた後でね!!」
「早く行きなー」
彼女に別れを告げ、急いで自分の席に滑り込むと、教室のスピーカーからチャイムが流れ始める。それに合わせてクラスメイト達も各々の席へと戻って着席した。
「──はい、皆さんおはようございます。今日も暖かいですね。春の陽気に負けて授業中に居眠りしないよう気を付けながら、
いつの間にか教卓に来ていた担任教師が、この時期特有のあるある話と共に
「
彼女の掛け声を聞いて、私達は席から立つ。
そんなきびきびと動く私達を気にもせず、窓の外の青空では、白い綿雲がのんびりゆっくりと流れていた。
・遠芽ワタル
春の陽気に浮かれ気味な女子高生。ヨシミからの評価にご満悦。ナツとグータッチを交わして、2人でヨシミにツッコまれた。
実は普通の会話に飢えている。
・柚鳥ナツ
マイペースに雲を眺めて、ぼんやり考え事をしながら教室に向かうタイプの女子高生。普段はヨシミと登校時間が被るからか、いつも一緒に教室へ向かっている。
・伊原木ヨシミ
遅れそうな友達を教室まで引っ張っていく、気の利く小柄な女子高生。今日はそこにアホが1人追加されてしまったため、いつも以上にエネルギーを消費した。
・杏山カズサ
起きたらベッドの上でボーッとしてしまう、朝に弱い黒猫の女子高生。昨日のマカロン争奪戦の疲れが出てしまったので、今朝は教室でウトウトしていた。
なお、ワタルのせいでウトウトキャンセル。
衝撃発言を聞いてしまったせいで、微妙に目が冴えてしまった。銃が英語で話しかけてくるってなんだよ。