転スラ~レプリカの鏡~   作:kurry(カリー)

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※魔王と竜の建国譚のイベントストーリー『魔国連邦VS鏡国連合』のネタバレを含みます。

ネタバレが苦手な方はご注意ください。



序章
独白~そして転移~


―――――

 

 薄い桃色の髪に、紅い瞳。中身を伴わない鏡像の魔王。あのリムル=テンペストの鏡映し。そういう存在を知っているだろうか。その者の名はエミルス。

 魔王リムルの歪んだ鏡像体としてこの世に生み出された存在である。

 

 

 

 俺はリムルの娘であるシンシヤの理想(ユメ)から生まれた存在だ。理想の父親として、鏡の世界のハリボテの国で王として君臨した。

 

 世界はある一つの選択によって木の枝のように枝分かれしていて、いくつもの可能性の中から俺達はこの現実を歩いている。その現象は平行世界(パラレルワールド)と呼称された。俺は、その数多あるリムル=テンペストの可能性の一つとして生きているということだった。

 

 あぁ、つまらない。

 

 可能性の話に合理性はない。空想は目の前の現実から逃避するための雑魚がやる行動だ。

 そんな時間があるなら目の前の全てを利用するために脳を動かす。「もしも」なんてものはない。俺達はここに生きているし、呼吸してる。意志がある。武器がある。

 俺はオリジナルを喰らって世界に抗ってやると決めた。ハリボテの国を「本物」にして、贋作と呼ばれし鏡像共(かぞく)を守りたかった。明日を生きることさえ許されない俺達は、ひたすら強さを追い求めた。

 

 

 しかし、それも終わったことだ。

 娘であるシンシヤにすら存在を否定された。その時に俺は初めて、娘であるシンシヤに「もしも」を期待してたことに気づいた。

 所詮贋作である俺は偽物の国と家族しか作れず、シンシヤが求めていたような暖かい家族を作れなかった。

 生まれた時からずっと、オリジナルであるリムル=テンペストに対する劣等感と屈辱感が心を支配していて、鏡映しの俺は、あいつのような暖かい心なんざ持っちゃいなかったんだ。家族のためにと願った俺の心さえも、本物じゃない。

 

 俺が理想の世界と共に消滅する寸前、オリジナルが最後に俺の理想を受け継ぐと約束した。そのことに悪い気はしない。だから俺はヤツの存在を許してやることにした。

 

 俺の娘を、シンシヤを泣かせたら殺してやるからな。リムル=テンペスト。

 

 

《   》

《          》

《       》

 

 

《確認しました。スライムの身体の生成……成功しました》

《確認しました。ユニークスキル『鏡像者(ウツルモノ)』を獲得しました》

《確認しました。対象:エミルスをスライムに結合……成功しました》

《確認しました。対象:エミルスのスキルの初期化……成功しました》

《確認しました。対象:エミルスの初期化したスキルの代替案として、エクストラスキル『血液操作』を獲得しました。付随して、『魔血変換』を獲得しました》

《確認しました。エクストラスキル『魔力感知』を獲得しました》

《確認しました。対象:エミルスを対象:リムル=テンペストにリンクさせます。現在、待機状態です》

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